2017年04月23日(日)

Fri 170331 新幹線の威力/モロッコ新幹線/パリまで8時間/現実(モロッコ探険記29)

テーマ:ブログ
 誰だって、新幹線には来てほしい。新幹線さえ延伸してくれれば、それだけで街の勢いは面白いほどググンと上がる。逆にどんなにたゆまず努力していても、「新幹線が来てくれない」というそれだけの理由で、街はションボリしぼんでしまう。

 例えば諸君、宮城県仙台市の人口動態を観察してみようじゃないか。1965年、仙台市の人口はたった48万人。何だ、まだ50万にも届いていない。「東北の雄」と言ったって、普通の地方中堅都市に過ぎなかった。

 東北新幹線の建設が完了し、実際に走りはじめたのが1980年代前半。ここからがそれこそ「ググン」であって、50万に満たなかった人口は、たった35年後には100万を超える。もちろん大合併その他の要因もあったに違いないが、「35年で2倍」という異様な成長は、要するに新幹線のなせるワザである。

 だからこそ、世界中の人々が新幹線に夢中になる。超大国の夢は「一帯一路」だろうし、北米でも中南米でもアジア諸国でも、ひたすら新幹線♡新幹線であって、蚊トンボみたいなヒコーキなんかいくらブンブン飛び回っても、ちっとも頼りにならない気がする。
荒野1
(モロッコ国鉄、マラケシュ⇔カサブランカ間の荒野を行く 1)

 モロッコ国鉄は2005年、カサブランカと地中海岸のタンジェを結ぶ高速鉄道を立案した。モロッコ各地に総延長1500kmの高速鉄道網を張りめぐらせる、マコトに野心的な計画であった。

 ジブラルタル海峡に近いタンジェから、カサブランカ ☞ アガディール間を4時間弱で結ぶモロッコ大西洋路線は、約900km。ジブラルタル海峡に海底トンネルを掘り、アフリカとヨーロッパとを鉄道で直結するという壮大な計画も生まれた。

 その計画が実現すれば、モロッコの首都ラバトからスペインのセビージャを経てマドリードまで。新幹線で4時間。ということになれば、スペインどころかカサブランカから一気にパリまで、直通8時間ということになる。

 まあ確かに8時間となると、みんなヒコーキに乗っちゃうだろうが、「鉄道で結ばれている」という絆の感覚は強烈。モロッコは名実ともに南ヨーロッパの一部分となる。言わば21世紀版の「脱亜入欧」だ。この場合の「亜」は阿弗利加だから、「脱阿入欧」ということになる。
荒野2
(モロッコ国鉄、マラケシュ⇔カサブランカ間の荒野を行く 2)

 そうなれば、そりゃ他のアフリカ諸国も黙ってはいない。カサブランカとタンジェを結ぶ計画に、チュニジアとアルジェリアも当然のように関心を示す。リビアだって乗り出してくる。

 夢のような計画はどんどん規模が拡大して、カサブランカ ⇔ タンジェ ⇔ アルジェ ⇔ チュニス ⇔ トリポリと、2000年前の古代ローマ帝国をを想起させるレベルになってきた。北アフリカ ☞ 地中海の南側は、古代ローマを支えた一大穀倉地帯であった。

 要するに、2000年前の中心だったローマが後方に退き、その地位をパリが踏襲したというだけのことである。ヨーロッパと北アフリカは、2000年の時を経て、今度は高速鉄道網で濃厚濃密に結ばれようとしているのである。
途中駅
(荒野の中の停車駅、ここにも新幹線がやってくる)

 ただし諸君、あくまで計画は計画、現実は現実である。当初の計画では、タンジェからラバト近郊「ケニトラ」までの工事完了は、2014年の予定だった。

 試運転が2014年、営業運転は2015年末に開始の計画だったのである。
「いよいよタンジェから首都ラバトまで2時間強」
「時速350kmなら、タンジェ ☞ カサブランカは1時間半」
「通勤だってできる」
と、計画の段階ではマコトに威勢がよかったようである。

 しかし、うーん、何事も計画通りには進まない。というか、計画とは必ず挫折の危機を迎える運命にあるものだ。受験生の計画と同じこと。大学新入生が立てる壮大な計画も同じこと。シューカツの計画だって、あんなに1日1日分刻みで綿密に作り上げたのに、思い通りに進むことは滅多にない。

 傍観者は、楽でいいですな。無責任に他人の仕事を遠くから眺めていて、計画通りに進まないと冷笑的な表情で批判と非難と失笑を繰り返す。当事者の苦しみなんか、知ったことじゃないのである。

 高速鉄道の計画は、カサブランカからマラケシュまでグングン伸びてきたらしい。マラケシュは、2016年秋のCOP22を開催。ならば高速鉄道網も完備して、何としても国威発揚、南ヨーロッパの一員として、やがてはEU加盟も目指したいじゃないか。
海老色
(カサブランカ中央駅。海老みたいな機関車が頑張っている)

 だから1月16日早朝、マラケシュから鉄道でフェズに向かったサトイモ法師の目に飛び込んできたのは、在来線の脇に新しい鉄道を建設しようと懸命な人々の姿であった。

 マラケシュを出て30分、砂と岩だらけの荒野に、美しい朝日が昇った。列車は丘の麓を大きく蛇行しながら進む。蛇行が余りに激しいので、あまり前進している実感がない。しかし例えアフリカの大蛇でも、マジメに蛇行さえ繰り返せば、遅々としていようが何だろうが、間違いなく前には進んでいるのである。

 高速鉄道の建設は、そんなふうに蛇行する在来線にピッタリ寄り添っているから、例え完成しても、その新幹線もまた大きく蛇行を繰り返すはずである。そんなに蛇行したんじゃ、とても高速で走れそうにはないが、TGVというものは本家のフランスでも蛇行に蛇行を繰り返す。

 だから、ホントに新幹線の名に相応しい高速でブッ飛ばせるのは、「総延長のうちの半分にも満たない」というのが実感、ドイツのICEでもイタリア新幹線でも、ノロノロ運転の合間合間にふと気がつくと「おっ、速いね♡」「さすがだね♡」と気づく程度。気づいた瞬間、また徐行運転に戻っていたりする。

 しかも諸君、車窓からみるかぎり、工事は遅々として進まない。手動というか何というか、オジサンたちが十数人集まって「ああでもない」「こうでもない」と言い合いを繰り返しながら、シャベルで土や砂や泥を延々とこねまわしているばかりである。

 こうしてマラケシュからカサブランカまで3時間強、赤土と砂と岩の荒野が延々と続く。人影もまばらで、ヒツジと牛とロバさんたちの姿のほうが目立つ。赤い実をたくさんつけたウチワサボテンが、ワラワラと風に揺れるばかりである。
ラバト駅
(モロッコの首都・ラバトに到着)

 それこそ民主党時代の日本なら
「こんな所に新幹線なんか走らせて、完全な無駄じゃないですか」
「もったいない。ああ、もったいない」
「予算は徹底的に縮減ですね」
「他にもっとやることがたくさんあるんじゃないでしょうか」
「八ッ場ダムなんか必要ありません」
と、政権交代の熱い息吹が聞こえてくるところである。

 それでもカサブランカまでは、列車の運行はまずまずダイヤ通り。蛇行に蛇行を繰り返しながらも、ほぼ定刻でカサブランカに到着した。何だ、モロッコ国鉄、なかなかやるじゃないか。

 日本のガイドブックには「平気で30分や1時間は遅れます」「2時間遅れなんてのはザラ」と書かれているが、これならフェズまでダイヤ通り、7時間半での到着も夢ではなさそうだ。

「よかった&よかった」と胸を撫で下ろすサトイモ入道であったが、諸君、その辺が「まだ甘いね」と指摘されるゆえん。モロッコ国鉄との悪戦苦闘&難行苦行は、実はここから始まったのである。詳細は、また明日の記事で。

1E(Cd) Miles Davis:THE COMPLETE BIRTH OF THE COOL
2E(Cd) Art Blakey:MOANIN’
3E(Cd) Human Soul:LOVE BELLS
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