2016年01月13日(水)

Sun 151220 老舗で小突き回される ミラノ君の快走に癒される(速攻サンフランシスコ12)

テーマ:ブログ
 イスタンブールの繁華街で、自爆テロがあったそうである。「繁華街とは、いずこ?」であるが、驚いたことにスルタンアフメット地区であった。

 ブルーモスクとハギアソフィアとトプカプ宮殿が、互いに偉容を誇るあたり。イスタンブールを訪れる者なら、誰でも真っ先に足を向ける。危険きわまりない世の中になった。

 一方ドイツでも、大晦日の夜に多くの暴行事件があったとのこと。とりあえず無事に日本に帰還できてよかったと、安堵の胸を撫でおろした。12月30日にはドイツを離れていたが、何となく「間一髪」な感じもなくはない。

 暴行事件が特に多発したのは、ケルンである。ワタクシが滞在したのは、ベルリン・ライプツィヒ・ドレスデン、他にハンブルグとブレーメンも旅したが、要するに旧東ドイツ地域がほとんどだ。ケルンはドイツ西部のライン川沿いだから、遠く離れていたと言えば確かにその通りである。

 しかし、ケルンだってマコトに懐かしい街である。ケルン訪問は2009年。フランクフルトを中心に「ライン河大紀行」を敢行した時、荷物をフランクフルトのホテルに置いたまま、ケルンに1泊して大聖堂の眺めを楽しんだ。ケルン名産のオーデコロンが蛇口から流れる店なんてのもあった。

 それなのにこの大晦日、マコトに不幸な婦女暴行事件が多数発生し、「これは移民の急激な増加のせい」と憤った市民の激しい暴動につながってしまったのだという。
Fライン
(サンフランシスコ、Fラインで大活躍中のミラノ君。イタリア・ミラノで70年も活躍した後、サンフランシスコに移籍してきた)

 確かに「移民の急激な増加」は、ドイツ各都市で痛感させられた。ベルリン中央駅にも、行き場のない多くのヒトビトが座り込んでいた。ハンブルグまで北上すると、駅周辺の路上に大家族が固まって寝転がっている姿が増えた。

 暴行事件も暴動も、間違いなく不幸な出来事であって、つい10日前までドイツに滞在した者として、やっぱり胸が痛むのである。「シリアとその周辺から移民を大量に受け入れる」という決意は称賛すべき勇敢なであったが、受け入れた後の状況はさすがに理想的には進んでいないようだ。

 日本のヒトビトだって、安心していられない。すぐ近くで核実験が頻発し、B52など戦闘機が飛び交い、領海には人口15億に迫る超大国の艦船が遠慮なしに侵入し、膨大な量のPM2.5が偏西風に乗ってやってくる。「イヤなら引っ越せば?」という嘲罵の声も聞こえてくる。

 こんなふうだから、最近の今井君はたいへん涙もろくなっている。太宰治の初期作品を読んでは涙を流し、お風呂ではゴーリキーの幼年時代の告白に涙とまらず、能「羽衣」・文楽「野崎村」を観て人知れず号泣する。

 数十年前のロートル電車が剛毅に走り続ける姿も、やっぱりクマ助の涙を誘うのである。ブエノスアイレスでは、東京・地下鉄丸ノ内線から引退したロートル君が元気に快走していた。

 同様にサンフランシスコでは、1928年製のミラノ市電が、鮮やかなオレンジの車体を振るわせて、轟音を轟かせながら激走を続けていたのである。
トラム1
(ミラノ君の同僚トラム君。車内は同じイタリア語バージョンだが「塗装ぐらいは変えようじゃないか」という元気なヤツである)

 10月4日、①「サンフランシスコ大縦断」と、②「お船でアルカトラズ島に大接近 ☞ 金門橋をくぐる」の2大企画を無事に終えたクマ助は、フィッシャーマンズワーフからPowell Streetまで、暢気にストリートカーに揺られて帰ることにした。

 その直前、クラムチャウダーのウルトラ有名店に入った。「クラムチャウダーをサンフランシスコ名物にしたのは我々である!!」と高らかに宣言している老舗である。

 しかしこういう「自ら元祖を名乗る店」に入っても、どうせロクなことにならない。浜松や宇都宮の「元祖・ギョーザ」。大阪の「お好み焼き発祥は我々でオマス」。札幌の「ジンギスカンはウチが本家」。うーん、元祖や老舗や本家を名乗るより、現実の今の味で勝負したほうがいいんじゃないか。

 サンフランシスコも、然り。「何でこんなに店中の空気が酸っぱいの?」であって、メッタヤタラに酸っぱいニオイが店内に充満している。酸っぱいパンを器代わりにして、くりぬいたパンの皮にクラムチャウダーを流し込んで売るのである。
トラム2
(ミラノ君車内風景。オジーチャンに会えて、みんな嬉しそうだ)

 何しろ本家・元祖・発祥の老舗であるから、店側のヒトビトの態度もそれなりに横柄になる。横柄を「フレンドリー♡」と勘違いして、お客を小突き回す。注文の仕方が分からなくてオロオロしていると、すぐに嘲罵の声が飛び交う。

 欧米のファストフード店でよくある光景であるが、日本のお店でも中高年の人がそういう嘲罵の対象になっている。スタバやタリーズでの注文は、高齢者には難しい。カウンターでオロオロして「は?」と笑われ、心に大きな傷を受ける人だっているだろう。

 異様に酸っぱいニオイをガマンし、空港の保安検査場なみに小突き回されたあげく、ようやく酸っぱいパンの中に冷めたスープが注ぎ込まれる。受け取った瞬間から、耐えがたいほど酸っぱいニオイに悩まされる。

 混雑した店内にはテーブルが見つからないので、仕方なくお外のテーブルを選ぶ。夕暮れの海風は冷たく、パンの中のスープは風に吹かれてたちまち冷めていくが、冷めれば酸っぱくなくなるから、まあ冷めるのも悪くない。

 あんまり寒いから、お酒が欲しくなる。しかしこの店でお酒を手に入れるには、再び長蛇の列に並ばなければならない。瓶のビール、スクリューキャップのワイン、そういうものを手に入れるために、スープが冷めるのを放置して、また10分も15分も列に並ぶことになる。
トラム3
(アメリカのストリートカーだって、負けてはいられない)

 しかし、並べばまたまた「嘲罵」があり、スッタモンダとゴタゴタと、アーデモナイ&コーデモナイに耐えなければならない。そんな苦労までしてスクリューキャップのワインなんか飲みたくないから、クマ助はお酒をガマンして夕暮れの海風に耐えるほうを選ぶ。

 ま、そんな世界である。本家・発祥・元祖・老舗、それを自慢にお客を小突き回す店を選べば、そのぶん心は悲しく萎縮せざるを得ない。

 むかしむかしのワガママな今井君なら、迷わずスックと立ち上がって、そういう扱いの不当さを猛烈に非難したものだが、今やクマ助もしなびた中年オジサマだ。その元気もすっかり衰えた。

 ミジメな気持ちで酸っぱく冷めたスープを眺め、夕暮れ迫る街にフラフラと歩き出す。諸君、アンデルセンの「夜の鶯」というオトギ話を知っているかね。悲しい気持ちの時は、悲しいオトギ話を思い出すものだ。

「驚いてはいけません。中国では、出会う人がみんな中国人なのです。会う人、会う人、みんな中国人。王様でさえ、やっぱり中国人なのです」
さすがアンデルセン、旅人が外国で出会う驚きと悲哀を、マコトに分かりやすく表現してくれた。
トラム4
(サンフランシスコ・Fラインのストリートカー。車内はやっぱりバスの雰囲気だ)

 ミラノ君の勇姿がクマ助の目の前に現れたのは。こんな悲しみに涙がポロポロ流れそうになったまさにその時であった。もう100年近く、ミラノとサンフランシスコで働きつづけてきた市電 ☞ ミラノ君である。

 車内にはイタリア語の表示が溢れ、イタリア語しか理解しなかった20世紀前半のイタリア人が、朝夕忙しく乗り降りしたその賑わいを伝えている。

 ミラノを引退した後は、こうしてサンフランシスコで働いている。しかし全盛期には、ドゥオモ・オペラ座・スフォルツァ城、そういうミラノの名所&旧跡を縫って、自らの轟音に酔いながら鼻高々に走り抜けていたトラム君なのだ。

「驚いてはいけません。イタリアでは、出会う人がみんなイタリア人です。オジサマもオバサマも、キレイなオネーサマもみんなイタリア人。イタリア語以外、全く理解してもらえません。電車の表示だって、ぜーんぶイタリア語です」

 クマ助もアンデルセンみたいになって、むかしむかしのミラノ君をそうやって冷やかしてあげた。すると、壊れそうなほど激しくゴーゴー唸り声をあげながら、ミラノ君は心から嬉しそうに、夕暮れのサンフランシスコを快走してくれたのである。

1E(Cd) Solti & Chicago:BRAHMS/EIN DEUTSCHES REQUIEM 1/2
2E(Cd) Solti & Chicago:BRAHMS/EIN DEUTSCHES REQUIEM 2/2
3E(Cd) Solti & Chicago:BRAHMS/SYMPHONY No.1
13A(α) 太宰治全集 1:筑摩書房
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