2012年08月28日(火)

Thu 120804 「…していきまーす♡」の大洪水 ジンジン痺れる(イスタンブール紀行25)

テーマ:ブログ
 さて、トルコのプリンシズ諸島であるが、人口1300万の大都会から約2時間の手軽な観光地だから、ちょうど江ノ島みたいな位置づけである。確かに島の雰囲気も江ノ島に似ている。ネコたちの天下であることも江ノ島と同じ。海辺にズラリとレストランが並んでいるが、観光客の数よりもネコのほうがずっと多いぐらいである。
 そのうちの1軒を適当に選んで、「まずはランチ」ということにした。向こうのテーブルには若いトルコの男女7~8人が座って、明るいランチが進行中。「東京か横浜の大学生グループが、授業をサボって江ノ島に遊びにきた」。その類いの、すっかり緩んで穏やかな風情である。
ジンジン
(トルコのお菓子は、甘さがジンジン脳に響く)

 クマ蔵はもちろん「まず、よく冷えたビア」。料理は、よく分からないイカの料理1皿と、バルック・シシュを2本。白身魚と野菜類を、シシケバブ風というか、BBQ風に焼いた単純な料理である。よく理解しないうちに全部飲み込んでしまったが、帰ってから調べるとチャンと「バルック・シシュ」という名前がついていた。
 ホントなら、ここは料理を大いに褒めたたえなければならないところである。「新鮮な海の幸のエキスが野菜に染み込んで、思い出に残る最高のヒトシナでした」ぐらいの褒め言葉なら、ブログでもツイッターでも、いくらでも目にすることができる。
 しかし考えてみれば、そういうテンプレートみたいな褒め言葉は返ってゾンザイである。テレビ東京系の旅番組じゃあるまいし、「さて、コヨイの宿へ向かいます」「山奥の湯宿のオカミの愛情が込められた絶品のヒトシナ」とか、褒め言葉がテンプレート化して、褒めても褒めても、逆にむしろ傲慢な響きが増してくる。
バルックシシュ
(バルック・シシュ)

 このブログでは、「甘い!!」「やわらかーい♡」「溶けちゃったぁ♡」「何だ、こりゃぁ♨」「プリップリの食感ですぅ」などの表現のテンプレート化について、これまでに何度も問いかけてきた。
 ワサビ食べて「甘い!!」、カレー食べても「甘い!!」。唐辛子もモヤシもキュウリもキャベツもみんな「甘い!!」。肉は何でも「やわらかーい」「とけちゃった」じゃ、シロートと大差ない。放送作家のプライドが泣くじゃないか。
 こういう固定的反応しかできないタレントやレポーターは、そろそろこの世界から退場すべきである。ついでに、「コヨイの宿は…」「お待ちかねの…」「納得のヒトシナ」の類いの旅番組テンプレートも、そろそろ自己批判の時が来てるんじゃないか。このままだと、若い人々は一切テレビを見なくなりそうだ。
イカ
(理解しにくいイカ料理)

 ついでに、レポート番組での「…といいます」という語尾の氾濫についても言及しておきたい。この言及も、このブログではすでに2度目である。諸君、朝と夕方のニュースショーを、一度確認してくれたまえ。2012年の段階で、レポーターが読み上げるセンテンスのうち、5つに3つは「…といいます」の伝聞形語尾になっている。
 直接キチンと取材して、ライターさんが自信をもって書いた原稿なら、「です」「なのです」という言い切り形になるはず。言い切りを躊躇して「…といいます」と伝聞のニュアンスを残すのは、チャンと取材していない気後れを反映するものである。21世紀日本のメディアについて、今井君がいま一番憂慮するのは、実はこの点である。
エズメ
(島のエズメも辛かった)

 ついでに、料理番組から出発してこのところ急速に流行した語尾に「…していきまーす♡」がある。いまや、料理番組出演者の語尾は、「…していきまーす♡」が8割か9割を占める。
 「焼きます」じゃなくて「焼いていきまーす♡」。「混ぜ合わせます」じゃなくて「混ぜていきまーす♡」。「蒸していきまーす♡」「刻んでいきまーす♡」「熱していきまーす♡」「アクを取っていきまーす♡」。諸君、夏休みの宿題に、「番組別・語尾の割合の研究」はどうかね? サブタイトルは「いきまーす/といいますの氾濫」でいい。
 この流行が、床屋や美容院でも、看護師や医師にも、急速に拡大しつつある。一昨日の床屋さんでも「シャンプーしていきまーす♡」「5mmに揃えていきまーす♡」「ヒゲを剃っていきまーす♡」。病院でも「体温を測っていきまーす♡」「血圧を測定していきまーす♡」。「します」「剃ります」「揃えます」と、ビシッと断言されることは少ない。
犬くん達
(島のイヌ君たち)

 2010年12月、網膜剥離の手術をした時も、担当の看護師のコトバは「では、麻酔かけていきまーす♡」だった。「麻酔はじめます」ではなくて「かけていきまーす♡」。確かに、安心感はある。「ドカンと容赦なく来るんじゃなくて、ジワジワ時間をかけて丁寧にやってくれるんだな」「ソフトにやってくれるんだな」という安堵感である。
 しかし諸君。気難しい今井君なんかは、最近の日本には♡マークが多すぎるように思う 。こんなに♡マークばかり氾濫しなくても、「注射します」「高温のアブラでサッと揚げます」「鉄板で一気に焼きます」みたいに、「…していきまーす♡」の異様に優しい響きから爽快に解放されたいように感じることが多い。
島の改札口
(島の改札口。Suicaみたいなカードもトークンも使用できる)

 以上のようなバカなことを考えながら、トルコのクマどんは串刺しの白身魚を食べていきまーす♡ すると、あんまり絶妙のヒトシナとは言えないように感じていきまーす♡ もっとガッツリ、口の中で溶けちゃわないような固い肉を、ワッシワシ咀嚼したいような気持ちになっていきまーす♡ コヨイの宿に戻ってイヤシの湯に浸かる前に、シルケジのヒツジさんを無慈悲に退治してしまいたい欲望を感じていきまーす♡
船から見る大都会
(船から大都会イスタンブールを臨む)

 そろそろいい加減に店を出て、曇り空を眺めながらさらに散策を続けた。そこいら中の店で、何だか旨そうなお菓子を売っている。一見したところ小さなジャガイモを揚げたものに見えるが、差し出してくれたお兄さんの優しい笑顔に釣られて買ってみると、ジャガイモとは全く違う。
 あえて言えば、これは麩菓子の類いである。麩菓子よりもうワンランク軽くて、甘みも軽い。こりゃ、いくらでも食べられる。トルコのお菓子はみんな脳がジンジン痺れるほどに甘いのかと思っていたら、何だ、こんなに控えめなヒトシナだってチャンと存在するじゃないか。
お菓子
(麩菓子みたいなヤツら)

 夕方になって、港には雨が降りだした。さっきまで路上に横たわっていた大型犬たちも、そこいら中で寝そべっていたネコたちも、この雨を合図にみんなどこかに引き上げてしまったようである。
 船の出航まで時間があったので、船着き場のオジサンの店でもう1種類お菓子を試してみた。ところが諸君、これはさっきのとは似ても似つかないほど、メトメトに蜜がかかってジンジン強烈に甘い。あまりの甘さに、一口一口噛むごとに心までジンジン痺れるようである。

    「心まで、ジンジン痺れるトルコ菓子」

松尾バセオどんに倣い、「トルコの細道」の「面八句を庵の柱にかけ置く」ことにした。
 というか、こんなのを毎日食べてたら、子供の口の中は瞬く間に虫歯だらけになりそうだ。実際、帰りの船の中で今井君は久しぶりに「何だか歯が痛いな」と感じたのである。今のところ虫歯はゼロだから気のせいに違いないのだが、少なくとも3本の歯がジンジンうずき始めた。
お肉が焼けていきまーす
(シルケジで。お肉を焼いていきまーす♡)

 「お砂糖の濃縮エキスの中に歯を浸して、1週間放置したらどうなるか?」。子供時代のテレビ番組でみた実験で、歯がボロボロに崩壊する様子を見たような記憶があるが、思わず背筋が凍る恐怖にとらわれた。
 この恐怖から逃れるにはどうするか。もちろん、船が着いたらすぐにシルケジに走って、ヒツジの肉を3人前、ワッシワシ&ワッシワシするしかない。ひたすらワッシワシ肉をむさぼって、咀嚼の力でお砂糖を洗い流してしまおう。
 しかし、こういうバカげた行動を可能にするイスタンブール滞在も、とうとう残すところ2日になってしまった。マコトに無念の極みである。 
シルケジのチャイ
(シルケジのチャイ)


1E(Cd) Richter:BACH/WELL-TEMPERED CLAVIER④
2E(Cd) Richter:BACH/WELL-TEMPERED CLAVIER①
3E(Cd) Richter:BACH/WELL-TEMPERED CLAVIER②
4E(Cd) Richter:BACH/WELL-TEMPERED CLAVIER③
5E(Cd) Richter:BACH/WELL-TEMPERED CLAVIER④
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