2015年06月25日(木)

Mon 150601 花より味噌田楽 金環食(ナポリ滞在記番外編3/プチカウントダウン2)

テーマ:ブログ
 降り出した雨はどんどん本格的になって、散りそめだった河岸の桜は、そろって激しい花吹雪の態を示しはじめた。ボートを漕いでいた人々は苦笑しながら傘を差しはじめたし、一斉に屋根の下に駆け込む人々の笑い声は、いかにも津軽のヒトビトらしく重く響くのであった。

「これじゃ職場のお花見大会も中止かな」であるが、たとえ職場の花見は中止でも、今井クマ蔵の酒盛りは健在。お城の下の公園にはたくさんのテントや小屋が出て、熱いお酒や温かい料理を出してくれる。

 なんだかんだツベコベ言っても、この旅で最も楽しみにしていたのは、こういうお店をハシゴしてたっぷり飲み食いすることである。ズラリと並んだ店の中から、どの店に入って何を飲み何を貪るか、例え冷たい雨の中でも舌なめずりが止まらない。
三忠食堂
(弘前公園の有名店「三忠食堂」。この類いの店がズラリと並ぶ)

 広大な公園に古色蒼然とした露店が並ぶ風景は、「昭和を髣髴とさせる」などと言うのはまだナマやさしいので、これはもう「昭和そのもの」である。

 小規模だがサーカス小屋もあって、バイクの曲乗りを見せてくれるらしい。大音量のスピーカーから、1分ほどの呼び込みの文句を繰り返し繰り返し流している。

 お化け屋敷もあって、これもまたあくどく&オドロオドロしい。看板もそうだが、バイク曲乗りの小屋と同じように、繰り返される呼び込みの音声が、昭和が煮詰まったような濃く塩辛い味わいを出している。

 こういう小屋を含めて、立ち並んだ小屋はおそらく300軒を超える。粗末なテントの屋台も多いが、2~3ヶ月はラクに営業を続けられそうな丈夫な小屋もあり、桜の季節以外にもおそらく半恒久的に営業を続けているであろうお店もある。

 この光景は、すでに「昭和初期」にまで溯るものと言ってもいいぐらいだ。津軽の城下町の一角、まだ中学生の太宰治 ☞ そろそろ悪所通いに悲しい関心を持ちはじめた頃の津島修治クンが、ひとりでコッソリ買い食いを試みるにはもってこいの場所じゃないか。
梅が枝
(由緒ありそうな「梅が枝」。クマ助はこの店を選んだ)

 冷たい雨の降る春の夕暮れ、「そろそろ明かりがほしいな」という雑踏の中、平成のクマ助もこの懐かしい雰囲気を心ゆくまで満喫したのである。電灯というよりランプが似合い、ランプというよりローソクやアンドンが似合うような、何となくいけない雰囲気である。

 コドモにとって、このいけないムードはマコトに魅力的なのだ。お小遣いを握りしめて走ってきたけれども、「そんなところでオカネを無駄遣いしちゃいけませんよ」という母の厳しい笑顔を思い出すと、金魚すくいの類いの平凡なアトラクションどころか、ワタアメにすら手が出ない。

 そういうタメライを振り払ってくれるのが、2つか3つ年上の近所のオニーチャンなりオネーチャンであって、11歳、12歳、そのぐらいの年齢のコドモが初めて自分たちだけで目撃するお化け屋敷やバイク曲乗りの光景は、そのまま谷崎の世界に直結したりする。
店内風景1
(梅が枝の店内 1)

 しかし今の今井君はそういうのはメンドー臭いので、求めるものはひたすらオチャケである。雨のせいで急激に気温が下がったから、肉体が「ビール」と言ふものを拒絶しているが、さすが津軽の地だ、温かくお燗した甘い日本酒でポカポカするのには絶好の寒さになった。

 どの店も旨そうで、なかなか1軒に目標が定まらない。しかも諸君、どの店に決めようとしても、その瞬間に店のオジサマやオネーサマと視線が激しくぶつかりあう。

 いったんは「ここ♡」と決めかけた店のオジサマが、あんまり熱っぽくクマ助を見つめるものだから、臆病なクマ助は返って恐ろしくなってしまい、すんでのところでヤメにした。だってそんなにジッと見つめられたんじゃ、せっかくのお酒も落ち着いて楽しめないじゃないか。

 同じようにして、あの店もこの店もギリギリのところで見送りにした。20軒近くの店でジッと見つめられ、その度にコワくなって逃げ出した。こういう間の悪い時は、結局1軒に決められずに長い時間ホッツキ歩き、だんだん機嫌が悪くなって全てを放棄する。そういう悪い流れになりかけた。
店内風景2
(梅が枝の店内 2)

 しかしそのとき、お化け屋敷の向こう側、バイク曲乗り小屋のお隣に、「梅が枝」と大きな看板を出した店を発見。小屋も大きくて雨はしのげそうだし、店の奥まで座敷やテーブルをたくさん並べて、ほんのり優しい明かりも点している。

 何よりいいのは、誰もジッと睨んでこないこと。「おっ、コイツは店に入ってくるな」という店のヒトの緊張感は理解できるが、あんまり緊張感タップリに見つめられると、ケモノはむしろその店を避けて通るのである。

 「梅が枝」は、中年の女性数名と大学生のアルバイトでやっていた。ヒザを折り畳んで座るのが苦手だから、入口から4番目・奥から3番目のテーブルを選んで腰掛けた。そのあたりが一番しっとりして、暢気に長時間座っていられそうだったのである。

 注文したのは、津軽の地酒「じょっぱり」と、熱いコンニャクの味噌田楽、それにおでん盛り合わせ。もちろん日本酒はオカワリもして、次第に暗さを増していく夕暮れの雨を満喫した。というか、写真通りのデカいコンニャクもオカワリしたんだから、まさに「花より味噌田楽」な弘前なのであった。

 300mlの日本酒を2本で、合計600ml。夜が来る前にそんなにグビグビやったんだから、クマ助としては珍しく少々酔っぱらっている。そういう時に限って「もしかして今井先生ですか?」の諸君に遭遇するので、店を出て数歩歩いたところで、「去年まで授業うけてました」「第1志望に合格できました」と、女子2名が嬉しそうに声をかけてくれた。
田楽
(注文した「じょっぱり」とコンニャクの味噌田楽)

 何しろ急いで飲んだ日本酒と熱い味噌田楽でしたたか酔っぱらった直後である。すっかり恐縮してしまって言葉も出ない。何だかよく分からんが「すみませんね♨」「すみませんね♨」を連発しながら、ひたすらその場を離れることだけを考えた。

 お城を出るころには、雨はもうすっかり上がっている。タクシーで10分ほど、弘前駅に戻った。さすがに弘前までの日帰りは厳しいものがあるが、これから奥羽本線で新青森まで帰り、新青森から新幹線に乗る。

 電車に乗った直後、夕暮れの雲が切れて、西の空から赤い夕陽が射した。弘前を出て、撫牛子(ないじょうし)☞ 川部(かわべ)、広大なリンゴ畑の向こうに、岩木山の勇姿が見える頃である。青い山は背後からの夕陽を受け、その輪郭が金色に輝いている。

 その様子は、ナポリから眺める朝9時のヴェスヴィオとそっくりである。山はあくまで山の形であって太陽みたいに円形にはなれないが、あえて例えるなら「金環食」の感覚。もしこの一瞬に夕陽が山の斜面からホンの少し顔を出せば、「ダイアモンド・リング」の名に相応しい岩木山やヴェスヴィオが眺められるはずである。

1E(Cd) Böhm & Berlin:MOZART 46 SYMPHONIEN⑦
2E(Cd) Böhm & Berlin:MOZART 46 SYMPHONIEN⑧
3E(Cd) Rogé:DEBUSSY/PIANO WORKS 2/2
4E(Cd) Kazune Shimizu:LISZT/PIANO SONATA IN B MINOR & BRAHMS/HÄNDEL VARIATIONS
5E(Cd) Barenboim & Berliner:LISZT/DANTE SYMPHONY・DANTE SONATA
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