2017年03月30日(木)

Tue 170307 プリンに救われる/ファティマの手/マックのコドモたち(モロッコ探険記15)

テーマ:ブログ
 世の中には、ホントに思いもかけぬものに助けられる経験があるものだ。中年になってからプリンに助けられるだなんて諸君、思ってみたことがあるだろうか。

 ヨーグルトでもない、大福でも月餅でも、あんまんでもヨーカンでもなくて、命をプリンに救われる。ジャムパンでもクリームパンでもない。プリンである。うーん、なかなか考えにくいシチュエーションであった。

 しかも諸君、そのプリンにはアラビア語の文字が印刷されているのである。ホテルから徒歩10分、巨大スーパー「カルフール」で買ってきた。ペシ&ペシ。フタの所でくっついていて、接着箇所をペシッと割れば、2個でも3個でも4個でも、好きな数だけ買える仕組みになっている。

 何しろ今井君は、1月6日の東京出発以来、「人生で初めての経験」と断言できるほどの激しい口内炎に苦しんでいた。固いものなんか、絶対に食べられない。

 ハムもダメ、ソーセージもダメ。ましてやマラケシュのスークの屋台で売っているエスカルゴなんか、誰が何と言ってもダメ中のダメ、そんなものを注文するのは、明らかに自殺行為である。

 カルフールに入ったとき、ふと目についたのが「ドリトス」である。つい1週間前、オーストラリア・シドニーのスーパーで買って、今井君は来る日も来る日もドリトスのパーティーをやっていた。チキンの丸焼きと濃厚チーズ味のドリトス。天国のような日々を満喫していたのだった。

 だから、マラケシュでもドリトスの日々を送りたいじゃないか。エスカルゴもチキンもどうだっていい。毎日&毎日、ひたすらドリトスをパリパリ&バリバリ、それ以上の幸福がこの世の中に考えられるだろうか。
ファティマ1
(ファティマの手。苦しんでいる人々を救ってくれる)

 しかし「口内炎」というものも窮極まで突き詰めると、ドリトスをバリバリ噛み砕くことさえ困難を極めるのである。前歯や奥歯で粉砕したチップスのヒトかけら&ヒトかけらが、一揆を起こした農民の竹槍の一閃一閃となって、今井君の上アゴに強烈な打撃を与え続けるのであった。

 だから、もうプリンしか食べられない。ヨーグルトでさえ、その酸味が強烈な衝撃をもって今井君を責めたてる。ナッツなんか食してみたまえ、噛み砕かれたナッツの全ての断面が、口内炎の炎症をこれ見よがしに攻撃しまくるのである。

 残された選択肢は、カマンベールチーズとプリンのみである。しかし1月10日、カマンベールを2個、ほとんど丸呑みにした今井君を、強烈な腹痛が襲った。確かに諸君、平安 ☞ 鎌倉 ☞ 室町 ☞ 江戸と、乳酪製品に対して大人しい1000年を送ってきた日本人にとって、カマンベール2個丸呑みは贅沢すぎただろう。

 醍醐天皇、後醍醐天皇。チーズは「醍醐味」の醍醐であって、大乗経典「大般涅槃経」の中にも登場する。乳 → 酪 → 生酥 → 熟酥 → 醍醐の順番で精製され、涅槃経の中でさえチーズは「最後で最上」。うぉ、サトイモ法師がカマンベールなんかを2個も丸呑みにすれば、罰が当たって当然なのである。

 牛より乳を出し、乳より酪を出し、酪より生酥を、生酥より熟酥を出し、熟酥より醍醐を生む。仏の教えも、また同じ。おお、たいへんだ。カマンベールなんかを大量にむさぼれば、今井君のお腹から大涅槃経みたいなものがソフトクリームよろしくニュルニュル渦を巻いてほとばしりかねない。
プリン
(アラビア文字のプリン。コイツに救われた)

 こうして1月10日、マラケシュの今井君のポンポンは、カマンベールとプリンでネロネロな状態。その他にもいろいろ試してみたが、噛み砕いた破片が口内炎に絡まって激痛を呼び、ナッツもビーフもシーフードも全て深い後悔のモトになるばかり。今井君はひたすら平穏を祈って、チーズとプリンに頼るのみであった。

 ただし、マックだけは別である。さすがアメリカ、肉も思い切り砕いてハンバーガーにすれば、口一杯の強烈な口内炎に悩む世界市民だって、まあ何とか飲み込めるのだ。

 巨大スーパー・カルフールの脇に、テーブルを30席ほど並べてマックのレストランが営業中。「モロッコまできてマックかい?」ではあるが、ヨーグルト腹・カマンベール腹・プリン腹の今井君にとって、機械でコナゴナに砕いてくれた牛肉の栄養は、他の何ものにも負けないぐらい頼もしいのであった。
ファティマ2
(優しいファティマの手。マラケシュでもたくさん発見した)

 ふと、「ファティマの手」を思い浮かべるほどである。ファティマとは、予言者ムハンマドの4女。4代目カリフの妻となった女性である。カリフとは、継承者。初期イスラムの最高権威者のことである。

 ファティマは、26歳で亡くなった。常に貧しい人たちを思いやり、病気の人の手当を自ら進んで行った。イスラムの人々にとってファティマは、窮極の理想の女性なのである。口内炎の中年男なんかにも、無条件で優しくしてくれたんじゃあるまいか。

 そこで、ファティマ様の救いの手が差しのべられる手段として、彼女の手をかたどったものを身近に所有する風習が広まった。古い家のドアには、手の平の形をしたドアノッカーがある。これが「ファティマの手」。オマモリの一種で、悪魔から身を守るシンボルなのである。

 ドアノッカー以外にも、ファティマの手は多種多様な形態をとり、ペンダントや指輪・鏡・陶器もある。デザインも多種多様。抽象化が進んで、一目ではファティマの手と分からないものも多い。モロッコだけでなく、イスラム圏全体に拡散している。
黄色い薔薇
(赤い薔薇が盛りを過ぎると、部屋には黄色い薔薇が飾られた)

 ま、そういうことを思い出しつつ、マラケシュのマックをゆっくり味わった。大西洋から遠いアトラス山脈へと吹きつける1月の風は思い切り冷たくて、ハンバーガーはあっという間に氷のように冷えきった。

 お隣のテーブルでは、日本からの駐在員がヨーロッパの家族を接待している。接待にマックじゃ余りに寂しいが、お酒の飲めないアラビア圏の接待には、意外にマックが重宝なのかもしれない。コーラに、ファンタに、オレンジジュース。そんな接待でも十分に豪華に見えるのであった。

 そういうマックのテーブルを、地元の小学生2名がマコトにしつこく冷やかして回る。従業員たちともすっかり顔なじみの様子。ポテトでもいい、コーラの残りでもいい、何でもいいからお客からもらって口に入れたいらしい。

 では「ひもじいのか?」であるが、ひもじい&ひもじくないは、彼らにとってどうでもいいようだ。身なりもいいし、切羽詰まった感覚は全く感じられない。昼間からマックでくつろいでいる欧米のお客に絡んで、ちょっとイヤな顔をされることを、かえって楽しんでいる様子なのである。
シェ・マクド
(マラケシュ「シェ・マクド」。モロッコは「マクド」派である)

 実はこの2名、2日前にも今井君に絡んできた。カルフールの酒屋「Cave」でビールを2ダース購入して帰る道すがら、ビールがほしいのか、プリンかヨーグルトがほしいのか、とにかくマコトに攻撃的に絡んできて。いきなり今井君のポケットに手を突っ込もうと試みた。

 切羽詰まった貧しさを全く感じないぶん、返って戸惑うのである。ホントに切羽詰まっているのなら、ジュースだろうが小銭だろうが、こちらとしては全く躊躇なんかしないのである。小銭がほしければ小銭、ポケットの100ディルハムぐらい、サッサと奪って逃げてくれればいい。

 しかし諸君、彼らも他の彼ら彼女らも、服装から見ても顔つきから見ても、そんな窃盗行為にはちっとも必然性を感じない。むしろ、暢気な観光客をビックリさせて楽しんでいるという風情。いちおうサトイモ入道独特の恐ろしい声を出して追い払ってしまったが、むしろ何だか理不尽な感覚をいつまでも拭えないのであった。

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