2015年04月05日(日)

Tue 150312 アカデミア美術館 ダビデどん 横から下から背後から(イタリア冬紀行9)

テーマ:ブログ
 12月21日、フィレンツェ滞在3日目の予定は、
  ① アカデミア美術館訪問
  ② サンマルコ修道院訪問
  ③ ピサへのショートトリップ
以上3つである。

 フィレンツェには3回も4回も来ているくせに、アカデミア美術館はずっと敬して遠ざけてきた。そろそろ「はとバスコース」をキチンと企画して、訪れるべきスポットはキチンと訪れておいた方がいい。

 敬遠してきた理由は、ウフィツィの場合と全く同じ、「美術館前の長蛇の列を見て、嫌悪を催した」である。10年も以前のことだが、「GRUPPO 1」から「GRUPPO 7」までのプラカードを前に、驚異に値するほど多くのスペイン人が入場を待っていた。

 GRUPPOとは、もちろんイタリア語で「グループ」のこと。スペイン語のスペルはPが1つ減ってGRUPOであるが、それぞれのグループに200人はいたと思われる彼ら彼女らが、「ムーチョ&ムーチョ・エスパニョール♡」と盛んに冗談を言いあっていたから、間違いなくスペイン人団体である。

 すると諸君、グルッポ1からグルッポ7まで7グループ、1グループ=200人として、1500人近いスペインのジサマ&バサマが、アカデミア美術館入場を目指して辛抱強く列を作っていたことになる。日本からの単独グマなんか、まさに「多勢に無勢」であって、あっという間に押しつぶされちゃうに違いない。
ダビデ1
(ダビデ像を見にいく)

 というわけで、フィレンツェを訪れるたびに「またもや夢は破れた」の連続。GRUPPOやGRUPOに敗退、ないし「戦わずして砕け散る」という惨敗の連続であって、「アカデミアとウフィツィには一生縁がなさそうだ」とクマ助の口からダラしない諦めの嘆きが漏れるようになった。

 だからこそ諸君、今回の「はとバスコース」を企画したのである。どんなことでも、決して諦めてはならない。インターネットで事前にキチンと予約すれば、対GRUPPO戦に戦わずして敗れ去るような無惨な旅は、もう続けなくて済むはずだ。

 こうして今井君は、10年の雌伏・臥薪嘗胆の時代を経て、ついにアカデミアのシンボル・ミケランジェロのダビデ像をこの目で目撃することとなった。シニョーリア広場に立つダビデは、コピーないしレプリカ。アカデミア美術館のオリジナルを見なきゃ、やっぱり話にならない。

 どうですか、この勇姿。本物と対面した証拠に、正面図ばかりでなく、側面図に背面図、いささか下世話な感じは残るが、真下から見上げた光景、メッタヤタラにお写真撮影に励んだのである。
ダビデ2
(ダビデ像、側面図)

 筋肉隆々、均整のとれた理想の肉体。いかにも賢げな表情に、知能の高さを如実に示す涼やかな視線。いやはや、成績抜群の生徒会長、かつ「エースで4番」な感じ。女子はみんな瞬時でイチコロ、男子全員の熱い憧れのマト。しかもそれを鼻にかける様子は一切感じられない。

 サッカーをやらせれば信頼感抜群のボランチで、しかも得点王。ラグビー部に助っ人に出かけると、SOとFBを兼任して喝采を浴びるプレーを連発。「志望は東京大学理科3類です」と静かに照れ笑いするけれども、今の成績ならどうやらそれも大丈夫そう。そんな男であるね、このオカタは。

 ホンの少し可哀そうなのは、ミケランジェロどんが左を向かせてしまったせいで、500年の長きにわたって延々と左を向いて立ち尽くすしかなくなってしまったことである。

 右も見たいだろう、上も下も見たいだろう。さぞ肩が凝るだろうが、そこは大理石の悲しさ。いったん巨匠が左向きに彫り上げれば、ちょっと背中が痒かろうが、お尻に蠅が止まろうが、大きな右手はだらりと垂れ、瞬きも出来ずにこのお屋根の下で賢げに大人しくしている他はない。
ダビデ3
(ダビデ像、背面図)

 実際のダビデどんについては、どうもいろいろ好ましからざるお話が旧約聖書に掲載されてしまっている。永遠の書に好ましからざる逸話を載せられた悲劇もまた、右を向けず背中も掻けない状況と同じ。にっちもさっちもいかないのは、大理石像の悲劇と相似形である。

 ダビデ王がある日ブラブラ歩いていると、ある民家のバルコニーに美しい女子を発見。マコトに残念なことに、彼女は人妻と判明する。しかし、意地でも、どうしても、何がなんでも彼女を自分のものにしたい。神様に「ダメ」と言われても、その辺は後から何とかなりそうだ。

 一計を案じたダビデどんは、「彼女の夫を戦場に派遣しよう」「最も激烈な戦場に送り込もう」「生きて帰って来られない状況に追い込もう」と即断&即決。狙いはピタリと当たって、人妻はあっという間にダビデどんのものになる。

 うーん、旧約聖書の「サムエル」「列王伝」を読むと、ダビデ ☞ ソロモンの隆盛あたりから、いろいろイケナイdisgustingな王様が延々と連続して、「絶頂に立った時こそ、運命の下り坂を転がり落ちる危険性を考慮しなきゃいかん」と実感する。
フィレンツェ1
(この朝のフィレンツェは濃霧だった)

 そんな悪いことをしているから、まずダビデの息子たちが悪くなる。息子アブサロムの妹タマルが異母兄に…された事件は、やがてアブサロムの反乱に発展。ダビデに味方する者はごく少数で、栄光のダビデも一気に大ピンチ。左なんか向いて賢げに微笑している場合じゃなくなっちゃった。

 やがてさすがにダビデ、勢力を盛り返しはしたが、今度は息子のアブサロムが惨殺されてしまう。「アブサロム!! アブサロム!!」と死骸にとりついて泣き叫ぶダビデの姿は、旧約聖書を読みながら思わずもらい泣きするほどである。

 このシーンに触発された20世紀アメリカの作家フォークナーは「アブサロム!! アブサロム!!」というタイトルの名作を書いた。やがてフォークナーはノーベル文学賞を受賞するが、ダビデどん自身は相変わらず左向き、背中もお尻もポリポリできない窮状が続いている。

 ダビデの後のソロモンとなると、ますますdisgustingな所業が多くなる。中でも「妻が700人、妾が300人」となると、
「そんなにたくさん覚えきれるの?」
「いったい誰から奪ったの?」
「いかりや長介に『全員集合!!』と命じられたとき、総勢1000人の光景って、気持ち悪くないの?」
と、うーん、クマどんは首を傾げざるを得ない。
アカデミア
(アカデミア美術館にて。「何やってんの?」の微妙な雰囲気)

 このあたりからの王様たちは、どこまでも神様を裏切りつづける。ゴールドを集めては牡牛の像を作りつづけるし、神様なんかどんどん&ばんばん裏切って、ヨソの神様の神殿を立てつづけて憚らない。

 「何でそんなに牡牛の偶像なんだい?」であるが、「まあ牛が好きだったんだろ」と答えるしかない。今井君は世界中の各地で牛を目撃するが、ゲップとクチャクチャを繰り返してばかりの、優しそうな瞳が印象的な生き物に過ぎない。

 そこいら中にいくらでも寝そべっているんだから、偶像にする必要性なんかちっとも感じないが、そういうことばっかりやっているから、とうとう神様は完全にお怒りになり、「バビロン捕囚」という長い悲劇の歴史が始まる。

 今ここに立つのはルネッサンスのダビデどんだから、苦難や裏切りに満ちた歴史をご存知のはず。透徹した瞳で左向きに見つめるのは、背中をポリポリできない悔しさよりも、「disgustingなことはイケナイ」「ならぬことはならぬ」という不変の倫理観念であるに違いない。

1E(Cd) RUSSIAN MEDIEVAL CHANT
2E(Cd) Menuhin:BRAHMS/SEXTET FOR STRINGS No.1 & No.2
3E(Cd) Holliger & Brendel:SCHUMANN/WORKS FOR OBOE AND PIANO
5E(Cd) Ashkenazy:RACHMANINOV/PIANO CONCERTOS 1-4 1/2
6E(Cd) Ashkenazy:RACHMANINOV/PIANO CONCERTOS 1-4 2/2
total m55 y373 d15697
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