2015年05月07日(木)

Mon 150413 ナポリ人の風貌 フェリーニの祝祭と混沌 地下鉄はコワいか(ナポリ滞在記5)

テーマ:ブログ
 ナポリで出会うヒトビトには、特に男子であるが、20世紀中頃を思い起こさせるヒトが多い。
「もしかしてアナタ、フェデリコ・フェリーニの映画にエキストラ出演してませんでしたか?」
という風貌である。

 「8 1/2」とか「サテリコン」、「女の都」とか「フェリーニのローマ」、そのむかし名画座で何度も繰り返し観た。確かにこういうカラダつき&こういう顔つきと表情の男たちが、「祝祭的混沌」が横溢する画面の中を右往左往しているのを見た記憶がある。

 今や欧米中どこへいっても、ヒトビトの風貌にはそれほど大きな特徴は感じられない。ロンドンでもフィレンツェでも、パリでもミラノでも、要するに「みんな一律に欧米人」なのだ。

 これはおそらく、ポジティブに捉えるべきことなのだ。
「ヨーロッパは、1つなんだ」
「何だ、世界は1つじゃないか」
ということである。ホンの70年前まで、泥沼のような戦争と小競り合いを、何百年間にわたって繰り返していた地域とは思えない。

 しかしこの状況は、アイデンティティ喪失の危機でもある。駅や空港に降りた途端、その街のアイデンティティに気づかされ、
「おお、確かにミュンヘン人だ!!」
「おお、間違いなくバルセロナ人だ!!」
「あわわ、みんなプラハっぽーい!!」
と、ヒトビトの風貌に思わず両手をハッシと打ち合わせたくなる、そういう感動や感激はおそらく過去のものになってしまったのだ。
近郊電車
(ナポリ、近郊電車。落書きがここまで厚塗りになると、むしろ「昔なつかしい」という感慨である)

 ノスタルジーに過ぎないかもしれないが、クマ助はやっぱり20世紀に属する人間だから、強烈なアイデンティティへのノスタルジーは捨てきれない。日本では特にそうで、21世紀のいま、「1億、総♡東京人」というか、北海道から沖縄まで例外なくオシャレなTOKYOITEになっちゃったのが残念でたまらない。

「あなた、いかにも熊本人だねえ」
「おお、間違いなく神戸のヒトですな」
「こりゃ金沢のオカタに違いありませんね」
「はっはっは、キミはいかにも広島じゃけん」
と、駅や空港でハッシと手を打ち、ヒザをたたいて感激していたいのである。

 マコトに無念なことに、今やそんなのは夢のまた夢。ナマリや方言のほとんど全てが絶滅危惧種である。名古屋で名古屋弁は聞けないし、福岡でも新潟でもキレイな東京コトバばっかりで、「諸君、故郷のアイデンティティを何故そんなにカンタンに捨てちゃったんだ?」と問いかけずにはいられない。
スパッカナポリ
(スパッカ・ナポリの風景。安全な観光地化&テーマパーク化で、何となく魅力がなくなった)

 マルセイユ、リスボン、アムステルダム。21世紀ヨーロッパの中で、この3つの街がクマ助が大好きな「金・銀・銅」である。もちろん港町独特のちょっと物悲しい雰囲気も原因なのだろうが、出会うヒトビトの風貌にしっかりしたアイデンティティが感じられるのである。

 まあ、実際に滞在してみないと分からないだろうが、とにかくこの3つの街では「おお、マルセイユ男だ」「どうみてもリスボンちゃんですな」「うわ、絶対にアムステルダム人」と絶叫しそうな強烈さを、今もチャンと保持しているんじゃないか。

 では諸君、問題のナポリであるが、これはもう金♡銀♡銅などというものではなくて、プラチナであり、ダイアモンドと言っていい。ここのオジサマ&オバサマたちは、どう見てもたった今フェリーニの祝祭的混沌から抜け出てきたばかりなのである。

 ではそれが「正確にはどんな風貌なのか」については、実際にナポリに滞在するか、それともフェリーニの映画をレンタルしてくるか、どちらかをやってみるしかない。ナポリは遠いから、フェリーニにしておきますか。
トレド駅構内
(海底をイメージした地下鉄1号線トレド駅。あんまり清潔で、人々は居心地が悪そうだ)

 フェリーニはあまりに混沌としているから、おそらく30分経過したところで睡魔に襲われる。普段なら、黒々と濃厚なコーヒーで睡魔を追い払おうとするだろうが、フェリーニの場合は睡魔こそその妙味なのであるから、捉えどころのない深い睡魔クンに身を任せ、決して追い払おうなどと努めてはならない。

 その睡魔の混沌の中で、眠りかけて朦朧とした脳のスクリーンに蠢くのが、20世紀イタリアの民衆である。うぉ、今なおナポリの街で見かけるのは、そのスクリーンを蠢いている民衆の風貌なのだ。クマ助はあんまり嬉しくて、健康にいいコーヒーなんかじゃなく、濃厚なお酒をグイグイやりたくなるのである。

 とは言っても、「ナポリのアイデンティティも実は風前の灯なんじゃないか」と思ってしまうところがある。21世紀とはマコトにコワい時代で、あんなにバラエティ豊かだったヨーロッパを、どんどん一律に平板にしてしまいつつあるのだ。

 たとえば諸君、ナポリの地下鉄だってそうだ。20世紀後半、ナポリの地下鉄と言えば、身の毛もヨダつほど、暗くて、汚くて、コワかった。落書きだらけ、照明もワザとのように薄暗く、移民の若者集団が絶えずワメキ声をあげ、騒然とした暗い車内には、貧しい服装の人々が縮こまって固まっていた。

 その時代から走りつづける「2号線」には、今もなお20世紀の暗さと汚さとコワさがしっかり残っていて、今井君なんかは思わず狂喜乱舞するが、もう1つの地下鉄「1号線」の現代的清潔さには、まさに愕然とさせられるのである。
1号線
(トレド駅に到着した地下鉄1号線。東京なみに現代的だ)

 「これじゃまるで日本の地下鉄みたいじゃないか」というぐらいにご清潔。駅もホームも汚れ1つなくてピッカピカ。あんまりご清潔なのでナポリ市民には違和感があるのか、お客の姿は逆にコワくなるほど少ない。汚いままの2号線がギューギュー寿司詰めの人気なのと対照的である。

 ま、半分は冗談で言っているのであるが、静寂と清潔と安全が支配したナポリ地下鉄1号線は、駅名もマコトに現代的で分かりやすい。「ムセオ ☞ ダンテ ☞ トレド ☞ ムニチピオ ☞ ウニベルシタ ☞ ガリバルディ」である。

 これをそのまま日本語にすれば、「博物館 ☞ ダンテ広場 ☞ トレド通り ☞ 市役所 ☞ 大学 ☞ 中央駅」である。こんなにスッキリしてたんじゃ、ナポリ地下鉄というより「よい子のみんなのコドモ電車」みたいじゃないか。

 3月28日、世にもよい子 ☞ 今井君はポンペイの遺跡に出かけるので、まず地下鉄の3日券を購入。このチケットについてはまた明日の記事で詳細を記録するが、とにかくナポリでも1番の目抜き通り ☞トレド通りを、颯爽とトレド駅に向かっていった。

 トレド通りは、東京なら銀座、大阪なら梅田、福岡なら天神。そういうウルトラ繁華街であるが、いやはや「うぉ、ナポリ人だ!!」という人々でいっぱいだ。「さすがナポリ」であって、ひたすらハッシ&ハッシと両手を打ち合わせつづけるクマ助なのであった。
スペイン地区
(スパーニャ。スペイン人街である。危険なカホリが嬉しい)

 しかし、目抜き通りであり1番の繁華街であるはずなのに、この通りの両側には「観光客が入り込んではいけません」という悪名高い危険地帯が広がっている。向かって右が「スパッカナポリ」、左が「スパーニャ」、スペイン人街である。

 ただしスパッカナポリのほうは、この10年ですっかり観光地化して、アイデンティティも希薄になった。というか、ほぼ完全にテーマパークであって、危険のカホリなんかちっとも感じられない。あくまで冗談で言うのだが、こりゃ嘆かわしいかぎりである。

 しかし一方、坂を登っていく左側の「スパーニャ」のほうは危険のカホリが充満して、「うぉ、ナポリじゃ♨ナポリじゃ」な感じ。暗く狭い吹きだまりみたいな光景を覗き込んで、クマ助の心の中では盛んなハッシ&ハッシが始まった。

 何しろ、世界中どこに行っても必ず見かける中国の人々が、スパーニャ方面にはほとんど見当たらない。観光客もいないが、中国系の店舗もなく、つまりここに住み着いた中国系の移民もいらっしゃらないようである。

 諸君、これは驚くべきことである。自主規制が働いているのか。それとも誰かコワいオカタが、入り込んでくる人々の流れを食い止めているのか。その辺のことは分からないが、これはとにかく今回の滞在のうちに、スパーニャはどうしても探訪してみようと、このときクマ助はすでにココロを決めていたのであった。

1E(Cd) Solti & Wien:WAGNER/DIE WALKÜRE④
2E(Cd) Solti & Wien:WAGNER/DAS RHEINGOLD①
3E(Cd) Solti & Wien:WAGNER/DIE WALKÜRE③
13A(β) 倉橋由美子:完本 酔郷譚:河出書房
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