2013年05月23日(木)

Mon 130429 ヌルい赤熱の記憶 ハーバードのツライ昼飯(アメリカ東海岸お花見旅30)

テーマ:ブログ
 いやはや、自分がどれほど賑やかなお祭りが好きで、どれほど静謐な学問の世界に向いていないか、ハーバードにきて痛感する。ホンモノの学問の世界は、お祭りサトイモなんかにはとても耐えられない、冷たく厳しい世界なのである。
 どれほどテーマを細分化され、どれほど「これは重箱のスミのまたスミなんじゃないか」という疑念を居抱いても、「このテーマで行くんだ!!」と決めた以上は、意地でも論文を完成させる。2年かかかっても3年かかっても、「ボクはハカセなんだ!!」という一念で壁を突破する。コーヒーも談笑も、息抜きもランチビールも、一切ナシ。お祭りなんか、トンデモナイ。
もう一度
(もう1度、端正な静謐の桜)

 ボクチンには、どうやら無理である。「図書館の虫」というものには、むかしむかし憧れたことがあって、例えば三島由紀夫の小説「青の時代」の主人公がそれである。確か東大法学部の学部生が主人公で、彼は朝9時に図書館に入って、夕暮れの閉館時間まで、授業時間以外は全て図書館で過ごす。
 サトイモ君は、学部1年から2年にかけて、それに近い生活をやってみたことがある。何故か当時は大学に風呂敷包みを持参していて、風呂敷包みには水筒やオムスビまで入っていた。
 外に昼食に行けば、必ずそこで生活が乱れる。生活を乱さないためには水筒とオムスビは必須。水筒にはヌルい麦茶を入れたが、何故ヌルいかというに、どうせヌルくなっちゃうんだから、最初からヌルいのを入れていったのである。
外観
(ハーバード「リーガル・シーフード」でランチ)

 だから今井君は今でもオムスビを上手に握る自信がある。もちろん「オムスビを上手に握る」と言っても、諸君のママみたいに絶妙な三角形ではなくて、「ほぼ球体」という言語道断なシロモノではあるが、今の日本に「ほぼ球体オムスビ」などという恐るべきものをチャンと握れるオジサマは少ない。へへん、あの頃のボクは、毎日2個の地球を持ち歩いているつもりだったのである。
 問題は、「じゃあオムスビとヌルい麦茶以外に、アナタの風呂敷包みの中には何が入っていたんですか?」である。学部1年や2年の男子が、「授業時間以外は全て図書館で過ごす」「丸一日図書館にいる」と宣言したところで、専門的な論文を書くわけにもいかないじゃないか。
トレードマーク1
(メニューに「フレッシュじゃなきゃリーガルじゃない」とある)

 で、諸君、爆笑であり失笑であり、呆れ果ててものも言えないが、当時の今井君は図書館でひたすら岩波文庫を読んでいた。プラトンでありアリストテレスであり、カントでありヘーゲルであり、マルクスでありウェーバーである。
「そんなの、自宅で読めばいいじゃん」
「せっかく大学の図書館なら、大学の図書館でしかできないことをやればいいじゃん」
「バカなんじゃん?」
である。別に他人に指摘されるまでもなく、「バカなんじゃん?」のクエスチョンマークさえ不要なほどだが、「じゃあ周囲のヒトたちは?」と視線を巡らせば、周囲も今井君と大して違わない。
 一番多いのは、「司法試験受験組」と「公務員試験受験組」。そういう国家試験には国家試験用の参考書があって、あまりアカデミックな感じのしない派手な表紙の書物が、彼らの机の上には山積みになっていた。
クラムチャウダー
(まず、クラムチャウダーで温まる)

 すぐ外では何だかワケの分からない演説が、大音量のスピーカーから延々と流れつづけている。昼が近づくと、図書館のあちこちで立ち話が始まって、静粛を促す係員もいない。昼近い図書館は、マコトに騒然とした雰囲気になる。
 図書館には「ちょっと難しいヒト」も多い。周囲の騒音にやたら神経質で、話し声や咳払いやトイレに立つ音にいちいち舌打ちをしたり、「うるさいな」と独り言を言ったり、アタマをモジャモジャ掻きむしったりする。
 その張本人が一番うるさいのだが、ちょっとそれを指摘しにくい雰囲気が彼(または彼女)にはあって、図書館の常連サンはみんな彼(または彼女)を知っている。朝一番で図書館に入るとき、そういう彼(または彼女)を避けて席を取るようにするのだが、残念なことに彼(または彼女)は、後からやってくる。
ボストンビア
(ビアは、ちょっと重たいサミュエル・アダムズ)

 「うわ、来ちゃったよ」と思うのだが、そんなのは「後の祭」。やがて貧乏ユスリに続いて、彼(または彼女)の果てしない呟きが始まる。「うるせえな」「うぜ」「静かにしてくれよ」「常識あんのかよ」「ちっ!!」「つー!!」「たっ!!」「かーっ、ぺ!!(これは痰を吐き出す音)」など、まさに機関銃のように連発されても、苦情の持っていきようがない。
 周囲としては「あーあ、やられたな」「今日一日、台無しだな」であるが、うーん、まさにその通り。風呂敷包みの中のオムスビとヌルい麦茶をかかえて、地下の喫茶室に入り、「誰でもいい、友達が声をかけに来てくれないかな?」と待ちわびることになる。
 もちろんそんなことをやってないで、チャンと授業に出る方がいいのである。でも、「あんな授業に出てもねえ」「予備校の授業の方がまだマシだったぜ」と、みんなに大見得を切ってきたばかり。ホントにくだらない話だが、男子のプライドが許さない。
トレードマーク2
(お魚のマークがカワイイ)

 そういう日々を思い出しながら、「あーあ、あの頃ここで過ごせていたらな」とハーバードで溜め息をついた。オムスビも水筒も、岩波文庫も風呂敷包みもナシ。変わったヒトも、喫茶室も、妙竹林なプライドもナシ。端正な静謐の中で、授業と図書館と、教授との白熱した論争と、ひたすらレポートに追われる日々。うにゃにゃ、憧れだけがつのっていくのであった。
 どうやらこの辺のことは、平安の昔に清少納言どのがマコトに上手に書いていらっしゃる。枕草子の冒頭の「冬」は、まさにハーバードの白熱ぶりを示している。
「冬はつとめて。雪の降りたるは言ふべきにもあらず、霜のいと白きも、またさらでもいと寒きに、火など急ぎおこして、炭持てわたるも、いとつきづきし」
ところが、その直後、今井君の学部時代のヌルい炭火の赤熱が批判される。
「昼になりて、ぬるくゆるびもていけば、火桶の火も、白い灰がちになりてわろし」
おお、ヌルくて、ダメ。灰がちで、魅力なし。思いっきり言われちゃってるじゃないか。
白ワイン
(この日は白ワインにしてみた)

 もちろん今さらそんなことを言ってフテくされていても仕方ないから、せめてハーバードの昼食だけでも満喫しに行くことにした。第一、どう考えても異様に寒い午後だった。5月中旬のヘラヘラしたクマが、突然2月の北海道に連れていかれたみたいに、今井君は身体の芯から冷えてブルブル震えが止まらなかった。
 入ったのは「リーガル・シーフード」のハーバード店。「新鮮じゃなければ、リーガルじゃない」「フレッシュじゃなければ、シーフードじゃない」というキャッチフレーズで、ボストン市内に多くの支店を開店させている名店である。
 注文したのは、もちろんクラムチャウダー。こんなに寒い午後には、クリームタイプのクラムチャウダーでまずしっかり温まりたいじゃないか。温まったところで、ビアは地元で人気のサミュエル・アダムズ。ちょっと重たいラガービアだが、クラムチャウダーとセットなら、この重たさもまた絶妙である。
海老カレー
(メインは、ルイジアナ・ガンボ)

 メインは、「ルイジアナ・ガンボ」。「まだ昼だから」「昼から重いのはヤメとこう」「生牡蠣を山盛りも悪くないが、ここでお腹コワしたら元も子もない」など、ホントにクダラン判断基準を並べ立てて、これを選んだが、いやはや、この選択がマコトにクダらなかった。外国を旅行中に、「お腹コワしたら?」という心配ほどクダらんものはないのである。
 出てきたのは、要するに「海老カレー」。海老カレー以外の何者でもないし、今井君は海老カレーは大好きだが、だからといって海老カレーが出てくるとは思っていないところに海老カレーが登場するのはサイテーである。わろし。わろし。元気だった春のサトイモ君は、あっという間にガッカリ里芋になってしまった。
店内風景
(店内風景)

 「仕方ない。食後のアイリッシュコーヒーで景気づけしよう」。これも今井君にお馴染みの思考経路。この2~3年、欧米での食事の〆には、ウォッカたっぷりのアイリッシュコーヒーを定番にしている。ところが諸君、ウェイトレスのオネーサンが、規則にガンジガラメの面倒なオカタ。
「まだ瓶にワインが残ってますね。法律で、アルコール類は1回で1種類しか出せません。ワインを全部飲みきった後なら、アイリッシュコーヒーもOK。それでいいですか?」
以上のことを、恐るべき早口の固い英語でワーーーーッと言い捨てて去って行った。
アイリッシュコーヒー
(アイリッシュ・コーヒー)

 何だか、キツくキツく叱責されたみたいな感じ。「そんなにダラしなくお酒ばっかり飲んでるから、ハーバードに相手にされなかったんですよ」と指摘されたような感じ。20分後、やっと熱いアイリッシュコーヒーをもらえたけれども、もう何だかすっかりションボリして、せっかくの大好物もちっともおいしくなかった。

1E(Cd) Tower of Power:TOWER OF TOWER
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