2013年02月24日(日)

Thu 130131 リエージュの表六グマ 大関・芋の里、9連勝を飾る(ベルギー冬物語24)

テーマ:ブログ
 1月20日午後遅く、凍てつく雪のリエージュから、クマ蔵はブリュッセルに戻ろうとしていた。市庁舎やオペラ座の集まるリエージュ・パレ駅前は、すでに人影もほとんど絶えて、凍った雪を踏んで歩いていること自体がもう十分にヒョーロクダマである。
リエージュ駅前
(リエージュ・パレ駅前の教会)

 まして「東洋の果ての日本からきました」などというクマは、ヒョーロクダマの標本として博物館に展示されてもおかしくないほどのカンペキなヒョーロクダマであって、「表六グマ」という変種として珍重されそうなほどである。
 パレ駅からローカル線に乗って2駅、リエージュ中央駅に戻る。もっとも、このとき「ローカル線」などと呼ぶのは軽率であって、乗車した準急(IR)は何と「ルクセンブルグ行き」。国境線を跨いでいく、立派な国際列車なのである。
ルクセンブルグ行き
(ルクセンブルグ行きIRがまもなく到着)

 電車を乗り換えるリエージュ中央駅も、「どうせ田舎町の寂しい駅だろう」と侮ってはならない。ここはヨーロッパ各国の誇るさまざまな超高速列車の停車駅。ドイツからICE、フランスからTGV、ヨーロッパ全域を駆けめぐる新幹線タリスなど、乗り鉄クンも撮り鉄クンも、みんなヨダレを流して羨ましがる21世紀の高速列車が、次から次へと入線する。
 駅舎もまた、人口実態にも経済実態にも全くそぐわない、マコトにマコトに21世紀的な現代建築である。すでに21世紀も13年が経過し、「21世紀的」ではチョイと古めかしい気がしないこともないが、もしもそうなら、形容詞は「22世紀的」でも「25世紀的」でもかまわない。
駅舎1
(22世紀的なリエージュ中央駅)

 写真で見て分かる通り、この駅舎はUFOの発着駅としても十分に通用する類いの、斬新な近未来建築である。「UFOが発着する」という表現に矛盾を感じる難しいヒトも少なくないだろうから、用心深い里之丞は「宇宙船の発着地点」と言い換えておく。それで文句はないでガンショ?
 ついでに注釈を加えておけば、「…でガンショ?」は、20世紀後半まで岩手県盛岡市周辺に残っていた岩手方言である。1980年代を境に、東北ばかりか九州からも北関東からも懐かしい「お国訛り」はほぼ消滅してしまったようだ。
 なお、Mac君の変換は「奥に鉛」というコワーい世界。「お国訛り」という言葉自体が死語になるほどに、日本からお国訛りはキレイさっぱり消えてしまった。「22世紀の世界はどうなるか」の予測さえ出版されはじめた現在、「…でガンショ」「…でガンス」などという明治/大正/昭和のコトバを執念深く使いつづけている盛岡市民は皆無に近いだろう。
駅舎2
(リエージュ中央駅前。3年前の民主党が「無駄」「縮減」「事業縮小」と大騒ぎしそうな、マコトにムダで豪奢な駅舎である)

 1978年、今井君の両親は国鉄の人事異動で盛岡への移転を余儀なくされた。何を隠そうサトイモ軍曹は「今井家の長男」というメンドクサイ十字架を負わされているので、両親の盛岡移転を懸命に手伝わなければならなかった。あのとき耳にした盛岡市民のコトバは、今もなおイヤというほど強烈に耳に残っている。
「盛岡のデパートっていったら、『川徳』しかないでガンス」
「一番の繁華街は、『肴町』でガンショ」
「2月末にこんなに大雪が降るのは、珍しいことでガンショ」
といった具合。あれから30年以上経過しても、今井君にとっての盛岡は「冷麺の町」でも「岩手山と北上川の町」でもないし、宮沢賢治や石川啄木よりも、何よりもまず「ガンショの町」である。
タリス
(アーヘン/エッセン行き超特急タリス)

 数年前の甲子園大会で、山口県から岩国商業高校が出場したとき、彼らのユニフォームには「GANSHO」の文字があった。岩国商だからGANSHO。そりゃ仕方ないが、クマ蔵どんは岩国商の試合をテレビで観戦しながら、どうしても岩手県盛岡市の記憶が頭に蘇ってくるのだった。ホント、アホでござるよ、クマどんは。
フランクフルト行き
(フランクフルト行きICE。この日は大雪のせいで、どの超特急も2時間近く遅れていた。日本と違って、大幅な遅れについて誰も謝罪しない)

 ましてやリエージュは、12月寒波のせいで深い雪に覆われている。駅舎ばかり22世紀的&近未来的で、乗客の姿はほとんどない。まさに宇宙船基地の雰囲気ではあるが、寒さ厳しい盛岡の街や「ガンス」「ガンショ」の思い出にふけるには、ピッタリのシチュエーションであった。
 人間とはマコトに不思議なものである。フランクフルト行き、ミュンヘン行き、アーヘン行きにルクセンブルグ行き、こんなに頻繁に国際列車が発着するベルギーの駅なのに、サトイモ君は20世紀盛岡のお国訛りをホッコリ思い出していたのである。
IC
(サトイモ男爵がブリュッセルまで利用するIC。かつての花形・インターシティは、もう引退寸前だ)

 ただし諸君、この日の夕暮れに今井君が置かれていた大ピンチを忘れてはならない。1月11日、成田空港を出発するときに固く心に決めたのは、「対ムール13連勝」。ベルギー滞在13日の間、必ず毎日ムール貝を食べつづけて「肉体組織の数十%をムール貝由来のものにして帰国する」ということであった。
 おお、バカバカしいにもほどがある。バカバカしい決意をすでに8日間にわたって継続してきたのも、あんまりバカバカしすぎて、バカバカしさを指摘するのさえバカバカしいほどである。
 「バッカじゃないの?」「はい、まさにその通り。バッカでございます」。バカは度が過ぎると真ん中に小さい「ッ」が1つ入って「バッカ」に変化するものであるらしい。それでも「バッカ」には、「バカッ」という罵声と違って、暖かい愛なり春なりの芽生えを感じる。
 「バカッ」という罵声は絶対イヤ、でも「バッカじゃないの?」と言われてみたいとしたら、アナタはいま、少しだけ愛に飢えているのかもしれない。カッコいい男子の先輩に「オマエ、バッカじゃないか?」。美しい先輩OLに「バッカじゃないの?」。そういうシチュエーションって、まさにライトノベルの世界であるね。
本日のムール
(対ムール9連勝は、お馴染みの店「LEON」で達成)

 しかし諸君、昨日まですでに8連勝。バッカなクマどんはムール貝バッカ食べて、ムール貝バッカなバッカに変身中。上等じゃないか。8連勝すれば、大相撲ならもう勝ち越し決定だ。横綱でも大関でも初日から8戦勝ちっ放しは立派だし、平幕力士なら敢闘賞も射程に入ってくる。
 バッカなサトイモ軍曹は、「よおし、じゃ、その敢闘賞だけでも確実にしよう」と、帰りの列車の中で固く決意したのである。
 「ムール貝のワイン蒸し」と考えただけで、胃のあたりが少しムカムカするほど、もうムールには飽き飽きしているのであるが、お相撲さんが相撲に飽き飽きしても、受験生が受験勉強に飽き飽きしても、「…バッカでバッカみたい」と投げ出すことは許されない。サトイモがムール軍団と激しく対決を続けるのは、まさに宿命なのだ。
店内風景
(LEON 店内風景)

 バッカな話だが、半年前にトルコのイスタンブールで「対ヒツジ」「対エズメ」「対イワシ」の連勝記録がある。ホンの数ヶ月前には、アルゼンチンのブエノスアイレスで「対ヒレステーキ500グラム」の連勝記録も樹立。ついでにニューヨークやフランクフルトでも記録を伸ばした。
 せっかくの「バッカじゃない?」だ。バッカ食べのバッカグマは、ホントに対ムール13連勝の輝かしい記録に向けて、今日もまた驀進しようじゃないか、ブリュッセル北駅で電車を降りたクマ蔵は、凍てつく街を颯爽と南下。イロ・サクレ通り「LEON」を目指した。
 リエージュで食べたウサギさんが、まだお腹の中で強情に存在を主張している。しかしムール貝たった60個を詰め込むことを拒絶するほど、今井君のポンポンは狭量ではない。
お店
(イロ・サクレ通り。この雰囲気の店がズラリと並んでいる)

 もうお馴染みになったウェイターに、お馴染みすぎて飽き飽きしたムールの鍋を差し出されたとき、ふと今井君の胃袋が嫌悪の感情をむき出しにしたように思ったが、さすがに今井君は年齢789歳に達する老練なクマだ。胃袋クンの反感/反乱/反撃を押さえ込む技術も、まさにいぶし銀。いぶし銀に磨きがかかって、今やほとんど魔術のようである。
 こうして、土俵際に追いつめられつつも、大関・芋の里は見事ないぶし銀のウッチャリで9連勝を達成。全勝優勝まで、あと4勝に迫ることになった。おやおや、ホントにバッカバカしい。「バッカじゃないの?」なムール貝バッカは、おそらく明日も続くはずだ。

1E(Cd) Karajan & Wiener:BEETHOVEN/MISSA SOLEMNIS 2/2
2E(Cd) Furtwängler & Vienna:BEETHOVEN/SYMPHONY No.7
3E(Cd) Barenboim, Zukerman & Du Pré:BEETHOVEN/PIANO TRIOS, VIOLIN AND CELLO SONATAS 1/9
153 STAY(15) Bruxelles 130111 130125
total m313 y313 d10508
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