2014年09月20日(土)

Wed 140827 船は欠航 路線バスとツワモノたち お馬か自転車か(おらんだ先生訪問記37)

テーマ:ブログ
 ロッテルダムから「金出る大工」には、船でプカプカ向かうのが一番ラクそうだ。ロッテルダム中央駅から地下鉄に乗って2駅、ルーフェハーフェンの駅で下車。地下鉄があまりに21世紀的であるのに度肝を抜かれながら、地上に出て桟橋を探した。
 ところが諸君、何しろ畏れ多い「金出る大工」であって、暢気なクマどんなんかがカンタンに接近できるほどの気楽な街ではない。桟橋に着いてみると、掘ったて小屋みたいな事務所に「本日は運航いたしません」の小さな貼紙がある。
 空は快晴、風も微風で、突然の欠航には首をひねるしかない。しかしとにかく「欠航」なんだから、やむを得ないものはやむを得ない。
「前触れもなくいきなり欠航」
「手書きの文字の小さな貼紙がナナメに貼ってあるだけ」
「特に謝罪のコトバもなし」
というあたり、何となくイタリア的な対応だが、とにかくこの段階で「お船でプカプカ」という夢は諦めざるを得なくなった。
乗船券売場
(ロッテルダム→キンデルダイク行きお船の乗り場)

 地下鉄があれほど近未来的で、宇宙ステーションを思わせるほど未来の匂いがプンプンしているのに、こういう場所には20世紀南欧の暢気な気分が残っている。まさにこの辺がオランダの楽しいところ。宇宙ステーションの静謐と、昔の南欧の喧噪がフシギにブレンドされて、思わず微笑を誘う。
 仕方がない。お船が欠航でプカプカ行くのが無理となれば、直ちに次善の策を考えるしかない。今井君はすぐに地下鉄に戻って、ロッテルダム南駅(Zuidplein)まで15分ほど南下。南駅前のバスターミナルから乗合の路線バスで金出る大工を目指すことにした。
 バスは、90番。ロッテルダム始発 ☞ ユトレヒト行きのウルトラ♨ローカルバスであって、南駅での待ち時間が1時間近くある。駅前は閑散として、地元のヒトビトのためのスーパーが1軒あるぐらい。ホントにこれで世界遺産キンデルダイクなんかに行ってくれるのかどうか、甚だ心もとない。
 それでも、さすがに「いきなりお船が欠航」というだけのことはある。やがて、路線バス以外の選択肢がなくなった世界中の暢気な観光客が、バスターミナル周辺に集まってきた。一時は心配だったが、どうやらこの停留所でOKのようだ。
地下鉄
(ロッテルダム南駅に到着した地下鉄)

 集まってきた旅行者たちは、みんなツアーバスやコンダクターに全く頼らず、あくまで路線バスを乗り継いで、地元の人々とともに行動しようとする世界中のツワモノぞろいである。
 中国からの女子2人連れなんか、英語にさえ頼らず、他者との会話はスマホをかざして乗り切ろうとしている。スマホの画面の情報を指差しては「OK?」「OK?」と、ほとんど脅すような迫力で質問しまくっている。どうかとは思うが、ま、ピンチの乗り切り方としては間違っていないかもしれない。
 その点、日本人はどこまでも内気である。30歳ぐらいの日本人男子は、あえて今井君に近寄ってきた。手にしているのは「地球の歩き方」の類い。欧米系の人々は徹底的に活字だらけの難しそうなガイドブックだが、日本人だけは写真とイラストとハミダシ記事満載の、マコトにカラフルなガイドブックを小脇にかかえている。
「あのぉー、日本のカタですかぁ?」
「キンデルダイク、行きたいんですけどぉ…」
「このバスで、いいんですかぁ?」
というわけである。日本の若者諸君、いつまでもクマ蔵なんかに頼ってちゃダメだ、どんどん外国人にスマホを突きつけ、「OK?」「OK?」で何とか道を切り開いていきたまえ。
90番バス
(ユトレヒト行き、90番バスの乗り場)

 無事にバスは発車して、45分が経過。どこまでも続くオランダの荒れた湿地の向こうに、ついに20基ほどの風車の勇姿が見えてきた。運河につぐ運河、ススキやアシやガマのたぐいが生い茂る広大な湿地帯の連続。「世界は神が作ったが、オランダはオランダ人が作った」の一言を実感する一瞬である。
 いよいよクマどんも、世界中の旅のツワモノたちとともにバスを降り、オランダの荒れた湿原の中に歩みだす。居並んでいるのは、1740年ごろから250年、グルグル回り続けている風車ジーチャン諸君。「思えば遠くにきたもんだ♡」を実感する。
 風車は運河に沿って並んでいるから、見物するヒトは運河に沿ってひたすら真っ直ぐな道を、1時間ほど延々と歩いていく。「歩いていくだけじゃ退屈だ」というワガママな人たちは、バス停のすぐ近くに貸し自転車の店があるので、そこで自転車を借りて行けばいい。
キンデルダイク1
(この道をどこまでも真っ直ぐ行く)

 「馬」という恐るべき手段もある。おそらく貸し自転車で交渉すれば、自転車の2つの車輪の代わりにたくましい4本の脚のある立派なお馬を借りられる。春の風に吹かれてタテガミがなびくだろうし、大きな耳をヒコヒコさせながら、例の可愛らしい睫毛を伏せて、ヒヒンと挨拶もしてくれるだろう。
 快晴の運河の道を、お馬でパカパカ進んでいくのも悪くない。しかし、今井君は武田信玄や上杉謙信じゃないし、武豊でも森鴎外でもないから、残念ながらお馬を操ることはできない。諸君、森鴎外は朝も夕も勤務先に馬で通ったのである。いやはや、カッコいい。普段から武芸百般、怠けていてはこういう時に後悔する。
 「自転車は面倒、しかしお馬は無理」というヒトのために、ここにもまた「お船」という手段が残されている。ロッテルダムからはるばるキンデルダイクまでのお船を諦めたばかりだから、今井君は「せめてこの運河だけでもお船で回ろうかな」「お船から運河を眺めるのもいいな」と考えた。
キンデルダイク2
(馬で行くヒト、自転車の人々)

 でも諸君、チケットを買うのがまたメンドーだ。長蛇の列に耐えなければならない。中国からの人々は、意地でも集団で行動する。チケットを求めてツアー集団の後ろに並べば、おそらく15分はかかりそうだ。
 せっかくポカポカ暖かく晴れて、春のそよ風にたくさんの小鳥が舞う風景が広がっているのに、15分も30分も列に並んで船に乗るなんて、何となくバカげているじゃないか。
 まだ他に「ローラースケート」という奥の手もあるらしいが、さすがにクマどんにローラースケートは無理でござる。カリフォルニアのファストフード店員じゃあるまいし、ローラースケートで「ハーイ」「How are you?」「Wow!!」なんてのは、日本のツキノワグマには似合わない。
 以上の長い逡巡をへて、とうとうクマどんは「歩く」を選択。クマどんはテクテク歩きはじめた。周囲は一面の湿地、湿地ではたくさんの水鳥が子育てに夢中だし、気の立ったオスの鳥どうしで激しいケンカが始まっていたりする。そんな、マコトにのどかな春の午後であった。

1E(Cd) Barenboim & Chicago:TCHAIKOVSKY/SYMPHONY No.5
2E(Cd) Gergiev & Kirov:TCHAIKOVSKY/SYMPHONY No.6
3E(Cd) Argerich, Chailly & RSO Berlin:TCHAIKOVSKY/PIANO CONCERTO No.1 & RACHMANINOV/PIANO CONCERTO No.3
4E(Cd) Gergiev & Kirov:RACHMANINOV/SYMPHONY No.2
5E(Cd) Ashkenazy:RACHMANINOV/PIANO CONCERTOS 1-4 1/2
total m143 y1438 d14368
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