2015年05月18日(月)

Fri 150424 1粒で3度おいしいカプリ島 ソリタリオの穏やかなランチ(ナポリ滞在記13)

テーマ:ブログ
 むかしむかし「1粒で2度おいしい」というキャッチフレーズがあって、これはまさに歴史に残る名文句であった。前回の東京オリンピックの頃である。

 キャラメルの中にアーモンドが入っただけでも、まだ十分に「画期的な工夫」と世間の人に讃えられた。キャラメルを1粒口に入れれば、キャラメルだけでなくてアーモンドのおいしさも満喫できる。たった1粒だけれども、2度おいしいというわけだ。

 この場合、「2度」という表現に若干の疑問が残るのであって、キャラメルとアーモンドを2段階に分けて味わわないと「2度」ではないじゃないか。もともと混じっちゃったものを一気に食べるんだから、「2度」という言い方はオカシイ。そういう気難しい人も存在した。

 すると諸君、不屈のグリコは「めげることがない」どころか、むしろ批判をバネに成長する。やがて「アーモンドチョコ」というものを発売して、「これならキチンと2度に分けられるだろう」と胸を張った。

 つまり、キャラメルだとアーモンドに絡みついて、2度に分割して味わうことは困難。しかしチョコなら、周囲のチョコを全て口の中で融かしてしまい、融かし終わってからゆっくりアーモンドに取りかかれば、キチンと「2度」おいしいと言えるはずである。
カプリ
(港からケーブルカーで5分、カプリの町からの絶景)

 そこで20世紀終盤の日本の人々は、「一気に食べる派」vs「2度分け派」に分かれて、大いに議論を交わしたものである。「一気に食べる派」は若者が多く、「2度分け派」には中年以上の人が多かった。あの当時、クマ助はまだ若者サイドであった。

 後者の場合、チョコをすっかり融かして飲み込んでから、中のアーモンドをわざわざ口の外に出して確認する。いったい何を確認するのかわからないが、とりあえず丸々としたアーモンドの実を眺めてホクホク満足し、それから宝物のようなアーモンドを口に戻して、カリッと食感を楽しんだ。

 そもそも「食感」などという言葉は、昔の日本語ではあまり一般的ではなかった。1990年代、バブルの残照の中で「料理の鉄人」が大流行、「食感」という言葉を定着させた。しかし考えてみれば、日本人が「食感」をシミジミ感じたのは、あのアーモンドの「カリッ」が初めてではなかったか。

 名作CMの数々もあった。渡辺徹どんに田原俊彦どん、松田聖子どんに小泉今日子どん、今や50歳代近辺をウロウロしている皆さんが、清里や軽井沢の爽やかな高原の避暑地で、メッタヤタラに「カリッ」「カリッ」と食感を満喫。ついでだから「キミだけのプリンスになる」などと恐るべき決心を繰り返したのである。

 彼ら彼女らの健康そうな真っ白い歯は、まさに夢のようである。アーモンドどころか、ゴールドでもプラチナでも「カリッ」といきそうな健康優良児の諸君。いちいちカリッとやってなくても、一口で食べてしまった方がスッキリしていいはずだが、白い健康な歯は常にニカッとむき出さないともったいないのである。
アナカプリ
(カプリの町からミニバスで20分、アナカプリからの絶景)

 1977年のCMでは、三浦友和どんが夜行列車でジュネーブからパリに向かう。朝の車中でも、決してアーモンドチョコを離さない。わずか30秒のCMで、カリッカリッと次々にチョコを飲み込んでいく。

 到着したパリ・リヨン駅でも、大きくアーモンドチョコを掲げ、出迎えた(おそらく)彼女にサワヤカに挨拶を送る。チョコやアーモンドの食べカスなんか、キラキラ白い歯にくっつくはずはない。バックには、松崎しげるどんの名曲「愛のメモリー」。チョコを貪れば、魔法のように歯が白く丈夫になるらしい。

 様々なCMを振り返ってみると、グリコ側ではチョコについて「1粒で2度」とは考えていなかったようである。チョコを口の中でネロネロ融かした後で、1度アーモンドを取り出して「フムフム」と納得し、それからおもむろに「カリッ」などという行動は、CM上は1度も放映されなかったのである。

 もちろん、時代を象徴する青春スターの皆様に、そんな演技を強要することは不可能だったのだろうが、「1粒で2度」はあくまでキャラメル、チョコのほうは「カリッ」を推奨。「一気に派」に軍配が上がったのである。
リストランテ
(アナカプリで、ランチにヨサゲな店「IL SORITARIO」を発見。看板もキレイだ)

 それでは今日の今井君が何でこんなに「1粒で2度」談義に耽っているかであるが、もちろんこれはナポリ旅行記であるから、3月29日に訪問したカプリ島のことを言いたいである。カプリは、1粒で2度どころか、1粒で3度おいしい島なのであった。

 まず、昨日の記事に美しい写真5枚を掲載した通り、グロッタ・アズーロを中心とした海岸線はウルトラMUSTであって、それはカプリとか南イタリアとかのMUSTであるに留まらず、世界で1位を争うようなMUST、つまり人生のMUSTである。

 「1粒で2度目のおいしさ」は、海岸からケーブルカーで上がったカプリの町。高級ホテルも並び、ヨーロッパの人々の憧れのリゾートである。ところが諸君、この1粒にはさらに「3度目のおいしさ」があって、それが「アナカプリ」である。
レモンの木
(IL SOLITARIOにて。レモンがタワワに実る庭のテーブルが人気である)

 カプリでケーブルカーを降りた後、駅から徒歩1分ほどのターミナルからオレンジ色のミニバスに乗る。つづれ織りの細い山道を約20分、賑やかなカプリとは異質のマコトに落ち着いた町、アナカプリに到着する。

 この日は、イースター1週間前の日曜日。島に住む人々は昼前からこぞって教会に出かけ、カプリもアナカプリも敬虔な静寂に包まれていた。カプリからの海の絶景にしばらく見入ったあと、とかくケムリと一緒で高い所が大好きなクマ助は、すぐにミニバスに乗り込んでアナカプリに向かった。

 この静かな町にも、中世1000年の海賊の記憶が残る。「ヴィラ・サン・ミケーレ」の庭園から、ナポリとソレント方向の青い海を眺めればまさに絶景であるが、要するにここはこの島で最も標高の高い場所であって、襲撃してくる海賊船団を見張る絶好の地点であるに過ぎない。
ステーキ
(クマ助はイヤシイので、ランチも分厚いステーキを注文。グリーンペッパーがタップリのった赤身肉が旨い)

 快晴の町を散策するうちに、いかにもヨサゲなレストランを発見。「IL SOLITARIO」というキレイなタイルの看板を出した、家族経営の店である。広い庭にテーブルが5つ6つ並んで、青空にズラリと並んだレモンの実を眺めながら食事を楽しめる。

 SOLITARIOとは、イタリア語で「孤独」「世捨て人」「静寂」であって、手許のイタリア語辞書には何故か「サナダムシ」というのも乗っているが、まあ店の雰囲気からしても「静寂」というところである。

 生まれたばかりの子犬が走り回り、テーブルはあっという間にすべて埋まった。家族3~4人で切り盛りしているから、なかなかサービスは行き届かないが、春の気持ちいい微風の中で子犬をからかっていれば、別にイライラすることもない。

 もちろん「インサイド」にもテーブルがいくつか並んでいるが、こういうとき欧米人でインサイドを選択する人は稀である。みんなアウトサイド、犬と遊び、レモンの実を眺め、ランチでもワインの1本や2本ぐらい、誰も躊躇なんかしない。

 クマ助が注文したのは、安いハウスワインの赤1本と、グリーンペッパーのタップリかかったステーキ。日本でお馴染みのデロデロなナマ焼けアブラ肉ではない。実にたくましい、実質の詰まった赤身の肉である。

 「アブラが甘い!!」「噛まないのに溶けちゃった」「何だこりゃ!?」と、マコトに騒々しいランチとは別格であって、この静けさと穏やかさこそ何よりの御馳走である。我々も、あのバカバカしい騒然とした食事を、そろそろ卒業すべきなんじゃないだろうか。

1E(Cd) Lucy van Dael:BACH/SONATAS FOR VIOLIN AND HARPSICHORD 2/2
2E(Cd) Holliger:BACH/3 OBOENKONZERTE
3E(Cd) Richter:BACH/WELL-TEMPERED CLAVIER 1/4
4E(Cd) Richter:BACH/WELL-TEMPERED CLAVIER 2/4
5E(Cd) Richter:BACH/WELL-TEMPERED CLAVIER 3/4
total m132 y775 d16099
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