2014年05月28日(水)

Sun 140504 ルーアンでモネのマネもいい 文学も歴史も(ヨーロッパ40日の旅 拡大編2)

テーマ:ブログ
 ちょっとした文章に影響を受けやすい人は意外なほど多いので、例えば今井君が昨日のブログで「スケッチや水彩画を描く旅をしようじゃないか」と書いたら、かなり多くのヒトが「そうか、久しぶりに水彩の絵ぐらい描いてみようかな」と思い立ったはずである。
 さすがにイーゼルまでかかえて外国を旅するのは厳しいでの、ま、やっぱりスケッチブック程度である。しかし、せっかく外国で絵を描くのに、単色のスケッチでは寂しすぎる。水彩でかまわないし、ここは日本人の特権で、与謝蕪村みたいに「南画に挑戦」ということだってありうる。
 あくまでシロートとして絵を描くのだから、日差しがキツすぎる真夏は避けたほうがいい。それがスペインやポルトガルであってみたまえ、30分で暑さは耐えがたくなり、1時間で肉体は焦げてケムリがあがりはじめ、それでも意地になって2時間努力を続けたりすれば、もう命の保証はない。
 そういう時、今井君みたいに臨機応変ならいいのだが、臨機応変な人間を「怠け者、イヤならすぐヤメちゃうダメなヤツ」と批判&否定&非難するようなKUSO-MAJIMEな人物はマコトに危ないので、あっという間に熱中症&日射病で命の危機にさらされる。
大聖堂1
(ルーアン大聖堂。モネのお気に入りで、50歳を過ぎてから33枚の連作を描いた)

 イベリア半島に限らない。話は南イタリアでもギリシャでもシチリアでも同じなので、ギリシャで「Sunny」とは、マイナス要素のほうが大きい形容詞である。オープンカフェで日なたのテーブルにつけば、「そこのテーブルはSunnyだからヤメといたほうがいい」とウェイターが真顔で心配してくれる。
 だから、スケッチ旅行でも水彩画の旅でも、夏は決してオススメできない。ウルトラ臨機応変な今井君なんかは、ホントにこれ以上考えられない臨機応変グマであるから、3分か5分で臨機応変ダイアルが全開になる。
 「これは危険だ」「ヤメといたほうがいい」とは、「ビールが飲みたい」の同義語であって、おそらくスケッチブックには訳のわからない線が2~3本クッキリと描かれただけで、もう完全に終わりになりそうだ。
 その1日が終わるだけではない。「水彩画の旅」という企画自体が、最初の3分で全て帳消しになり、「無理はよくないよ」「ホントの勇気ってなんだったっけ?」「コマメに水分をとりましょう」と、絵筆も絵の具もスーツケースの奥深くにお蔵入りして、帰国のその日まで2度と姿を現さない。
大聖堂2
(ルーアン大聖堂 2)

 ならば、冬はどうだろう。寒さというのは意外に耐えやすいもので、兼好法師どんも徒然草55段で「家のつくりやう」を考えた時、「家のつくりやうは、夏をむねとすべし」「冬はいかなるところにも住まる」と、寒さに関してあまり心配する様子がなかった。
 例えば真冬の北フランス・ルーアンで、大聖堂の前に陣取ったとしよう。お腹にも背中にもホッカイロをタップリくっつけて、靴もポカポカに防寒、お手手もあったか手袋でしっかり包めば、もう「寒さなんかカンケーネー」というふてぶてしいクマに変身だ。
 毛糸のボーシの上からも、ロシアのヒトのかぶる例のモワモワ帽子。傍らのポットにはホカホカのオニオンスープかコーンスープ、お昼になったらフランスパンにスープを染み込ませてジュルジュルすする。こりゃ楽しそうだ。下手なピクニックよりずっと楽しい1日になるに違いない。
 しかし諸君、今井君が危惧するのは、余りに楽しそうなその予感なのである。ならば、赤ワインだって持っていきたい。赤ワインが2本も3本も傍らのバスケットに入っていれば、うーん、朝9時から絵筆を握ったとして、9時半にはそろそろ視線がバスケットのほうに向き始めるだろう。
大聖堂3
(ルーアン、ノートルダム大聖堂。黒い尖塔が印象的だ)

 目の前には、ルーアンの大聖堂。ここはモネが愛したことで有名な大聖堂であって、あとでちょっとグーグル先生に「モネ ルーアン大聖堂」と入力して質問してみたまえ。モネどんは、50歳から55歳のころにかけて、ルーアン大聖堂前の家の2階に住んで、ルーアン大聖堂をモチーフに30点以上の連作を描いた。
 諸君、「住んで」というのがモネの凄いところである。気に入れば、その主題の目の前に住む。5年住み込んで、気に入った対象を描き続ける。それが大聖堂であっても、大聖堂のストーカーみたいになって、ひたすら描き続けたのだ。
 「50歳から55歳にかけて」という年齢は、いかにもストーカーになりやすそうな感じであるが、夜明けの大聖堂、夕暮れの大聖堂、雪の朝の大聖堂、冷たい雨に打たれる午後の大聖堂、夜の雪明かりに包まれた大聖堂、とにかくあらゆる場面の大聖堂チャンを描きたい。そういう熱いストーカーぶりだったのだ。
 しかし我々は、あくまで旅の途中のシロートとして、大聖堂チャンを長い時間じっと目を凝らし、眺めつづけるヨスガとして絵を描くのである。モネどんみたいな熱意は何かのキッカケで冷めていく。傍らのバスケットにスープやパンや赤ワインが入っていれば、楽しいことこの上ないがやっぱり気が散りすぎる。
駅舎
(フランス国鉄、ルーアン駅)

 そもそも冬は、どんな風景でも色彩に欠けすぎていてシロートには難しい。では「秋は?」であるが、欧米の秋は日本みたいに鮮やかな赤や黄色に恵まれてはいない。
 日本だからこそ、平安の歌人たちでも「春と秋でどっちが好き?」という論争があり得るし、その場合にも秋のほうが春より分がいいという驚くべき結果になる。
 しかし欧米の10月とか11月は、重たく曇った空から冷たい雨が降り続き、北風も吹きつのって、「水彩画を楽しむ」という意欲を維持するのは困難。やはり狙い目の季節は、春から初夏にかけてということになる。
 どうだね諸君、受験生なら、第一志望に合格した直後の4月か5月に、ルーアンを訪ねてみないか。大学生のキミも、シューカツ中でまもなく決着がつきそうだというアナタも、来年の3月から4月にかけて、ルーアンでモネのマネをする2週間を過ごしてみないかね。
 「モネのマネ」なのか「マネのモネ」なのか、そこんトコロが分かんなくなりやすいのが印象派の弱点かもしれないが、モネの生活と熱意のマネをするだけなら、別に難しいことは1つもなさそうである。
 「絵には自信がありません」という諸君、ならば、ちょいと練習しておきなはれ。「絵が苦手」というのは、そのままにしておかないほうがいい。絵が苦手な人は、数学も苦手であることが多い。数学が苦手だと、思考も論理より感情に走りがち。そのままオトナになるのは、ケッコいろいろ問題が多い。
 ルーアンで絵を描いていて、好奇心旺盛な地元のヒトビトが集まってきたら、彼ら彼女らと会話を交わしてみるのもいいだろう。会話が苦しいのは、会話の材料があっという間になくなってしまうからであるが、絵を描きながらなら、会話に熱意がこもる必要はない。興味がなくなった野次馬は、向こうのほうからどんどん姿を消してくれる。
時計台
(ルーアンのシンボル、大時計)

 「それでも絵はイヤだ」というアナタのために、ルーアンは文学と歴史もまたマコトに豊かである。何しろここはジャンヌ・ダルクが火刑の犠牲になった街であり、14世紀から15世紀の町並みがそこここに残っている。大昔の木組みの建物を眺め、街のシンボルである大時計を見上げて過ごせば、2週間ぐらいは瞬く間に過ぎる。
 文学に関しても、ルーアンはフロベールの街である。「フロベールって、だあれ?」というヒトは問題外として、「ボヴァリー夫人」はルーアンで始まり、ボヴァリー夫人はルーアン近郊の小さな町で、若い男との不倫と、果てしない借金にまみれ、やがて白い粉の毒薬を嘗める壮絶な自殺に追い込まれる。ルーアンには、そのフロベールの記念館も存在する。
 パリ・サンラザールの駅から、ルアーブル方面行きの電車で1時間あまり。あの時の今井君は日程に日帰りの余裕しかなかったから、昼前にサンラザール駅を出て、夕暮れにはもうパリに帰ってこなければならなかった。
 どこまでも続くブドウ畑に、要所要所で深緑のセーヌ河が姿を見せる車窓は絶品。やがてぶどう畑の遥か向こうに、ノートルダム大聖堂の尖塔が見えたら、それがルーアンである。塔の高さ192メートル。大聖堂は11世紀の創建で、何と1000年の歴史を誇る教会である。

1E(Cd) Bernstein:HAYDN/PAUKENMESSE
2E(Cd) Bernstein:HAYDN/PAUKENMESSE
3E(Cd) Holliger:BACH/3 OBOENKONZERTE
4E(Cd) Holliger:BACH/3 OBOENKONZERTE
5E(Cd) Haydon Trio Eisenstadt:JOSEPH HAYDN:SCOTTISH SONGS 3/18
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