2014年04月14日(月)

Fri 140321 洗濯の苦闘 雪の中のバーチャン ニンフェンベルク(ヨーロッパ40日の旅8)

テーマ:ブログ
 2月16日、大雪の予感から一夜が明けて窓を開け放ったサト助は、予想を遥かに上回る大雪に度肝を抜かれることになった。まさに見渡すかぎりの雪景色。見るからに重そうな雪が、今もなお灰色の空からボタボタと落ちてくる。
 ただし、「見渡すかぎりの雪景色」という表現には誤解を呼ぶものがあって、「見渡すかぎり」も何も、サト助のホテルのお部屋の窓から見えるのは、マコトに狭苦しい中庭だけである。しかしその中庭にも、湿気の多い雪が分厚く降り積もっていた。
 お部屋の中は暖房が効きすぎて、不必要に暖かい。そこでまずサト助はたまってしまった洗濯をやってしまうことにした。「こんな雪じゃ、出かけるも何もあったもんじゃない」という口実が出来たので、今日は1日部屋のなかでヌクヌクしていようと考えたわけである。
 シャツも下着も5組ずつしか持ってこなかったから、そろそろ洗濯に取り組まなきゃいけない時期になっていた。スーツケースを引きずってはいたが、この40日の旅のサト助は、十分に「バックパッカー」と言ってよかった。
大雪
(大雪のミュンヘン。ドイツ人の若者も悪戦苦闘していた。後述の「バーチャン」はこの雪のカナタから現れた)

 洗濯は、最初のうちは小さな洗面台にお湯をためてやっていた。しかし諸君、Tシャツ4枚にパンツ4枚、靴下4足にワイシャツ2枚、この分量をこんな小さな洗面台で洗濯していたら、一向にラチがあかない。洗ってはすすぎ、洗ってはすすぎ、そんなことの繰り返しで、結局まるまる1時間かかってしまう。
 そこで旅の後半から、サト助どんは「浴槽で足踏み洗い」という行動をとることにした。浴槽にお湯を浅く張って洗剤を溶かし、そこに洗濯物をドサドサ投げ込む。あとは諸君、麦踏みの要領で2分間ほど、丁寧に体重をかけながら踏み洗いするのだ。
 この状況、なかなか他人に見せられるものではない。パンツ一丁のオジサマが、浴槽の中で嬉しそうにニタニタしながら洗濯物を踏んでいく。時には「マッパ」という恐るべき姿のことだってある。
 2分踏んだら、次は「すすぎ」であり、浴槽に浅く新しいお湯を張る。今井君はマコトに丁寧なオジサマだから、すすぎは3回。丁寧にしぼってから、日本から持参した小物干し2つに分けて干す。この方式に変えてから、洗濯にかかる時間は20分程度に短縮できた。
フクロウ
(トラム停留所で。深夜運行時刻表のフクロウさんがカワイイ)

 しぼりが不完全だから、乾くまで丸1日かかる。するとまたまた恐ろしいことに、例の「生乾きのニオイ」「チャンと洗わなかったフキンのニオイ」が漂いはじめる。
 真冬でもこうなんだから、夏の旅行では「こりゃ雑巾くさいですな」と自分でもハッキリ認識できるほどになる。いくら「陰干し用トップ」みたいな洗剤を使ったって、生乾きのニオイから完全に逃れられるものではない。
 そこで今井君は、①熱湯作戦と、②バスタオル作戦の2つを開発した。熱湯作戦は、文字通りポットの熱湯を使用する。臭くなってしまったTシャツを洗面台に突っ込んで、100℃にグラグラ煮えたぎる熱湯をぶっかける作戦だ。そのまま15分も放置すれば、ニオイのもとの雑菌なんかみんな死滅してくれる。
 バスタオル作戦のほうは、すすぎの済んだ洗濯物を余分なバスタオルでくるみ、2分ほどしっかり踏みつける作戦。バスタオルが水分を吸い取ってくれるので乾きが圧倒的に速い。雑菌がはびこる余地がなくなるわけだ。
 大学に入学して(または予備校生活が始まって)1人暮らしを始めた諸君。特に男子諸君、いろいろこんなバカな工夫を重ねてみて、早く都会の生活に慣れてくれたまえ。
冬景色
(大雪の中のニンフェンベルク城)

 そうは言っても、まさかミュンヘンの3日目を洗濯だけで費やすわけにはいかない。11時までそんなことをして、もうお昼近くになった頃、まるで冬眠を邪魔されたクマみたいに、サト助は不承不承にノッソリ部屋を出た。今日はモリッツィオの姿も見えない。どこかで雪かきでもやっているんだろう。
 しかし大雪の中に出てみると、クマ蔵はいきなり楽しくてたまらなくなる。大雪の日は意外なほどに暖かいので、湿った雪を踏みながら歩いていくと、分厚いコートの中はあっという間に汗ばむほどになる。
 目指したのは、ニンフェンベルク城。近くの停留所からトラムに乗れば、30分ほどの道のりである。「こんな日にお城観光でもないだろう」と笑われそうだが、こんな大雪の日だからこそ、「妖精の城」という名のお城がますます深く記憶に残るんじゃないか。
夏景色
(初夏のニンフェンベルク城。2011年5月)

 誰もいない停留所でトラムを待ちくたびれていると、雪のかなたから小さなオバーチャンが現れた。いったいどこから現れたのか、見当もつかない。しかしありがたいことにオバーチャンは、東洋のクマに忠告にやってきてくれたのだった。
「バスに乗ったほうがいいよ。この雪じゃ、シュトラーセンバーンは動かないよ。いくら待ってもシュトラーセンバーンは来ないよ」
と、優しい声でゆっくりと教えてくれた。おお、トラムじゃなくてシュトラーセンバーン。なつかしい。あまりにもなつかしい。学部1年の春、ドイツ語の授業で出てきた単語である。
 しかしそのオバーチャンが立ち去ると、すぐにそのシュトラーセンバーンがゴトゴトあえぐようにやってきた。しかもツイていることに、ニンフェンベルク方面ゆき。サト助は迷わず乗り込んで、45分後には目指すお城の前に立っていた。
 お城は、白い雪原の遥か向こうに佇んでいる。雪の湿気が増してきたので、傘を差さないと濡れてしまいそうなほどであるが、お城の前のお堀では白鳥さんや鴨さんたちが寒そうに泳ぎ回っていた。
 この同じお城を、クマ蔵は6年後の初夏に訪れた。雪の日と晴れた初夏の午後とでは、同じ城でも印象があまりに違うのでビックリしたが、だからこそ大雪でも構わずにいろいろ行動したほうがいいのだ。
 ここはバイエルン国王の夏の離宮。17世紀に立てられた城がそのまま残っている。あくまで「夏用のお城」だから、真冬の冷え冷えとした空気の中ではやっぱりちょっと違和感がある。ルードヴィヒ1世が描かせ収集した大量の美人画で有名だが、絵の中の昔風の西洋美人たちもみんな凍えてしまいそうに見えた。
白鳥
(ニンフェンベルク城で。鳥たちも寒そうだった)

 帰りもやっぱりシュトラーセンバーンに乗った。真冬のドイツは、3時を過ぎるとすでに寂しい夕暮れの雰囲気。薄暗くなってきた大雪のミュンヘンで、クマ蔵は降りる駅を間違えてしまった。
 降りるべき停留所はマリエンプラッツ。実際に降りたのはマリアンヌプラッツ。マリエンとマリアンヌは、ドイツ語だとスペルもそっくりだ。まだミュンヘンに2日しか滞在していない旅行者なら、間違えても仕方がないだろう。
 それでもクマ独特の野生の嗅覚というのか、ブラブラ町歩きをするうちに、いつの間にか目指すマリエンプラッツにたどり着いていた。もちろん、トラムの線路をたどって行けばいいだけのことだが、「夕暮れの雪の街で道に迷う」というのも、深く思い出に残る経験である。

1E(Rc) Solti & Chicago:BRUCKNER/SYMPHONY No.6
2E(Rc) Muti & Philadelphia:PROKOFIEV/ROMEO AND JULIET
3E(Cd) Midori & Mcdonald:ELGAR & FRANCK VIOLIN SONATAS
4E(Rc) Walter & Columbia:HAYDN/SYMPHONY No.88 & 100
5E(Rc) Solti & Chicago:R.STRAUSS/DON JUAN ・ ALSO SPRACH ZARATHUSTRA・TILL EULENSPIEGEL’S MERRY PRANKS
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