2014年04月22日(火)

Sat 140329 眺めのよくない部屋 イタリアに行かなくなった訳(ヨーロッパ40日の旅16)

テーマ:ブログ
 2月23日、ヴェネツィアでの宿泊は「LUNA BAGLIONI」。イタリアに入ってからはホテル代が高くつくので、オカネをジャブジャブつかう贅沢旅行にしないためにも、予約するホテルにもずいぶん神経をつかった。
 チェックインしてみると、ベッドと壁の間をカラダを平たくしてすり抜けなければならないような、マコトに狭苦しい部屋であった。ヴェネツィアの海も大運河(カナル・グランデ)も見えない。小さな窓を恐る恐る開けてみると、目の前にあるのはお隣のホテルの汚い壁だけである。
 こういう経験を後になってから友人に話すと、「今井はカネならいくらでも持ってるんだから、もっと高級なホテルに泊まればいいじゃないか」と苦笑される。
 確かに「カネなら」いくらか持っている。そのぶん「地位」「学歴」「才能」「知性」はあんまり持ってないので、持っているのはマコトに中途半端なカネぐらいのものであるが、だからこそそのカネを贅沢に垂れ流すようなダラしないことはしたくない。
リアルト橋1
(ヴェネツィア、リアルト橋)

 今回の旅には、ホンの少し「放浪」の要素を加えたかった。旅には終わりがあり、最終目標は無事にオウチに帰り着くことである。放浪にも終わりがあるだろうが、その終わりがいつなのか、最終目的地がどこなのか、ハッキリ定まっていない。
 放浪性がさらに高まって「彷徨」「流浪」ということになれば、それはもう悲劇の色合いが濃すぎて、今井君ほどの年齢になれば、あえてそういうレベルの放浪を求める必要はないが、あの40日の旅の時は「オレはまだ若いんだ。少々の放浪ぐらい、もう1度やってみたいじゃないか」という自負があった。
 その自負をなくしてしまうと、まずオカネを惜しげもなくつかって超高級ホテルに宿泊するようになり、食事も「行き当たりばったり」がイヤになって超高級レストランに予約を入れるようになり、出発前に日本で全ての旅程を決めてしまわないと、不安で不安でならなくなる。
 その辺をうまく利用していまだに続いているのが、日本独特のパックツアーである。早朝から深夜までありとあらゆる旅程を決めて、決められたレールの上を走るだけにしてしまえば、不安なんかちっともない。日本人のガイドさんがついてヒトの群れを急きたて急きたて、最後に「一路帰国の途へ」と、旅の最終目的地に追い込んでいく。
 21世紀の若い人たちなら、「そんなの旅じゃない」と誰でもハッキリ宣言すると思う。レールなし、助けてくれる人もなし、宿泊も行き当たりばったりで、毎日の予定もほとんど決めていない。それを自由というので、ホンモノの自由な旅にはどうしても若干の放浪性が必要なのである。
リアルト橋2
(リアルト橋、拡大図)

 もっと話を大きくすれば、今井君の生き方そのものにも、放浪性がかなりの濃度で混入していると言っていい。せっかく有名大学を卒業して就職した大企業を、唖然とするほどカンタンにヤメてしまった時、サト助はまだ20歳代後半。「これからどうするの?」「この後は何を目標に生きるの?」という周囲の問いに、「何の予定もないし、目的地も決まっていない」と答えるしかなかった。
 そして実際、その後もほぼ放浪チックな人生が続いてきたのである。年上の人々ばかりではなく、ずっと年下の若いヒトビトにさえ、「腰が定まらない」「落ち着きがない」と叱られ続けているアリサマである。
 だからこそ、8年勤めた代ゼミをヤメてしまった段階で、疑似放浪としての40日の旅を決行しておきたかった。あの段階で「年齢的にもうそろそろ放浪的な生き方はヤメにして、しっかり腰を落ち着けたい」というボンヤリした欲求があった。要するに「年をとった」ということである。
 自分の中にある放浪への志向を、旅という形で発散させるのはなかなか優れた手法である。あの40日の旅を終えた後も、今井君は1年に3回、1回につき15日のペースで世界中を歩き回っているが、放浪志向の発散という意味では、少なくとも今日までは実に見事に機能しているようである。
運河1
(リアルト橋からの夕景)

 最近イタリアに足が向かなくなったのも、そのあたりに理由があるのかもしれない。2008年の北イタリアとコモ湖の旅以来、イタリアに入ったことがない。もちろん、昨日書いた通り「ビールがヌルい」ということもあり、アリタリア航空の経営危機で「いつ運航が止まるか分からない」という恐怖もあった。
 さらに、せっかく貯め込んだアリタリア航空の13万マイルを、アリタリア側からの一方的な通告でゼロにされちゃったイヤな経験もある。2008年だったか、2009年だったか、アリタリアのHPに「ミッレミリア・プログラムが新しくなります!! 今までお貯めになったマイルは、○月△日までに使い切ってください!!」と、恐るべき通告が出たのである。
運河2
(ヴェネツィア、イゾラ・ディ・サンジョルジョ・マッジョーレ)

 しかしそういうこと以上に、「イタリアは見るべきMustが決まりすぎている」ということがあると思う。「これを見なきゃ」「見るべきものはこれとこれ」「行くべき場所はココとココ」。それがあんまり強烈に決まりすぎているので、サト助みたいにブラブラ行き当たりばったりに歩き回りたいタイプのクマにとっては、旅が何となくやりにくいのだ。
 フィレンツェなら、大聖堂とウフィツィ美術館とポンテ・ヴェッキオ。ローマなら、コロッセオとフォロ・ロマーノとサンピエトロ。そんなにビシバシ決められちゃったら、放浪の要素も旅の自由も喜びもなくなって、むしろそれは「見学」に近い。
 日本人の多くは見学が好きだから、ツアーバスからドヤドヤ降りてきて、ガイドさんのコトバから役立つことをいろいろ学び、満足して嵐のように帰っていく。中国の人々も、今のところそういうツアーと忙しい見学が大好きのようである。
ゴンドラ
(ゴンドラ。サン・ザッカーリア付近で)

 しかし若い諸君、諸君の旅は見学ツアーであってはならない。見学ツアーなら、学校の場で毎日のようにやっている。旅に出たら、安全の確保された学校的見学から一歩外に踏み出して、地下鉄に乗り、乗合バスを利用して、自由に放浪して回りたまえ。宿泊なんか、ユースホステルで構わないじゃないか。
 ま、以上のようなわけで、2月23日の今井君はお隣の壁しか見えない狭苦しい部屋で十分に満足。カナル・グランデとアドリア海については、別に目に見えていなくても、水の匂いとゴンドラの櫂の音で感じればいいのである。

1E(Cd) Michael Davis:MIDNIGHT CROSSING
2E(Cd) Michael Franks:THE ART OF TEA
3E(Cd) Michael Franks:DRAGONFLY SUMMER
4E(Cd) Michael Franks:1988-INDISPENSABLE
5E(Cd) Santana:EVOLUTION
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