2015年03月12日(木)

Mon 150216 蒸気機関車が湿原を疾走 「自分の庭で何をしようと」 ツルやシカとの出会い

テーマ:ブログ
 3月6日午後(スミマセン、昨日の続きです)、こうして今井君は「SL湿原号」に乗り込んだ。標茶の駅には撮り鉄&乗り鉄の諸君があふれ、「機関車の連結作業がはじまりますよ」というアナウンスとともに、互いに激しくガンを飛ばしあいながら、ホームになだれ込んだのである。

 並んだ客車は、むかし懐かしい褐色の塗装。かつて国鉄の客車はみんな茶褐色であって、今の阪急電車のチョコレート色よりも、もう少し赤を抑えた茶褐色の客車が、昭和中期の日本を駆け回っていた。

 やがて客車は、後に「ブルートレイン」と呼ばれるようになる寝台列車系のブルーに統一された。この「統一」に時間がかかったので、昭和40年代の旅客列車はブルーと褐色のマダラになることが多かった。

 今井君の住んでいた秋田なんかは、そういう整備の点で一番の後回しにされることが多かった。キレイに塗装されたブルーの客車と、まだ戦後のニオイに満たされた茶褐色の車両を半々に繋いで、赤いディーゼル機関車が喘ぎ喘ぎ走り抜ける姿を眺めながら、都会への憧れをつのらせたものである。

 昭和40年代には、まだ蒸気機関車が現役で活躍していた。青森・秋田・山形・福島を結ぶ奥羽本線と、秋田・酒田・新潟の新津を結ぶ羽越本線。この2路線が秋田の幹線であったが、こうして地名を並べてみると、「なるほど、最後まで蒸気機関車が活躍していた地域だろうな」と、妙に納得がいく。
連結
(釧路ゆきの蒸気機関車は、後ろ向きに連結。後ろ向きでも全く問題なく走っていける)

 さて14時、マコトに懐かしい汽笛一声、はや我が汽車は標茶の駅を離れたり。「そこいら中に消え残る 雪を旅路の友として」であるが、ついでに諸君、空にたなびく黒いケムリの色も懐かしい。

 汽笛の響き、黒くたなびくケムリ、石炭のススの香ばしいカホリ、見送るヒトビト。ゆっくりと列車がホームを離れると、早速お弁当を開く音が車内を満たす。今井君としては、何しろ18時半からお仕事が控えている身だから、この穏やかで和やかな雰囲気にドップリ浸っていることが何となく後ろめたい。

 しかし諸君、かつてしょっちゅう蒸気機関車を経験していたニンゲンとして、「あれれ?」と思う点もあるのである。何を隠そう、「これって、ホントに昔と同じように石炭を燃やしてるの?」という疑念が浮上してくるのだ。

 昔は、もっとずっとケムリが濃厚で真っ黒ではなかったか。トンネルなんかくぐろうものなら、昔のヒトビトは一斉に窓を閉めた。放っておくと、みんなの顔がススで真っ黒になってしまうぐらいだったのである。

 トンネル内で窒息して運転士が殉職したことさえあった。羽越本線「羽後岩谷」の駅のそばに「折渡(おりわたり)トンネル」という長いトンネルがあって、そこを通るたびに、国鉄職員だった父が幼い今井君をたしなめた。「窓を閉めろ。ここで殉職した人がいるんだ」と言うのである。
煙
(標茶駅を発車。黒いケムリが勇ましい)

 いまクマ助が乗っている「SL湿原号」は、もちろん21世紀の「窓の開かない客車」。昭和50年代には「窓の開かない汽車なんて ちっとも旅が楽しくない」と歌う若者がいたが、窓が開かないからこそ、人間のお顔が激しいケムリとススから守られている。

 それにしても、D51のケムリはもっと黒々と凶悪な色をしていたものだ。こんなにうっすら弱々しいケムリじゃ、「ホントに石炭をボーボー燃やしてるんだろうか」と心配になるのも致し方ない。

 しかし諸君、ここは「ラムサール条約」に登録された国立公園内である。釧路湿原国立公園は、日本最大の泥炭湿原なのであって、観光資源として利用するにも、環境に負荷をかけないように最大限の注意を払わなければならない。

 SL列車に乗り鉄&撮り鉄の皆さんを乗せて、「線路は続くよどこまでも」「野を越え&山越え 谷越えて」をやるにしても、やっぱり環境への負荷は最小にすべく努力しなければならない。
丹頂鶴1
(ゆったりと歩くタンチョウ)

 やはり日本はこの四半世紀、素晴らしく優しさに満ちた国に成長したのである。人は「失われた25年」と否定的に考えるが、苦しい年月が長く続いたからこそ、こんなに環境に優しくなれたのだと今井君は思うのである。

 シカが滑走路に迷い込んでも、我々は決して残酷な手段に訴えない。シカが列車に衝突すれば、列車をその都度止めて必要な処理を施す。傷ついたシカを、万が一ヒグマが先に発見すれば、ヒグマもまた可哀そうなことになりかねない。

 「自分が見つけたエサを横取りされた」と思ったクマは、そのことを激しく恨みに思い、「ニンゲンを襲う」という行動に走りやすくなるのだという。だから、ヒグマたちのためにも、事故処理を保線係がチャンと行ってから運行を再開する。

 釧網線は単線だから、網走方面ゆき列車がシカと衝突すると、釧路方面ゆきも運行がストップする。しかし誰もそのことに文句を言わない。むしろ、それだけ長く蒸気機関車を経験できること、夕暮れ迫る雪原の眺めを堪能できることを、喜んでいる人の方が圧倒的に多い。
丹頂鶴2
(悠然と湿原を舞うタンチョウ)

 「自分の庭に何を作ろうが、文句を言われる筋合いはない」と、主要閣僚が豪語する国もある。美しい珊瑚礁に囲まれた浅瀬を無惨に埋め立てて、それを何とも思わない。

 自分の庭で乱暴なことをすれば、近所に迷惑がかかる。自分の庭でBBQをすれば、風下の家のヒトがケムくて困るし、ニオイで迷惑もする。自分の庭にスギの木を植えれば、周囲のオウチの花粉症の人が困る。自分の庭でキリンやゾウを飼えば、近所の人は困るゾウ。

 だからお互い優しく気をつけあい、湿原を走るにも、石炭をボーボー燃やしたりしない。ニンゲンの隣人であるシカやキツネやツルやヒグマさんたちに、気を配らなきゃイケナイ。そんなことは幼稚園児でもみんな知っている。

 日本で「自分の庭だ」「文句言うな」みたいな発言をすれば、もう町内会長にさえ選ばれないが、「自分の庭だ」と主張する国は、国連常任理事国を半世紀も務めている。言わば世界のリーダーだ。いやはや、クマ助は耳を疑ったが、21世紀の地球とは、まだまだそういう状況なのである。

 だから諸君、ちょっとぐらい機関車のケムリが薄くても、ツルさんやシカさんたちのことを考えて、「もしかして別の燃料を使ってるんじゃないの?」みたいな疑念はそっとしまっておくこと。だって、汽笛と蒸気と、美しい雪原の眺望があれば、他に何にもいらないじゃないか。
蝦夷鹿
(森に潜むシカの群れ。ただし、ちっとも「潜む」感じではない)

 タンチョウをたくさん目撃したのにもビックリであり、エゾシカの群れがあまりに多いのにも、負けず劣らずビックリである。シカはホントに多い。列車の両側にズラリと居並んで、まるで列車を見送っているかのようだ。

 今井君は、下北沢のジビエ料理店で頻繁にシカ肉を食べている。森の樹の陰からシカたちが
「そうですか、あなたはシカの肉を食べるんですか。そうですか」
「我々の肉は、旨かったですか?」
「よかったですね。そうですか」
と、用心深げにこちらを見守っているのも「ムベなるかな」。ま、これもまた致し方ないことである。

 動く列車の中から、動くものをカメラで捉える。これはマコトに高度なテクを要するので、ヒトビトは例外なしに高級カメラを構えている。その中にあって、天下のヤマオヤジ☞イマイは、普通のコンパクトカメラでタンチョウを追い、シカを追う。

 いま写真を眺めても、「よくツルなんか撮れたな」というオドロキを感じるほどであるが、まあ諸君、一瞬のツルの姿でもいいじゃないか。じっくり堪能してくれたまえ。

1E(Rc) Elly Ameling & Collegium Aureum:BACH/HOCHZEITS KANTATE & KAFFEE KANTATE
2E(Rc) Backhaus:BACH/ENGLISH SUITE・FRENCH SUITE
3E(Rc) Ewerhardt & Collegium Aureum:HÄNDEL/オルガン協奏曲
4E(Rc) チューリッヒ・リチェルカーレ:中世・ルネサンスの舞曲集
5E(Rc) Collegium Aureum:MOZART/EINE KLEINE NACHTMUSIK & SYMPHONY No.40
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