2013年09月23日(月)

Fri 130830 宮殿ホテルに徒歩で現れる 空前絶後の表六玉(第2次ンラゼマ地球一周記25)

テーマ:ブログ
 リオジャネイロの地下鉄路線はきわめて単純で、路線は2つだけである。人口600万を超える南米第3の大都市で、地下鉄がたった2路線とは驚くが、あんまり驚いて気を抜いていると、乗った地下鉄がファベーラのど真ん中に侵入してしまう。
 わずか1泊2日のショートトリップで、「世界で1番危険」と定評のあるスラムに入り込む勇気はないから、ここは慎重の上にも慎重を期したほうがいい。サト助がこれから向かうのは、コパカバーナ海岸。世界中のお金持ちが長期滞在して湯水のようにオカネを落としていく、スラムとは真逆の世界である。
 地下鉄のキップは、有人窓口で買う。東京なら銀座か新宿に該当するカリオカ駅だが、自動販売機というものは存在しない。Suicaみたいなカードは導入されているらしくて、そのチャージ機と思われる機械はいくつか並んでいる。しかしヒトビトは有人窓口が好き。「機械は信用ならない」ということのようだ。
カリオカ駅
(リオデジャネイロ、地下鉄カリオカ駅)

 有人窓口は7つ。7つもあれば「ズラリと並んでいる」と書いてあげてもいいのかもしれないが、押し寄せる客のほうがずっと多いので、4重にも5重にも折れ曲がった長蛇の列は、ディズニーの人気アトラクションを思い起こさせるぐらいである。
 窓口でチケットの必要枚数を伝えると、やっぱりSuicaみたいなカードを投げてよこす。長蛇の列に何度も並びたくなければ、20枚でも50枚でもまとめて購入していいわけだ。しかし、ほとんどの乗客が買うのは「ドイス」、つまり2枚であって、「とりあえず往復分だけ」ということらしい。
 改札口にカードを差し込むと、カードは機械に吸い取られて2度と出てこない。つまり、「どこまで乗っても料金は同じ」というシステムだから、チケットは改札のゲートが開いた段階でもう必要ない。下車するときは完全フリー。リオもサンパウロと同じシステムであった。
 このあたりは、いちいちコワい顔の検札係が回ってくるヨーロッパやアメリカより、ずっと鷹揚である。鉄道側が鷹揚であるのに比例するように、乗客のマナーもいい。欧米では、自慢気な顔で改札を不正にかいくぐる悪いヤツをよく見かけるが、7日間のブラジル滞在でそんな光景は1度も目撃しなかった。
券売所
(カリオカ駅のキップ売り場。こういうブースが7つ並んでいる)

 さて、無事に地下鉄に乗って、いよいよ目指すのはコパカバーナ海岸である。コパカバーナよりもっと先、知名度でコパカバーナに勝るとも劣らないイパネマ海岸にも、同じ地下鉄で行ける。ジャズの定番「イパネマの娘」のイパネマである。
 サトイモ君と同世代の日本人に出会ったら、彼または彼女の耳許でそっと「コパカバーナ」と囁いてみたまえ。彼であろうと彼女であろうと、リモコンで操作されたロボットのように、いきなり軽やかに踊りだし、同じメロディーを口ずさみはじめるはずだ。もちろんバリー・マニロウ1978年のメガヒットである。
 1978年の日本にはメガヒットがもう2つあって、サザンオールスターズ「勝手にシンドバッド」と、ビリージョエル「ストレンジャー」である。サトイモ世代はこの3曲に決定的な影響を受けた。カラオケでイントロがかかるなり、いきなり熱い涙を流して全員が起立し、肩を組んで熱唱するほどである。
地下鉄
(リオデジャネイロ地下鉄)

 そしてとうとうサト助どんは、カリオカから地下鉄に乗ってコパカバーナを目指す。車内は薄暗く、ガラガラ。そもそも、「地下鉄でコパカバーナに向かう」などという地味な行動があっていいものだろうか。
 欧米のオカネ持ちが大挙して訪れるような街に、今井君は地下鉄で向かうのである、しかし常識としては最低でもタクシー、出来ればオカカエ運転手付きの黒塗りのクルマに、デッカいスーツケースを5個も6個も積んでホテルに乗りつけなければならない。
 しかも、今井君がサンパウロから予約したホテルは、コパカバーナ海岸でも最高級の定評のある「コパカバーナ・パレス」である。だって、「パレス」でござるよ。パレスとは、やんごとなき宮殿を意味するのであって、普通ならアジアの片隅のサトイモが受け入れられるような所ではない。
 「じゃあ、何でそんなホテルを予約したんだ?」であるが、そんな厳しいことを言って哀れなサト助を責めないでほしい。今井君は「リーディングホテルズ」のメンバー。リーディングホテルズのHPでコパカバーナを検索したら、「パレス」にしか空き部屋がなかったのだ。
 ここで最終確認をしておく。常識的オカネ持ちの欧米人は、この「パレス」に運転手つき大型車で乗りつける。いかにも高級なスーツケースが4~5個。場合によっては召使いも一緒。チェックインなんかは召使いに任せ、タキシード姿でまずはバーラウンジに向かう。
 ソファに深く埋まって、まずシャンペンを1本。もちろん最初の1杯に口をつけただけで、馴染みのホテルマンたちと長々と談笑。部屋の準備ができると、シャンペンはそのまま放置して、豪華なお部屋に姿を消してしまう。
案内板
(リオ地下鉄の表示。コパカバーナ方面、イパネマ方面など、「おお、ついに来たんだな」という感を深くする)

 それに対して日本代表・今井君はマコトにオッカナビックリ、カリオカから地下鉄でやってくる。地下鉄駅は岩山の地下深くにあって、人影もまばら。オッカナビックリ度はさらに高まり、「あーあ、何でこんな所に来ちゃったの?」という後悔に苛まれる。
 駅の外に出ると、風景は早春の冷たい雨に濡れている。駅前も静まり返って、ホントにここが世界有数のリゾートなのか、それとも2駅か3駅間違えて降りちゃったのか、判断がつきがたいほどである。
 それでも古ぼけた折りたたみ傘をさして、街をフラフラ歩き出す。今井君は秋田の海辺の街で生まれ育ったから、「近くに海がある」と本能的に感じるレーダーのようなものが備わっている。ほーら、海岸だ。ほーら、あの白いのが目指すパレスに違いない。秋田犬にも負けないぐらい、海辺では鼻が利くのである。
 堂々たる白亜のホテルを眺め、エントランス付近にズラズラ居並んでお客を待ち受けるホテルマンたちの勇姿を前にして、若干の気後れを感じるのは致し方ない。
 だって、ボクチンにはスーツケース1個もない。サンパウロのホテルに置いてきた。クルマなし、荷物ナシ、召使いナシ。小さなリュック1つで、駅から傘をさしてトボトボやってきた。ホテルの従業員だって、もう少しマシな現れ方をするんじゃないか。
パレスホテル
(表六玉、ついにコパカバーナ・パレスに到着する)

 それでも何とかカウンターに近寄って、予約してある旨を告げる。滞在は「1晩だけ」。「2週間」とか「1ヶ月」とか、そういう長期滞在のオカネ持ちにすっかり慣れているフロントクラークが、一瞬「は?」という感じで大きく目を剥いてみせる。おお、いまのサト助は、世界一の表六玉なのである。
 衝撃から立ち直ったフロントのオジサマが、「コーヒーはいかがです?」「エスプレッソもありますよ」と愛想笑いを浮かべる。もちろんこういう場合は軽く手を振って断り、「I’m fine」と笑顔を作るところである。ところが表六玉サト助は、緊張のあまり思わず「Yes」とニッコリしてしまった。
 こうして、カウンターでチェックインしながら、エスプレッソを立ち飲みするという恐るべき状況に追い込まれた。「ホントに荷物はないんですか?」「ホントに1泊だけですか?」と、フロントのオジサマも呆然と倒れそうになっている。
 しかも、今井君がリーディングホテルズから予約すると、おそらくポイントがタップリたまっているせいで、必ずと言っていいほどジュニアスイートにアップグレードしてもらえる。イスタンブールでも、アテネでも、サントリーニでも、気がつくとジュニアスイートに通されている。
 コパカバーナでも、同じことが起こった。駅から傘をさして雨に濡れながら徒歩でトボトボ到着、カウンターでエスプレッソを立ち飲みしたフシギな日本人は、たった1泊のクセに宮殿ホテルのジュニアスイートを占領することになった。諸君、今井君とは、古今東西ホントにマレに見る、空前絶後の表六玉なのである。

1E(Cd) Barenboim, Zukerman & Du Pré:BEETHOVEN/PIANO TRIOS, VIOLIN AND CELLO SONATAS 4/9
2E(Cd) Barenboim, Zukerman & Du Pré:BEETHOVEN/PIANO TRIOS, VIOLIN AND CELLO SONATAS 5/9
3E(Cd) Barenboim, Zukerman & Du Pré:BEETHOVEN/PIANO TRIOS, VIOLIN AND CELLO SONATAS 6/9
4E(Cd) Barenboim, Zukerman & Du Pré:BEETHOVEN/PIANO TRIOS, VIOLIN AND CELLO SONATAS 7/9
5E(Cd) Barenboim, Zukerman & Du Pré:BEETHOVEN/PIANO TRIOS, VIOLIN AND CELLO SONATAS 8/9
total m166 y1526 d11721
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