2014年05月08日(木)

Mon 140414 グラース フラゴナール ポンパドゥール(ヨーロッパ40日の旅 拡張編3)

テーマ:ブログ
 ツキノワグマそっくりな体型のクセに「コートダジュールに滞在しました」「プロヴァンスの夏はよかったですよ」みたいなことをナマイキにも口走ってみると、日本中どころか世界の隅々から、冷笑なり失笑なりが聞こえる気がする。
 冷笑は「たっ!!」とか「てっ!!」かもしれないし、「ぷっ♡」や「ひゃっ♨」かもしれないが、とにかく「クマ体型やサトイモ頭に南フランスは似合わない」という先入観があるんだから仕方がない。ガンコな先入観に支配された人たちに「いやいや、その先入観は間違っていますよ」と理解させるのは、トマトが大嫌いな今井君にトマトを食べさせる以上に難しいのだ。
 しかし諸君、20歳代後半から30歳代前半にかけての10年で、美術館にのべ1000回も通った今井君だ。週末に2回=1年100回なら、ごく自然に10年で1000回。そんなに難しいことじゃない。その今井君が南フランスに滞在すれば、親しいヒトビトは「おお、さすが今井だ♨」と、唸り声ぐらいはあげてくれるはずだ。
 南フランスにゆかりの芸術家は多い。まずゴッホであり、野獣派(フォービズム)のアンリ・マティスであり、セント・ヴィクトワール山を描きまくったセザンヌに、晩年をアンチーブの古城で過ごしたピカソである。
海1
(ニースの海。ホテル9階から)

 こうして天才たちの名前を並べてみると、クマ蔵に関係のありそうなのは「野獣派」ぐらいのモノであるが、滞在中のニースには「マティス美術館」なんてのもある。曇りがちの北フランスで生まれたマティスが、こんな青い明るい海のそばで暮らしてどれほど躍動的な幸福を感じたか、北国生まれのツキノワグマどんは、痛いぐらいに理解できるのである。
 ゴッホ君は、プロヴァンスのアルルで「ひまわり」を描きはじめた。弟のテオに手紙を書いて、「オニーチャンは今、マルセイユの人がブイヤベースを食べる時みたいに張り切って、ヒマワリの絵を書いています」とその意気込みを語ったことは有名だ。
 マルセイユとブイヤベースについて、このブログでも約1週間後に詳説するけれども、うーん、このクマ蔵もマルセイユのブイヤベースが大好き。日本のレストランで食べる高級ブイヤベースじゃなくて、ドンブリみたいな器にたっぷり盛られた豪快ブイヤベースでなければならない。
 もしもホントにゴッホどんが「マルセイユのブイヤベース♡」を思い浮かべながらヒマワリを描きはじめたとすれば、その熱情はたいへんなものである。ましてやこの時、ゴッホ君はゴーギャンの到着を待ちわびていた。ゴドーじゃなく「ゴーギャンを待ちながら」という心境で、真剣にヒマワリに向き合うゴッホ。いやはや、これ以上に感動的な姿は、クマ蔵には想像できないのである。
海2
(西の方向の海を望む)

 しかし諸君、ニース滞在3日目の今井君は、マティスでもゴッホでもセザンヌでもなく、フラゴナールに惹かれてグラースの街に出かけることにした。ニースから500番のバスで1時間半、グラースは香水で有名なプロヴァンスの街である。
 グラース産の香水の名前にもなっているフラゴナールは、うーん、まあ美人画で知られている。フランスで美人画と言えば、すぐに「ああ、ポンパドゥール夫人ですね!?」とワケ知り顔でニヤニヤする人もいるぐらい、ポンパドゥール夫人は有名だ。
 しかし諸君、ポンパドゥール夫人を描いた代表格はブーシェとナティエである。今井君がまだ物凄く若かった頃、東京で相次いで「ブーシェ展」「ナティエ展」が開催された。特にナティエの描いたポンパドゥール夫人には、日本のオジサマがたの中にもファンが少なくないと思う。
 ま、読み終えた後でググってみたまえ。まず、ブーシェのポンパドゥール夫人。続いてラ・トゥールのポンパドゥール夫人。日本で突如としてラ・トゥールの大ブームが起こったのは、ホンの3~4年前だったことも、ついでに思い出していただきたい。いやはや、日本の人ってホントにブームに飛びつきやすい国民であるね。
虹
(手に取れるほど間近に、大きな虹がでた)

 そして最後にナティエの描いたポンパドゥール侯爵夫人まできて、「ああ、なるほど♡」と多くの人が納得するはずだ。18世紀のこの女性、銀行家の娘に生まれて、17歳で結婚。夫がいる身でありながら、24歳で国王ルイ15世の愛妾になった恐るべき女性である。
 少女のころから、その才媛ぶりはフランスで知らぬ人もないほど。国王の愛妾となった後は、政界の実力者も、文化人や知識人の多くも、その美貌と才知で次々と虜にし、フランスの内政も外交も文化も思うがままに操った。今井君が大好きな「経済表」の重農主義者ケネーは、この女性の主治医を務めていた。
 画家ブーシェも、この女性を描いた。グラース生まれのフラゴナールはブーシェの弟子であるから、ブーシェやナティエの描いたポンパドゥール侯爵夫人の肖像にかなりの影響を受けたはず。フラゴナールのパパは女性用革手袋を作る業者だったから、グラースの香水がタップリ染み込んだ革手袋が、贈り物としてポンパドゥール夫人の手許を飾っていた可能性だって十分だ。
香水売り
(グラース、香水売りの少女の像)

 今井君としては、「マティスもゴッホもいいけれど、ニースはどこの美術館もウルトラ超満員。むしろ鄙びたグラースの街あたりまで行って、フラゴナールの香りでもクンクンやってこよう」と考えたのであった。
 この場合、「フラゴナールの香り」というコトバにはいろんな意味があって、グラースを代表する香水メーカーは「フラゴナール」だから、その香りをかいでくるのが、まず第一義である。
 「似合わねー!!」という絶叫を覚悟で言えば、クマ蔵は意外に香りにウルサイので、タバコや酢や火薬のニオイを極端に嫌悪するのと同様に、石鹸やシャンプーの香りは大好き。高級ホテルに宿泊するたびに、アメニティとしてサービスされるロクシタンやフラゴナールのシャンプーや石鹸を、必ず全部カバンに詰めて持ち帰る。
 そういう「香りグマ」をもって自ら任じているので、グラースに到着するとすぐにフラゴナールの香水工場を見学した。まさに「似合わねー!!」もいいところであるが、諸君、固定観念は脇に置いて、とりあえず明日の午後にでも素直に手許の石鹸の匂いをかいでみたまえ。クマどん同様の匂いマニアになること請け合いだ。
グラース
(グラース。丘の斜面の穏やかな町である)

 グラースは小さな町だから、他にすることはほとんど見当たらない。香水の匂いに疲れたら、広場のカフェでのんびりビールを楽しむ。どういうわけかプロヴァンス名物は「セミ」であって、どこの土産物屋でもセミの置物がズラリと並んでいるから、店を冷やかしていろんなセミをつまんでみるのも悪くない。
 しかし諸君、「ぶらんこ」や「かんぬき」、「読書する娘」や「ヴィーナスの誕生」で名を残したフラゴナールどんが、丘の斜面のこんな穏やかな村で、こんな気持ちのいい風に吹かれて育ったのだと思いながら、無意味に街をぶらつくのが一番楽しい。旅でも放浪でも、一番の楽しみは実はその無意味さにあるのである。

1E(Cd) Schreier:BACH/MASS IN B MINOR②
2E(Cd) Bernstein:HAYDN/PAUKENMESSE
3E(Cd) Bernstein:HAYDN/PAUKENMESSE
6D(DMv) MARCELINO PAN Y VINO
total m71 y537 d13467
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