2013年04月17日(水)

Sun 130324 観光地化されていない大聖堂の静謐 治安情報の愚(復活ベルギー冬物語35)

テーマ:ブログ
 何しろメッヘレンには「16世紀の一時期、ホンの30年足らずだったとはいえネーデルラントの首都だった」という経験が染み込んでいる。21世紀の今もなお、町の人々の様子にはどことなく自信にあふれた風情が感じられる。
 もちろん、由緒はあっても観光地ではないし、地元の人々も自分たちの町が観光地だという意識はおそらく全くもっていないから、東洋の果てからはるばる訪れたサトイモ君を、多くのヒトは不思議そうな表情で眺めている。
「あんれえ、何でこんな何にもねえところに、わざわざサトイモどんがやってきただかねえ?」
「何にも面白いもんはありましねえだよ。ばかでけえ教会はあるだがねえ。教会なんか見たって、おもしれえこたあ、何にもありましねえ」
「おおむかし、突然ここのお殿さまが偉くおなりなさって、何でもオランダのあたりまで治めなさるたいへんなお殿さまだったそうだけんど、そりゃオラのジーサンのジーサンのジーサンの、そのまたジーサンのジーサンのジーサンの、もひとつジーサンのジーサンのジーサンぐれえの、ものすごく大昔のことでがすよ」
「今ではこんな何にもねえ田舎でがす。日本のサトイモだかヤムイモだか、おかしなモンに来てもらっても困ってしまうでがす」
静謐
(メッヘレン、ロンバウツ大聖堂の静謐)

 ま、想像するに以上のようなところであるが、もちろん今の世の中に、世界中を鉦や太鼓で探したって(Mac君は「金谷泰子で探したって」である)、こんな田舎くさい話し言葉の人間に出会うことはない。
 しかし諸君、別に金谷泰子サンにおねげーしなくても、こんな素朴なジーサンやバーサンと触れ合うことはできる。20世紀半ばまでに翻訳された欧米の小説なら、田舎のジーサンもオジサンはみんなこの類いの言葉遣いばっかりだった。ホンの50年前まで、世界中の都市部と田園地帯は、古くさい文学者の頭の中で截然と2分されていたのだ。
IMO
(いきなり「イモ」って言われても...)

 さて、ロンバウツ大聖堂にサトイモが闖入してみると、そのあまりの静謐ぶりに鳥肌が立つ思い。同じ大聖堂でも、フィレンツェのサンタ・マリア・デル・フィオーレとかパリのサント・シャペルだと、団体ツアーの喧噪にもう半世紀も踏み荒らされて、静謐なんか望むべくもないぐらい騒然とした雰囲気になってしまっている。
 ノートルダムやウィーンのシュテファン寺院でさえ、ミサの最中に騒がしい団体ツアーがそこいら中をノシ歩いて、司祭さまにも司教さまにももう留めようがない。ミサに集まる少数の信者サンたちを、大量のツアー客が興味深そうにニヤニヤ見物している様子は嘆かわしい。いやはや、観光地化というのはマコトに恐ろしいことである。
車両
(古色蒼然としたベルギー・ローカル線車両)

 メッヘレンについては、今のところそういう心配は一切必要ないようである。アントワープ行きの列車から大聖堂をはるかに眺めると「ガイドブックにはほとんど触れられていないが、どうしても一度あの大聖堂を訪問してみたい」と思わせる圧倒的な重量感があって、重量感ということではヨーロッパのどの大聖堂にもヒケをとることはない。
 ところが諸君、いったん中に入ってみるや、それこそ仮定法の例文でよく見かける通り「もしもピンが1本落ちたとしたら、その音を誰もが聞きつけたであろう」というレベルの静謐。しかも1月末の厳冬期のこと、空気も冷たく澄みきって、これ以上の静謐は考えられないほどである。黙って立ち尽くす聖職者、静かに聖堂を掃き清める中年女性。訪れた観光客はサトイモ以外に2組ほどだが、みんなヒトコトも口を開かない。
自分撮り1
(ローカル線内のサトイモ君は、自分撮りに励む 1)

 こんな町がガイドブックに掲載されていること自体フシギなほどであって、さすが日本のガイドブックは至れり尽くせりなのである。歴史ある町とは言っても、もう500年前の栄光。むしろ住民の気持ちとしては「今さら観光客なんかにドヤドヤ踏み荒らされては困る」ぐらいだと思うのだが、こうしてチャンと掲載されている。
 例えば欧米人が「TOKYO」というガイドブックを買ったら、そこに「MITO」「MAEBASHI」「KOFU」「TAKASAKI」みたいな町が堂々と掲載されているとしたらオドロキじゃないか。それどころか「KASUKABE」「ODAWARA」「KUMAGAYA」もなのだ。おお、さすが日本のガイドブック。大したもんでござるね。
自分撮り2
(ローカル線内のサトイモ君は、自分撮りに励む 2)

 ただし諸君、どれほど優れた日本のガイドブックでも、「治安情報」のページだけは改善の余地がタップリあるような気がする。いま手許にあるニューヨークの「治安情報」を見てみると、次のような驚きの記述が次々に現れる。
① 路上でスマホをつかっていると、ひったくられる恐れがあります。ひったくられないように、しっかりと握りしめましょう。
② 狭い通りに引きずり込まれないようにしましょう。引きずり込まれると強盗や盗難の恐れがあります。
③ セントラルパークで小さな道に入り込まないようにしよう。入っていったら、ホームレスに出会いました。
④ レストランで椅子に上着をかけて油断していると、内ポケットの財布を盗難されました。
クマさんたち
(ブリュッセルのクマさんファミリー)

 うーん。「スマホをしっかりと握りしめ」「引きずり込まれないように注意」もヒドいが、「盗難される」もヒドい。「ホームレスに出会った」って、この筆者はいったいどういう意識でこの世の中を生きてるの?
 ま、書くべきことが何もないのに見開き2ページも与えられて、仕方がなかったんですかね? 無理やりスペースを埋めなきゃイケナイ時って、誰にでもありますから。しかしやっぱりボクチンは、こういうのには改善の余地がタップリあるように思うのだ。

1E(Cd) Rampal:VIVALDI/THE FLUTE CONCERTOS①
2E(Cd) Rampal:VIVALDI/THE FLUTE CONCERTOS②
3E(Cd) Rampal:VIVALDI/THE FLUTE CONCERTOS①
4E(Cd) Rampal:VIVALDI/THE FLUTE CONCERTOS②
5E(Cd) Rampal:VIVALDI/THE FLUTE CONCERTOS①
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