2012年08月19日(日)

Thu 120726 雷雨の1日 ハギアソフィア カリグラフィー(イスタンブール紀行17)

テーマ:ブログ
 8月18日、東京は朝から凶悪な黒雲に覆われ、9時過ぎに最初の遠雷が轟いた。まもなく「雹じゃないか?」と思うほど大きな雨粒が屋根をたたき、雷鳴も次第に大きくなった。代々木上原では午前10時前に2回、すぐ間近で激しい落雷があった。
 今井君は、その時ちょうど暢気に入浴中。仕事が一段落して時間がタップリある時には、朝2時間かけてヌルいお湯にじっくり浸かり、体調を整える。「体調を整える」の中には「風呂上がりのビア」も当然含まれていて、土曜日曜のオヤジが風呂上がりの後のビアに激しく絶叫するのは、人生のクライマックスに他ならない。
ハギアソフィア外観
(ハギアソフィア外観)

 「そんなに長時間お風呂に入っていて、暇じゃありませんか?」と尋ねるのは、まだ人生のシロートなのである。分厚い文学全集をお風呂に持ち込んで、あふれる汗でタオル1枚ビショビショにしながら読みふければ、2時間ぐらいはあっという間に過ぎていく。
 そもそも、何でもかんでも「速読だ」「速読だ」と、読書でさえスピード優先の世の中で、18世紀や19世紀の長大な小説に付き合っていられるのは、暢気なお風呂の中ぐらいのものである。
 「急げ」「速く」と思うから、読書もついつい軽薄化して、読む前から結論の分かっているビジネス書やHow to物ばかりになり、それで「1週間で10冊読んだ」「1ヶ月で100冊読んだ」などと大威張りしているのは、あまりカッコいいものではない。
ハギアソフィア1
(ハギアソフィア 1)

 クマ蔵どんは、窓を開け放って入浴するのが好きである。というか、窓を閉め切って2時間もアッタカ・オフロにつかってれいば、クマの肉体も精神もブヨブヨにゆだってしまうし、せっかくの文学書も湯気でヨレヨレになっていく。例え真夏の熱風であっても、湯気でモワモワの浴室に吹き込んでくれれば、十分「一陣の涼風」の名に値するのである。
 10時、ドストエフスキーに熱中していた今井君は、すぐ間近で炸裂した雷鳴に一驚を喫した。稲妻と雷鳴が、ホンの一瞬の間もあけずに連続したのである。こりゃ危険でござるね。しぶしぶ窓を閉めて、今日はこれ以上の読書をあきらめた。
ハギアソフィア2
(ハギアソフィア 2)

 8月18日の予定は、午前と午後の野球観戦であった。午前は、熊本の済々黌を応援。午後は秋田商を応援。ともに勝ち目は薄いのだが、早稲田そっくりのユニフォームのこの両校をどうしても応援しなければ気が済まない事情については、この4~5日のブログですでに詳しく述べた。
 そもそも、一昨日の予定では「8月18日は甲子園まで応援に行くかな?」だったのだ。大阪伊丹空港までの航空券は、往復で3万円程度。貯まったマイルを上手につかえば、現金0円で航空券はまかなえる。日帰りで2ゲーム観戦して、帰りに梅田あたりで一杯飲んでくるのも悪くないじゃないか。
ハギアソフィア3
(ハギアソフィア 3)

 予定を思いとどまったのは、「あの暑さじゃ、クマが煮えるな」「あの炎天下じゃ、クマの焼き肉ができちゃうな」という、きわめて常識的判断の結果である。
 今井君が最後に甲子園で高校野球を見たのは、22歳の時。学部の友人4~5人で大阪と鹿児島を旅行して、その途中で甲子園に立ち寄った。すでに数百年前、室町時代の出来事だが、まだ若かったあの時でさえ、ホンの1時間かそこらで暑さに気を失いそうになった。
ハギアソフィア2階
(ハギアソフィア 2階に上がってみる)

 結果から言えば、「行かなくてよかった」ということになるのかもしれない。大応援団の奮闘も空しく、済々黌は惜しくも敗退。午後3時前から甲子園を襲った雷雨のせいで、野球は3時間近く中断。秋田商の試合は泥んこの球場でのナイターになり、何となくひ弱な印象を残したまま、こちらもあえなく敗退ということになった。
 試合終了は20時近かったから、もし甲子園に出かけていたら、帰りの飛行機には間に合わなかった。マイルで購入した航空券は「その便かぎり」であって、搭乗できなかったらせっかくのマイルも「なかったこと」にされてしまう。ま、常識的判断でよかったということでござるね。
モザイク1
(ハギアソフィア キリストのモザイク)

 5月24日、イスタンブールの今井君は、いよいよ最後に残った大物・ハギアソフィアを見学に出かけることにした。イスタンブールのmustsと言えば、①トプカプ宮殿 ②ブルーモスクことスルタンアフメット ③ボスフォラス・クルーズ ④グランバザールときて、⑤がハギアソフィアである。
 これが京都なら、①金閣・銀閣 ②清水寺 ③嵐山・嵯峨野 ④祇園ときて、⑤が京都御所というところか。一応⑤ということにしたが、御所もハギアソフィアもmust中のmustであって、ここを見逃したら「いったい、何しに行ったの?」の謗りを免れない。
モザイク2
(ハギアソフィア マリアのモザイク)

 ここで故事来歴を確認しても仕方がないが、ハギアソフィアは東ローマ帝国1100年の中心地である。初期の建設には、ローマ皇帝コンスタンティヌス1世やユスティニアヌスが関わっている。4世紀前半、日本はまだ古墳時代の幕開けのころだ。
 大聖堂完成は537年。うにゃにゃ、日本への仏教伝来1年前である。その後900年、ここがギリシャ正教の総本山。1453年のコンスタンティノープル陥落後は、そのままイスラム寺院に大改修。キリストのモザイクも、マリアやヨハネのモザイク画も、みんな漆喰で塗りつぶされた。
 さらに500年が経過して、20世紀へ。ようやく調査チームが入って、漆喰の奥からモザイク画の一部が復活。今は一応「博物館」ということになっているが、今井君の大キライな西欧型の博物館ではない。ギリシャ正教とイスラムの重なりあった巨大寺院を、元通りに復元して公開しているだけである。
カリグラフィー1
(カリグラフィーアートが面白い 1)

 ドームにはキリスト教大天使の像。ドームの要所要所に黒い円盤が配置され、黒の地に金のカリグラフィーで、ムハンマドと正統カリフの名が記されている。2階に上がると、その円盤を裏から眺められる。その作りは意外なほど単純なもので、コンスタンティノープル征服後のトルコがどれほどイスラムへの改修を急いだか、何となく見えてしまうようである。
 ここでもまた、遠足で訪れた小学生集団のあまりの元気さに圧倒される。このあと今井君は、「地下宮殿」「軍楽隊コンサート」でも小学生軍団のエネルギーに圧倒されるのだが、いやはや、元気も元気、周囲のオトナたちの迷惑なんか一切考慮する様子がない。
 その元気がマコトに微笑ましいのである。コドモには日本人と中国人の区別なんかつくわけがないから、イタリアでもトルコでも今井君はコドモたちには「中国人」と判断される。オトナたちが一瞬で日本人だと判断して「コンニチハ」「スミマセーン」「オハヨーサン」と話しかけてくるのとは対照的。コドモたちは懸命に「ニイハオ!!」と叫んでみる。
元気な小学生たち
(マリアさまと、元気なトルコの小学生軍団)

 こういう時、イタリアの小学生なんかは、遠巻きに「チーノ!!」「チーノ!!」と囃し立てたり、大声で囃しながら逃げていったり、少し内気な行動をとる。フランスでもスペインでも、コドモたちの行動の内気さは似たようなものである。
 そうして内気に逃げ回られると、こちらは思わず若干の悪意を感じてしまう。今井君が欧米人に対してコンプレックスを居抱いているせいかもしれないが、とにかくコドモたちの反応にも、ホンのわずかな優越感と悪意が感じられるのである。
 ところがトルコのコドモたちには、この種の内気さは皆無である。こちらの顔をマトモに見ながら、「ニイハオ!!」と笑顔でよってくるし、歌を歌う時には、手を叩きながら恥ずかしがらずに大きな声で歌う。彼ら彼女らの歌を聞きながら、欧米人旅行者の中から思わずブラボーの声が上がるほどである。
カリグラフィー2
(カリグラフィーアートが面白い 2)

 そういう元気なコドモたちに混じってハギアソフィアを満喫した後、館内の一隅に展示されていたカリグラフィー・アート展に思わず見入ってしまった。日本人観光客がこんなことに時間をムダにしていてはイケナイのかもしれないが、文字とセンテンスとパッセージだけをモトに、美しく繊細に形象化していくこの執念は、感激と感動に値する。
カリグラフィー3
(カリグラフィーアートが面白い 3)

 どうですか、これと同じことを日本語でやってみませんか。アラビア文字ならではの芸術なのだろうが、ひらがなにカタカナに漢字を組み合わせれば、より繊細なカリグラフィーを創造することも十分に可能なんじゃないか。今井君はそう感じるのである。
 いや、もっと言えば、どうですか諸君、カリグラフィーアートをやるためだけに、アラビア語をやってみませんか。英語万能♨利益万能♨能率万能の世の中で、「カリグラフィーのためだけにアラビア語をやる」「文学全集を読むためだけに2時間も入浴する」、何とフトコロの広い人生の楽しみ方じゃござんせんか。
カリグラフィー4
(カリグラフィーアートが面白い 4)


1E(Cd) José James:BLACKMAGIC
2E(Cd) Radka Toneff/Steve Dobrogosz:FAIRYTALES
3E(Cd) Billy Wooten:THE WOODEN GLASS Recorded live
4E(Cd) Kenny Wheeler:GNU HIGH
5E(Cd) Jan Garbarek:IN PRAISE OF DREAMS
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