2014年08月24日(日)

Thu 140731 自称マイケル グロティウスと新教会とデンハーグ(おらんだサトン事件帖12)

テーマ:ブログ
 こうしてクマどんは、またまた久しぶりにオランダ旅行記に回帰してきた。ブログの上での今井君は、アムステルダムに到着して3日目、4月17日木曜日のデルフトを散策中。旧教会でフェルメールのお墓参りをして感激、感激ついでに運河沿いを歩いて、「おお、ここは映画『真珠の耳飾りの少女』の冒頭を飾ったあたりじゃないか」と、感激を2倍にも3倍にも高めたところであった。
 あまりの感激のせいですっかり忘れていたが、アムステルダムからデルフトに向かっていた電車の中で、今井君はマコトに奇妙な若者に遭遇した。年の頃なら20歳から22歳の間あたり。途中のライデン駅から乗り込んできたたくさんの大学生たちに紛れていた。
グロティウス
(デルフトは、「国際法の父」グロティウスの街でもある)

 ライデンは、16世紀から続く古い大学の街である。今井君は「大学街」と言ふ古風なものが大好きだから、シカゴでもシカゴ大見学に丸1日費やしたぐらいだし、マドリードからバスで1時間ちょい、サラマンカの街にも出かけてみた。サラマンカ大学は「スペインの京都大」という雰囲気。冷たい風の吹き荒れる日だったが、それでも十分に楽しかった。
 ニューヨークならコロンビア大とイェール大。ボストンならMITにハーバード。パリならもちろんソルボンヌ。トルコでもチャンとイスタンブール大学を見て、ついでに大学周辺をウロウロしているネコたちを撫でまくった。
 ロンドンならケンブリッジにオックスフォード、それぞれロンドンから電車で1時間かかるが、街を包み込む知的な空気に触れずにはいられないのである。そういう「大学詣」をやれば、もちろん大学近辺のパブに入ってタップリのお酒を満喫することも忘れない。
 だから今回も、「オランダなら当然ライデン大学」と決めていたのだが、予定では旅行終盤の4月25日以降に訪問するつもり。しかし諸君、ライデンからワラワラと乗車してきたたくさんの大学生たちの中に、どうしても今日中に書いておきたい人物がいた。それが、キレイなお花の鉢を抱えた「自称マイケル」である。
 なぜクマどんが「自称マイケル」と呼ぶのかと言えば、実際に彼が「自称マイケル」だったからで、他に意図も思惑も悪気も何一つない。電車に乗り込んでくるなり、いきなり英語で「I’m Michael♡」と名乗ったのであって、電車の乗客は全員「おお、自称マイケルか!!」と思ったはずである。
デルフト1
(デルフト、新教会の塔からの眺め)

 何と言っても特徴的なのは、そのマコトに爽やかな微笑み。悪意など全く感じられない。もっと正確に言えば「悪意っていったい何のことですか?」と無言で尋ねてくるような純粋な視線の男子である。はにかむような表情で、彼は乗客たちに花の鉢を差し出しながら「I’m Michael♡」と宣言するのだ。
 オランダの電車は、4人掛けのボックス席が多い。その4席のうち1席が空いているのを発見すると、自称マイケルは躊躇せず「よし、行ってみよう」と決意。満面の笑みで何度でも「I’m Michael♡」をやる。
 鉢を差し出されたほうとしては、「あわわわわわ!!」と反応するしかないので、カノジョと一緒に乗車していたオランダ男子も、慌てすぎてフテくされたような声で「Oh, you are Michael♨」と、ニッコリうなずきながら返すしかない。もちろんマイケルの答えは「Yes, I’m Michael♡」であって、その後にはマコトに気まずい沈黙が続くばかりである。
 メンドーなのでその後のやり取りは日本語で書くことにするが、「ボクはマイコー♡」「そうか、マイケルか」「そうです、マイコー♡」「で、マイコー、何か用かい?」「ボクはマイコー♡」「それは分かった。マイケルだということはよく分かった。で、何の用なんだ?」。こういう押し問答が続く。
 カップル男子が面倒くさくなってちょっと強めに出ると、マイコーはそれ以上の発言を諦め、次のターゲットを探しはじめる。同じことが4~5組続いて、車内の雰囲気もさすがに少し固まりはじめる。どうやら「ニンゲン、みな兄弟姉妹」☞「だからこの花を買ってください」ということのようである。
 最初はゼラチン状だった車内の空気が、カツンカツンと固い響きを上げて反響するぐらいに固くなった頃、電車はデン・ハーグを過ぎてデルフトに接近した。おお、今井君は「I’m Michael♡」の花を突きつけられずに済んだ。ホッと安堵の胸を撫でおろした瞬間である。
新教会
(デルフト新教会。足許に、グロティウスどんの黒い像が立つ)

 出だしがこんなふうだったから、「デルフトも、油断できないな」と周囲にキツい目を走らせながらの散策開始になった。旧教会→マルクト広場→市庁舎→新教会と回って、目の前に黒いコワモテオジサマの銅像を発見。おお、諸君、これこそデルフトの誇る「国際法の父」☞グロティウスどんの像である。
 グロティウスは、17世紀初頭の人。時はスペイン&ポルトガルの全盛期が終わろうとしていた頃であって、海上の覇権をめぐってオランダとイギリスとが激しく対立していた時代。日本が「オランダ先生に師事しよう」と決断を下す直前である。
 グロティウスもまたライデン大学の学生として出発している。さっきの自称マイケルがもしもライデン大生なら、立派にグロティウスの後輩なのである。グロティウスの主張は「海は国際的領域。海上で展開される貿易のために全ての国家は海を自由に使ってOK」というもの。おお、さすがに国際法の父でござるね。
ステンドグラス
(デルフト新教会の内部。ステンドグラスが美しい)

 というわけで今井君は、グロティウスどんと「自分撮り」で一緒に写真に収まろうとカメラを片手に四苦八苦したが、どうも旨くフレームに入らない。その様子を21世紀デルフトのオジサマがニタニタ笑って見ていらっしゃる。
「オマエ、そのヒトが誰だか知ってんのか?」
「偉い法学者で、天才的な哲学者でもあったんだぞ」
「日本人って、フェルメールの『真珠の耳飾り』しか知らないんじゃないのか?」
という風情である。
 このニタニタ顔に、今井君は少なからず憤然とした気分。オジサマを無視して、目の前の「新教会」の中に踏み込んでいった。ここにはグロティウスの墓もあり、ステンドグラスにもグロティウスが描かれている。
 しかしこの「憤然とした気分」がいけなかったのかもしれない。「プン!!」「プン!!」「プンプン!!」という苛立ちの中、クマどんは「よおし、塔にのぼってやろう」と決意。お馴染み、ヨーロッパの教会の塔の狭い階段を、グルグル&グルグル、いつ果てるとも知らずにのぼりつづけるハメに陥った。
デルフト2
(新教会の塔から旧教会を望む)

 あとで調べてみると、塔は高さ109メートル、石段の数は379段。うーん、バカなことをしたもんだ。昔の冷静無比な今井君だったら、「塔は下から仰ぎ見るべきもの」と判断し、閉所恐怖症のヒトなら間違いなく絶叫しそうな強い圧迫感と戦いながら、大汗を流して塔のテッペンまでのぼったりしなかったはずである。
 もちろん、テッペンからの眺望はスンバラスイ。吹き渡る春風の爽快さもまた格別である。正面には、フェルメールの眠る旧教会と市庁舎があり、はるかにロッテルダムやデン・ハーグの街まで一望できる。
 でも、「デン・ハーグ」って? 日本では「ハーグ」と呼んでいるが、オランダに来た途端にその前に冠詞「デン」がくっついて、Den Haagに変わる。さすがに国際法の父グロティウスの街に至近というだけあって、国際司法裁判所や国際刑事裁判所など、数多くの国際機関が置かれている。英語ではThe Hague、フランス語ではLa Haye、意地でも「定冠詞は欠かせない」ということのようである。

1E(Cd) Jandó:MOZART/COMPLETE PIANO CONCERTOS vol.10
2E(Cd) Jandó:MOZART/COMPLETE PIANO CONCERTOS vol.11
3E(Cd) Eschenbach:MOZART/DIE KLAVIERSONATEN 1/5
4E(Cd) Eschenbach:MOZART/DIE KLAVIERSONATEN 2/5
5E(Cd) Eschenbach:MOZART/DIE KLAVIERSONATEN 3/5
total m175 y1295 d14225
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