2013年01月08日(火)

Sat 121215 何故こんなにガルニエで感激するか グランカフェの戦い(パリ速攻滞在記13)

テーマ:ブログ
 たかがパリのガルニエでオペラを観たぐらいでこんなに盛り上がってしまっては、まさに「田舎者丸出し」「オノボリさん丸出し」であって、教養が豊かに溢れる♡今井先生としたことが、ちょっとハシタナイぐらいである。
 だって、仕方ないじゃないか。今井君は、純然たる田舎者であって、高校3年になってもコーヒーショップ1つマトモに入ったことがなかった。オペラなんかトンデモナイ。「レストラン」の類いだって、デパートの大食堂ぐらいしか経験がなかったのである。
 関西の都会のヒトビトは「田舎者」についての観察眼が厳しくて、「東京いうても、要するに田舎モンの集まりやろ!!」とマコトに得意げに冷笑してみせるが、おお、まさに今井君こそ、「東京に集まった田舎モン」の代表格。スミマセンね、田舎モンの集まりで。
自分撮り1
(ガルニエ、ボックス席のクマ蔵)

 そういう激しい劣等感に苛まれていた18歳の学部1年生の夏休み、首都圏や関西圏で育った都会派の友人たちが、「日本なんか全然ダメだぜ」「どんどん海外に行かなきゃ田舎モンだぜ」と吐き捨てて、盛んにヨーロッパに旅立っていった。
 貧乏な田舎モンの学生だった今井君としては、「夏休みは秋田に帰省」という選択肢しかなかったから、指をくわえて彼ら彼女らの行動を見守った。スペインに旅立った女子、ドイツに向かった男子、フランス旅行に出かけたヒトビト。若き今井君はひとり秋田の田舎に取り残され、劣等感はますます大きくなるばかりであった。
自分撮り2
(ガルニエ、エントランスのクマ蔵)

 まだドイツ通貨はマルク、フランス通貨はフラン、ユーロの影も形もない。だって、まだ冷戦の真っ最中。ソ連ではブレジネフ書記長がまだ頑張っていて、友人の中に「ソ連こそユートピア」と真顔で演説するヒトだって少なくなかった時代だ。
 当然、ヨーロッパに旅立った彼ら彼女らの経由地はアンカレジ。アラスカ経由の北回りでなければ、26時間かけて東京→香港→ニューデリー→ヨーロッパの「南回り」を選択するしかない。帰国した彼らの話題に「アンカレジ乗り換え」が顔を出すたびに、ヨーロッパに対する今井君の憧れはどんどん強くなっていった。
自分撮り3
(ガルニエ、よく分からんが暗いボックス席の内部)

 「日本なんか、全然ダメだ」というのが帰国した友人たちの主張。「オペラなんか、1000円ぐらいで観られるんだぜ」「日本だと、2万も3万もとられるけどな」「向こうでは、毎日オペラに行ってた」というのである。
 諸君、こりゃショックだった。「向こうでは」も何も、今井君なんか、それまで18年の人生でオペラはNHK教育テレビで2~3回眺めたことがあるだけ。テレビで見てさえあんまり高尚で全くついていけなかったオペラに、彼ら彼女らは「ヨーロッパで毎日行っていた」とおっしゃるのである。
 しかも、「日本なんか後進国だ」と誰も彼もが当然のことのように頷きあう。まさにたった今ヨーロッパから帰ってきたばかりの友人たちが頷きあうのだから、どうも間違いなさそうだ。早稲田・大隈通りにあった喫茶店「異邦人」(異邦人と書いて「エトランゼ」と発音させるイヤな店)。昼食後、3時間目の授業をまるまるサボって、そんな土産話を聞いた。
シャンデリア
(ガルニエ、ロビーにて)

 当時、「中川八洋」という名のちょっと困った学者がいて、彼の著書「超先進国・日本」はまあそれなりにベストセラーになった。そういうタイトルの本がバンバン売れるということは、当時のヒトビトは誰も日本を「超先進国」だとは思っていなかった証拠でもあるのだが、田舎モンの今井君は中川教授のご意見に大賛成。
「なるほど、あらゆる面から観察して、日本は超やウルトラのつく先進国だ」
と信じて疑わなかった。
 おずおずとそういう意見を言ってみると、欧米社会をたったいま直接体験してきたばかりの友人たちが言下に否定する。というか、即座に嘲笑ないし憫笑ないし失笑が今井君を包み込む。
 「今井は日本にしがみついてるから分からないだろうけれど」とニヤニヤしながら、「だってさ、ヨーロッパだと…」「それに比べて日本なんか...」と具体例の列挙が始まって、無経験な今井君はエトランゼの薄闇の中に葬られてしまうわけである。
自分撮り4
(深夜のオペラ駅で)

 諸君、以上がオペラや欧米文化についてのサトイモ閣下の幼児体験である。789歳の今、学部生時代のことなど「幼児体験」に過ぎないのであるが、こういう惨めな体験があるからこそ、ガルニエのボックス席でこれほどオノボリさん丸出しの感動が可能なのだ。
 しかしあれから数百年、日本が今や世界に冠たる超先進国であることについて、否定するヒトはおそらくきわめて少数派である。ヒトの優しさと穏やかさ、街の明るさと清潔さ、ありとあらゆるものの効率の高さ、製品すべての入念な出来映え、どんな分野でも、日本が欧米に負けたままになっているものは考えにくい。
グランカフェ外観
(夜遅い食事は「グラン・カフェ」と決めていた)

 例えばこの夜も、オペラ・ガルニエを出たのが22時半過ぎ。この時間帯のパリでおいしい食事をゆっくりとろうと思っても、東京みたいなヨリドリミドリは考えられない。六本木や西麻布や西新宿周辺が懐かしくてたまらなくなる。
 オペラ座前に数軒、異様に混み合ったカフェと、異様に混み合ったファミレス(ヒポポタマス。この店の無闇に固い肉のせいで、その後10日間も激しい口内炎に悩むことになるのだが、その話はまた後日)と、オペラ座から南に下がったあたりにまだ開いている数軒のラーメン屋と、そのぐらいしか選択肢はないのだ。
グランカフェ
(グラン・カフェ店内)

 12月26日のサトイモ男爵は、迷うことなく「グラン・カフェ」を選択。ここは24時間営業で、20世紀終盤から「オペラがはねた後、お腹が空いたらココ!!」とガイドブックにも大書されつづけた名門店である。オペラが「はねる」だの、芝居が「はねる」だの、何だかその「はねる」という言い方が、コトバに神経質な今井君なんかは大キライだが、ま、いいだろう。
 入るなり、「ヴザヴェレゼルヴェ?」とフランス語で尋ねられる。予約なんか、もちろんしていないが、こんなにたくさん空席があるのに、「予約していない」というだけの理由で、最も条件の悪いテーブルに案内される。今夜のクマ蔵は、お隣に5人の家族連れのいるテーブルを指定された。
 7年前のパリ滞在時はこの店がスゴく高級に思えたものだが、いま店内を見回してみると、うーん、いろいろ残念なところも目に入ってくる。ソファもすっかり汚れてあちこち擦り切れてしまっているし、店員さんたちが慌てふためいて、丁寧なサービスをすっかり忘れている。
エスカルゴ
(今夜もまずはエスカルゴ:マキマキ軍団を平らげる)

 注文したのは、まず熱いエスカルゴ12個。3日前のシャンゼリゼDeauvilleでエス・カルゴ王子率いるマキマキ軍団を殲滅して以来、サトイモ大将はマキマキ軍団を蹴散らすチャンスを虎視眈々と狙っている。
 そして諸君、カタツムリ一族:ツムリン王国が誇る精鋭・マキマキ軍団は、間違いなくお隣の家族連れの男子を魅了するのである。それはこの間のDeauvilleでもそう。今夜のグラン・カフェでも同様である。6~7歳の男子(仮名:ジョルジュとしよう)は、もうサトイモ男爵vsマキマキ精鋭隊の激戦から目をそらすことができない。
コキヤージュ
(次はコキヤージュ:海のマキマキ軍団が相手だ)

 そこへ、今日のメインディッシュ:コキヤージュが運ばれてきた。ツムリン王国・マキマキ軍団は陸の貝類、一方のコキヤージュ軍団は海の貝類であって、まさに海から大量の援軍がやってきたのだ。ジュルジュも、ジョルジュの妹も、ジョルジュのパパでさえ、もう日本のサトイモなんか眼中にない。陸マキマキ&海マキマキ連合軍の勝利を祈るばかりである。
 中でも激しい興味を示したのがジョルジュのママである。今井テーブルとジョルジュテーブルの間には、約20cmのスキマしかない。ジョルジュママの視線はほぼクマ蔵の目の前にあって、クマが1個のマキマキを残酷に飲み込むごとに、否定と非難と批判をこめた強い視線でクマの存在すべてを呪ってみせる。
 そしてその厳しい呪いは、ものの見事にクマの肉体を蝕んだのである。家族が帰り支度を始める頃、クマは悪寒を感じはじめた。いつもなら「30分もかからずペロリ」のはずのコキヤージュを、今夜は何故か平らげる気力がない。このマキマキもイヤ、あのマキマキもイヤだ。何だか食べたくない。
アイリッシュコーヒー
(グラン・カフェのアイリッシュ・コーヒー)

 諸君、こうしてパリの今井君は、海陸マキマキ連合軍の前に屈することになった。仕方ない。最後に、何となく冷えきった心と身体を大好きなアイリッシュ・コーヒーで温めてから帰ろう。出て来たアイリッシュ・コーヒーは、上の写真でご覧の通り。コーヒーよりもウィスキーのほうが分量の多い、スバらしく濃いタイプのヤツである。
 おかげさまで、大いに温まって、さっきの悪寒のことも忘れてしまった。してみると、やっぱりあれはジョルジュママの呪いだったのか。そういうバカバカしいことを考えながら、深夜の地下鉄を乗り継いで、ジョルジュサンクのホテルに帰り着いた。

1E(Cd) Nanae Mimura:UNIVERSE
2E(Cd) AFRICAN AMERICAN SPIRITUALS 1/2
3E(Cd) AFRICAN AMERICAN SPIRITUALS 2/2
4E(Cd) Maria del Mar Bonet:CAVALL DE FOC
5E(Cd) CHAD Music from Tibesti
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