2012年08月20日(月)

Fri 120727 ユスキュダルかウスクダルか ハムディ (イスタンブール紀行18)

テーマ:ブログ
 5月24日、ハギアソフィアを出た今井君は、エミノミュからお船に乗って、一路ウスキュダルの町を目指した。クリミア戦争当時、ナイチンゲールが活躍した舞台である。
 発音は、ウスキュダルでもいいし、ユスキュダルでもいい。トルコ語のスペルでは、Üsküdar。ドイツ語の影響を色濃く残すトルコ語としては、ウムラウトのくっついた冒頭の「Ü」を、「ウ」とするか「ユ」とするか、たいへん難しいところである。
 ただし物事の整合性という話からすれば、真ん中のküを「キュ」と表記している以上、Üも「ユ」とすべきなんじゃないか。冒頭のÜが「ウ」と表記されるなら、全体も当然「ウスクダル」。整合性を重視すれば、「ユスキュダル」か「ウスクダル」か、どちらかに統一すべきである。
カラキョイとスレイマン
(カラキョイ方面からスレイマンジャーミーを望む)

 ところが、外国語のカタカナ表記というのはマコトに難しいものであって、ここにいろいろな例外事項がシャシャリ出てくる。学者先生が難しい顔をして「整合性」なんかを説いていると、話は次の一言でカンタンにひっくり返ってしまう。つまり
「トルコ語のÜ(uウムラウト)は、語頭では「ウ」、語中では「ユ」の発音となる」
こういう例外事項が発生すると、論理の整合性なんか関係なく、「ユスキュダル」でも「ウスクダル」でもなくて、「ウスキュダル」が正しいということになってしまう。
乙女の塔近景
(ウスキュダル「乙女の塔」近景)

 諸君、だから、そういう面倒くさいことは全て学者先生に任せて、ここはウスキュダルの町を満喫すればいい。ウスクダルだろうとユスキュダルだろうとウスキュダルだろうと、町の人々の笑顔や叫び声には一つの違いもないのである。
 一方、「外国語の専門家になったら、そういう議論に一生をかけなきゃならないのかも」と覚悟すべし。「ボクは英語が得意だから英語を専攻して、一生を英語研究に捧げます」などということになれば、20年の研究成果も「これは例外です」「だって○○語ではそうは言いません」というネイティブの一言で、輝かしい研究業績も根幹から覆されかねない。
乙女の塔遠景1
(ウスキュダル「乙女の塔」遠景)

 ボクチンなんかは秋田方言のネイティブ・スピーカーだから、秋田方言についてどんな立派な学者がどんな立派な発言をしても、その立派な発言を一撃のモトに撃破してしまう自信がある。「少なくとも秋田の現地人はそういうコトバはつかいませんね」とニヤニヤorニタニタすれば、それで全て終わりである。
 そこでクマ蔵は大人しくシッポを巻いて、ユスキュダルだかウスクダルだかの町をほっつき回ることにする。モトモトどうでもいいことだ。この町は旧名「スクータリ」でもOK。Üsküdarのうち冒頭のÜは無視、途中のdはtの発音で済ませ、rのあとのiの音を加えて、Üsküdar→Skutariでも通じるのだ。要するに、訛ったか、訛らなかったか、その程度の違いなのである。
乙女の塔2
(ウスキュダル「乙女の塔」を遥かに望むチャイハーネ)

 ただし今井君は「ウスキュダル」が好き。実は新宿南口にもう30年も前から「ウスキュダル」というトルコ料理屋があって、今井君はここをタクシーで通過するたびに、「おお、いつかはこの『ウスキュダル』でメシを食ってみたいものだ」と憧れ続けてきた。
 そしてとうとう2012年、新宿「ウスキュダル」に入店してみるより先に、実際のイスタンブールのウスキュダルを訪ねてみることになった。諸君、熱い夢は、こうして必ず実現するものなのだ。
カップルと青梅売り
(ウスキュダル カップルと青梅売り)

 ついでに白状すれば、今から25年前、クマ蔵は新宿の「ウスキュダル」に1度足を踏み入れてみたことがある。ところが、テーブルに案内されるどころか、声をかけられることもなく、戸口付近に立ったまま完全に無視され、トルコ人とおぼしき従業員たちが奥のほうでいつまでも談笑しているばかり。どうしようもなくなったクマ蔵は、「何事もなかった」というフリでコッソリ店から逃げ帰った。
 普通の人なら、「あんな店、2度と行くもんか」と怒り心頭に発するところであるが、さすがクマ蔵は違う。憧れは、ますます高まっていく。いつか相手にしてもらいたい、世界3大料理として、時に日本料理を押しのけることさえあるトルコ料理を、いつか味わってみたいものだという思いは、この4半世紀ますます高まるばかりであった。
ウスキュダル
(ウスキュダルの船着き場)

 ついでに、日本に帰国してから調べてみると、トルコのウスキュダルは、わが東京都渋谷区と友好都市協定を結んでいるとのこと。いやはや、知らないところで身近な街どうしが結びついているものである。ウスキュダル、恐るべしであるね。
 ただし、エミノミュからの連絡船で20分、実際のウスクダルだかユスキュダルだかスクータリだかに到着してみると、世界に冠たるトルコ料理の片鱗は全く感じられない。海岸線に沿ってジュータンを敷き詰めたチャイハーネがどこまでも続き、チャイハーネの途切れた場所では男たちが釣りに興じ、しかし釣れているのは小さな小さなアンチョビばかり。そういうごく穏やかな田舎町に過ぎない。
スパイスマーケット
(スパイス・マーケット)

 仕方なくクマ蔵は、海岸を右に見ながらカドキョイ方面に30分ほど散歩するにとどめた。右側の海はマルマラ海、対岸は巨大モスクの並ぶイスタンブール旧市街、このまま散歩を続ければ、1時間ほどでカドキョイの町に至る。
 まもなく、右の海岸から100mほどのところに「乙女の塔」が見えてくる。いかにもアラビア世界らしい男女の逸話の残された小島で、小島には灯台と高級レストランがある。レストランは観光名所になっていて、市内各所からプライベートボートがやってくる。
 今井君はそういう作られた名所や高級レストランには縁もゆかりもないし、興味も関心もないから、乙女の塔からすぐにウスキュダル港に引き返して、お船でエミノミュまで戻ることにした。どうやらクマ蔵の憧れは新宿南口「ウスキュダル」までで終わっていたようである。
ハムディ
(繁盛している「ハムディ」。1階から4階まで、全フロアがレストラン。それでも予約しないと待たされる)

 旧市街までは、20分の航海。進行方向右にガラタの塔、左にハギアソフィアとスルタンアフメット、正面にガラタ橋とスレイマン・ジャーミー。この1週間、この風景もすっかりお馴染みになった。
 ガイドブックの著者は、この辺も「スレイマン・ジャーミー」じゃなくて「スュレイマニュエ・ジャーミー」、「シルケジ」も「スィルケジ」と表記するのであるが、いやはや、難しい御仁というものは、どこまでも行っても難しい。
 この日の夕食は、エミノミュ埠頭正面の「ハムディ」。ガイドブックには「非常に見つけにくい」とあるが、サバのサンドイッチのお店からスレイマン・ジャーミーのほうを振り向けば、これ以上見つかりやすいお店はちょっと考えられない。
ハムディ店内風景
(ハムディ 店内風景)

 ただし、見つかりやすいからといって、優れた店であるとは限らない。まず、この店ご自慢の眺望であるが、それは最上階の窓際のテーブルに座った場合に限られる。窓際からなら、ガラタ橋、ガラタの塔、対岸カドキョイの夜景、全てがスンバラシイ。しかしその「4階窓際のテーブル」は。わずか10席か15席。残りのテーブルは、混雑した店内の混沌のアリサマしか眺められない。
 メシが旨いかどうかは、クマ蔵みたいな野蛮なヤカラが論ずるのは生意気である。旨いと思うヒトは旨いと思うだろうし、そう思わないヒトはそう思わないだろう。クチコミなんかに頼らないで、自分で確かめてみるのが一番いい。
ロゼワイン
(ハムディのロゼワイン)

 ただし、「ワインを注文するとウェイターたちがパニックに陥るかもよ」ということだけは記しておこう。今井君は、一番分かりやすそうなロゼワインを1本注文。だって、ロゼなら1種類しかないから、『どれだ、どれだ?』という騒ぎにはならないはずだと考えたのだ。
 ところが諸君、まさにその「どれだ、どれだ?」の混乱が目の前で展開されることになった。「どれだ?」も何も、それ1本しかないし、それ以外あり得ないのに、ウェイターAは知らんぷりし、ウェイターBは責任をウェイターCになすりつけ、Cは慌てふためき、Dはムカつき、Eは怒り、Fは天を仰ぎ、Gはワインなんか注文するヤカラをオッカナイ目で睨みつけるのであった。
カラスミ
(スパイス・バザールで。何故か日本語で「カラスミ」の文字が)

 スパイス・バザール(日本名エジプシャン・バザール)をちょっと覗いて、帰りのトラムヴァイに乗り込むと、雨模様の夕空に薄く虹がかかった。虹の足がハギアソフィアにかかっているのを、電車の窓から辛うじてカメラに収めた。1453年5月、危機一髪のコンスタンティノープルにも、こんな淡い虹が何度もかかったのかもしれない。
ハギアソフィアの虹
(ハギアソフィアと淡い虹 トラムヴァイから撮影)


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