2016年09月17日(土)

Wed 160824 サッカーとラーメン/「来々軒」が「ポストひぐま」か(ボルドー春紀行39)

テーマ:ブログ
 サッカーとラーメン。この2つの世界には共通の特徴があって、「シロートの勝手な発言は絶対に許さない」という緊張感が常に漲っている。うなぎや寿司なら、まあどんなバカなことを言っても許されるが、ラーメンについて軽率な発言をしようもんなら諸君、袋だたきは必至だ。

 今井君はさすがに中年の代表選手だから、サッカーの観戦歴はマコトに長い。メキシコオリンピックの3位決定戦、釜本邦茂の強烈なシュートもテレビで目撃した。ウィング杉山の快走も、MF宮本輝紀の巧みなボールコントロールも、全て記憶の中にある。

 もちろんJリーグ発足直後から、ラモスにアルシンドにジーコ、オッツェにリトバルスキーのプレーをキチンと見続けてきた。武田や北沢や野人♨岡野の快走も、みんなチャンと覚えている。

 それどころではない。Jリーグのスタート以前、1980年代の観客マバラな天皇杯の様子だって忘れてはいない。釜本とのコンビでヤンマーを日本最強チームに育て上げた「ネルソン吉村」の顔もプレースタイルも忘れてはいない。

 しかし、観戦歴がちょっとやそっと長いだけで、ふと気を許してサッカーについて長々と書いたりすれば、確実に罵声を浴びるのである。「オメーにサッカーについて語る資格があんのかよ?」。言葉遣いもそれなりにオッカナイ。
ドル駅
(モンサンミシェルからの帰路は、ドル・ド・ブルターニュの駅を利用する。モンサンミシェルから路線バスで15分ほど。レンヌよりずっと便利である)

 これが野球とかお相撲なら、観戦歴にはそれなりの敬意を示してもらえるのである。「ボクは、大鵬 vs 柏戸の対決時代から大ファンでしてね」「清国、大麒麟、前の山に大受。昭和の大関は弱かったけど、味がありましたね」と言えば、周囲はみんな聞き耳を立ててくれる。

 ラグビーだってそうだ。小学校3年でルールを理解し、あれから幾星霜、おそらくすでに観戦歴は数百年に及ぶ。アントキの松尾、アントキの平尾、アントキの大八木。歴史に残るプレーヤーのプレースタイルを語れば、まあ一定の敬意を払ってもらえるのである。

 それに対してサッカーは、どんなに長い観戦歴も相手にしてもらえない。「シロートは引っ込んでろ」「何も知らないんだな」「オメーの言うことなんか意味ねーぜ」で場外に吹っ飛ばされる。それだけならいいが、総スカンというかボコボコというか、とにかくオッカナイ。

 なお諸君、「総スカン」とはモトモト「総 ☞ 好かん」である。「好かん」とは「好きじゃない」ということであって、みんながみんな「オマエなんかキライだ」を短くまとめて「総・好かん」☞「総スカン」なのであるが、ご存知でしたか? 

 辞書とはたいへん残酷な書き方をする書物であるから、「総スカン」とは「みんなから嫌われ、孤立すること」とある。おお、さすがに辞書は厳しいね。みんなから嫌われたくなくて&孤立したくなかったら、サッカーに関する不用意な発言は、決してしてはいけないようだ。
夕焼け
(夕暮れ、雨上がりのパリに帰還する)

 同じことがラーメンについても言える。ワタクシは、まあグルメ、というか準グルメ。電車に例えれば「準急」というランク付けであって、特急やら快速急行やらがビュンビュンかっこよく走り回る中、まあ「各駅停車よりはマシ」というマコトに穏やかな存在である。

 しかし「準グルメ」であっても、アルゼンチンの500グラムステーキを1週間貪り続けたり、ベルギーのムール貝を1日60個×14日連続食べ続けたり、マルセイユの生牡蠣を5日で100個以上飲み下したり、なかなかの大活躍をしているつもりだ。

 だから食べ物について、まあ「一家言」ぐらいもっている。ステーキはどの部位をどんな焼き加減でどう食べるべきか。生牡蠣はどこの何と言う品種が一番旨いか。寿司の食べ方、うなぎの貪り方、焼き鳥ならどこで、天ぷらなら絶対ここ。準グルメ今井の面目躍如である。

 そして、話が蕎麦やうなぎや寿司の範囲に留まっているうちは、みんな目をつぶって許してくれる。「ハイハイ、よくご存知ですね」「ほー、そうですか」とニヤニヤ、シロートの話を薄笑いを浮かべて聞いてくれる。

 早い話が「黙殺」なのかもしれない。「ほっとけ、ほっとけ。黙って聞いているぶんには害はない」「うるせーな。でもわざわざ相手にするほどじゃないだろ」というわけで、今井君が何をどう書こうと、叱られることはないのである。
四川味噌拉麺
(パリ「来々軒」の四川味噌ラーメン。おいしゅーございました)

 ところが諸君、話がいったん「ラーメン」ということになってみたまえ。雲行きは急激に変化する。一気に緊張が高まり、「オメーなんかに何が分かるんだ?」「何も知らねーんだな」「アホか、オメーは」と、真っ赤な反応の炎が渦を巻き、状況はほとんど地獄絵図と化す。

 ワタクシは、澄んだスープの素直なラーメンが好き。チャーシューは2枚。シナチクもネギもモヤシもあくまで陰の存在として、主役である麺とスープの引き立て役に徹する。縮れ面に澄んだスープが絡んでホッと一息、決して客が絶叫しないような穏やかなラーメンがいい。

 ところ、そんなことをいい気になって言っていると、
「キャベツがテンコ盛りじゃなきゃラーメンじゃない」
「大判のチャーシュー5枚、麺もスープも見えないぐらいの山盛りじゃなきゃダメなんだ」
「澄んだスープなんかシロートだ。5日かけてドロドロ粘るほど濃厚な出汁をとったヤツじゃなきゃ食べる意味ナシ」
そう言って、鼻の先で笑われる。

 あんまりコワいから、今井君はラーメンについての発言を厳に慎んでいる。しかし話が「パリのラーメン」なら、コワい&コワいラーメン通の皆さんも、きっと許してくれるだろう。だってあくまで「パリのラーメン」であって、札幌や博多や関西のライバルにはとてもなれないのだ。
ギョーザ
(パリ「来々軒」の餃子。オカワリしてしまいました)

 パリはこの十数年、「ひぐま」の一人勝ち。「大勝軒」その他の有名店がどんどん参戦してきているけれども、まだまだ「ひぐま」の牙城は崩れそうにない。

「ひぐま」の前の長蛇の列は、今もなお呆れるほどであって、周囲には「韓国焼肉」やら中国人経営の「ナンチャッテ和食」やら、末社や末寺の類いがズラズラ軒を並べている。

 しかしこの5〜6年、「ひぐま」はずいぶん支店が増えた。オペラ座の近くにも、ルーブルの前にも、いつのまにか「ひぐま」「ひぐま」また「ひぐま」であって、こんなにどんどん支店が増えれば、さすがにクオリティを維持するのは至難のワザだ。

 その辺は塾や予備校と同じこと。「映像授業」でもないかぎり、急速すぎる校舎の展開は、必ず授業の質の急速な低下を招く。いったん評判が下がれば、スパイラル減少も不可避。生徒は潮が引くように去っていき、校舎1つの閉鎖は、本校閉鎖の前触れとなる。

 ラーメンの世界では、まさか「映像ラーメン」という手法は使えない。「映像ラーメン」で「今井のC組ラーメン「B組ラーメン」「A組ラーメン」をメニューに載せられればいいが、さすがにそれはありえない。

 今や「ひぐま」でフランス人が食べているのは、圧倒的に「丼物」である。焼鳥丼は食べても、ラーメンはなかなか注文しない。だって、麺がマズいのだ。ゴソゴソ摩擦係数が大きすぎて、ノドをチュルチュル滑っていく快感がちっとも感じられない。

 ノドごしを感じられないラーメンじゃ、日本人はもちろん寄りつかないが、フランス人もさすがにホンモノのグルメでいらっしゃる。「ラーメン屋なのにラーメンを注文してもらえない」という事態に、ワタクシなんかは危機的状況を感じるのである。
来来軒
(パリのラーメン界を変えるか。期待の星と思われる「来々軒」。店構えはいたって地味である)

 例えば予備校で、見た目はたくさんの生徒が来ているようであるが、「実際にはみんな自習室利用」なんてのがある。「授業は受けませんが、自習室がキレイなんで」。そういう生徒で大繁盛に見えても、崩壊はまさに目の前に迫っているのである。

 4月のパリのラーメン屋街で、「来々軒」というお店を発見した。暖簾には「中華料理」とあるが、メニューにあるのはラーメン各種と餃子ばかり。要するにラーメン屋さんである。すでにある程度の評判をゲットしているらしい。

 そこで諸君、春の雨に濡れてちょっと寒くなってきた今井君は、「ひぐま」の行列を避けてこの「来々軒」を選択。「四川味噌ラーメン」「餃子7個×2」「日本酒熱燗2合」を注文してみた。

 おやおや、こりゃ旨いじゃあーりませんか。もちろんグルメ番組じゃないんだから「飛び上がるほど旨い」「絶句するほど旨い」「なんだこりゃぁ?」というほどのものではない。しかし諸君、なかなか旨い。十分に旨い。パリにいるのを忘れるぐらいに旨い。それで十分じゃあーりませんか。

 餃子もオカワリ、日本酒もオカワリ。他のテーブルのお客さんたちは、フランス人もみんなうれしそうで、澄んだスープの普通の醤油ラーメンも旨そうだ。おやおや、どうやらパリに「ポストひぐま」の有力候補が出現したのかもしれない。

1E(Cd) Böhm & Berlin:MOZART 46 SYMPHONIEN③
2E(Cd) Böhm & Berlin:MOZART 46 SYMPHONIEN④
3E(Cd) Joe Sample:Rainbow Seeker
4E(Cd) Akiko Suwanai:SIBERIUS & WALTON/VIOLIN CONCERTOS
5E(Cd) 村治佳織・山下一史&新日本フィル:アランフェス交響曲
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