2015年10月09日(金)

Tue 150915 生牡蠣を食べにいく かつてのカオスはどこへやら(また夏マルセイユ22)

テーマ:ブログ
 9月3日午後、「今日こそは、生の牡蠣でお腹をパンパンに膨らませよう」と大張り切りで、マルセイユ・ジョリエット地区に向かった。理想は「胃袋の75%が牡蠣」という状況。残った25%をロゼワイン満たせば、胃袋はまさに「牡蠣のワイン漬け」の樽みたいなもんだ。素晴しいじゃないか。

 諸君、3/4が牡蠣、1/4がワイン。これが牡蠣ワイン漬けの理想の割合であって、もちろん若干の塩やコショウやレモン汁も必要だけれども、木の樽の代わりにクマの胃袋を用いるのが、まさに秘技中の秘技。これ以上に素晴らしい牡蠣料理に、クマ助は出会ったことがない。

 狙った店は、「LE ROY RENÉ」。日本語に訳せば「ルネ王」だが、「ルネ王」とは15世紀にプロバンスを治めていたヴァロワ家の王:ルネ・ダンジューのことである。

 ルネ王は、善良王(Le Bon)とも呼ばれた。プロバンスの中心地・エクサンプロバンスには、冬でも強風が吹きつけない温暖な場所があって、ルネ王は毎日のようにそこに出かけてランチを楽しんだという伝説がある。おお、ホントになかなか善良そうな王様であるね。

 そういう善良な王様の名前をチャッカリいただいた生牡蠣屋は、マルセイユの庶民の街・パニエ地区からさらに町の外れの地域・ジョリエット地区にある。
牡蠣
(ジョリエット「LE ROY RENÉ」で生牡蠣を思うぞんぶん貪る)

 日本のガイドブックでは、パニエ地区でさえ「薄暗い小路には入り込まないほうが無難です」と書かれている。まして「ジョリエットにおいておや」であって、映画に描かれたジョリエットは、マコトに危険きわまりない地域である。

 マルセイユ旧港と新港に挟まれたあたり。魚市場や食肉倉庫が林立し、港湾施設も立ち並んで、港町に独特のカオスが渦を巻いている。チュニジアやアルジェリアから連日のように巨大フェリーが入港し、そのカオスはまさにグローバルなカオスに他ならない。

 しかし諸君、この雰囲気は昭和の秋田市土崎港とソックリだ。魚市場・食肉倉庫・港湾施設・石油精製工場のニオイ。肉体を資本に人生を生きる者たちの、マコトに健康な汗と筋肉のカホリ。今井君なんかは「やっぱり港町はこうじゃなくちゃな」と、思わず快哉を叫ぶ気分である。

 こういう街には、赤錆びた鉄の鎌と、力強い真っ黒いハンマーの交差した、例の真っ赤な旗が似合うものである。秋田市土崎港は、かつては日本国有鉄道(旧・国鉄)の労働組合「国労」「動労」の拠点があって、プロレタリアート革命を目指す東北の本拠地でもあったが、かつての革命闘士たちも今やすっかり年老いた。
大聖堂
(マルセイユ、サントマリー・マジョール大聖堂。かつては治安の悪かった地区からも近い)

 マルセイユはどうかと言うに、港湾地域再開発の急速な進行とともに、港湾労働者も魚市場や食肉倉庫で働く者たちも、甚だ立場が脆弱化したようである。この10年、かつてカオスだった港湾はすっかりキレイに整備され、黒々とした混沌の入り込む余地は、もはやなくなってしまったようである。

 かつてのカオスを整理して建築されたのが、マコトに21世紀的なショッピングセンター。こんなにピカピカ&キラキラ明るい空間が出来てしまっては、もはや黒々としたカオスや混沌の入り込む余地は考えられない。

 老舗デパート「プランタン」をメインテナントとしたショッピングセンターの名前は「LES TERRASSES DU PORT」。「港のテラス」とはまた「あまりにマンマなネーミング」であるが、何と「ユニクロ」なんかもテナントとして入り込んでいる。

 この程度のショッピングモールなら、日本では「ちっとも珍しくない」というか、クルマで30分も走れば3カ所でも4カ所でも見つかるだろうけれども、何しろかつての犯罪都市マルセイユだ。人々は、100%の身の安全を確保されながら買い物に集中できる空間を、思うぞんぶん満喫しているようである。
ショッピングセンター
(かつてのカオスは排除され、こんなキレイなショッピングセンターが出来た)

 エントランスには、30年前の六本木のクラブよろしく、「黒服」が控えている。若い諸君はご存じないかもしれないが、1980年代の六本木のクラブは「ディスコ」と呼ばれ、名門「ジュリアナ」だの「マハラジャ」だののエントランスには「黒服」の男たちがいて、店に相応しくない服装の人の入店を拒絶したものだった。

 バブル期には、「どうやったら黒服のチェックを通過できるか」が、ファッション雑誌のテーマになったりしたほどだった。黒服のチェックはそれほどに厳しく、だからこそ「ボディコン」などという激烈なものがあんなに流行したのである。

 2015年、マルセイユ・ジョリエットのショッピングモールは、あの頃とソックリの黒服を数名、エントランスにビシッと立たせることにしたようである。黒服の諸君はまず、入店しようとする客のカバンなりバッグなりを検査して、店のセキュリティを保全することに余念がない。

 しかし諸君、黒服を配置したホンネは、中学生や高校生の入店を阻むことにあるらしい。中高生といっても、日本の賢い中高生とは話が違う。欧米の中高生は日本よりもビックリするほど幼いので、入店を許せばこの施設全体がメッタヤタラにコドモっぽくなってしまうのである。
牡蠣屋
(この日の今井君が目指したLE ROY RENÉ。新鮮な貝類がタップリ食べられそうである)

 だからだと思うが、エントランスの外側には黒服に入店を拒絶された中高生たちがワンサとタムロしていて、いかにも中高生らしい幼いテンヤワンヤをやっている。そのテンヤワンヤは、日本なら小学校高学年の男子が昼休みに夢中になるテンヤワンヤのレベル。いやはや、何だか可哀そうである。

 今井君はいかにもオトナっぽいクマであるから、黒服チェックも難なく通過。入ってみると、中は意外なほど閑散としていて、「何で中高生の流入をあんなに厳しく規制するの?」という感じ。何のことはない、これは20世紀の日本ならどこの街にもあった「ステーションデパート」の類いである。

 しかし「ユニクロ」を含めて、一応どのテナントもツンツンした高級店を気取っている。何しろあんなにたくさんの黒服でガードされた建物の中にいるのだ。高級店でも気取らなきゃ、割に合わないじゃないか。

 その中でクマ助が目指したのは、「ランチでもカンペキに満足できる店」。第1候補は今日の記事の冒頭で示した通り、牡蠣の店「LE ROY RENÉ」であったが、「ステーキをワシワシやりたいな」という欲望も負けず劣らずであって、「肉か、しからずんば牡蠣か」の選択に迷い、十数分も店のまわりをウロウロしつづけた。

 しかし諸君、早く決めないとランチの時間が終わりになってしまう。と言うか、牡蠣屋もステーキ屋もどちらも大人気店であって、グズグズしていると「満席でございます」と断られかねない勢いになっていた。
肉屋
(牡蠣のお店の隣りには、ウシさんのオブジェのステーキ屋。イヤしいクマ助は「どっちにすっかな」と、ヨダレを垂らしつつ迷いに迷ったのであった)

 とにかく「胃袋の7割が生牡蠣、3割がロゼワイン」という牡蠣ワイン漬けの理想に燃えていたクマ助のことである。前夜から「カキ、かき、牡蠣。ひたすら生牡蠣」と、牡蠣にうなされ続けたクマ太郎は、意地でも牡蠣に突進して、前日からの激しい欲望を満たすことに専念した。

 そして諸君、「LE ROY RENÉ」の生牡蠣は、クマ助の期待を裏切らなかったのである。確かに日本の巨大な牡蠣に比べれば、フランスの牡蠣はお話にならないぐらい小さい。しかしクマ助は、巨大すぎる牡蠣はキライ。「クマモト」みたいに、ハマグリ程度の大きさの牡蠣こそ、味が最も濃厚なのだ。

 周囲のお客さんと言うか、店のお馴染みサンたちもまた、牡蠣だの生の海老だの貝類だの、その類いのものに日本人以上の健啖家ぶりを発揮している。うぉ、フランス人恐るべし。食べるは&食べるは、牡蠣を貪るスピードは、クマ助どんに勝るとも劣らない。

 あんまり気に入ったので、この後わずか5日ほどの間に、この店をもう2回訪れることになった。メニューもフランス語だけで、英語なんか一切ナシ。ウェイターもウェイトレスも容赦のないフランス語で攻めてくる。

 しかし「だからこそ素晴らしい」と思うのだ。何でもかんでも英語で妥協して、英語国民が常に圧倒的に有利、そういう英語帝国主義に屈して、世界中みんな英語一辺倒。そんな画一化された世界はちっとも面白くない。「意地でもフランス語」、こういうガンコな店が世界中にどんどん増えていってほしいのである。

1E(Cd) COMPLETE MOZART/DIVERTIMENTI・SERENADES 9/11
2E(Cd) Paco de Lucia:ANTOLOGIA
3E(Cd) Eduardo Egüez:THE LUTE MUSIC OF J.S.BACH
4E(Cd) Maggini String Quartet:ELGAR/STRING QUARTET IN E MINOR 他
5E(Cd) Paco de Lucia:ANTOLOGIA
total m75 y1506 d16817
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