2013年01月26日(土)

Wed 130102 新聞2週分 鈴木文弥と中西龍 ムール軍と戦う(ベルギー冬物語/番外編2)

テーマ:昭和の人々の記憶
 2週間ぶりに東京に帰って、帰国後に最初にすることは、2週間分の新聞のチェックである。朝日新聞1紙しか購読していないが、朝夕刊合わせて15日で30回分、これを一気に読んでしまうのには、さすがの今井君でも相当な速読が必要だ。
 昨年11月中旬に始まったアベノミクスのミニ景気は、ホンの1ヶ月で終息したかに見えて(日経では「もう終息か?」とまで書いている)、おやおや、またまた株価は1万900円をつけている。ユーロなんか、122円まで来ちゃった。
 1ヶ月前にパリで過ごしていた頃は、1ユーロ100円そこそこだったから、こりゃたいへんなことである。25ユーロのムール貝料理を食べたとして、12月なら2500円。1月末には3050円。1鍋で550円も値上げされた感覚だ。
レオンのムール
(ブリュッセル滞在3日目、有名店「Chez Reon」のワイン蒸しムール)

 朝日はもう半世紀近く、一貫して反自民。ひたすら「ダーティーな自民は大キライ」でやってきた新聞だ。1980年代にはほとんど日本社会党の機関紙と化し、土井たか子時代のマドンナブームを演出したのも朝日。2009年には「民主党に一度やらせてみよう」ブームのモトになった。
 その流れで2012年の総選挙後も、論調はホントに一途に「反アベノミクス」。社説でも、シリーズ物の解説記事でも、投書欄「声」での投書の選択でも、一貫して財政規律優先派を通している。
「自民政権の経済運営は、20世紀への逆戻りに過ぎない」
「いずれ破綻してハイパーインフレに陥るのは自明だ」
「このままでは日本がギリシャになるのは時間の問題」
この種の「何もしないでひたすら我慢」「もったいない&もったいない」「身を低くして、緊縮&緊縮」「身のホドを知って、倹約&倹約」タイプの主張ばかりを前面に押し出してきた。
デュベル
(ベルギーはビールもチョー旨い。粘り強い泡立ちが特徴のDuvelはアルコール度8~9。苦みも強い)

 ところが1月17日、どうも潮目が変わったようである。クルーグマン教授が彼独特の文体で皮肉まじりにアベノミクスを肯定したコラムもそうだが、その真横に掲載された経済社説担当・駒野剛氏の「社説余滴」は、朝日としてはマコトに驚異的と言える。
 「安倍さん、やってみなはれ」というタイトルはともかく、あえて自社の論調に疑問を投げかけたのだ。「本紙の社説もアベノミクスの危うさに批判の論陣を張るが、私は意見を異にする」と述べたコラムの姿勢は、ガンコ一徹の朝日の中で、まさに注目に値する。
 ただし、彼の結論も「慎重に慎重に」「ダメだったときの撤退のやり方も考えてね」という、余りにありふれた慎重論。それは残念だが、ジリ貧容認の緊縮論一本槍から、「やっぱり潮目が変わったのかな?」と思わせる論調ではある。
 ま、サトイモ君なんかは経済についてズブのシロートだけれども、金もプラチナも驚異的な高値をつけ、株価も急上昇し、ダボス会議ではメルケル女史が「いいな、日本ばっかり」と言ってくれた。IMFあたりからも「日本だけ突然ウマく行きだして、ズルくないか?」という声が上がりはじめているのも、叱られているんだとしてもなかなか嬉しい話じゃないか。
缶ビール
(缶で買えるベルギービアも多種多様。大好きなLeffe Blondeとチェリービア・ベルビュークリークは、滞在中10缶ずつカラッポにした)

 さらに新聞をめくっていくと、「NHKの鈴木文弥(ぶんや)アナウンサーが亡くなった」という知らせがある。これは諸君、クマ蔵にとってマコトに大きなショックであった。
 1970年代にオコチャマ時代を過ごした今井君としては、好きなスポーツ実況アナは、何と言っても鈴木文弥(ここから敬称略)。他に羽佐間正雄と土門正夫と西田善夫も大好きだったが、やっぱり鈴木文弥は完全に別格である。
ビール専門店
(グランプラス周辺には、ビアの専門店も多い)

 鈴木文弥の実況を聞いたことがない若いヒトは、直ちに市川崑監督の記録映画「東京オリンピック」、その開会式シーンを見てくれたまえ。「1964年10月10日午後2時、東京・千駄ヶ谷の国立競技場に…」で始まる伝説の名調子を、今もなお今井君はモノマネで再現できる。日本選手団の行進、聖火の入場シーンの実況を、涙なく聞けるヒトは稀だろう。
 YouTubeなら、1時間15分バージョンの冒頭15分でどうぞ。それがダメなら、Amazonで4千円出して購入するだけの価値のある、驚くべき迫力の実況だ。2020年の東京オリンピックを実現させるためにも、日本の若者たちみんなに、この感激の実況を聞かせたいと願う。
 いよいよ日本選手団の入場が迫り、観客席の人々が一斉に立ち上がる。そのシーンにかぶせて
「いま堂々と胸を張って歩くニッポンの若者!!」
「試練に耐えて、長く厳しい道のりを歩んできたのであります」
昭和の激動を生き抜き、一般市民への無差別大量爆撃からも黙々と立ち直り、わずか19年で復興を遂げた寡黙な日本の人々。その深く力強い感激が、ここに見事に凝縮されている。
いちご
(イチゴさんたちもチョコ・ディップ。サトイモ男爵が見ても、やっぱり旨そうだ)

 東京オリンピックでは、女子バレーボール決勝「日本vsソ連」も実況。この放送もまた市川崑「東京オリンピック」の中に収録されているはずだが、「ニッポン、いよいよマッチポイント。金メダルポイントでヤります」のヒトコトが特に有名である。
 この頃のアナは、どこの局でも「…であります」と言わずに「…でヤります」と発音した。バレーボール中継でも「リスカル、マコトに力強いスパイクでヤります」「ブルダコーワ、サービスエース連発でヤります」が続く。「…でヤります」こそ、鈴木文弥の迫力の実況を支えた根源であったかもしれない。
 なお、リスカルとブルダコーワは、当時のソ連女子チームを支えた二枚看板。男子選手顔負けの筋肉隆々の肉体と、顔を真っ赤に紅潮させて相手に迫る闘志で、テレビの前の昭和日本人を恐怖のどん底に陥れた2人でヤります。
王宮
(王宮。旨いものが多すぎて、観光はおろそかになりがちだ)

 1969年の高校野球決勝・延長18回の死闘「三沢高校vs松山商業」の実況は、羽佐間正雄と鈴木文弥の2人でテレビとラジオを担当。幼い今井君は、高校球児のお兄ちゃんたちの大活躍にも手に汗を握ったが、何よりも鈴木文弥の迫力に感激した。
 この年にかぎらず、決勝後の閉会式のクライマックス、両校選手がグラウンドを一周するシーンの実況も、「やっぱり鈴木文弥じゃなきゃな」と、幼いクマちゃんは渋く主張していた。「甲子園の夏は、ついに終わったのでヤります…」の声が、マコトに寂しく、しかし熱く激しく、日本中の野球少年の心を揺すぶったのである。
レオン店内
(1月13日の昼食は、有名店シェ・レオン)

 父親がガンコなせいで、今井君は「NHKしか見てはならない」という厳しい家庭に育った。大橋巨泉も前田武彦も、「鉄腕アトム」も「フランダースの犬」も「巨人の星」も、ドリフターズも欽ドンも、全部ダメ。だから、現在の今井君が講演会で滔々とジャベリまくる日本語の土台を作ってくれたのは、ほとんどがNHKアナなのである。
 ニュースなら、平光淳之介アナ、西沢祥平アナ、荒川修アナ。朗読の名人・竹内三郎アナも含め、今井君の頭の中にはどのアナの声もしっかりと記憶されている。時代劇のナレーションなら、誰が何と言ったって中西龍。中西龍の場合は、「アナ」という肩書を後ろにくっつけるのが奇妙に思われるぐらいの、驚異のナレーターであった。
ムール貝
(シェ・レオン。壁の装飾もムール貝である)

 とりあえず、彼の名調子を聞いたことがないヒトは、YouTubeで「NHK大河ドラマ 国盗り物語」をクリック。途端に「なんだ&なんだ、何なんだこりゃ?」と、思わず踊りだしてしまうこと必定である。
 ラジオでは、演歌中心の「にっぽんのメロディー」を担当。さすがに若きサトイモ君としては「演歌」なんか大キライだったが、彼の名文句「歌に思ひ出が寄り添い、思ひ出に歌は語りかけ、そのようにして、歳月は静かに流れていきます」に、当時たくさんの中年男女が涙したものである。
 新人アナとして赴任した熊本に恋仲の新橋芸者を伴っていったとか、ほとんど永井荷風なみ。粋な江戸っ子作家ふうの逸話に事欠かない。21世紀に入る直前に死去。さまざまなエピソードについては、三田完の著書「当マイクロフォン」(角川書店)に詳しい。万が一ヒマなら、ぜひ読んでみてチョ。
満足
(シェ・レオンでの自分撮り、満足サトイモ)

 今井君がベルギーを歩き回っている間に、こうして日本でもいろんなことが起こっていた。しかしベルギーのサトイモ・里之丞が固執していたのは、「何としても13日間、連続してムール貝を食べまくろう」という、マコトに暢気な目標である。
「ブエノスアイレスを旅した時は、15日間ずっと牛ヒレ肉のステーキを食べつづけた。食いまくった牛肉は6kgを超えた。しまいに肉体の半分がウシになって、ニャーと言おうとしても、口からはモーという声がでた。半分ウシになっちゃったのだ」
「ならば、ベルギーではムールを食べまくろう。1日に60個、13日で約800個。1000個だって夢じゃない。しまいに例の黒い貝殻が背中あたりから生えてきて、黒い天使みたいなサトイモ里之丞になれるかもしれない」
ま、そういうオロカでクダラン発想である。
満足拡大図
(拡大!! 満足サトイモ里之丞)

 さすがに本場だけあって、ベルギーのムールは夢のように巨大である。ちょっとした牡蠣の大きさはある。日本でお目にかかるムールみたいに、小さくイジケていないのだ。それを一気に60個は、相当お腹にコタえるが、諸君、クマ蔵は果敢に挑戦を続けた。
 日本のムールと言えば、黒い貝殻に薄っぺらくヘバりついた、ヒネこびたヤツらばかり。貝殻はアサリの5倍も6倍もあるくせに、肝腎の中身のほうは、スプーンで掻き集めてもアサリほどの重さもない。ブイヤベースやズッパ・ディ・ペッシェでのムールの役割は、中身よりも貝殻の装飾効果(mac君は「草食校歌」ときたが)に重点がありそうだ。
モルトスビト
(グラスに注ぐと、チェリービアはいっそう旨そうだ)

 1月13日、ブリュッセル滞在2日目のサトイモ里之丞は、イロ・サクレ通りの有名店「シェ・レオン」で第2次ムール戦争に突入。ベルギー名物チェリービールの助けも借りて、この白ワイン蒸しムール軍との対決にも、15分ほどでカンタンに勝利した。
 このときのチェリービールが「モルト・スビト」。フランス語の綴りはMort Subiteであって、これを日本語に訳せば、驚くべきことに「即死」である。しかしさすがに今日は長く書きすぎた。ムールとMort Subiteの味わいについては、また後日の記事に譲ることにしたい。

1E(Cd) Barenboim & Berlin:LISZT/DANTE SYMPHONY・DANTE SONATA
2E(Cd) Barenboim & Berlin:LISZT/DANTE SYMPHONY・DANTE SONATA
3E(Cd) Barenboim:MENDELSSOHN/LIEDER OHNE WORTE①
4E(Cd) Barenboim:MENDELSSOHN/LIEDER OHNE WORTE②
5E(Cd) Gradys Knight:JUST FOR YOU
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