2014年12月26日(金)

Tue 141202 海岸線を車窓から楽しむ ミラマスまでカランクの連続(夏マルセイユ滞在記3)

テーマ:ブログ
 地図帳を開いて、「この海岸線を列車で旅したらキレイだろうな」と想像する。小学生のころから今井君にはそういう趣味があった。昭和の北海道には、その趣味を堪能させてくれる列車がたくさん走っていて、知床半島の付け根の斜里町から北海道最北端の宗谷岬まで、延々と列車の旅を楽しんで学部生活を締めくくった。

 斜里からは、釧網本線で網走へ。湧網線に乗り換え、能取湖とサロマ湖を眺めながら中湧別まで。ここから名寄本線に入り、紋別・渚滑を経て興部(おこっぺ)へ。興浜南線で雄武(おむ)までは、眼下のオホーツク海が美しい。流氷の真っただ中であった。

 雄武でいったん鉄道が途切れるので、北見枝幸までバス。北見枝幸からは興浜北線と天北線経由で稚内まで。斜里から稚内までいったい何時間かけて北上したのか記憶にないが、途中どこかの町で1泊か2泊して、ほうほうの態でたどり着いた。いやはや、マコトに暢気で楽しい旅だったが、20世紀終盤に鉄道はほとんどが廃線になってしまった。
13544 カランク1
(ローカル線の車窓からマルセイユ湾を望む 1)

 青森から秋田への日本海岸を行く五能線も大好き。弘前でお弁当を2つ買って、まずは進行方向左に座る。どこまでも広がるリンゴ畑の向こうに岩木山がそびえ、川部 ☞ 五所川原 ☞ 木造(きづくり)あたりまでは、まさに太宰治の世界である。

 1つ目のお弁当を食べ終わって岩木山が遠くなったころ、座席を進行方向右にかえると、鯵ヶ沢あたりからいよいよ楽しみにしていた海岸線が始まる。真冬には、日本海の波に飲まれるんじゃないかと思うほど海が近い。

 ここでお弁当の2つ目を開けて、陸奥岩崎 ☞ 十二湖 ☞ 秋田県に入って岩館海岸を過ぎるまで、延々と続く峻厳な岩浜を眺めながら行く。旨い酒があればもっといい。終点の東能代に着く頃にはちょうど日が暮れて、お酒もちょうどよく回っている。

 満月の夕暮れには、湖西線の旅もいい。琵琶湖の向こう側に満月が顔を出す頃、敦賀から電車に乗り込み、赤みを帯びた満月の光が湖にゆらゆらが反射する光景を満喫しながら、京都を目指す。

 逆ルートでもいいが、ちょうど通勤時間帯にあたるので、京都発の電車は大混雑、あんまり旅を楽しむ雰囲気ではない。北の始発駅・敦賀から、やっぱりお弁当を買い込んで、琵琶湖が見えてくる頃にはもうお弁当を食べ終わっているぐらいがいい。お酒のほうは、京都に着いた後でいくらでも、優雅に楽しめるはずだ。
13545 遠景1
(ローカル線の車窓からマルセイユ湾を望む 2)

 さて、そういう趣味は外国を旅していても当然ムクムク湧き上がってくるので、マルセイユに到着してすぐの今井君は、「では早速『コートブルー線』の旅をしてこよう」と思い立った。

 「コートブルー線」というのは、あくまでガイドブック的ネーミングに過ぎないので、「青い海ライン」などという軽薄な名前は、正式名称でも何でもない。地元のヒトしか乗らない地元のヒトのための電車であって、海水浴シーズン以外はガラガラのローカル線である。

 マルセイユから終点ミラマスまで、1時間半ほどの旅。これを往復して、暑かったマルセイユ初日を締めくくろうと思う。午後2時、マルセイユ・サンシャルルの駅にたどり着き、目指すローカル電車を探した。

 駅舎の中は、10年前とは比較にならないぐらい整備された。キップの自動販売機もズラリと並び、昔みたいに「どれもこれも故障中」ということはない。人々も安心して自動販売機を操作している。

 ただしやっぱり「日本並み」は期待できない。自動販売機のタッチパネルは反応が恐ろしく悪いし、どの列車がどのホームから出るのかが発車寸前まで知らされなかったり、いきなり発車番線が変更されて乗客の大群が一斉にホームを走り出したり、今もなお数多くのスッタモンダが続いている。
13546 ローカル列車
(ローカル線は、まだこんなタイプの電車である)

 今井君の乗るローカル列車は、何しろメッタヤタラにローカルな存在であるから、駅の一番端っこの短いホームから出る。わずか4~5両の編成なので、端っこの短いホームで十分なのである。

 往路は進行方向左、復路は進行方向右が海岸線。車窓からコートダジュール西端の青い海を楽しむのであるが、電車に乗り込んでもまだ安心はできない。諸君、日本以外のどこの国でも気をつけなければならないのは、「車窓が言語道断に汚れている」ということである。

 車両の清掃がキチンキチンとなされているだけでも、日本はホントに素晴らしい国である。ド派手な落書きで塗りつぶされて「もう諦めました」という状況の車両は、先進国でも珍しくない。落書きは窓のガラスだって容赦しないので、外がちっとも見えないことだってあり得るのだ。「大量の昆虫の死骸が付着」などという恐ろしい窓だって存在する。

 できるだけキレイな窓の座席を慎重に選んで、これでやっとヒト安心。大きく揺れながら駅を出た電車は、まずセザンヌが愛したレスタックの町を目指す。港町の赤い屋根の向こうに青いマルセイユ湾が広がり、さすがに多くの画家たちを引きつけただけのことはある。
13547 カランク2
(深い入り江を「カランク」と呼ぶ)

 ここから、車窓はカランクの連続になる。諸君、今回の旅のキーワードは「カランク」と「カマルグ」である。カランクは「入り江」、カマルグは「湿原」であるが、石灰質の白い岩浜に深く切れ込んだ海をカランクと呼ぶ。深い青と緑、コバルトブルーの海水が美しい。

 一方の「カマルグ」は、マルセイユからさらに西に進み、ローヌ川の河口が2つに分かれたあたりに出現する大湿原である。微生物が大量発生して湿原はピンクに染まり、たくさんのフラミンゴが飛来して、湿原はさらに濃いピンクに染まる。

 レスタックから1時間ほど、左の車窓は美しいカランクが連続する。やがて大きく右にカーブすると、今度はカマルグの東端としてよいベール湖が車窓右に展開。確かに湖は薄赤く染まって、奇怪な姿で波打っている。

 ミラマス到着、16時。ただし、ミラマスの街には何の用事もないし、駅前を見渡しても、ちょっと休んでいけるカフェすら見当たらない。要するにここは郊外の静かな住宅地であって、観光客の立ち入るような場所ではないのである。
13548 遠景2
(レスタック付近の夕景。マルセイユ港には、チュニジアやアルジェリアからの大型フェリーが次々とやってくる)

 そこで、すぐに今来た道を引き返すことにして、ミラマス始発の電車でマルセイユを目指す。いやはや、困った乗り鉄ぶりであるが、ここでボヤボヤしていると、次の電車まで1時間、ガランと静まり返ったミラマス駅前で茫然と立ち尽くすことになる。

 復路は、夕暮れの赤い光に染まったカランクを眺めながら行くのだから、往路とは趣きも全く違っている。赤い屋根はますます赤く、海の色はやや紫に染まって、穏やかな夕焼けの中をチュニジアに向かうフェリーがゆく。

 目の前の海の向こうはアフリカであって、遥かな昔にはこの海を海賊船が跋扈した。今はすっかり穏やかなマルセイユの港に、アルジェリアやチュニジアの大型フェリーがたくさん停泊していても、ちっとも不思議はないのである。

 マルセイユ着、18時。日没は20時だから、街はまだまだ明るい。駅前から20分の道のりを、旧港経由でホテルまで歩く。駅前の治安は昔からマコトに評判が悪いが、そのあたりのことはまた明日の記事で詳しく書こうと思う。

1E(Cd) Jandó:MOZART/COMPLETE PIANO CONCERTOS vol.3
2E(Cd) Jandó:MOZART/COMPLETE PIANO CONCERTOS vol.4
3E(Cd) Jandó:MOZART/COMPLETE PIANO CONCERTOS vol.5
4E(Cd) Jandó:MOZART/COMPLETE PIANO CONCERTOS vol.6
5E(Cd) Jandó:MOZART/COMPLETE PIANO CONCERTOS vol.7
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