2016年06月03日(金)

Tue 160510 1/4終了の焦燥 病み上がりの1日 シャルトロン地区(ボルドー春紀行19)

テーマ:ブログ
 若い読者諸君は実感していないかもしれないが、人生の半ばを過ぎれば、ヒトは常に焦燥感に悩まされながら生きるものである。「もうこんなに終わっちゃった」と、手のひらから流れ落ちた砂の量の余りの多さに、日々愕然としながら生きていく。

 若い諸君でもそれを実感せざるを得ないのが、「夏休み」である。毎年8月1日、まだ盛んなセミの声を聞きながら、「おやおや、あんなに楽しみにしていたのに、何にもしないうちに1/4が終わっちゃった」と、ふと泣き出しそうな気持ちになるヒトは少なくないはずだ。

 受験勉強だって同じである。受験勉強を3月から始めた場合、入試本番までは12ヶ月。6月に入った段階でもう3ヶ月が経過、夏休みの8月1日とおんなじで「何にもしないうちに1/4が終わっちゃった」という喪失感はマコトに大きい。

 そんな焦燥や寂寥や喪失感に悩まされる日は、どういうわけか朝から曇り空。「あれもやろう♡」「これもやろう♡」と、計画ばかりウントコサあったのに、ホントにちっとも何にもせずにここまできてしまった。

 人生を100年とすれば、人生の1/4が経過するのは、25歳である。25歳、30歳、35歳、そのあたりが精神的に一番追いつめられる時期であって、「何にもしなかったな」「何にも達成してないな」と、重苦しい焦燥が急激に蓄積していく。
バス停
(ボルドーのバス停。ワイン通が喜びそうな文字が並ぶ)

 そういう時、生きるのが上手なヒトは、決して遠くを見ない。うっかり遠くを見れば、夢の実現が余りに遥かなカナタにあることを確認して、絶望が深まるばかりである。

 今井君なんかはホントに羨ましいのであるが、いま目の前にある課題とか、ハッキリ言えば「大勢に影響しない小競り合い」に夢中になれるヒトは少なくない。

 そういう日々の小競り合いに着実に勝ち続けることが、幸福の必須条件である。小競り合いを「たかが小競り合いだろ」と嘲笑し、「マクロの目で全体を見なきゃ」とかホザイていれば、気がつくとマクロの目で見てさえ敗色濃厚になっていたりする。

 要するに「毎日キチンと予習復習をこなしなさい」「目の前の定期テストでチャンと満点を取り続ければ、東大ぐらいカンタンに合格できるんだ」であって、小競り合いに夢中になることをバカバカしいと一蹴するようなロマンチストには、他人に祝福される世間的成功はおぼつかないのである。

 社会人なら、営業成績の棒グラフで常にトップであり続けることこそ重要なので、マクロな成功は実はその先にしかありえない。遠い将来ばかり憧れの目で語るような人間は、飲み会の席のヒーローでしかないのである。
ガロンヌ
(ボルドー、ガロンヌ河の風景。遥かにサンタンドレ大聖堂)

 1/4が経過。旅でも人生でも、受験勉強でも会社人生でも、そのへんがまさに剣が峰である。大切なのはどこまでも英・数・国であって、6月の段階で思わず世界史にのめり込んだりすれば、今井君みたいなヘンテコリンなオトナにしかなれない。

 要領のいい友人たちが、英数国、とにかく英数国、「だって配点を考えてみろよ」とか、絶望的に合理的な発言をしている時に、思わず世界史にのめり込み、しかも出題率の極めて低いローマ帝国末期なんかに夢中になったのが今井君だ。

 ゲルマン民族の西進。スティリコ、アラリック、ゲンセリック。ガッラ・プラチディア、ホノリウス。「そんなの、出るわけないだろ!!」と、友人たちが一顧だにしない古代の英雄たちについつい夢中になった。

 受験生の夏、日本史にものめり込んだ。もちろんそれだって悪いことではないはずだ。やっぱり要領のいい友人たちは、「配点が高いのは近現代♡」「古代とか中世とか、そんなのやったって意味ネーゼ♨」と、余裕たっぷりにニヤニヤ笑っていた。

 しかし諸君、一方の今井君は、「出るわけないだろ!!」もここにきわまれり、「源実朝」にイカれてしまって、「金槐和歌集」「修禅寺物語」を机の上に開き、「伊豆の海や…」とかやり始めれば、その頻度に比例して東大合格は遠ざかっていく。
サクラ
(ボルドーのサクラ。ほぼ満開の時期だった)

 さて、そういう話がボルドー旅行記にどう関わってくるかというに、4月7日、ボルドーの今井君は同様の焦燥に駆られていたのである。今回のフランス滞在は14日間の予定。そのうち1/4があっという間に過ぎてしまった。

 確かに、充実してはいた。ムダに過ごした日は1日たりともない。初日はボルドー、2日目がカルカソンヌ、3日目がナルボンヌ、4日目がバイヨンヌ。うぉ、考えられないほどの充実ぶりだ。何をそんなに焦ることがあるだろう。

 だが、やっぱり「1/4が経過」。その厳然たる事実はどうしようもない。4月6日から強烈な高熱とハキケに悩まされたのも、実はその焦燥が原因かもしれない。

 カルカソンヌで寒さに凍えながら夜景に見入った。ナルボンヌで傘もささずに雨に濡れて歩き回った。ビショビショに濡れたままワインを2本も空っぽにした。その全てが原因だけれども、何より悪かったのは「まだ何にもやってない」という強い焦燥だった気がする。
サンルイ
(シャルトロン地区、サンルイ教会)

 4月7日朝、昨日書いた通りのウルトラ荒療治の末に、とりあえず熱は下がった。ハキケももう遠い過去のことになって、朝からビールをグビグビやりながら長大なブログも書き終えた。

 しかし、どう見てもまだワタクシは「病み上がり」である。汗をかきすぎて頭がフラフラするし、右の眉の上あたりに鈍痛が残っている。いつもの風邪なら、「お風呂に2時間入って汗を絞り出す」という荒療治の仕上げをするのだが、うーん、どうもその気力がない。

 ま、今日のところはあくまで慎重に、ジックリ風邪を追い出しますかね。体調が100%回復するまで、焦燥にも絶望にも気づかなかったことにしますかね。さすがに人生のベテラン今井クマ蔵は、落ち着いて「今日は大人しく、ボルドーの裏町散策で過ごすべぇ」と決めたのである。

 お部屋を出たのは、13時。ハウスキーピングのオバサマ&オネーサマにすっかりご迷惑をかけてしまったが、フラフラする頭をポンポンたたきながら、とりあえずカンコンス広場に向かった。

 鮮やかに青く晴れた空に、いきなり黒雲が現れてザァーッとニワカ雨。雨はすぐにやんで、また輝かしい青空が広がる。春のアキテーヌでは、こういう天候が典型であるらしい。
ステンドグラス
(サンルイ教会。ステンドグラスの美しい教会だった)

 カンコンス広場からトラムB線で一気に街を北上、トラムを降りた後は、ガロンヌ河を左手に眺めながらボルドー中心部にブラブラ歩いて戻ってくる。そういう街歩きで、今日はのんびり病み上がりのカラダを休めることにした。

 ニワカ雨に降られながら歩き回ったのが、サン・ルイ教会を中心とするシャルトロン地区。ワインの交易が盛んだった時代、ワイン商人の大邸宅や酒蔵が林立していた地区であって、18世紀の建築物が今もそのままで残っている。

 この地区の中心がサン・ルイ教会。バラ窓をはじめとして、ステンドグラスがマコトに精巧で例外なく美しい。いきなりの豪雨に襲われ、仕方なく駆け込んだ教会であったけれども、思いがけず感激が深かった。

 諸君、もしボルドーを訪れることがあったら、確かに「シャトーめぐり」も素晴しいだろうけれども、シャルトロン地区、是非とも忘れないでゆっくり散策してみたまえ。

 出題率、配点の高さ、そんなことばかり気にして焦ってばかりいても、人生はあんまり豊かにはならない。たまには病み上がりの憔悴を癒すつもりで、こういう無名の街をゆっくり歩いてみたほうがいい。

1E(Cd) Charles Dutoit & Montreal:ROSSINI OVERTURES
2E(Cd) Charles Dutoit & Montreal:ROSSINI OVERTURES
3E(Cd) Brian McKnight:BACK AT ONE
4E(Cd) Wand:BRUCKNER/SYMPHONY No.8②
5E(Cd) Brian McKnight:BACK AT ONE
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