2015年01月13日(火)

Sat 141220 薄闇の運河と細道 ウムラウト カフェのコンサート(夏マルセイユ滞在記18)

テーマ:ブログ
 サンマルコ広場からリアルト橋までのヴェネツィアは、たいへん分かりやすい構造になっているし、「→サンマルコ方面」「→リアルト方面」という黄色い看板が随所にあって、矢印通りに歩いていけば、滅多なことで迷い道に入り込むことはない。

 知らない場所に迷い込むとすれば、リアルト橋をわたって向こう側。同じような小さな運河と薄暗い細道が入り組んで、その向こうにローマ広場とサンタルチア駅があるはずの一帯である。

 「むしろ迷いにきた」と強がりを言っても、やっぱりここはイタリアであって、入り組んだ運河と細道の暗がりを進めば、「治安がどうこう」という難しい話も浮上する。9月4日夜のクマ助はそろそろお腹が減ってきたので、旨そうなメシ屋を探してウロウロしているうちに、まさにその一帯に入り込んだ。

 むかしむかしこのあたりで、小さな切手屋を発見した。優しい笑顔のオジーチャンのお店で、ジーチャンはさかんに切手を指差して「フランコボッリ」「フランコボッリ」と繰り返した。フランコボッリとはイタリア語で切手のこと。笑顔の可愛らしいジーチャンだった。

 しかしあれ以来、店を探して何度も歩き回ってみたが、あの切手屋さんはどうしても見つからない。そのぐらい細道と運河が錯綜しているのだが、あんまり見つからないから、あの店とジーチャンの笑顔が夢か幻だったのかもしれないと思うぐらいである。
お魚
(細道と運河の向こうの薄暗い店で「鯛の網焼き」を貪る)

 「そんなところに入り込んだら危険ですよ」とガイドブックの著者に叱られるような細道の曲がり角を3回も曲がって、「あれま、ワタシは今どこにいるんだろ?」と呟きながら、それでもまだ先に進んだ。

 そうこうするうちに、道の奥のほうにボンヤリ明かりをともした店を発見。店の中は地元のヒトで満員の様子だったが、路上に並べた3つのテーブルのうちの1つが空いていた。黙って椅子に腰をかけ、出てきた旦那にとりあえず赤ワインをボトル1本注文した。

 ホントは、こんなに奥まで迷い込んでくる予定ではなかった。リアルト橋のたもとに、美しいリアルト橋を眺められるお店があって、その中でも一番条件のいいテーブルに一度は腰をおろしたのである。

 まさに真正面が夜のリアルト橋。ここでワインを1本あければ、さぞかしリアルト橋の姿が脳裏に焼きつくだろう。バルセロナではサグラダ・ファミリア、ピサでは斜塔の真ん前のテーブルに陣取って、2時間余り絶景を堪能した。クマ助はそういうテーブルが大好きだ。
ピザ
(路地裏で安いピザも貪る)

 ところが諸君、今井君がいったん腰を落ち着けたテーブルのお隣に、30歳ぐらいの日本人カップルがいらっしゃった。もちろんそのこと自体はちっとも構わないが、このカップルの会話が余りにも強烈。お水を一口飲んだだけで「おいしぃー♡」「あまーい♡」「そうだろ、あまいだろ♡」という調子である。

 カルパッチョを口に運んで「あまーい♡」。赤ワインを一口すすって「んんんー♡」「辛口だね」「ゆん」「やっぱり辛口のワインがいいね」「ゆん」「んんんー、おいしいね」「ゆん」という調子で、こりゃ延々とこれが続きそうだ。

 なお「ゆん」というのは、おそらく「うん」のつもりなんだろうが、今井君にはどうしても「ゆん」にしか聞こえない。ドイツ語のuの上に、平安貴族のヒタイみたいに2つの点を打った文字を「uウムラウト」と呼ぶが、その「ü」の発音にきわめて近い。

 日本語のアイウエオの発音がウムラウト化して久しい。10歳代のタレントさんのアイウエオは、すでにほぼカンペキに「ä i ü e ö」であるといっていいぐらいだ。もちろん、それも時代の変化なら致し方ないので、別にガマンできないことではない。

 しかし諸君、ヴェネツィアの薄闇の中、肘が触れ合うぐらいのテーブルで、「ゆん♡」「ゆん♡」「ゆん♡」をやられてみたまえ。せっかく「1泊だけヴェネツィア」という贅沢をやってみたのに、何だかその風情が台無しじゃないか。
カフェコンサート1
(サンマルコ広場のカフェ、プチコンサート)

 というわけで、ウェイターのオジサマにはホントに申し訳なかったが、いったん座ったテーブルをお断りして、細道から細道へ、薄闇から薄闇へと歩き回って、最終的にこの路地の奥の小さな店を選ぶことになった。

 この店は、大正解。夜風に吹かれながら飲んだワインはマコトにおいしかったし、注文した「タイの網焼き」も、ネコが食べたかと思うぐらい骨と頭だけにした。やっぱり旅先では、こういうジモティのお店をこそ選ぶべきなのである。

 ただし、この店をもう一度発見出来るかというのはまた別問題。いつかのフランコボッリの店が夢か幻かと考えるようになったのと同じことで、例えば10年後、贅沢なヴェネツィアを満喫しようと今度こそダニエリに宿泊したとして、「あの店はどうしただろう」と探してみても、きっとどうしても見つからないんじゃないだろうか。
カフェコンサート2
(カフェのコンサート、終了間近の時間帯。さすがに空席が増えた。それでもお隣のカップルは、23時半を過ぎてからシャンパンを1本あけていた)

 どういう道筋をたどったのか記憶にないが、夜10時、クマ助はサンマルコ広場に帰ってきた。カフェ・フローリアンとカフェ・クワドリが、競い合うようにプチコンサートを繰り広げている真っ最中である。

 実は、ここに戻ってくる途中でクマどんはまたまた空腹を感じ、小さなピザ屋に入り込んでカウンターで1枚貪り食った。そのせいでポンポンはパンパンだったが、激しくノドが渇いてきた。カフェのテーブルに陣取って、思い切って赤ワインを1本注文。運河の夜風は少し肌寒いくらいである。

 勘違いであってくれればいいのだが、ヴェネツィアの賑わいが昔ほどではなくなったような気がしてならない。この時間帯のサンマルコ広場が、何だか閑散としているのである。

 プチコンサートも、盛り上がりに欠ける。昔はほぼ満員で、テーブルにありつくのも難しかったぐらいなのに、今日はどの店もテーブルはガラガラ。座るのに気が引けるぐらいである。

 テーブルにつくとオカネがかかるので、立ち見でコンサートだけを楽しもうとするヒトも多い。ホンの6年前には、押すな押すなの立ち見客が、あっちの店からこっちの店へ、曲が始まるたびにゾロゾロ移動したものだったが、今夜は数えるほどしかいない。
サンマルコ広場
(真夜中のサンマルコ広場。人影がめっきり少なくなった)

 ワインを1本カラッポにし、音楽もイヤというほど満喫して、鐘楼の鐘が鳴り響くと、ちょうど真夜中。この鐘を合図にコンサートは全て終了である。人々は今日1日の感激を語り合いながら、三々五々宿泊先のホテルに向かう。

 むかしのヴェネツィアでは、それからもまだ街のあちこちで宴は続いていたようだし、夜の運河をトロトロかき混ぜながら、静かにゴンドラが進んでいく光景もあったような気がする。

 ところが2014年のヴェネツィアには、そういう不良中年たちの姿もほとんどない。街全体が品行方正になって、「早寝&早起き ☞ 朝御飯」の世界に変わっちゃったのだろうか。それとも、団体ツアーのタイムテーブルが立て込みすぎて、とても夜遊びどころじゃないんだろうか。

 12時の鐘にせかされるからこそシンデレラのお話は盛り上がるのだが、12時の鐘が鳴り響く頃には、街に残っているヒトはほとんどナシ、みんなもうとっくにベッドでスヤスヤ。うーん、これほど品行方正では、ヴェネツィアの夜の魅力が半減してしまいそうで、クマ助は心配である。

1E(Cd) Joël Cohen:L'HOMME ARMÉ
2E(Cd) Joël Cohen:L'HOMME ARMÉ
3E(Cd) Solti & Chicago:HÆNDEL/MESSIAH②
4E(Cd) Solti & Chicago:BEETHOVEN/SYMPHONIES4/6
5E(Cd) Solti & Chicago:BEETHOVEN/SYMPHONIES 5/6
total m110 y2221 d15151
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