2016年05月28日(土)

Wed 160504 DAX 嗅覚と視覚の相乗効果 強烈な風邪をひく(ボルドー春紀行15)

テーマ:ブログ
 どこまでも、ホントにどこまでも続く、荒涼とした松林。平行して走る道路も、やっぱり荒れ果てた砂の道、ヒトの住む気配もなければ、イヌやシカやクマや、そういうお馴染みのケモノのニオイさえ感じない。

「ランドの森」がフランスの誇る砂防林であり、この松林によってフランス南西部が砂漠化の危険性から守られているのは、もちろん理性としては理解できる。しかし言うまでもないだろうが、今井君は理性の人というより、感情と欲望のクマである。理解は出来ても、この風景には圧倒的に不満なのである。

 ボルドーから「ランドの森」を通ってバイヨンヌに向かう途中に、「ダックス」という町がある。DAX。地方交通の要衝であって、ビスケー湾岸のこの町から、一気に地中海岸に抜ける国鉄の支線も出ている。

 しかし今井君は、「DAX」といういかにも英語っぽい地名が気に入らない。せっかくフランスの奥の奥まで来て、スペイン国境もすぐそば、聖地サンチャゴ・デ・コンポステラへの巡礼の道が3本も4本も交差する所なのに、英語みたいに「DAX」だなんて、響きにちっとも奥ゆかしさがない。
バイヨンヌ駅
(ボルドーからTGVで3時間、バイヨンヌの駅に到着する)

 近くにはヒドい悪臭を放つ大工場も存在する。パルプ工場なのか、木材を満載した貨車が延々と居並び、赤茶けた松材を満載して、工場で加工される日が来るのを黙々と待ち受けている。

 昭和のパルプ工場に独特のニオイ。今井君の脳はこの悪臭を記憶している。小学5年の春、秋田市の湾岸地域に製紙会社の巨大な工場が出来て、初夏の季節風の風下になってしまった土崎港地区は、朝から晩まで工場のエントツから流れてくる悪臭に包まれた。

 いまTGVの窓からモワモワ流れ込んでくる悪臭は、あの数年間と全く同じニオイである。小5から中3まで、重い頭痛を誘う悪臭に苦しんだ。高校に入学した年の秋、ニオイの元から逆方向の新興住宅街に引っ越した。だからニオイと頭痛の思い出は、中3の頃まで溯るのである。

 しかし、遠い過去の記憶が、現在の肉体に影響を与えるという現象は、別に珍しいことではない。心理学科に入学したら、そのつながりについて是非とも研究していただきたいのであるが、4月6日のワタクシは、DAXの駅を過ぎたあたりから明らかに体調に異変を来したのである。
川と教会
(バイヨンヌ。アドゥール川の向こうがサントマリー大聖堂)

 体調悪化の原因になったのは、おそらく嗅覚と視覚の連繋である。まず嗅覚が、11歳から15歳に至る4年間か5年間の、悪臭と頭痛の関係を思い起こしてしまった。このニオイなら ☞ この頭痛。人間の連想は、マコトに他愛ないものである。

 そこに視覚の記憶がつながって、頭痛の記憶をより鮮明にした。車窓はどこまでもどこまでも続く荒涼悲惨な砂防林の光景。この松林がどれほどこの地域の産業を活性化させたか、そういうプラス思考は、この場合ちっとも人間を元気づけてはくれないのだ。

 こうして3時間強、嗅覚と視覚の相乗効果に悩まされながら旅を続けた。バイヨンヌの駅に到着した頃には、ワタクシの健康状態には明らかに変調が現れ、頭痛・ハキケ・食欲減退、おそらく肉体の中で連想が起こって、急激に体温が上昇してきたらしい。

 この頭痛には、ハッキリした記憶がある。眉間に重苦しい鈍痛があって、眉の両端をつまんでアンマのマネでもしていないと気が済まないのである。頭痛に伴うハキケと悪寒があって、「バイヨンヌなんかもうどうでもいい」「今すぐボルドーのホテルに帰りたい」と絶叫したいほどである。
ステンドグラス
(バイヨンヌ、サントマリー大聖堂のステンドグラス)

 バイヨンヌは人口5万人弱。ビスケー湾に近いバスクの中心都市である。9世紀、北欧からのバイキングがバイヨンヌを襲撃。10世紀にかけてバイキングの侵攻が続いた。

 町の女領主アリエノール・ダキテーヌは、1152年、後のイングランド王ヘンリー2世と結婚。以後300年に渡って、バイヨンヌの町はイングランドに支配される。

 地政学的にバイヨンヌは、スペイン国境に近い軍事的要衝。イングランドとフランスによるバイヨンヌ争奪戦が、近世まで繰り返された。

 近くにはビアリッツをはじめとするリゾート地が並び、やがてバイヨンヌはバカンスの拠点となった。20世紀、スペインのフランコ独裁政権から逃れて来たバスクの人々が、バイヨンヌをその拠点とした。

 スペイン国境の向こう側にも高級リゾート:サンセバスチャンなどがあって、夏の賑わいは地中海側のニースやカンヌやモナコに「劣るとも勝らない」。アジアの人々が大挙して訪れる状況にはまだ立ち至っていないから、今もなおバイヨンヌはヨーロッパの人々の天下である。
川とプチ
(バイヨンヌ、ニーブ川の向こうはバスク風の町並みが続く)

 パリやボルドーからの長距離列車は、スペイン国境の町「Irun」が終点。シェンゲン条約もあるんだし、ホントはみんな一気に国境を越えたいんだろうけれども、まあいろいろ難しい制約があって、2016年現在、話はそんなに単純にはいかないようだ。

 こうしてワタクシは3時間あまりの旅を終え、バイヨンヌ駅に降りた。時計は13時に近い。とりあえず早速ランチにありつかないと、どこの店も14時がラストオーダーである。頭痛と悪寒が肉体を苛みはじめているが、だからこそメシはしっかり食って抵抗力をアップさせておきたい。

 駅から旧市街へは、水量も豊富に滔々と流れる川を2つ渡る。大きいほうがアドゥール川。向かって左からアドゥール川に合流するのがニーブ川。濃い美しい緑色の水は、フランスの河川独特のものである。

 駅を背にして右の旧市街が「グラン・バイヨンヌ」。ニーブ川の左に広がるのが「プチ・バイヨンヌ」。グランとプチだから、ごく素直に日本語に訳して「大バイヨンヌ」と「小バイヨンヌ」と書いているガイドブックもあるようだ。

 アドゥール川とニーブ川の合流地点あたりに小さな公園があって、コワーい顔のオジサマの銅像が立っている。奇跡でも起こしたエラいオボーサマなのか、いかにもゴツい聖杖を片手に、もう片方の手はムンズと悪魔を捕らまえた様子で、合流点を守って屹立している。
銅像
(ムンズな偉いオボーサマ。バイヨンヌ、2つの川の合流点にて)

 強烈な風邪を引いてしまったのは、このオボーサマの像を振り仰いだ瞬間、間違いようのない事実となった。「It’s official♨」という感じ。悪寒はもうゴマかしようがないし、ハキケも抑えるのに困難を感じるほど。悪臭に誘発された重い頭痛は、旅を終えて帰国した後も、4月下旬まで続いたのである。

 確かに、反省の余地はタップリある。
① 2日前のカルカソンヌで、夜景の美しさに感激するあまり、冷たい川風にブルブル震えながら夜遅くまで撮影を続けた。
② 昨日はカルカソンヌでもナルボンヌでも、冷たい豪雨の中を大行進。傘をささない時間帯も長かった。
③ ナルボンヌで、ワインを飲み過ぎた。雨に濡れたまま、続けざまにボトル2本。2日酔いが風邪の原因になることだって、珍しくはないだろう。

 しかしまあ諸君、ワタクシはやっぱり「嗅覚と視覚の相乗効果」だと思うのである。その他にいろいろ原因はあるにしても、
(a)荒涼とした松林の風景を3時間見続けたこと
(b)かつての頭痛を連想させる悪臭に悩まされたこと
以上2つが絡まりあって、風邪を決定的にしたのだと考えるのである。

1E(Cd) Wand:BRUCKNER/SYMPHONY No.8①
2E(Cd) Wand:BRUCKNER/SYMPHONY No.8②
3E(Cd) Brian McKnight:BACK AT ONE
4E(Cd) Wand:BRUCKNER/SYMPHONY No.8①
5E(Cd)Akiko Suwanai:BRUCH/VIOLIN CONCERT No.1 & SCOTTISH FANTASY
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