2014年04月08日(火)

Sat 140315 マイネッケ ライプツィヒ お皿の上のいい加減(ヨーロッパ40日の旅3)

テーマ:ブログ
 2月10日の夕食は、ドイツ家庭料理の店「マイネッケ」。滞在中のホテル「ブランデブルガー・ホーフ」から徒歩5分、今考えればごくごく庶民的な店であって、緊張も遠慮も一切無用の居酒屋みたいな店であった。
 2005年のこの旅は、メシにはほとんどこだわらないというか、グルメとは余り縁のない40日間であったから、この旅行記でメシの話が出てくるのは、今回を入れて10回あるかないかである。時間がなければ電車の中でサンドイッチ、ビアホールでビアとソーセージ、そういう食事ばかりであった。
 しかし何しろ旅の初日である。若きサト助は張り切って「電話予約」というのをやってみた。今ではすっかり旅のベテランであって、電話予約なんてことは全くしなくなった。行き当たりばったりで「ここ、旨そうだな」というのが一番楽しい。
 万が一満席で断られたら、あっさり諦めればいいだけのこと。しかも、どんな有名店であっても、「えっ、満席ですか。困りましたね」と入口でウジウジ困り果てたパフォーマンスをやってみせれば、何とか入れてくれるものである。
 しかしあのころの今井君は、まだまだそういう境地には達していなかった。頑張ってドイツ語で電話して、「あと15分で行きます」と予約を入れてみた。「予約」というコトバだけでも、むしろ電話の向こうの緊張が分かったが、ついでに「ドレスコードはありますか? ジャケットとネクタイとか?」とクマ蔵が口走るに及んで、「それって何のことですか?」と聞き返された。
ライプツィヒ
(2月11日、ライプツィヒに日帰りの旅。ライプツィヒ中央駅は冷たい雨に濡れていた)

 あれから10年、今井君は世界中メッタヤタラに駆け回ってみたけれども、「ドレスコード」「ジャケットとネクタイが必要」というお店には1軒しか行ったことがない。それはロンドンのホテルリッツであって、「朝食でもドレスコードがあります」とチェックイン時に釘をさされた。
 その他はどんな有名店でも、要求されたのは「長袖のワイシャツとズンボ」程度。ましてやこの夜は、超庶民的なドイツ家庭料理の店だ。「それって何のことですか?」とビックリされるのも、ごく当たり前のことである。
 この日サト助が注文したのは、アイスバイン。豚のスネ肉を塩漬けにしたドイツ名物であるが、諸君、予測通りその量がものすごい。「これってホントに1人前?」と眉毛をつり上げて質問したくなるのは、豚のスネ肉だけではない。付け合わせのザワークラウトにジャガイモのクネーデルだって、とても人間が1回で食べきれる分量とは思えない。
 お隣のテーブルのダンナがニヤニヤしながら、「オマエ、やられたな」「とても食べきれないだろ、え?」という視線を向ける。確かに、このアイスバインのテンコモリ、こりゃ絶対に無理である。
 ましてサト助は「酢だけはカンベンしてください」というタイプ。酢のニオイを遠くに感じただけで気が遠くなる生物だ。こんな大量のザワークラウトを前にすれば、ただ一言「うげ」と絶叫するしかない。
 それでも大量のビアの助けを借り、1時間以上かけてこれを平らげた(全ザワークラウトを除く)。今井君はまだまだ素直なサトイモだったのである。いやはや諸君、しかしこれが40日も続くとなるとたいへんだ。早くも日本食が恋しくなって、思わずタメイキが出た。
ゲーテ像
(ライプツィヒ、雨に濡れるゲーテの像)

 とにかくお勘定をしてお店を出ようとすると、「いかにも旅慣れた」という感じの日本人女性2人組が向こうのテーブルについた。30歳代中頃か。「CREA」だったか、日本の旅行雑誌を開いて写真を指差し、ウェイトレスに「この料理が欲しい」「これはないのか?」と懸命に尋ねている。
 「なるほど、ああいうふうにやるのか」と、クマ蔵としてはポンと膝を打つ思いだったが、ウェイトレスの反応はマコトに冷たく「ありません」。呆気にとられる2人の様子を見ながら、サッサとお勘定を済ませて帰ることにした。
 いまはどうか分からないが、当時の「マイネッケ」ではクレジットカードなんか、もちろん使えない。車掌さんみたいな黒いカバンを下げたウェイトレスが店内を歩き回っていて、客からどんどん現金を集金して回るというシステム。このオネーサンのあまりの迫力に圧倒されるうちに、あっという間に店の外に押し出されていた。
 「車掌さんのカバン」と言っても、21世紀の若者たちにはおそらく通じないだろう。昭和40年代ぐらいまで、日本中どこのバスにも若い女性の車掌さんが1人乗車していて、乗ってきた乗客1人1人にキップを売って歩いた。
 その車掌さんが腰にぶら下げていたのが、黒い革の巨大なガマグチみたいなバッグ。すると今度は「ガマグチって何ですか?」という質問に出会いそうだが、さすがに諸君、そこまで面倒は見切れない。グーグル先生に尋ねてくれたまえ。
旧市庁舎前広場
(ライプツィヒ、旧市庁舎前広場)

 翌日は、朝から冷たい雨が降っていたが、予定通りツォーロギッシャー・ガルテン駅からライプツィヒに日帰りの旅に出た。何しろ1ヶ月有効の1等車用ユーレイルパスを持っている。「1等車にいくら乗ってもタダ」というなら、こういう日帰り旅行はバンバンやったほうがいい。
 ただし、「旅慣れない」というのは恐ろしい。というか、日本の鉄道の快適さに慣れているから、外国の鉄道のあまりの不親切さにビックリするのである。
 諸君、ドイツやフランスみたいな鉄道先進国でも、列車の何号車がホームのどの位置に停車するか、実際に列車が来てみないと分からないのだ。それは、駅員さんも同じ。駅員さんにチケットを見せて、「○号車はどの辺りですかね?」と尋ねても、ニヤニヤ笑って「分かりません」と言われるのが関の山である。
 この日の今井君はまだそういう事情を知らなかったから、ライプツィヒ行きのICが到着してから、ひたすらプラットホームを激走するハメになった。乗車予定の1等車は、サト助が待っていたのとは正反対。まあ諸君、新幹線の1号車あたりに待っていて、「あんたの乗るのは15号車だよ」と告げられた状況を想像してみたまえ。
ルターシュタットヴィッテンベルグ
(ルターシュタット・ヴィッテンベルグ駅。マルティン・ルターが活躍し、ハムレットどんはここに留学していたという設定になっている)

 それでも何とか乗り込んで、ライプツィヒまで2時間ほど。途中、ルターの宗教改革で有名な街「ルターシュタット・ヴィッテンベルグ」に停車。サト助は大昔からシェイクスピア・ファンだから、それだけのことでマコトに感慨深い。
 「ハムレット」の王子ハムレットが留学していたのが、ヴィッテンベルグ大学。母ガートルードと、叔父のデンマーク王クローディアスが、帰国したハムレットを呼び寄せ、「ヴィッテンベルグに戻るのはヤメにして、どうかここにとどまるよう」とハムレットを説得するセリフがある。
 ライプツィヒも、真冬の冷たい雨に濡れていた。15世紀には有名な大学町となり、ハムレットどんばかりか、現実のゲーテ、ニーチェ、森鴎外もここで学んだ。出版でも有名。岩波文庫が手本にしたレクラム文庫はここで始まった。
 バッハの活躍の舞台もここ。ライプツィヒのトマス教会でオルガニストを務め、「マタイ受難曲」はここで生まれた。シューマンもリストもメンデルスゾーンもワグナーもこの街で活躍し、1989年から始まる東ドイツの崩壊は、ライプツィヒのニコライ教会から始まった。
 しかし2005年の今井君としては、雨に濡れたトマス教会のあまりの地味さに唖然とするばかり。一昨日新宿の東急ハンズで買ったばかりの折り畳み傘もあまり役立たず、ゲーテどんの銅像があまりに寒々しい。寒さのせいですっかりムクれ、お腹を減らしたクマどんは、意地汚くひたすら昼食の温かい湯気を求めた。
お店
(ゲーテも森鴎外も通った名店、アウアーバッハス・ケラー)

 選んだのは、1525年創業の有名店「アウアーバッハス・ケラー」。ゲーテは学生時代にここに通いつめ、「ファウスト」の中にこの店を登場させた。森鴎外もドイツ留学中に通ったとされる。うにゃにゃ、あまりにも由緒正しいじゃないか。
 サト助が注文したのは、ビールの大ジョッキが1杯と、いろいろ盛り合わせのランチメニュー。メニューのドイツ語を日本語に訳してみると「お皿の上のいい加減」にしかならないが、「テキトーに名物料理を盛り合わせました」「こだわらないでどんどん召し上がってください」という料理である。
 ただしここでも、サト助はやっぱりザワークラウトに四苦八苦した。昨夜のマイネッケはまだマシだった。何とここのザワークラウトは「ムラサキキャベツ」を使用。気が遠くなるほど酸っぱいカホリが立ちこめ、しかもお皿の上には極悪のムラサキ色がドロッとへばりついて、酸っぱい嫌悪感を3倍にも4倍にも増幅させているのだった。

1E(Cd) Michael Franks:DRAGONFLY SUMMER
2E(Cd) Michael Franks:1988-INDISPENSABLE
3E(Cd) Marvin Gaye:WHAT’S GOING ON
4E(Cd) Karajan:BACH/MATTHÄUS PASSION①
5E(Cd) Karajan:BACH/MATTHÄUS PASSION②
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