2016年04月10日(日)

Thu 160317  pünktlichの真骨頂 緑の丸天井(ドイツ・クリスマス紀行19)

テーマ:ブログ
 時間厳守。謹厳実直なドイツの人は、マコトに見事に時間を厳守する。英語ならpunctual、ドイツ語ではpünktlich。「punkt」は「点」を意味し、「lich」は形容詞化の接尾辞であって、pünkt + lichとは本来「点みたいな」という形容詞。それを時刻に応用すれば「分刻み」「秒刻み」という意味になる。

 南の国境の向こうはイタリアだ。南と北は冷たく峻厳なアルプスが隔てているとは言え、よくもこれだけ正反対の性格の国民が、平気で隣人でいられるものだと思う。

 もっとも考えてみれば、この2000年余りのヨーロッパの歴史は、イタリア勢力とドイツ勢力がアルプスを挟んで、攻め込んだり攻め込まれたりの連続だ。圧倒的なローマ帝国が存在したころは、そりゃイタリア勢力が優勢。しかし西暦3世紀以降は、ドイツ勢力が優勢を保ってきた。

 イタリアの「ロンバルディア平原」とは、ゲルマンのロンゴバルト族が語源だし、フランスの「ブルゴーニュ地方」だって、元はと言えばゲルマンの「ブルグンド族」が語源。西ゴートやヴァンダル族は5世紀に2回も「ローマ劫掠」をやらかして、古代ローマ帝国の金銀財宝をゴッソリ持ち去った。

 いやはや、「だから時間厳守のほうが優勢になるんだ」「時間は守らなきゃ」というつもりもないし、まさか4世紀や5世紀のゲルマン民族が秒刻みの時間厳守を実践していたとも思わないが、とにかくドイツ人の時間厳守は、みんなが酔っぱらったクリスマス市でも、決して変わることがない。
ドレスデン城付近
(ドレスデン城付近。このあたりはまだ空襲の名残が残っている)

 12月23日夕暮れ、ドレスデンの今井君は、かつてザクセン王の居城であった「ドレスデン城」を訪問。目指すは場内の「緑の丸天井」。ドイツ語なら「Historisches Grünes Gewölbe」、かつて強大を誇ったザクセン王が、世界中からかき集めた金銀財宝が一堂に集められている。

 城の歴史は、16世紀に遡る。1945年2月、連合国軍による執拗かつ残虐な大空襲で、一夜にして崩壊。黒こげの瓦礫の山となった。歴史上まれに見る残虐行為であって、西ゴートやヴァンダルのローマ劫掠なんか、この空襲の執拗さとは比較にもならない。

 ドレスデン城の再建工事が完了したのは2006年。だから2005年2月のドレスデン訪問時、クマ助はやっぱりここも見ることができなかったが、2015年現在、現在ドレスデン城は宝物館として一般公開されている。

 その1階が「緑の丸天井」。歴代ザクセン王が収集した目の眩むほどの宝飾品が陳列されている。その数 ☞ 3000点以上とのこと。こんなにたくさんギュッと集めた歴代ザクセン王の強欲というか貪欲というか、これまた歴史上まれにみる欲望である。
カップル
(夕暮れのツヴィンガー宮殿には、結婚式真っただ中のカップルがいた)

 ここでもとにかく大事なのは「時間厳守」。入場者はインターネットで予約、15分刻みで入場を許される。遅れたらもちろん予約は取り消し、入口で追い払われて茫然とするしかない。5分前には到着し、QRコードだったかバーコードだったか、大事な部分を差し出す準備をして待ち受けなければならない。

「緑の丸天井」は、金・銀・象牙・珊瑚・水晶・コハクなど、宝飾品のテーマによって展示室が8つに区切られている。その辺もまたたいへん厳密、pünktlichな分類がなされていて、展示そのものにもマコトに正確無比な国民性が現れている。

 金銀から始まる展示は、後半に至って「石」が中心になり、握りコブシほどの大っきなエメラルド・ルビー・サファイアが所せましと並ぶ。宝石をフンダンにあしらった彫刻・壺、グラス・小箱・刀剣がズラリと並んだ光景は圧巻。キンキラキンがお好きなオカタは、是非ドレスデンを訪問して「緑の丸天井」に駆け込みたまえ。

 もちろんその多くは、大航海時代のヨーロッパ列強の人々が、巧妙な略奪の果てに持ち帰った品々である。貴重な財宝をこれほどかき集めたザクセン王国の武力と財力を、まざまざと眼前に見せつけられることになるが、それも今から70年前、大空襲の一晩で灰燼に帰した。
クリスマスピラミッド
(アルトマルクトのクリスマス・ピラミッド。「ドイツ最大」なんだそうだ)

 おごれるものは久しからず。ただ春の夜の夢に同じ。まあそういうことである。しかしこうして見事に再建が完成してしまえば、「あれれ、そんなに『諸行無常』と寂しくうなだれる必要はないんじゃないの?」である。

 ここでもやっぱり重要なのはpünktlich。灰燼に帰した城も街も、超難解&超巨大なジグソーパズルを70年、世代から世代へと努力を受け継ぎながら、「決して諦めない」がもし出来れば、世の中に不可能はないのである。

 何だかホカホカ嬉しくなって「緑の丸天井」を出たところで、時計は夜7時を指している。フラウエン教会前の広場で、野外大コンサートが始まるころだ。「23日をドレスデンで」と決めた1つの理由が、このコンサートの存在。クリスマス市の人々を踏みつぶす勢いで広場に向かった。

 広場はすでに超満員。教会前にしつらえられたステージで、厳かな宗教音楽の演奏が始まっていた。ただし諸君、音楽はマコトに途切れ途切れで、2分か3分の演奏が終わると、長く難しい大演説が始まる。

「演説」というより「ありがたいお説教」なのであるが、お説教は15分も20分も続いて、音楽はホンのカケラか申し訳程度。これじゃちっともコンサートじゃない。単なる大お説教大会に過ぎない。お説教がキライなクマ助は、スゴスゴ退散して「やっぱり楽しいクリスマス市♡」を満喫することにした。
クリスマスコンサート
(フラウエン教会前の野外コンサート)

 1434年以来、ドイツ最古のクリスマス市は、いくつかの会場に分かれて進行中。ドイツ最大のクリスマス・ピラミッドが飾られているのは、メイン会場のアルトマルクトである。

 こちらは「要するに普通のクリスマス市」であって、ラム酒のタップリ入ったグリューワイン(フォイヤーツァンゲンボウレ)でヨレヨレに酔っぱらったオジサマやオバサマが、今年のクリスマス市の最後の名残を惜しんでいる。

 というのも、今年のドレスデンのクリスマス市は「pünktlich に12月23日午後9時で終了」なのだ。一度pünktlichというコトバを口にしたら、ドイツ人は意地でも pünktlichなので、1分でも1秒でも長くズレ込むことを許さない。9時で終了なら、9時で終了。何が何でも終了なのである。

 イタリア人みたいに「いいじゃないか、もう1杯だけ」「いいじゃないか、もう5分だけ」とか、ダラしないことを言い出したらキリがない。1杯は3杯に、3杯は10杯に、5分は1時間に、1時間は「夜明けまで」と、デレデレどこまでも長引くに決まっている。
中世クリスマス
(ドレスデン城、中世風のクリスマス市。こんなボヤけた写真しかなくて申し訳ないが、雰囲気は十分これで伝わると信じる)

 それは、ドレスデン城シュタールホフで開かれていた「中世風のクリスマス市」でも同じことである。こちらはグッとオトナの雰囲気で、照明は控えめに、グリューワインのラム酒は濃厚濃密に、「コドモたちは遠慮してください」という市であるが、やっぱり「9時と言ったら9時」、終了時刻は厳密である。

 こうして諸君、午後9時、フラウエン教会前の大説教大会が終わり、街中に教会の鐘が重々しく鳴り響くと、人々はサッと素直に家路についた。市を開いていた人々もマコトに気持ちよく一斉に後片付けを始めて、「長っ尻」などというダラしない人は誰もいない。

 後片付けの手際の良さもたまらない。「あれよあれよ」といううちに屋台は解体され、9時半を過ぎるともうゴミ回収車が回りはじめて、広場は見事に元の清潔な姿を取り戻す。ドイツのpünktlichの真骨頂を見る思いであった。

1E(Cd) Bill Evans Trio:WALTZ FOR DEBBY
2E(Cd) Anastasia:SOUVENIR DE MOSCOW
3E(Cd) Nanae Mimura:UNIVERSE
4E(Cd) AFRICAN AMERICAN SPIRITUALS 1/2
5E(Cd) AFRICAN AMERICAN SPIRITUALS 2/2
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