2016年01月04日(月)

Fri 151211 1月4日の気分 いよいよ橋をわたる ロイとパール(速攻サンフランシスコ5)

テーマ:ブログ
 今日は1月4日。こんな悲しい響きの日付が、いったい他にあるだろうか。紅白も駅伝も天皇杯も終わってしまった。おせち料理は「昨日まで誰も箸をつけなかった」という嫌われものが並ぶだけ。ゴマメとキントンぐらいしか残っていない。お雑煮も何だかヌルいし、お昼はレトルトカレーがせいぜいだ。

 ラグビーもサッカーも、「だいたい決着はつきました」な感じ。まさに清少納言が書いた通り、冬も昼ごろになれば、せっかくの緊張感も「ぬるびもてゆけば、わろし」であって、初詣の決意ももう新鮮味が薄れて「わろし」状態に陥っている。

 こういう時に限って、昭和の昔は「オモチにカビを発見」などということにあった。12月28日ごろに餅屋から届いた餅だ。あれから1週間、防腐剤の入っていない健康な餅なら、確かに青カビや黒カビが点々と顔を出す頃である。

 カビの生えたオモチでも、昔の人はポイ捨てなんかしなかった。ママなりバーチャンなりが丹念に包丁でカビを削り取って、何食わぬ顔でお汁粉に入れた。しかしさすがにカビの香りは防げない。「うぉ、カビくせえ!!」の叫びが上がると、「贅沢いうんじゃありません!!」と一喝された。
ブリッジ1
(英語教科書でおなじみ、ゴールデンゲイトブリッジの勇姿 1)

 そこでジーチャンが厳しい顔で白い眉をあげ、「こうして暢気にしているうちに、今年ももう百分の一が終わってしまったのじゃ」「人は老いやすく、学問の道は厳しいもんじゃ」と、受験生の孫を勉強机に追い立てた。

 そんな割り算をやったら、誰だって悲しくなるじゃないか。1歳のお誕生日に、「オマエの人生も百分の一は終わったんじゃ」と言い聞かせるようなものだが、ジーチャンの白い眉毛に免じて、家族は何も言い返さなかった。

 いやはや、そういうジーチャンが面倒な受験生は、「冬期講習だ」「直前講習だ」「正月特訓だ」と言って、予備校に難を逃れた。

 すると予備校でも破魔矢を配ったり、オモチが配られたり、講師には一合徳利のお酒が振る舞われたり、まあまだ花やかな気分でいられた。15年前、まだ生徒で溢れかえっていた代ゼミの教室には、「ぼく達の正月は3月だ!!」という貼紙が貼りだされた。

 なぜ「ぼく達」だったのか、なぜ「僕たち」や「ぼくたち」や「僕達」ではなかったのか。「ぼく」が平仮名、「達」は漢字、このチグハグな並べ方が、代ゼミのその後を暗示していたのではないか。クマ助はそんな気がしてならない。
ブリッジ2
(英語教科書でおなじみ、ゴールデンゲイトブリッジの勇姿 1)

 「2月には豆まきをします」という予告さえある予備校もあったが、さすがに諸君、1月4日ということになると、そろそろ花やかな正月気分もしおれてくる。「センター試験まであと○日」というカウントダウンに、背筋が一瞬ゾッとする。

 その段階はまだいいので、「センター試験まであと○日」の所に、「385日」という数字を見ると、「ゲッ、もう後輩たちが主役かよ」と、自らの差し迫った状況を痛感する。何だか居場所がなくなったような、寂しい気分でトボトボ帰宅の途につく。

 いつもの年みたいに、もっとギュッと寒かったらまだいいのだ。2016年のお正月は、「こりゃまるで春休みだな♡」という暖かさ。朝6時にベッドから出ても、「コタツにもぐり込もう」という欲望すら感じない。

 暖房のスイッチを手探りしながら、「おお寒い♡」「もう1時間だけオフトンにくるまっていようかな」とつぶやく快楽さえ、温暖化の地球は感じさせてくれないのだ。「さっさと起きて机に向かいなさい」「今年も百分の一は終わったのだぞ」と、地球ジーチャンの叱咤激励は激しさを増している。
ワイヤー
(ゴールデンゲイトブリッジで、ワイヤの太さに痺れる)

 そこで諸君、サンフランシスコの今井君も、ゴールデンゲイトブリッジの向こう側まで行ってしまった以上、早く戻ってこないと日が暮れる。と言うか、「一年の百分の一は終わったのじゃ」と白ヒゲの神さまに叱られる。

 何しろ諸君、この橋は英語教科書の表紙の定番だ。これをわたらずに英語教育の世界は語れない。全長約3km、海水面からの高さは約70メートル。こちら側から向こう側まで、バスで3~4分の距離だったから、徒歩なら30分、自転車なら10分ほどの道のりだ。

 何しろ太平洋からの濃霧で有名だ。全体がオレンジ色なのも、「濃霧の中でも見えるように」という意図であるそうな。快晴の秋の午後3時、北側の「ビューポイント」から南側に歩いてわたるワタクシは、右からの眩しい夕陽を受けながら、濃霧に邪魔されることもなく約40分で見事に橋を踏破した。

 踏破して、「だから何?」「だからどうした?」と問われれば、いやはや何とも答えようがないが、とにかくひとまずおめでたい。中1の春、初めて手にした英語教科書は開隆堂の「NEW PRINCE」。表紙にはゴールデンゲイトブリッジと自由の女神が巧みに配置され、まだ見ぬ異国への憧れを誘った。
チャウダー1
(サンフランシスコ名物・クラムチャウダー。説明は明日 1)

 記憶によれば、橋が表紙の左側、女神が表紙の右側に位置し、まるで恐ろしい女神が橋に攻撃をかけているようにも見えたものだが、あれから数百年、オレンジ色の橋桁も今井君のモモほどもある太いワイヤーも、今もなお無事に橋を支えているようであった。

 中1の今井君が勉強したNEW PRINCEでは、男子の主人公の名前がRoy、女子の主人公がPearl。お友達のNedとか、明るい女の先生Mrs.Greenとか、いろんな人が活躍した。

 お馴染み「This is a pen」で始まり、「Is this a pen?」「Yes, it is」が続く。「これって、ホントにペンなんですか?」「はい、申し訳ありませんね。それでもペンなんですよ。ガマンして使ってくださいね」である。

「Is this a cat?」「Yes, it is」なんてもあった。
「これって、ホントにネコですか? ウソでしょ、ホントは牛なんでしょ?」
「何を言うんです。それは正真正銘のネコですよ。名前だって『ニャゴロワ』。ほら、チャンと『ニャー』って言ったでしょ」
「そうでしょうか。私には『モー』って聞こえましたよ。少なくともその食欲は牛のものですよ」
「失礼な。ニャゴ、『私はネコです!!』と、この人にハッキリ言ってあげなさい」
「Yes, I am a cat」
と、見事に「吾輩は猫である」という宣言につながった。

 いま考えてみると「Roy & Pearl」、ずいぶんレアな名前を設定したような気がするが、当時のUSAではRoyとPearlこそ最も一般的な名前だったんだと思う。

 日本男子でも当時は、ヒロシ・サトシ・タカシ・キヨシ・アツシ・タケシなど形容詞系の名前、マナブ・イサム・ツトム・アユムなど動詞系の名前が最も一般的だった時代である。「ロイ」、悪くないじゃないか。大いに気に入って、中1の教科書は100回も音読したのである。
チャウダー2
(サンフランシスコ名物・クラムチャウダー。説明は明日 2)

 ところが諸君、中2の教科書が手渡されたとき、幼いクマ蔵は大きなショッックを受けた。男子はBob、女子はLucyに切り替わって、RoyもPearlも跡形もない。「ロイとパール、どこに行っちゃったの?」という衝撃に耐えつつ、中2の教科書も100回音読した。

 こうして幼い今井君の脳に刻み込まれたのは、ロイとパールの突然の失踪の記憶であり、ボブとルーシーという異星人の出現の記憶である。13歳の1年をともに過ごした友人たちが、いきなり別の2人に入れ替わったショックは大きかった。

 夕陽に照らされてますます鮮やかなオレンジ色のゴールデンゲイトブリッジを眺めながら、数百年後のクマ蔵は懐かしいロイとパールに呼びかけてみた。

 今や年齢を重ねて数百歳に至っているはずのロイとパールが、夕陽の向こうからカスカに返事を返してくれたのが聞こえたような気もしたのである。

1E(Cd) Rampal:VIVALDI/THE FLUTE CONCERTOS 1/2
2E(Cd) Rampal:VIVALDI/THE FLUTE CONCERTOS 2/2
3E(Cd) Anne-Sophie Mutter:VIVALDI/DIE VIER JAHRESZEITEN
4E(Cd) Krause:BACH/DIE LAUTENWERKE・PRELUDES&FUGEN 1/2
5E(Cd) Krause:BACH/DIE LAUTENWERKE・PRELUDES&FUGEN 2/2
total m55 y2160 d17471
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