2015年05月27日(水)

Sun 150503 きのこの形のババ 甘いババに酔う ババの歴史と語源(ナポリ滞在記21)

テーマ:ブログ
 まず諸君、手許の紙を1枚広げて、そこに「きのこの絵」を描いてみたまえ。「どんなきのこ?」という問いは禁止。諸君自身が「きのこと言ったらこのきのこ!!」と信じている、きのこのイメージそのものを絵にすればいい。と言うか、「抽象的きのこ」「きのこの象徴」を描いてくれてもいい。

 その時、普段はカタカナ好きの今井君が何故か「きのこ」と平仮名を選択していることにも要注意。キノコや茸やKINOKOであってはならない。「茸」はなんだか意地悪そうだし、KINOKOなんかだとSTAR WARSにあやかったようなのしか描けそうにない。

 おとぎ話に出てくるきのこ、お姫さまが住んでいそうなきのこ、竹取物語ならぬ「きのことり物語」が今にも始まりそうな、そういうきのこの絵を描いてほしいのである。和風とグリム風の折衷みたいなきのこがいい。
ババ
(スパッカナポリにて。きのこの形のお菓子「ババ」が並ぶ)

 「ボク、絵が苦手なんです」「ワタシは図工 ☞ 美術の成績が最悪で…」と顔を顰める諸君は、絵というものがちっとも分かっておられない。絵や美術に成績をつけて内申書の材料にするなんてのは、そもそもの初めから間違っているので、そういう間違った世の中の犠牲に甘んじていてはならない。

 もちろん、「ブログ筆者なんかに命じられて絵を描いたり出来るものか」というガンコで強情な態度もまたマコトに結構。それならそれで、心の中なり頭の中なりでもかまわない。「きのことり物語を書くとしたら、こんな挿絵をつけたいな」みたいなヤツである。

 ただし諸君、5月6月の山や里はとても物騒だ。きのことりそれ自体はマコトに危険。冬眠から醒めてお腹をすかしたツキノワグマが、「今年はヤケに暑いな」とボヤきながら、きのことりにやってきたキミのペットボトルを奪おうと狙っている。きのことり物語を想像してニヤニヤしているぐらいが無難だ。
看板
(お菓子屋の看板の上に「空飛ぶ巨大ババ」を発見)

 それにしても、またまた前置きが長過ぎる。前置きだけで終わってしまう勢いは、いつもとちっとも変わらない。しかし諸君、前置きにこそ人生の醍醐味があり、人生の妙は前置きの充実から始まる。オペラの前奏曲を集めたCDなんてのも、決して悪いものじゃない。

 と、ここで「前置きの言い訳」が始まるわけだから、「中年グマ恐るべし」であって、これと言って書くことのない日でも、中身のない前置きや前奏曲で読者を満足させる手練こそ、物を書く時の楽しみの極致だ。

 それを読んで楽しむ力がないんじゃ、人生に関する読解力不足以外のナニモノでもない。何でもかんでも「役に立ちましたか?」を評価の基準にしてしまうのは、食べ物の価値をひたすら栄養価で計るようなもの。人生からも世界からも、楽しみが半減どころか絶滅の危機に陥る。

 役に立つかどうかを求めるなら、もともとブログを書くのも読むのも邪道であって、むしろ一生「取扱説明書」だけと格闘していればいい。役に立つことにおいて、取扱説明書に勝るものはないが、トリセツは「試行錯誤の醍醐味」を排除するから、全てが砂を噛むような味気ないものに変わる副作用も強烈だ。

 以上、「マコトにクダラン」の極致と言っていいツベコベを書いているうちに、どうですか、きのこの絵は出来あがりましたかな? は?「すっかり忘れていた」ですと? そりゃ困りましたな。心の中でいいから、ほれ、今すぐ描いて見たまえよ。
骸骨寺
(ババ屋さんのすぐそば、サンタマリア・デッレ・アニメ教会。地下の埋葬室に無数の頭蓋骨が並ぶ。17世紀には「死者信仰」が流行した)

 ナポリ名物「ババ」というお菓子が、今まさに諸君が描いたきのこにソックリだったのである。高さ10cm弱、カサの直径が5cm弱。ジクの部分もフックラ膨らんで直径4cm弱。まだ開ききらない若いきのこの姿である。

 何故きのこの形なのか、それはクマ助には分からない。全体がカステラのようなフワフワの生地で出来ている。ただしカステラよりフワフワ度が高くて、ハチミツでもメープルシロップでも、好きなだけ吸い込んでしまう。

 色もやっぱりきのこのイメージ。カサの部分はよく焼けて褐色に近いが、カサ以外の部分も、火の通り方次第で微妙に焼き色が違う。これにシロップがイヤというほど染み込んだのが、ナポリ名物「ババ」。イースターを控え、街中のお菓子屋さんの店先にたくさんのババが並んでいる。

 今は「ナポリ名物」ということになっているが、このお菓子の故事来歴にはフランス・ポーランド・オーストリア・ロシアなど、ヨーロッパ全域の国の名前が絡んできて、どうやら全ヨーロッパの合作と呼んでいいぐらいである。
ブロンズ像
(サンタマリア・デッレ・アニメ教会。通り沿いに骸骨のブロンズ像がある。「メメントモリ」の世界である)

 染み込んだシロップは、ラム酒ベース。アルコールがモノの見事に残っている。口に入れるといくらでも滲み出してきて、口いっぱいにラム酒のカホリが広がる。コドモなら確実に酔っぱらう。お酒に弱いオトナなら、1個で足許がフラフラし、2個平らげたら2日酔いを覚悟した方がいい。

 発祥については諸説あるらしいが、ポーランド王座を追われてフランスに移ったロレーヌ公レクチンスキーという人の発明であるらしい。歯が痛くて固いお菓子が食べられずヤケになった彼は、甘口ワインをドプッとぶっかけてみた。すると諸君、「こりゃ旨い♡」であったらしい。

 クマ助なんかは「虫歯は大丈夫だったんですかね」「もっと歯が痛くなりそう♨」と、そっちが心配になるが、レクチンスキーどんはその後、このお菓子のあまりの美しさとオイシサにどういうわけか「アラビアンナイトのアリババみたいだ」と思い、「アリババっぽいから、ババ」と名づけたんだそうな。
ジェスヌオーヴォ教会
(スパッカナポリ、ジェス・ヌオーヴォ教会)

 すると心配性な今井君は
「ありり、『アリババ』の『アリ』は、いったいどこに消えちゃったのでアリますか?」
「そんないい加減なことでいいんでアリますか?」
と真顔で尋ねたくなるが、まあとりあえずそんな説明でも、他の説よりはマシのようだ。「他の説」については、明日の記事で説明しようと思う。

 その後のババは、
  ① 生地の形
  ② 染み込ませるソースないしシロップ
の両面で、たゆまぬ発展を続けた。

 ソースはマラガ産ワインに代わり、さらにラム酒ベースが主流になった。フランスでは現在「サヴァラン」と呼ばれている形の生地になった。なんだ、サヴァランだったら日本のケーキ屋さんだって、どこでも手に入る。

 しかしナポリで独自の進化を遂げたババどんは、甘さもアルコールのカホリも刺激的、日本で食べるサヴァランとは比較にならない。優しいきのこの形からは想像もできない熱い刺激である。

 今井君が食べたババは、ホテルの朝食ビュッフェに出てきたものであったが、「こりゃオレでも、3個食べたら1日がダメになる」というぐらい、クマにとってさえ刺激的な、アルコールたっぷり感のケーキなのであった(明日に続く)。

1E(Cd) Böhm & Berliner:MOZART 46 SYMPHONIEN 5/10
2E(Cd) Böhm & Berliner:MOZART 46 SYMPHONIEN 6/10
3E(Cd) Böhm & Berliner:MOZART 46 SYMPHONIEN 7/10
6D(Pl) 国立モスクワ音楽劇場:白鳥の湖:東京文化会館
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