2016年09月06日(火)

Sat 160813 松林と砂丘の町アルカション/海のフルーツ盛り合わせ(ボルドー春紀行31)

テーマ:ブログ
 イメージでは「海辺の町」なのに、実際には海辺ではなくて、大河の下流に位置するに過ぎない町は少なくない。例えばブエノスアイレスは、大西洋に面しているような気がするが、実際にはラプラタ河の下流の町である。

 同じようにリスボンは、スペインから流れる大河・テージョ河下流の町。ポルトガル語ならテージョ、スペイン語ならタホ河、国境を跨ぐと、河の語感も大きく変わる。

 ボルドーも同様である。南東からはるばる流れてきたガロンヌ河が、「もうすぐ大西洋」「もうすぐビスケー湾」というギリギリのところで、大地の傾きがあんまり緩やかなものだから、一気に海まで流れ下れずに、グズグズ澱んだり渦を巻いたりしているあたりの町だ。

 こういう地形だと、接近してきた河とその先に広がる海との間に、砂丘が形成されるもののようである。ボルドーの西側にはヨーロッパ最大級の砂丘地帯があって、砂丘につきものの広大な松林も存在する。このブログにも何度も登場してきた「ランドの森」がそれである。

 ワタクシは秋田出身であるから、この種の地形には地理の教師以上に敏感なのである。奈良時代に大和政権が「秋田城」を築いたのは、我が故郷に間近な高清水の丘。江戸時代に佐竹藩の居城となった秋田の町は、本来「久保田」という地名で、実は海辺から離れた内陸の城下町である。

 高清水の丘から西の方角を望めば、まず手前に広大な松林が広がり、その先には砂丘、そして日本海。日本海にそそぐ大きな「雄物川」であって、おやおや、ボルドーの地形と余りにもソックリだ。
山盛り
(アルカションの名店「Yvette」で「海のフルーツ盛り合わせ」を貪る)

 ボルドー地方全体の呼称が「アクウィターニア」、スペイン語風に発音すれば「アキターニャ」であったことも、もちろん偶然の一致に過ぎないとしても、ワタクシなんかは深い親近感を居抱いてしまうのである。

 中央政府から距離的に遠く離れ、常に支配される弱者の立場にいたこと。言語的にも長く辺境地帯で、他言語との接点に位置していたこと。もちろんレベルは段違いなんだろうけれども、とにかくお酒が旨いこと。歴史と文化も、何となく似通っている。

 こうなると思わず「何か関係があるんじゃないか」と想像力を豊かにしてしまう。こういう地形の町に住む者は、松林と砂丘を大胆に横切って、ホンモノの海辺で休日を過ごすのが大好きである。

 ボルドーの場合、それが「アルカション」という町である。ごく小さなリゾートであって、有名な歴史的建造物が集まっているわけでもないが、週末や祝祭日には、ボルドー中のヒトビトがアルカションの海を目指す。

 大きな砂丘はビスケー湾の波が押し寄せる海岸に続いていて、砂丘独特のいろんな遊びもあるようだ。ただしワタクシはもう立派な中年であって、砂丘をソリで滑り降りて歓声を上げる類いの遊びには、一切の興味を失ってしまった。
野菜スープ
(野菜スープ。相変わらず「…みたい」の感は拭えない)

 ボルドー滞在の最終日、「明日はパリに移動」という1日、それでも今井君はボルドー市民に混じって、アルカションに向かったのだった。ボルドー・サンジャン駅から頻繁に電車が出ていて、乗車時間は1時間弱である。

 窓外の風景は、どこまでも松林が続く。走っても走っても松林であって、これもまた秋田での海水浴の夏を思い出させる。秋田から男鹿半島の海水浴場に向かえば、当時の国鉄・男鹿線の車窓は延々と松林。松籟がディーゼルカーのエンジンの轟音を圧するほどであった。

 国鉄・男鹿線の男鹿駅がいわゆる「盲腸線」の終着駅であるのと同じように、アルカションも砂丘の先の海岸に突き出た終着駅である。TGVも、ごく普通の電車も、みんなここで向きをかえて折り返す。

 乗客がみんな下車して折り返しに備える電車というものもまた、物悲しい風情に溢れている。さっきまであんなに花やかだった車内は、今や照明もすべておとされて、次の発車までゆっくりカラダを休めるである。
カニ
(ギュッと身のつまったカニさん。おいしゅーございました)

 このアルカションで中年男がすることと言えば、言わずと知れた「食う」「飲む」「食いまくる」「飲みまくる」ぐらいである。注文するのは、もちろん「海のフルーツ盛り合わせ」。30ユーロで食べきれないほどの大皿が運ばれてくる。今日の写真の1枚目がそれだ。

 もちろん海辺の店がいいのだが、昼過ぎに到着したんじゃ、一目で「もうムリ」と分かるほどの大混雑。大家族に小家族、熱いカップルに冷えかけたカップル、「一匹オオカミ」なんてのも闊歩するから、いったいテーブルが空くのがいつになるのか、見当もつかない。

 しかも諸君、海辺がウリのリゾートで、海辺の店に無理して闖入しても、料理♨サイテー、サービス♨サイアクの危険性は覚悟の上のことになる。海とメシをセットにするんじゃなくて、海は海、メシはメシ、それぞれを別個に楽しむほうが無難。そういうことも考えたほうがいい。

 というわけでワタクシは、幼い頃からお馴染みの「砂丘と海」の光景は後回し。まず海岸から少し離れた落ち着いたお店で、「海のフルーツ盛り合わせ」を、ワインとともに満喫することにした。

 偶然見つけたお店が、後で調べてみるとスゲー有名店だったということになると、マコトに誇らしいというか、「やっぱりオレには見る目があったんだ」と、思わずニタニタ胸を張りたくなるのである。
ワイン
(赤ワインももちろん1本。おいしゅーございました)

 アルカションでの体験がまさにそれであって、「Yvette」という名のその店は、またまたミシュランのお星さまがピッカリコ。大っきなカキも山盛り、ギュッと身のつまったカニもドカンと大皿に乗って、赤ワインの味もまた上々であった。

 例の「…みたいな野菜スープ」を、アルカションでも注文。これ以上のコクは考えられないぐらいの濃厚なスープが、カキの味をグッと盛りたててくれるのだった。

 ワタクシがこんなに貝類を食べまくるのは、別に貝類が大好物だからというわけではない。どちらかといえば、普段は貝類を遠慮しているので、お寿司屋に行っても貝類は最後の最後まで後回し。寿司の仕上げに「アオヤギ、1貫だけ握ってください」がせいぜいである。

 それなのに、なぜかヨーロッパを旅していると、こんな大皿に大盛りになったヤツを貪りたくなるのである。マルセイユ・ニース・パリ・エジンバラ、いったい今まで大皿を何枚ペロリと平らげたか、数えきれないほどである。

 周囲のお客さんたちの評判は、あんまり芳しくない。ニースでは隣りのテーブルのイギリスおばさまが、物凄くコワい顔で睨みつけていらっしゃったし、エジンバラでも隣りのカップルが「うげ!!」という顔を見合わせたものだった。
お店
(アルカションの名店「Yvette」。いいお店であった)

 フランスから海峡をはさんでお隣の国の方々は、「大皿の貝類」がおキライなようである。イタリア・スペイン・ポルトガルまで南下すると、今度は「こんな暑い国で生の貝類って大丈夫?」という自己規制が働く。だからほぼフランス限定。エジンバラで食べたのはあくまで例外である。

 しかしやっぱりフランスの海岸にくれば、このコキヤージュの大皿は外せない。だってこんなに花やかな晴れ舞台が他にあるだろうか。周囲の客の羨望の視線を浴びつつ、一気にカキを20個近く、ノドごしもサワヤカに飲み下す。「おおおー♡」という拍手喝采だって聞こえそうだ。

 ズシリと重たいカニの半身をほじくり&ほじくり、すっかりカラッポにするのもいい。お隣のテーブルのオバサマが「Gosh!!」と激しい驚きの叫びを漏らしたりするのを聞きながら、3分もかからずにカラッポにする。

 こうして諸君、午後2時、ワタクシはアルカションのミシュラン星店を退散。考えてみればすでに4月も10日、午後の日光はもう夏を思わせる強い熱を帯びていた。

1E(Cd) Solti & Chicago:HÄNDEL/MESSIAH 2/2
2E(Cd) Bonynge:OFFENBACH/LES CONTES D’HOFFMANN 1/2
3E(Cd) Bonynge:OFFENBACH/LES CONTES D’HOFFMANN 2/2
4E(Cd) Karajan&Berlin:HOLST/THE PLANETS
5E(Rc) Amadeus String Quartet:SCHUBERT/DEATH AND THE MAIDEN
total m65 y1310 d19015
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