2012年11月04日(日)

Thu 121011 カンビオ、カンビオ 地下鉄キップ売り場の少年(ンラゼマ地球一周記11)

テーマ:ブログ
 ブエノスアイレス滞在3日目、「世界で一番美しい書店」を見に出かけることにする。
 公式&正式には「世界で2番目に美しい書店」であるが、「世界で2番目」とか「日本で2番目」とか、そういう名乗り方をするのは、本心では「もちろん1番ですけどね」と信じているに違いなくて、実際に訪ねてみた書店は「元オペラ劇場」。そりゃ、世界一美しいに決まっている。
 宿泊しているファエナホテルから世界一の書店に向かうには、治安のいいホテル周辺の安全地帯から、泥の色の運河をわたり、大統領府「カサ・ロサーダ」あたりから治安情報満載の地域に入り、見るからに危険な地下鉄の薄闇に踏み込んで、コワいコワい地下鉄でさらに危険な街に向かうことになる。
 少なくともガイドブックや日本大使館HPではそうなっているから、世界一美しい書店を訪ねるのは、ほとんど命からがらの大冒険。まさにat your own riskであって、ホントなら地下鉄よりタクシーを利用したほうがよさそうだ。
緊張感
(自分撮り作品「緊張感みなぎるサトイモ閣下」。「最も危険」の定評あるレティーロ駅近くで)

 しかし治安情報によれば「タクシーに乗るという行動自体が非常に危険」。「ブエノスアイレスのタクシー・ドライバーには悪質な人がたくさんいて、犯罪組織と結託して乗客から金品を捲き上げようと狙っている」。そういう話になっていたから、空港からホテルへの移動だってレミースを利用した。
 ならば、危険地帯をかいくぐり&かいくぐり、用心に用心を重ね、頭を低くして地下鉄の旅を敢行するほうがマシじゃないか。そもそも地元のヒトたちには全く怖がっている様子がないのに、観光でノホホンと訪れた暢気なクマさんが、地下鉄なんかでそんなに怖がっているのは滑稽である。
学生
(陽気な高校生たち)

 泥色の運河の脇では、若者が何もかも忘れて熟睡中。運河の脇の道路を横断していく男女高校生の諸君だって、皆あけっぴろげにゲラゲラ笑って楽しそう。300万都市・ブエノスアイレスの日常生活がこんなに長閑に繰り広げられている時に、日本人だけ怖がってブルブル震えているなんて、マコトにバカげている。
眠る男
(硬直して熟睡する男)

 繁華街には、モグリの両替屋がワンサと並んでいる。今井君がその近くを練り歩いていくと、まるで後ろをつけてくるかのように「カンビオ」「カンビオ、カンビオ」「カンビオ、カンビオ&カンビオ」とシャガレ声が唸りつづけている。
 カンビオとはCambioであって、要するに両替のこと。これがもし日本なら「はい、両替ぇ」「はいはい、両替ぇ」「さぁさぁさぁ、両替ぇ両替ぇ両替ぇ」である。どのオジサンもみんなツブれたシャガレ声。雑踏の中で、このシャガレ声だけが不思議によく通る。
カンビオ街1
(カンビオさんの並ぶあたり 1)

 昨日の日曜日は閑散&荒涼としていた目抜き通りが、さすがに平日の昼近くだけあって、急ぎ足で歩くヒトビトで一杯だ。これほどの雑踏の中でもよく通るということは、あの独特のシャガレ声には何か秘密があるに違いない。
 中年のオジサンばかりではない。30歳そこそこの若い男もいるし、ちょっと上品な感じのオバサマだっている。縄張りでもあるのか、10mおきぐらいに立って、抜け目のない表情で周囲をニラんでいる。キチンと店舗を構えないで、路上に立ちんぼでCambioだなんて、そりゃ誰が見たって明らかにモグリである。
 こういう両替屋はニセ警官とグルになっていて、両替が実行された現場にニセ警官が出現することになっている。「アナタはいま違法な両替をしました」「パスポートとクレジットカードを提示しなさい」「ついでに、クレジットカードの暗証番号も教えなさい」というわけだ。
カンビオ街2
(カンビオさんの並ぶあたり 2)

 ブエノスアイレスでは、アジア系の人を全く見かけない。韓国人もいないし、世界中どこへ行っても必ず大集団で行動している中国人も、この街では今までのところ1人も目撃していない。
 アジア人は今井君だけなわけだから、とにかく異様に目立っている。カンビオおじさんも、カンビオにーちゃんも、カンビオおばさまも、みんなゾロゾロ今井君の後をついてくるのかもしれない。2分歩いても、3分歩いても、気がつくとさっきと全く同じシャガレ声たちが「カンビオカンビオ」と怪しく囁きかける。
地下鉄入口
(地下鉄カテドラル駅)

 面倒なので、思い切って地下鉄に乗ることにする。カサ・ロサーダ前の5月広場に地下鉄の駅が3つあって、それぞれが3路線の始発駅になっている。サトイモ大将が乗る地下鉄は、教会の下のカテドラル駅から出る。
 チケットは、2つ並んだ窓口で買う。窓口係のオバサンの愛想の悪さはまさに驚異的であるが、「1ビアヘ」で1回券、「2ビアヘス」なら2回券、写真のような大きなキップを改札に通してホームに出る。
1ビアヘ
(キップ、1回券)

 Suicaみたいなタッチ方式のものも普及していて、地元市民は慣れた様子でタッチしている。ニューヨークはいまだにスライドさせる方式のメトロカードだから、この部分だけはニューヨークが一番遅れているのかもしれない。
窓口
(地下鉄駅構内 1)

 キップの窓口に小学校3~4年と思われる少年がへばりついている。「おつりの小銭をおくれ!!」というのである。キップを買うお客の一人一人に「小銭をおくれ!!」「おつりをおくれ!!」と律儀に声をかける。疲労とあきらめに、幼い顔の表情がすっかり歪んでしまっている。
 時計は12時ちょっとを指しているから、おそらく学校には通っていないのだ。日がな一日、こうしてキップ売り場にへばりついて、ナニガシかの小銭をポケットに貯め込んで家に帰るんだろう。窓口の愛想の悪いオバサンたちも全く追い払う気配がないから、こういうのはブエノスアイレスではきっとごくありふれた光景なのだ。
2ビアへス
(キップ、2回券)

 駅や路線ごとに、おそらくコドモ1人1人の縄張りがあり、もちろん元締めみたいな人物がいて、上がりからナニガシかの上納金をむしり取る。ナケナシの上がりから何十%も搾り取られれば、ナケナシはますますナケナシになってしまうが、極貧の家族に貢献する手だてがこれ以外になければ、空しくキップ売り場にへばりつくしかない。マコトに悲しい、絶望的な光景である。
地下鉄構内
(地下鉄駅構内 2)

 地下鉄の雰囲気自体は、それほど差し迫った危険を感じさせるものではない。みんな大人しく電車を待っているし、怪しい行動をとるオジサンとも、怪しい目つきのニーチャンとも遭遇しない。貧しげで、古くて、いたる所で塗装がハゲていることを除けば、そんなに「治安が悪い」「治安が悪い」と連呼するほどのことではない。
 カジャオCallaoの駅で降りる。降り口ではもうキップは必要ないので、50年も昔のものと思われる木製のレバーを回して外に出る。レバーはもうすっかりグラグラで、ちょっと力を入れればスッポリ抜けてしまいそうである。
降り口
(地下鉄の降り口)

 さて、「世界一美しい書店」をめざし、カジャオの街を進む。大統領府付近の中心街を離れたから、周囲にいっそう注意を凝らし、危険が迫るやいなや、クマ蔵独特の韋駄天ぶりを発揮しなければならない。
 諸君、サトイモ軍曹の足は、歴史に残るほどの驚異的短足であるが、扇風機並みの高速回転が可能。たいへん短いけれども、逃げる時には世界に誇る高機能ぶりを発揮できることになっている。
カジャオ
(カジャオ駅に到着)


1E(Cd) Sonny Clark:COOL STRUTTIN’
2E(Cd) Kenny Dorham:QUIET KENNY
3E(Cd) Shelly Manne & His Friends:MY FAIR LADY
4E(Cd) Sarah Vaughan:SARAH VAUGHAN
5E(Cd) Radka Toneff/Steve Dobrogosz:FAIRYTALES
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