2015年05月22日(金)

Tue 150428 ナポリに帰還 旺文社の思ひ出 キュウリみたいに冷静(ナポリ滞在記17)

テーマ:ブログ
 むかしむかし(スミマセン、昨日の続きです)駿台予備校の英作文の授業で今井君は、It’s raining cats and dogs. ☞「ひどい土砂降りだ」という表現を習った。おそらく有名な小説か映画の中で「cats and dogs」が登場して、一時的に大流行した表現なんだと思う。

 こう見えてもクマ助は相当数の映画を見まくってきたし、セリフの1つ1つを厳密に検討するタイプでもあるのだが、あの予備校での授業以来、cats and dogsが実際に使用されている場面に出会った記憶はあまりない。

 何しろネコ2匹と12年も一緒に生活しているから、ネコ関係の熟語表現に出会うたびに嬉しくてたまらない。「let the cat out of the bag」☞「秘密をすっかりバラしてしまう」なんてのもある。

 TVドラマ「GOSSIP GIRL」にもよく出てくるし、1999年の映画「インサイダー」では、アル・パチーノがこの表現を絶叫していた。ニュースショーの名プロデューサー役として、会社の法務担当者に追いつめられた場面である。
海
(カプリ島、ソラーロ山から見下ろしたティレニア海)

 ネコのヒゲは欧米人にとっても「素晴しいもの」「素敵なもの」であるらしく、「the cat's whiskers」はまさにその意味で使われる。しかし諸君、ネコのヒゲをwhiskers「ほおひげ」と呼ぶことに、クマ助は違和感を禁じ得ない。

 whiskersとは、頬と耳とを隔てる部分のヒゲを言うのであって、言わば顔の額縁である。鼻と口とを隔てるヒゲはmustacheであり、イギリス英語とフランス語の共通のスペルならmoustache、イタリア語ならmostaccio「モスタッチョ」である。

 ネコが自分のオヒゲを「ウィスカーズ」と認識しているか「ムスターシュ」と認識しているかは、ネコ自身に質問してみるしかないが、あいにく今井君のgatto bianco=ニャゴロワ君も、シマシマ顔のナデシコ君も、残念なことに今日はその質問に答えてくれない。

 しかし諸君、ちょっと画像検索を試みてみたまえ。ネコのオヒゲの位置は明らかに鼻と口を隔てるものであって、サルバドール・ダリ氏のお顔と相談してみても、やっぱりネコのヒゲはmustache。whiskersではありえない。
イカとタコ
(カプリ島にて。オミヤゲには事欠かない)

 今井君が中3のころ、「旺文社」という出版社がメッタヤタラに勢力を拡大。隆盛期というか絶頂期というか、とにかく日本の中学生と高校生は、残らず旺文社の勢力下に置かれていた。

 大学入試の模擬試験でも、河合塾やベネッセの出る幕なんか一切ナシ。もし「旺文社の模試を受けません」という高校生が存在すれば、「あんな変わり者とつきあっちゃダメだよ」と、まさに村八分にされかねない勢いであった。

 江戸時代、日本海に浮かぶ佐渡はゴールドラッシュで、年間400kgの金を産出する世界有数の金鉱山。民謡「佐渡おけさ」の中でも「佐渡へ佐渡へと草木もなびく」と歌われ、世界の視線はみんな佐渡になびいていた。

 同じように昭和の受験生の目は旺文社に向けられ、「旺文社へ旺文社へと中高生はなびく」であって、フォークソングの中でさえ「愛や恋より大切なものは旺文社の参考書」「それに旺文社の実力テスト」と歌われた。「赤尾好夫さまバンザーイ」と、旺文社社長を讃えるオチまでついた。

 高石ともやの「受験生ブルース」であるが、いやはや、これもやっぱり古くさいというか、すでに死語だらけである。「砂を噛むような味気ない」「アベックばっかり」「ヤケのやんぱち」「河原の枯れススキ」、21世紀の受験生に通じそうにない言葉のオンパレードだ。
サンタルチア
(ナポリ、サンタルチアに戻ってきた)

 その旺文社が、雑誌「中1時代」「中2時代」から「高1時代」を経て受験生向けの「蛍雪時代」まで6年間、中高生を完全に支配する時代が長く続いた。

 文庫本もたくさん出版して、当時「旺文社文庫」は新潮文庫や岩波文庫に迫る勢い。人生で初めて手にする文庫本が旺文社文庫だったという世代もあるほどだ。学習参考書もしかり。中学生になったら「中学ばらシリーズ」。全科目「一度にそろう」というキャッチフレーズで売りまくった。

 理科や社会は当たり前、音楽や美術まであったんじゃなかったか。今井君は参考書みたいなものが大キライで、意地でも教科書と授業だけで何とかするタイプ。お金持ちの友達が「中学ばらシリーズ」☞ 略して「中ばら」なんかを持っていると、心の底からバカにしてかかったものだった。

 で、今日の冒頭に戻ってくるのであるが、cats and dogsみたいな決まり表現をひけらかすヤツが現れた。授業にも教科書にも出てこないけれども、旺文社「中ばら」には、そういうのがいろいろ掲載されているらしい。

 その代表格が、「as cool as a cucumber」。諸君、英語は常に100点満点の今井君にケチをつけに来るヤツらが、得意げに振り回すのが「困難な状況なのに落ち着き払って」「顔色一つ変えずに」を表す「キュウリみたいに冷静」というこの熟語表現なのだった。

 この表現、あんなに教室内でバッコしたのに、今や辞書にもあんまり掲載されていない。一時的な流行で廃れちゃう表現は数かぎりないだろうが、どうやらあのころ絶頂の旺文社模試と、同じ運命をたどったもののようである。
老舗
(サンタルチア港、老舗レストラン Zi Teresa)

 なお、悔しかった中3の今井君は、あえて「英英辞典」で対抗した。それが旺文社「シニア英英辞典」。なんだ、結局やっぱり旺文社なところが、さすが昭和グマである。

 しかしこれは効いた。みんなが得意げに振り回している熟語の中のキュウリも、
A long thin round fruit, with dark green skin and a light green flesh. Usually eaten raw as a vegetable.
と言い換えてみせる。
「細長くて丸い実。皮は深緑、果肉は薄緑。普通は野菜として生で食用とする」
いやはや、マコトにバカバカしい中学生時代であった。

 ではいったい以上の話が「ナポリ滞在記17」のサブタイトルに値するんだろうか。そんなの、このクマ助の知ったことではない。しかし諸君、あえて辻褄を合わせるなら、上の写真をちょっと見てくれたまえ。

 Zi Teresa。滞在中のホテル「ヴェスヴィオ」と、ナポリ湾を守る「タマゴ城」の間に立つ老舗レストランである。看板には「創業1890年」とあるから、すでに125年目。第1次大戦も第2次大戦も、みんな経験してきた古ツワモノである。

 10年前の3月、クマ助はここでウェイター同士の殴り合いのケンカを目撃し、彼らの「as cool as a cucumber」ぶりにビックリしたのである。いきなり殴り合いになったりすれば、もっと激しく興奮するだろうに、男子2名はポカポカ殴り合った後はマコトにクールに、あっという間に職場に復帰したのである。
本
(前嶋信次訳「バルバリア海賊盛衰記」。1983年に購入)

 考えてみれば南イタリアという土地は、北アフリカから襲ってくるイスラムの海賊と、中世のカトリック教徒が1000年も絶えず激しい攻防をつづけたところである。

 海賊の襲撃が始まったのが700年ごろ。収まったのは、オスマントルコ勢力が衰えた1700年すぎ。奈良時代初期から、享保の改革のころまでだから、その攻防の長さはまさに想像を絶する。

 「ジハード」と信じて攻撃を続ける北アフリカの人々と、元は「ゲルマン民族大移動」で北方から移動してきた「蛮族」のロンゴバルト・ゴート・ヴァンダル族の人々の、強烈な戦いの1000年である。

 どちらがどちらを奴隷として蹂躙するか。戦いは日常化し、常に熾烈を極め、ちょっとやそっとの戦闘なら、cool as a cucumberにやり通す胆力がヒトビトみんなに身についても、ちっともフシギはないのである。

 今井君はいま、1983年に池袋の本屋で購入した「バルバリア海賊盛衰記」(リブロ)を再読中。19世紀末にスタンリー・レーン・プール氏が書いた本を、20世紀半ばに前嶋信次氏が翻訳した。諸君、こりゃ面白い。いま目の前に横たわるナポリのタマゴ城も、元はと言えば北アフリカの海賊の襲撃を監視するための砦から始まったのである。

 9世紀、シチリア全島が海賊に占領される。シチリアはまさに目と鼻の先であって、ここから出撃してくる海賊はまさにイナゴの大軍。こんなタマゴ城なんか作っても、大した対策にはならなかったに違いない。

1E(Cd) Baumann:MOZART/THE 4 HORN CONCERTOS
2E(Cd) Solti & Wiener:MOZART/GROßE MESSE
3E(Cd) Rilling:MOZART/REQUIEM
4E(Cd) Jochum & Bavarian Radio:MOZART/THE CORONATION MASS
5E(Cd) Kremer:MOZART/VIOLINKONZERTE Nos. 2 & 3
total m160 y803 d16127
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