2017年04月24日(月)

Sat 170401 徐行を繰り返す/不承不承に進む/タマネギおじさん登場(モロッコ探険記30)

テーマ:ブログ
 1月16日、マラケシュを6時45分に出発したフェズ行き長距離列車は、12時ちょうどにカサブランカ中央駅に到着した。

 マコトに模範的な運行であって、さすが南ヨーロッパの一員として堂々と大TGV網に加わろうとしているモロッコだ。予定外の遅延なんか、ここまでは別世界の話のようであった。

 カサブランカには大きな空港があって、中央駅からは空港行きの電車が頻繁に発着する。国際線の乗客が万が一空港に遅れたらたいへんだから、ここでいろんな斟酌や忖度が働く。

 おお、「忖度」であるよ、諸君。「そんたく」という言葉、一ヶ月前のマスコミを森友学園とともに疾風怒濤のように駆け抜けたが、ありゃいったい何だったんだ?

 まあいいか。とにかくヒコーキの客を斟酌したり忖度したりしたモロッコ国鉄は、カサブランカ中央駅に停車したまま、もうビクともしなくなった。ホントならすぐに発車のはずなのだが、15分経過しても30分経過しても、ホントに微動だにしない。

 微動だにしない列車が存在すれば、日本ならホンの3分か5分であってもメッタヤタラに丁寧な謝罪の車内放送が入る。「ええー、XX時YY分頃、ZZ駅付近においてお客様が線路内に立ち入られました影響で、ただいま運転を見合わせております」の類いである。

 しかし諸君、かつて(確か3年前)東京大学総長が入学式の挨拶で述べた通り、「日本で当たり前であることが、世界ではちっとも当たり前ではないのだ」なのである。

 5分はおろか、ビクともしないまま30分が経過しても、何の謝罪も経過説明も、近未来の展望もナシ。これで新幹線なみの高速鉄道を走らせようと言うのだから恐れ入る。
羊
(老人とヒツジ)

 ようやくカサブランカ中央駅を発車したのは、12時40分。おお、一気に40分遅れとなった。そして列車というものは、いったん遅れが出てしまえば、遅れに遅れが積み重なって、2倍にも3倍にも遅れが膨れ上がるのが常である。

 カサブランカから首都ラバトまでは、通常なら1時間弱の道のり。ところが諸君、徐行に次ぐ徐行、ノロノロ運転に次ぐノロノロ運転で、ちっとも先に進まない。イライラすることこの上ない。ダメな受験生の受験勉強よろしく、全然エンジンが全開にならない。

 予備校の授業も始まった、しかしちっとも予習復習に身が入らない。「朝型の生活にしたよ!!」とパパ&ママを大喜びさせたかと思えば、その朝型は2日しか続かない。

「目覚ましを3つも買ったから大丈夫!!」とニコニコするが、目覚ましは① 5時に鳴り、② 6時に鳴り、③ 7時に鳴って、しかし本人はそのままスヤーッと寝静まり、弟や妹が学校に出かけてもまだベッドから出てこない。

 さすがにパパが心配して、「模試の状況はどうなんだ?」と尋ねてみると、「うん、センター模試の英語は10点上がったよ!!」とニコニコ、「でも国語が30点下がっちゃった」。パパはママに「オマエの目が行き届いていないんじゃないのか?」とヒソヒソ耳打ちしたりする。

「アナタはいつもそんなふうなんですから」「大学受験になったら、男親の出番じゃないですか?」と、ママも険悪な表情。それでも本人は日々スマホと格闘。受験情報だけは綿密に検討しているが、ホントの勉強にはちっとも本気になれない。

 そんなことをしているうちに、予備校では「夏期講習の申し込み」なんてのがチラチラし始める。目の前の着実な勉強の毎日なんかより、3ヶ月先の夢のような奇跡と伝説と大逆転の授業がチラついて、とても予習復習どころではない。
線路
(線路は続くよどこまでも。徐行も続くよどこまでも)

 ダメな新入社員の5月6月のアリサマともそっくりだ。「こんな仕事をやるために入社したんじゃない」。来る日も来る日も文句タラタラで朝の通勤電車に耐えるうち、シューカツ中に夢と理想と屁理屈をコネクリ回して書き上げた夢のような「入社動機」が苦々しく蘇る。

 すると諸君、受験生時代と全く同じ不承不承な朝の繰り返しが始まる。モロッコ国鉄の長距離列車も、カサブランカからラバトまで、まさにそんな徐行を繰り返した。

 プシュッとエンジンが入っては、すぐにまた徐行。また「プシュッ!!」と雄叫びをあげて乗客全員の夢を熱く沸き立たせたかと思うと、ガクンとブレーキがかかってまた徐行。パパや上司、ママや先生、弟も妹も、みんな耐えがたいイライラに引きずり込むダラしない若者さながらである。

 車窓風景も、決して爽快なものではない。カサブランカからラバトにかけては、確かに大都会である。しかしその大都会ぶりが、「成長著しい」「わー、スゴいな」という類いのものとは程遠いのだ。

 要するに、「ただ単に人々が密集しました」という密集感だけが横溢しているのである。アフリカの真昼の直射日光を浴びて、ギュッと濃密に密集した低層住宅が延々と車窓を埋め尽くす。

 家屋はみんな2階建て。壁の色は、煤けた白か、白に赤土の色の混じったピンク。白とピンクが支配的な中に、ホンの少しの黄色が混じる。屋上にはためく洗濯物の向こうに、青い大西洋のカケラがチラホラするのだが、廃工場や鉄条網や廃業した大規模店舗の廃墟のほうが目につく。
ロバさん
(農村地帯に入る。ロバさんも楽しそうに歩き回っている)

 やっとのことでラバトを過ぎ、列車は「ケニトラ」という駅から農村地帯に入る。このケニトラがモロッコ版新幹線のキーになる重要な駅であるらしくて、確かに高速鉄道の高架やら新駅やらが荒野の中に姿を現し始めている。

 しかし、21世紀的なのはあくまでケニトラまで。そこから先はいきなり20世紀どころか19世紀的になり、いや、「近世以前」「中世を髣髴」という風景になる。それが今日の写真の1枚目、ヒツジの群れを追う老人。今回のモロッコの旅で、最もモロッコっぽい1枚が撮れた。

 ヒツジばかりではない。牛の群れも、ヤギさんやロバさんも、ちっとも列車を怖がる様子がない。ヒツジ飼いのオジサンもジーサンもオニーサンも、どんどん列車の至近距離にまで群れを導いて降りてくる。
羊と牛
(ヒツジと牛の群れが列車の至近距離まで接近してくる)

「あれれ、これじゃヒツジをひいちゃうよ」であって、こんなに近くまでヒツジの群れがやってきて、列車の通過なんかおかまいなしに夢中で草をハミハミしてたんじゃ、またまた列車は徐行を始める。ひたすら汽笛を鳴らして、「どいてください、ヒツジさん!!」という警告を繰り返さなきゃいけない。

 緩やかな丘陵地帯を越えて、列車が古都メクネスに近づく頃には、もう遅れは1時間半に近づいている。14時半にフェズ到着の予定だったが、どうやら16時にずれこみそう。腹は減り、喉は渇き、今すぐにでもビールをグビグビやりたいぐらいである。

 フェズを日本の京都に例えるなら、メクネスは奈良である。ホントはメクネスも探険したかったが、今回は「見残し」ということにして、次回のモロッコ訪問までメクネスはガマン。メクネスまでたどり着けば、フェズまでは残り20分ほどだ。やれやれ、何とも長い旅だった。
メクネス駅
(メクネスの駅)

 メクネスの駅は2つあって、1つ目が正式名称「メクネス・エル・アミール・アブデル・アデール」。なかなか立派な駅名であるが、この駅からワタクシのコンパートメントに、マコトに不思議なオジサマが入ってきた。前代未聞に強烈なタマネギのニオイをプンプンさせていらっしゃる。

 しかもこの段階で、列車はもうガラガラ。他のコンパートメントにナンボでも席が空いているのに、あえてサトイモ入道のコンパートメントをタマネギのニオイで満たしにやってきた。

「日本人かい?」とオジサマは尋ねるのである。「フェズやメクネスのガイドは必要かい?」とおっしゃる。お馴染みガイドの押し売りかと思ったら、どうもそうではないらしい。

「ホテルで紹介するガイドは、ショッピングガイドに過ぎない」「どうせ商品を売りつけられるだけだ」「アナタに必要なのは、歴史や宗教や文化に詳しいガイドだ」。そう言ってオジサマは、モロッコの歴史と文化を熟知したガイドさんを1名紹介してくれた。

 次の駅で、列車を降りていく彼。涙が溢れるほど強烈&濃厚なタマネギのカホリを後に残して、悠然と去っていく。その甘いタマネギ感をしっかりと車内に保持したまま、列車は15時50分、1時間半遅れでついにフェズの駅に到着したのだった。

1E(Cd) CHET BAKER SINGS
2E(Cd) Art Pepper:SHOW TIME
3E(Cd) Maceo Parker:SOUTHERN EXPOSURE
4E(Cd) Max Roach:DRUMS UNLIMITED
5E(Cd) Tommy Flanagan Trio:SEA CHANGES
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