2012年11月05日(月)

Fri 121012 「世界一美しい書店」で 昔の丸ノ内線車両が活躍中(ンラゼマ地球一周記12)

テーマ:ブログ
 9月3日。カジャオの駅からブエノスアイレスの「世界一美しい書店」まで、徒歩で10分程度である。駅から地上に上がって、何よりも心配していたのは身の安全だが、「なあんだ、ちっともコワくないじゃないか」と少々ガッカリするほど、ごく普通に治安は保たれていた。
 アルゼンチン文部省前の小さな公園に、「明らかに怪しい」と思われる人物が4~5人散見されたけれども、彼ら彼女らが集団にならない限り、クマ蔵にまで危険が及ぶことはなさそうだ。どこの国でも一番危険なのは「集団だから許される」「みんな一緒なら何をしても大丈夫」と思うヒトビトである。
 カジャオの街は、都心からは離れているけれども、旨そうな店の立ち並ぶ賑やかな街。「ランチは何にしようかな?」と呟きながらブラブラ歩きをするにはピッタリである。東京で言えば、麻布十番とか恵比寿とか、四谷や中野や吉祥寺みたいな、そういう雰囲気である。
 1軒の総菜屋で目撃したマカロニ・サラダがあんまり旨そうだったので、恐ろしい治安情報をついつい忘却し、「マカロニ・サラダとフランスパンと赤ワインを買って、そこらへんの公園でのんびりランチもいいな」という気を起こしかけた。何のことはない、ブエノスアイレスはそのぐらい安全な街なのだ。
自撮り
(キウィの自分撮り at 世界で2番目に美しい書店)

 「世界で2番目に美しい書店」の正式名称は、エル・アテネオ。元はオペラ劇場だった建物を、大きな書店に改造して営業している。スペルはEL ATENEO。地下1階、地上3階。オペラのステージはキレイなカフェになっている。
 書棚の新本をカフェに持ち込んで読むこともOK。2階と3階のボックス席も試読室になっていて、いかにも読書好きな感じのヒトビトが、豪華な椅子に深々と腰を下ろして読書を楽しんでいる。書店というより、むしろ図書館である。
3階からの眺め1
(3階からの眺め 1)

 本を大切に扱う今井君なんかは、ちょっと心配になってしまう。こんなにみんなが自由に新本をめくって、やっと購入してもらえる頃には、本がすっかり痛んでしまっていないか? あちこちが痛んだ本を買って帰った人が、ガッカリしてしまわないか。
 ま、それはおそらく余計なお世話なのである。「本なんか、中身さえしっかりしていれば体裁なんかどうでもいい」「体裁なんか気にするのは、ホントの読書好きとは言えないのだ」と突き放されてしまえば、もうサトイモ軍曹に抗弁の余地はない。「そうですね、大切なのは、中身ですよね」と寂しく頷くだけである。
3階からの眺め2
(3階からの眺め 2)

 そして今井君はふと気づくのだ。「この書店の経営者としても、実際には図書館として利用してほしいんじゃないか」。ホントなら、美しい私立図書館として運営したい。本を売ってオカネを儲けたいわけじゃない。しかし書店として運営しなければ、経営的に厳しすぎる。だからやむを得ず書店にしているが、気分はあくまで図書館。そういうことなんじゃないか。
 3階をグルリとひと回り、2階もグルリとひと回りして、並べられた本の選択の素晴らしさにも気づく。最初から結論の分かっているつまらないビジネス書なんか、1冊も置かれていない。世界中の文学書、世界中の哲学書、あとは写真のたくさん掲載された楽しい料理や旅行の本。整然とした書棚を眺めると、やっぱりここは図書館なのだ。
1階からの眺め
(1階からの眺め)

 日本にも、東京にかぎらず地方中核都市などに、こんな私立図書館があったらいいなと夢想する。もちろん、係員が臨機応変に優しく対応してくれるなら、市立だって県立だって構わない。バブルの頃に大量に出現した無用のハコモノを利用して、「モトは劇場の書店」「モトはコンサートホールの図書館」を作れるはずだ。
「モトモトは能楽堂だったんですが、今は図書館です。図書館ですが、1ヶ月に1度は東京から狂言師を呼んで、狂言の会を催します。能狂言だけじゃなくて、能舞台を利用したジャズコンサートなんかも年に数回やりますよ。ただし、普段はあくまで図書館です」
うーん、やっぱりこういうのは採算を度外視しなきゃ無理ですね。
カフェからの眺め
(ステージ上のカフェから、書店方向を望む)

 ちょっと疲れたクマ蔵どんは、オペラ舞台のカフェに入った。本格的なカフェであって、タップリしたランチもとれる。旅行中のサトイモ男爵の場合、ランチの基本はビア。瓶のビア1~2本がランチのベースで、多くの場合はそれだけで済ませる。
 もちろん固形物を咀嚼したり嚥下したりするハシタナイ欲望がある時には、サンドイッチやナッツ類を注文することもある。国内の旅なら、竹輪だのサキイカだのオヤジ独特のエゲツナイ食べ物を口にしたりもするが、とにかくランチはその程度である。
カフェ風景
(カフェ風景)

 その分、外国旅行中のディナーは早い時間帯になる。遅くても午後5時、早ければ午後3時、周囲のヒトビトにとってはまだランチの時間帯に、サトイモ男爵だけはフルなディナーに取りかかる。いやはや、旅はホントに楽しいものでござるね。
キルメスとナッツ
(QUILMESとナッツ)

 この日、書店のオペラ・ステージで注文したのは、アルゼンチンビア「キルメスQUILMES」の黒ビア。諸君、これは旨い。旨すぎる。タップリのコクがあって、トロントロン。これほどトロントロンなのに、アサヒスーパードライ並みの冷たい辛口である。外国でビアが日本より旨いと感じることはほとんどないが、こりゃビックリの旨さだった。
キルメススタウト
(キルメス・スタウト、拡大図)

 エル・アテネオを出て、再びカジャオの街を地下鉄駅まで歩いた。さて、そろそろ今日のディナーに向かおう。目的地は、言わずと知れたラ・エスタンシア。昨日に続いて2日連続になるが、旨くて雰囲気が良くて大好きになった店に通うのに、2日連続だろうが3日連続だろうが、躊躇する必要はないし、他人からとやかく批判される筋合いもない。
エル・アテネオ
(エル・アテネオ)

 そして、この時やってきた地下鉄が、大昔の東京を走っていた丸ノ内線の車両だったのである。うぉ、こりゃあまりに懐かしい。赤をベースに、独特の白いラインがカワイイじゃないか。東京で引退した電車が、地球の裏側のこんなところで第2の人生を送っていたのだ。
 今井君がまだ幼稚園児だったころ、父・三千雄が出張のオミヤゲに買ってきたのが小学館「交通の図鑑」。結局26冊の図鑑シリーズがオミヤゲの形で揃っていったが、最初に買ってもらったのが「採集と標本の図鑑」、2冊目が「交通の図鑑」。26冊分、今でもほとんど暗記しているぐらい、何度も何度も繰り返しめくった。その「交通の図鑑」で紹介されていた「東京の地下鉄」が丸ノ内線だった。
旧丸ノ内線車両
(アルゼンチンで第2の人生をおくる丸ノ内線)

 古い丸ノ内線には、もう1つ思い出がある。「やっぱり東大は不合格」を確認した18歳の3月の午後、本郷3丁目から池袋までションボリ立ち尽くして行ったのが、このタイプの電車だった。
 当時の自宅は埼玉県大宮だったから、本郷3丁目から丸ノ内線で池袋、池袋から赤羽線の黄色い電車(当時はまだ「埼京線」というものは存在しなかった)、赤羽から東北本線で大宮に帰った。いやはや、大して受験勉強に励んだこともないクセに、妙にションボリ&シンミリして丸ノ内線の吊り革につかまっていたものである。
車内風景
(車内風景)

 いまブエノスアイレスで乗り込んだのは、もしかしてあの時の車両ではあるまいか。もちろんそんな確率はものすごく低いわけだが、決してゼロではない。吊り革の感触、ドアや壁面の塗装、扇風機やクーラーではなくて当時の地下鉄独特の換気扇、そういうものを眺めているうちに、何だか涙が出そうになった。
非常通報装置
(非常通報ボタンがそのまま残っていた)

 非常通報ボタンには、懐かしい日本語の文字がある。「非常の場合はこの下のボタンを押して乗務員に連絡してください」。あの18歳の昼下がり、「おやおや、今のボクはまさに『非常の場合』なんですけど」と、つくづくションボリしていた記憶が残っている。

1E(Cd) Kenny Wheeler:GNU HIGH
2E(Cd) Jan Garbarek:IN PRAISE OF DREAMS
3E(Cd) Bill Evans & Jim Hall:INTERMODULATION
4E(Cd) John Dankworth:MOVIES ’N’ ME
5E(Cd) Duke Ellington: THE ELLINGTON SUITES
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