2017年02月24日(金)

Wed 170201 アトラス山脈/エピメーテウス/モロッコおじさん登場(モロッコ探険記6)

テーマ:ブログ
 ギリシャ神話をマトモに読もうとすると、まあそれなりにたいへんだ。あんまり頑張らないで、岩波文庫ぐらいにしておいたほうがいい。ブルフィンチという人が書き、夏目漱石の教えも受けた野上弥生子という小説家が、分かりやすい日本語で訳してくれた。

 アトラスは、「世界の西の果てで大地を支える」という厄介な役を負わされた巨神である。世界の西の果てとは、昔は誰が何と言ってもモロッコであって、モロッコ「アトラス山脈」の名は、このギリシャ神話がもとになっている。

 主神ゼウスと、その父クロノスとの戦いは、10年に及ぶ大戦争である。クロノス一派を「タイタン」と呼ぶ。京都の居酒屋で「おばんざい」を注文すると、「野菜のたいたん」と言ふものが出てくるが、その「たいたん」は「炊いたもの」を示す京都コトバであって、この場合のタイタンとは完全に無関係である。

 タイタンは巨大な大地の神であって、それを形容詞にすれば「タイタニック」。悲劇の巨大客船タイタニックであるが、さすがに大地を支えるアトラスは、タイタニックなんか問題にならないほど巨大な神であった。
アトラス山
(マラケシュの東、4000メートル級のアトラス山脈が屹立する)

 アトラスは、プロメーテウスとエピメーテウスの兄である。プロ(先に)メーテウス(考える)のほうはマコトに賢いオカタであるが、エピ(後から)メーテウス(考える)は、愚鈍さが際立つ情けないヤツである。

 ミジメな失敗をした後で、「ああしていればよかったのに」「こんなふうにしていればよかったのに」と、ジトジト&ジクジク後悔してばかり。何とも仮定法過去完了的なオカタであって、昨年も紹介したが、そういう態度を英語では「shoulda・coulda・woulda」と言う。

 キチンと書けば
should have p.p. /could have p.p./ would have p.p.
「ああすべきだったのに…/ああもできたのに/こうもなっただろうに」であるが、ネイティブふうに発音するとマコトに短くなってshoulda・coulda・wouldaになる。Brian McKnightというヒトにそういうタイトルの曲がある。

 タイタン族がゼウスに敗れた後、エピメーテウスの兄・アトラスどんが世界の西の果てで頑張って大地を支えている頃、王宮では王様が英雄ヘラクレスどんに「ヘスペリデス庭園の黄金のリンゴをもってこい」と命令。「ガッテン承知!!」と飛びだしたのはよかったが、残念なことにその庭園のありかが分かんない。
プール
(ホテル・エッサーディには、こんなキレイなプールもある)

 そこでヘラクレスどんは、賢いことでは定評のあるプロメーテウスに相談。当時のプロメーテウスは、コーカサスの山に縛りつけられて苦悶の真っ最中だったが、さすがヘラクレス、彼を救出した上で「金のリンゴはどこにあるかな?」と相談してみた。

 プロメーテウスの助言に従ってアトラスを訪ねてみると、アトラスどんも大地を支える仕事に疲れ果てていた。「じゃ、ヘラクレスどん、しばらく代わりに大地を支えていてくれたまえ。オレがリンゴを見つけてくる」とアトラス、大地をヘラクレスに預けてリンゴを取りに出かけた。

 やがてリンゴを手に入れて戻ってきたアトラスは、実はもう大地を支える仕事に戻りたくない。ここからアトラスとヘラクレスの騙しあいが始まる。ヘラクレスだっていつまでもそんなことをしていたくないのだ。

「じゃ、アトラスさん。支えるお手本を見せて下さいよ。ボクはまだ大地を支える仕事が下手みたいです。カッコ良くポーズをとってくださいね」。そう言って大地をアトラスさんに手わたす。

「お手本」と言われていい気になったアトラスどんが、ググッとボディビルみたいなポーズをとっているスキに、ヘラクレスどんはとっとと金のリンゴを持ち去って、王様のもとに帰ってしまいましたとさ。
国旗
(赤の地の真ん中にグリーンの星が1つ。モロッコの人は国旗が大好きだ)

 この後しばらくして、ペルセウスが登場。メドゥーサの首をとった彼がアトラスの元を訪れる。ペルセウスが持参したメドゥーサの首を見せられて、たちまちアトラスは巨大な石と化した。

 大地を支える重荷に耐えられなくなったアトラスのほうから、ペルセウスに頼んでメドゥーサの首を見せてもらったというバージョンもある。「お願いだ、もう石になっちゃいたいんだ。そのコワーい首を見せてくれ」。その瞬間からアトラスは巨石に変わり、巨石は山脈になって、今も西の果てモロッコにギュッと立ち尽くしているわけだ。

 いろいろ難しいことを言えば、ゼウスに敗れたタイタンとは、古代ギリシャの周辺に存在した土着の古い神々。天空を支配するゼウスに対し、タイタンは地の底に封じられる。「地震は、地底でタイタンが暴れだすと発生する」みたいなことになっている。
クトゥピア1
(マラケシュの象徴、クトゥピアの塔)

 1月7日、ホテル・エッサーディで目覚めてみると、東の空の朝焼けに、遥かなアトラスも美しいピンクに染まっていた。4000メートル級の山々が連なる山脈だから、サハラ砂漠に接していても、冬は白い雪をかぶっている。赤い朝日に照らされて、山のピンクがマコトに美しい。

「朝焼けは、雨」。日本人の認識では、朝焼けが美しいのは雨が近づいている証拠である。ただし日本は東の果て、モロッコは西の果て。お天気の常識は通じない。日が高くなるに連れて、雲も霧も靄もすっかり晴れ、気温は急激に上昇した。

 冷え込んだ朝のうちは濛々と湯気を上げていた温水プールであるが、午前10時ごろになると、プールサイドに人が出てきた。ざぶんと飛び込むジーサマもいらっしゃる。おお、それならそろそろワタクシも、マラケシュの旧市街に出てみようじゃないか。

 こういう気候であるから、服装がなかなか難しい。「砂漠 ☞ 酷暑」のイメージはあるが、日差しは熱いぐらいでも、吹く風はまだ冷たい。ざぶんと飛び込んだジーサマが、痩せ我慢をしているだけである。だって諸君、緯度は四国や九州と変わらない。1月に「ざぶん」はどう見てもおかしいじゃないか。

 考え込んだあげく、セーターの上から薄手のジャンパーを羽織っていくことにした。ワタクシが東京で晩秋と早春に着ているヤツである。ズンボは夏用の薄いのしか持ってこなかったから、思い切ってパッチもはいた。
クトゥピア2
(クトゥピアの塔、拡大図)

 何ともチグハグであるが、自分ではこのチグハグが異様に気に入った。チグハグすぎて、嬉しくてたまらない。ボーシもギュッと目深にかぶって、鏡に映してみると、おやおや、これはマコトに怪しいオジサンだ。

 ここまで怪しければ、モロッコの怪しくしつこい客引きたちも、さぞかしゾッとするだろう。滅多なことでは「ジュータンどうどす?」とは声をかけられないだろう。客引きさえゾッとして手をこまねいてくれれば、悪名高いマラケシュの迷宮だって、胸を張って颯爽と闊歩できるだろう。

 ホテルを出てすぐ、別のホテルの物陰から、さっそく怪しいモロッコおじさんが登場。今井君の異様な風体にも関わらず、「ガイドー。ガイドー。ガイドー」と、さっそくこちらが日本人であることを見抜いて、ガイド役を買って出てきた。

 ホテル前にズラリと並んだタクシーの運転手たちからも、旧市街の入口で待ち構える無数の馬車の御者たちからも、盛んに誘いの声がかかる。どんなに相手の様子が異様であっても、モロッコおじさんたちは絶対にめげないのだ。一瞬でも興味を示せば、どこまでも後ろからついてきて離れない。

 目指すは、まずクトゥピアの塔。今日の写真の4枚目と5枚目を参照。続いて屋台と大道芸人が渦巻く名所、ジャマ・エル・フナ広場。いよいよマラケシュの街に踏み出すわけだが、続きはまた明日の記事で読んでくれたまえ。

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