2015年05月13日(水)

Sun 150419 ポンペイの犬君 「わからなかったらすぐ質問」は正しいか(ナポリ滞在記9)

テーマ:ブログ
 まだ3月下旬と言っても、さすがにイタリア半島をポンペイまで南下すると、日差しはもう夏の厳しさである。正午すぎから夕暮れまでずっと炎天が続き、激しいデコボコの石畳の上を歩き回っていれば、さすがにもうクマ助はヘトヘトだ。

 犬を連れて散策している人もいるが、それがまた許されるところがイタリアのフトコロの広さ。ただしその犬君は、大型犬であるにも関わらず、夕暮れにはクマ助と同じぐらいヘトヘトのご様子であった。

 南イタリアの熱い夕陽に照らされて、黒い毛皮をピカピカ光らせながら、廃墟の入口に横たわった姿は、2000年前の犬たちを髣髴とさせる。79年のカタストロフィ直前まで、飼い犬&野良犬をとりまぜて、さぞかしたくさんの犬クンと猫ちゃんが、古代ローマの優しい人々と楽しい毎日を送っていたことだろう。
いぬ
(ポンペイの遺跡に横たわる犬クン)

 散策の人々は疲れ果て、夕暮れには何となくみんなトゲトゲした雰囲気。観光客のほとんどは団体ツアーの人々だが、たまってくる疲れに比例するように、だんだんガイドさんの言うことを聞かなくなる。

 もちろんガイドさんたちだってベテランだから、この時間帯からは説明もうまく流して、「もう帰りましょうか」のほうに誘導している。2~3時間前まで、燃え盛るような熱をこめて激烈な解説を繰り広げていたのがウソのようである。

 観光客のほうでも、最初のうちはマコトに熱心に質問をぶつけている。観察していると、やっぱり欧米人は日本人とは積極性が違う。「わからない」と思ったら、すぐに手を挙げて質問をぶつけ、ガイドさんも直ちに応じて、詳細を説明する。

 その様子を眺めながら、さすがベテラン講師♨クマ助は、「わからないことがあったら、その場ですぐに質問できる」ということの是非について、思いをめぐらせるのであった。ポンペイの遺跡を散策しながらそんなことを考えているのだから、おお、今井君ほど熱心な講師は滅多に存在しない。

 たとえば諸君、下の写真のような廃墟に出くわしてみたまえ。直径30cmから40cm程度の丸い穴が4~5個、縦にズラッと並んでいる。今井君はいつも通りポンペイを個人で訪れているから、「これは何の遺跡ですか?」「この丸い穴の用途は何ですか?」とガイドさんに質問することはできない。
台所
(遺跡にズラリ、丸い穴)

 そこで諸君、さっそくクマ助は仮説を立てる。仮説も何も、要するに下世話な空想に過ぎないのであって、クマが考えたのは「トイレかな?」である。古代ローマのムクツケキ男子諸君が、老いも若きも、幼児もジーサンも、遠慮なしに仲良く笑いさざめきながら、みんな一緒に用を足す。

 諸君、その状況を想像してみたまえ。何と陽気な、何と開けっぴろげな、何と南国の古代に相応しい微笑ましい情景じゃないか。思わずノドの奥が裏返るほど楽しくなって、1人でクック&カッカ、ケッケ&コッコと笑いをこらえる。「オレってニワトリだったの?」という一瞬である。

 ところがその真横では、10数名の欧米人グループが熱心にガイドさんの説明を聞いて頷いている。いやはや、トイレなんかじゃなくて、ここは古代のレストランなのだ。丸い穴は炊事用、もっと小さい穴は飲み物を入れる甕であって、水やら葡萄酒やらをヒシャクですくって客をもてなしていたというのだ。

 「なるほどそうナリか」と、またまたキテレツ大百科のコロスケくんになりながら、クマ助はハッシと両手を打ち合わせた。「確かにあんな高い台の上で用を足す必要はないな」と、嬉しくなって疲れを忘れ、思わず古代の繁華街に駈け出さんばかりであった。こういう状態を「感激」と呼ぶ。
食堂
(古代ローマの飲食店)

 「収録授業オンリーです」という予備校だと、「わからないところをすぐ質問できないんじゃ、困るんじゃないですか」と、しょっちゅう尋ねられる。確かに小中学生の塾なら、先生がいつでも校舎で待っていて、「わからないことがあったらすぐに質問に来い」「わかるまで教えてやる」と胸を張る。

 その経験があるから、高校生になってもまだ「わからなかったらすぐ質問♡」と考えて疑うことがない。しかし諸君、それってホントかね。もしそれがホントなら、収録授業なんてのはまさに最低の部類に入ることになる。

 しかし生徒はどんどん増えていく。「質問できないならヤメちゃおう」とリタイアする生徒も少ない。みんな受験直前まで通い続け、合格実績もビックリするほどの勢いで向上している。「なぜ?」であるが、それはもちろん「世の中の常識が間違っていたのだ」という結論しかない。

 「は?」と、キツネにつままれた気分の諸君に考えてほしいのは、① 生徒の質問の実態 ② 授業のクオリティ ③ 「すぐ質問」はホントにいいことなのか、の3点だ。①と②は、まあ近いうち書くとして、今日は③について書いておきたい。「すぐ質問はいいことだ」という世間の常識って、実は正しくないと思うのだ。
壁画
(ポンペイで。2000年前の女性の肖像。知性あふれるシャープな表情は、サッフォーを思わせるお顔であったよ)

 小学生の塾だったら、きっと素晴しいことなのだろう。ウルトラ基礎な小学生の段階では、わからないところをそのままにしておいたら、傷口がどんどん広がり、次の授業はもっとわからなくなって、取り返しのつかない事態になる。

 塾のチラシやパンフレットにも、「一人ひとりを大切に」「わかるまで教えます」とか「熱血先生がズラリ。どんどん質問しましょう」とか、自慢げに大書されることになり、熱血先生は質問の生徒を待ち受けて、炎を上げて真っ赤にメラメラ燃えている。

 しかし、17歳18歳まで成長した大学受験生が、「わからなかったら ☞ すぐ質問」って、ホントにそれでいいんですかい? 不明な点があったら、むしろ「自分で徹底的に考える」「想像をムクムク膨らませる」のほうがいいんじゃないんですかい?

 「自分で粘り強く考えたり想像したり」vs「わからなかったらすぐオトナに甘え、ニチャニチャかみくだいてもらう」の対決。クマ助もしが大学受験生なら、「正しいのは明らかに前者」と断言する。「ニチャニチャ」だなんて、唾液ネッチャネチャな感じがどうもイカンね。

 例えば17歳なら、ホンモノのオトナになるまでもうすぐだ。鳥の世界なら「もうすぐ巣立ち」「いよいよハバタキ」という年齢であって、昨日まで熱心にエサを運んできていた親も、そろそろ我が子を突き放さなきゃいけない。

 例えワザとであっても、いきなりコドモに邪険な態度をとり、「もう自分でエサを探しな!!」「巣から落ちたら自分で這い上がりな!!」と、知らんぷりをする。すぐにコドモもそれを悟り、エサを自力で捕らえ、巣にも自力で這い上がる。
喜劇
(ポンペイで。喜劇を描いた壁画であるらしい)

 新聞の社説やコラムの教育論だって、その方向性が定番。「ウノミやツメコミじゃダメだ。自分で問題を発見し、自分で解決する能力こそ重要」なはずである。ならば、「わからなかったらすぐ質問」なんてのは、一番ダメな姿勢じゃないか。

 「わからない」と感じたのは、まさに「自分で問題を発見」というオメデタイ出来事。ならば「すぐ先生に質問」じゃなくて、1週間かかろうが、1ヶ月かかろうが、想像力をムクムク膨らませ、自分で考え、自分で解決しなければ楽しくない。

 考えてもみたまえ、大学院生が担当教授に「アタシ質問がありまーす。教えてくださーい♡」と甘えたとする。新入社員が部長に「ボクわかんなーい、質問でーす♡」と甘えてスリスリしたとする。かえってくる返答は「アホか、自分で考えろ」「自分で解決しろ」以外にありえない。

 大学受験はその助走の段階である。助走なら助走らしく、自分で考え&自分でハバタく努力を最優先にすべきなんじゃないか。「すぐに質問しなさいね♡」の時代は、もうとっくに過ぎてしまったはずである。

 「これって、トイレ?」「こんなトイレだったら楽しいだろうな」と胸を踊らせたあのヒトトキこそ、クマ助にとってポンペイで一番楽しい思い出である。最終確認は、ガイドブックなりグーグル先生なりにお願いすればいいので、最初からガイドさんにニチャニチャ教えてもらったんじゃ、駆け回りたくなる感激も感動も、一切を放棄してしまうことになる。

 諸君、「すぐ質問」なんてのはクダランのだよ。どんどん想像力を膨らませ、ムクムク湧き上がる好奇心の入道雲のテッペンから、怖がらずに地上を睥睨しようじゃないか。それこそが旅の醍醐味であり、ガイドの説明にウンウン頷いてばかりより、10倍も楽しい旅になる。受験勉強だって、全く同じことである。

1E(Cd) Karajan & Berliner:BACH/MATTHÄUS-PASSION 3/3
2E(Cd) Harnoncourt:BACH/WEIHNACHTSORATORIUM 1/2
3E(Cd) Harnoncourt:BACH/WEIHNACHTSORATORIUM 2/2
4E(Cd) Eduardo Egüez:THE LUTE MUSIC OF J.S.BACH vol.1
5E(Cd) Brendel:BACH/ITALIENISCHES KONZERT
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