2015年09月09日(水)

Sun 150816 帰りたくない 港に石をポチャリ リゾット&ステーキ(ナポリ滞在記51)

テーマ:ブログ
 「早く帰りたい」などというのは窮極の捨て台詞であって、例えばデート中にこれを言われたら、まあ諦めた方がいいか、彼ないし彼女がよほど無神経である証拠だから、やっぱり付きあいをやめるに越したことはない。

 オトナの世界の場合、例えば接待を受けている御仁に「そろそろ帰りたいです」とハッキリ言われてしまうと、せっかく接待交際費をつかった宴会も水の泡だったことになる。

 それとは反対に、接待していた側が「そろそろお開きにしましょう」と持ちかけるのは厳禁なので、そんなことを言いだすなら最初から接待なんかしなきゃよかったのだ。接待を受けていたエラいオカタがプンプンお怒りになってしまうのが関の山。「誰が責任をとるんだ?」である。

 逆に「帰りたくない」というセリフは、ワケアリな男女が登場する映画やテレビドラマの定番であって、終電の時間の迫った彼女が「帰りたくない」をつぶやけば、まあその後はなるようになるしかない。

 もっとも、さすがにその程度の事情で「なるようになっちゃう」というストーリーでは、例えテレビドラマでもカンタンすぎる。脚本家がよっぽど〆切に追われていない限り、「帰りたくない」☞「一緒にいたい」からそのまま「なるようになっちゃう」世界は21世紀にそぐわない。 

 そこで脚本家は一計を案じ、「おおそうかい、帰りたくない&一緒にいたいとおっしゃるなら、場末のバーか居酒屋で明け方まで一緒にいさせてやろうじゃないか」という展開を試みる。
路線バス
(カプリ港の坂道からの風景。4月7日、すでにミニバスには長蛇の列が出来ていた)

 午前2時ないし3時、港が近くにあればベター。なぜベターかといえば、居酒屋の閉店後に男女2人がさらに語り合うのに、「水辺」という設定を使えるからである。男子が石ころでも投げて「ポチャ!!」という効果音も悪くない。

 終電はとっくに行っちゃった。居酒屋で思いのたけも語り合った。バンダナにジーンズ上下の店長がアタマをかきながら「お客さん、そろそろ閉店にしたいんですがね」と吐き捨てるシーンも入れた。あとは2人が岸壁に腰を下ろして、長い足をブラブラさせながら始発が動き出すのを待つだけである。

 午前3時半から始発電車までの1時間チョイをどう扱うかも、脚本家のウデの見せ所であって、ここでカンタンに「なるように」しちゃうのは、モノを書いて生きていく人間の沽券に関わる。

 そこで可能性としては、
① 修復可能な程度の軽い口論にもっていく
② 決定的な関係決裂にもっていく
③ なるようになる可能性を残したまま、次回に流しちゃう
この辺は、判断の難しいところである。

 決定的決裂の予感とともに朝の青白い陽が射せば、もちろん彼女は去っていく。どこに去っていくかというに、昭和中期なら「瀬戸の花嫁」よろしく小舟に乗って故郷の島に帰っていったし、バブルな20世紀末ならいきなりヒコーキで、成田からニューヨークに去っていった。

 21世紀になると、長引く不況の影響で決定的決裂さえもセチガラクなる傾向があって、小説でもドラマでも、彼女はパートの仕事場か、埼玉や千葉のマンションに帰っていく。いやはや、何とも夢がなくなった。
スパッカナポリ
(スパッカ・ナポリの光景。4月7日午後、昨日の店に紹介してもらったレストランに急いだ)

 島に帰っていったのは吉永小百合世代、ヒコーキでビューンは瀬戸朝香世代、21世紀のパートの職場ということになると、誰がいいですかね、鈴木砂羽?常盤貴子?室井滋? よく分からないが、まあそんなところかいな。

 あと20年もすれば、30歳前後に成長した芦田マナさん(スミマセン「マナ」を漢字でどう書くか、わかりません)が「ヒコーキでビューン」か「お弁当工場のパート」か、そういう役をやっていそうで恐ろしい。

 まああとは、脚本家なり小説家なりのプライドの問題であるが、もしもプライドをかなぐりすてたタイプの人ならば、いきなり「5年後」「10年後」と字幕を出して、10年後の綾瀬はるかあたりがいかにもエリートっぽいフケ顔メイクで登場。メガネをクイッとあげながら部下を叱りつけたりしている。

 エレベーター前でバッタリ出会うのが、いまは清掃員のバイトをしている昔の彼、ケータリング会社の配達員でもかまわない。その出会いからまたいろいろ盛り上がったり燃え上がったりするかどうかは、ドラマの残り回数か、原稿の残り枚数で決まる。

 ま、そういうことである。もちろん今井君はもうとっくにそんなデロデロ&ネロネロしたストーリーを卒業したから、「帰りたくない」も何もあったものではない。六甲トンネルか新丹那トンネルみたいな長い暗闇のデロデロ世界は、700年も前、室町時代の話にしか思えない。
お店
(ナポリ最終日のランチはこのお店。求めていた雰囲気とは丸っきり違っていた)

 では何でこんなに長々と「帰りたくない」について書いているかというに、4月7日、今井君はどうしてもナポリから帰りたくなかったのである。旅の終わりは常にこうなので、帰りたくない、半日でもいいからここにとどまりたいと、マコトにハシタナク熱望するのである。

 ついでに夢と現実をナイマゼにしてしまえば、これを書いている9月9日午前8時、今井君はマルセイユ滞在の最終日を迎えていて、やっぱりマルセイユから帰りたくない。東京も日本も大好きだが、旅が終わるのが徹底的にイヤなのである。

 ナポリもマルセイユも港町であるから、ドラマみたいに石を投げてポチャリ!!をやってみることもできる。ただし、何とも健康で健全なことに、クマ助は確実にヒコーキに乗り、ニコニコ素直にビューンと東京に帰る。
リゾット
(四角いお皿の対角線上に盛りつけたリゾット。さすがのクマ助もこの量には辟易した)

 4月7日のクマ助は、まずカプリの港でポチャリ!!な世界をやってみた。港を見下ろす坂道の上から、船で次々と到着する観光客の集団を眺めていたのである。カプリの街に向かうミニバスには長蛇の列ができて、並んだ客の半分も乗れないままにバスは出発してしまう。

 離れているので聞こえないが、運転手と客の間で口論になったり、罵声が飛び交ったりしている。うにゃにゃ、「夏もナポリに来っかな」「連続でカプリに来るかな」と考えていたが、この調子では夏シーズンの混雑が思いやられる。この段階で、「夏はマルセイユ」と決めたのであった。

 お船に乗ってナポリに戻ったのが午後1時半。スペイン街のレストランには午後2時に着いた。無理しなくてもよかったのだが、昨日あんなに気に入ったレストランの紹介で行くのだから、やっぱり無礼は避けたかった。

 お店に入ってみると、期待していたのとはまるっきり違う雰囲気。昨日のHosteria Toledoみたいな「いかにも地元店」の優しく落ち着いた応対はない。ビジネスランチ優先のリゾット屋であった。

 隣りのテーブルでは、70歳前後のジーチャンとマゴ男子が黙りこくってリゾットをかき混ぜている。遠く世代を隔てた会話は弾まず、2人はあんまり仲がよさそうではない。その気まずいアリサマを眺めつつ、クマ助はリゾットとステーキを注文してみた。
ステーキ
(ステーキ。このステーキのせいで、調理場が混乱したようだ)

 リゾットが大量すぎて辟易していると、どうやらクマ助の注文のせいで調理場が混乱したようだ。こんな店で、真っ昼間から「ステーキとワイン1本」などという外国人が闖入したわけだから無理もないが、周囲のテーブルに全く料理が来なくなってしまった。

 クマ助の右側のテーブルには、男女のビジネスマンが7~8人。ランチの場にもビジネスを持ち込んでディスカッションが始まっていたが、残念なことにちっともランチが来ないので、みんなすっかり意気消沈してしまったようである。

 若干の責任を我が身に感じつつも、東洋のクマどんは大量のリゾットを悠然と平らげ、調理場を混乱させた元凶であるらしい巨大ステーキにも、意気揚々といナイフを入れた。

 自信タップリなその様子を横目で眺めながら、まずジーチャン&マゴが無言で退場。ハラハラしながら眺めていた隣りのテーブルにも、30分ほど経過してようやくチラホラ料理が現れはじめた。

 安堵の胸を撫でおろしつつ、さらにクマどんは赤ワインをグラスにドボドボ注ぎ足し、これをナポリとのしばしの別れの印にするのであった。めでたし&めでたし。とっぴんぱらりんぷ。

1E(Cd) Menuhin:BRAHMS/SEXTET FOR STRINGS No.1 & No.2
2E(Cd) Baumann:MOZART/THE 4 HORN CONCERTOS
3E(Cd) Solti & Wiener:MOZART/GROßE MESSE
4E(Cd) Rilling:MOZART/REQUIEM
5E(Cd) Jochum & Bavarian Radio:MOZART/THE CORONATION MASS
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