2012年07月07日(土)

Wed 120613 歴史秘話ヒストリア 全てを網羅しています(イスタンブール紀行 序章2)

テーマ:ブログ
 今週水曜日、那覇のホテルでテレビを観ていたら、NHK「歴史秘話 ヒストリア」というのが始まった。「金閣銀閣 せめて、いい家に住みたい」の再放送である。
 1時間足らずの番組に、金閣に銀閣、足利義満に足利義政、北山文化に東山文化、何でもかんでも詰め込んで、どこがどう「秘話」なのか、サッパリわからない。「山川出版社の日本史教科書に太字で出ている程度のことが、どうして『秘話』扱いされるんですか?」である。
 たとえば応仁の乱について、「これは将軍義政が、ある守護大名の跡目相続に関わってしまったせいでした」。6代足利義教の死についても「ある守護大名に暗殺されてしまいました」。どうしてハッキリ「畠山氏」「赤松満祐」って言わないの? 高校の教科書でも、みんな太字になっとるよ。
サッカーボールなねこ
(イスタンブールで出会った、サッカーボールなネコどん)

 2008年に始まって、すでに放送100回を超える長寿番組だが、どんなヒーローを扱っても「奥サマには、苦労していたようです」と言って、着物姿の女性局アナが意味ありげにニヤリするのが定番。この回も、義政が奥方・日野富子に苦労していたことが「秘話」の1つになっている。
 確かに日野富子は日本史上マレに見る悪女ではあるだろうが、「コメを買い占めて値段をつり上げ、高騰した時に売って大儲けしました」「諸大名にオカネを貸し、高額の利息で大儲けしました」、その程度のことがホントに「秘話」のレベルなの?
 むかし中公新書に「日野富子」という1冊があったが、新書判にいくらでも書かれていることが秘話なんじゃ、そりゃ何でもかんでも秘話&秘話、秘話♡秘話であって、世の中そこいら中がヒワヒワヒワヒワ、秘話で溢れちゃわないかね?
イスラームなヒゲ
(イスタンブールのトルコ的ヒゲ男子)

 この時間帯のNHK歴史番組は、1970年代の「日本史探訪」に始まり、2000年代「その時、歴史が動いた」まで継承される、NHKの看板番組である。「日本史探訪」には、当時の日本を代表する作家が画面に登場して、それこそホントの秘話を次々と紹介してくれた。
 司馬遼太郎。松本清張。海音寺潮五郎。永井路子。このレベルの作家が、夜10時過ぎの画面で表情を引き締め、抑制の聞いた低い声で淡々と語る秘話は、まさに血湧き肉躍る本当の秘話である。朝のワイドショーじゃあるまいし「奥サマには苦労していたようです」なんてのをヒワ扱いするようじゃ、この時間帯の歴史番組として恥ずかしいんじゃないの。
ガラタから金角湾
(ガラタの塔から、夕暮れの金角湾を望む)

 以上の話は「ターゲットは徹底的にしぼらなきゃダメよ♡」という昨日の記事の続きである。この番組の場合、あくまで今井君の感想ではあるが、ターゲットをしぼる作業において2つの面で失敗している。
① まず、「いったい誰に見せたいのか」である。放送は水曜日22時台。平日のこの時間帯にいったい誰が、着物姿のベテラン女性アナが「こんな英雄でも奥サマにはご苦労なさっていたご様子」と微笑む姿にチャンネルを合わせるのか。中高生? 大学生? 「奥サマ」? 疲れきった会社員? ちょっと遊んで、ほろ酔いで帰ってきた会社役員? 教師とか大学教授? 今井君は、ターゲットとなっている視聴者像がサッパリつかめない。
海からのドルマバフチェ
(ボスフォラス海峡からドルマバフチェ宮殿を望む)

② もう1つ、「誰を描きたかったのか」もハッキリしない。足利将軍だけでも、尊氏に義満に義教に義政に義昭、5人も登場する。そのうちの誰を描きたいのか。逆にどうして義詮とか義輝を省略し、畠山氏や赤松満祐の名前を省略して、固有名詞を中学教科書のレベルに抑えようとしたのか。
ひつじな日々
(トルコでのヒツジな日々)

 かつての「日本史探訪」→「新日本史探訪」のいかにも重厚な歴史の描き方、「その時、歴史が動いた」の徹底したエンタテインメント性、それらが見事だっただけに、どうしても今井君は「ヒストリア」が気に入らないのである。歴史マンガとワイドショーを一緒くたにして、描かれる対象を曖昧にしてしまった結果がこれだ。
エズメサラダ
(エズメサラダな日々)

 同じようなことが、予備校でも起こる。「すべてを網羅」というヤツである。2000年頃の代ゼミのパンフレットが手許にある人は(そんな人は滅多にいないだろうが)、講座内容の紹介に「網羅」「すべてを網羅」という文字が目立つことを確認してほしい。
 夏期講習でも冬期講習でも、一般に90分×5=450分で講座は形成される。450分とは、7時間半である。7時間半とは、朝9時から午後5時までにすら満たないが、予備校講師たちは、サラリーマンの1日の勤務時間ぐらいの中に「受験英語のすべてを網羅します」と宣伝しまくった。
いわしな日々
(アンチョビな日々)

 「すべてを網羅」と案内書に書いてしまえば、道義上ホントにすべてを網羅しなければならない。英文法も、長文読解も、英文和訳も、英作文も、要約問題も、すべて網羅しなかったら「ウソつき」ということになる。
 「英文法」と一口に言ったって、仮定法も前置詞も関係詞も副詞も代名詞も、全部やんなきゃならない。それで「すべてを網羅」ということになるかと言うと、そうは問屋が卸さないのであって、問題形式だって網羅しなきゃなんない。書き換え問題、正誤判定問題、空所補充問題、4者択一問題、その他もろもろである。
マルマラ海再び
(トプカプ宮殿からマルマラ海を望む)

 文法だけでこんなになるんだから、もともと「すべてを網羅」なんてのは、誰が考えても200%も300%も無理なお話だったのである。しかしいったん流行してしまうと、滅多なことではその「すべてを網羅」を引っ込めてしまうことは出来ない。
 だって「すべてを網羅」の一言を入れないと、生徒たちの評判ないしクチコミとして
「他の先生は『すべてを網羅』してくれるのに、アイツだけは網羅しないんだってさ」
「ええっ、『すべてを網羅』してないの?」
「じゃ、受講しても意味ないね。『すべてを網羅』が最低限の条件だよね」
ということになる。
 予備校講師とはツライ職業であって、こういう状況で受講生が減り、教室がガラガラになると、直ちに失職の瀬戸際に立たされる。教務課の応接室に呼び出され、「先生、最近生徒が減ってますね」とニヤリとされれば、もう「クビ」は目の前だ。だから皆こぞって、何とかして「すべてを網羅」を実現しようと知恵をしぼった。
トプカプ1
(トプカプ宮殿で。「イスラム圏にいるんだな」を実感する 1)

 それに敢然と背を向けて、「ターゲットはキチンとしぼらなきゃ」と言い続けたのは、はばかりながらこの今井君である。「すべてを網羅どころか、英作文だけしかやりません」という「英作文 完璧6時間」だの、「文法の中でも『正誤判定問題しかやりません』と宣言した「文法語法 完璧6時間」だの、そういうのを平気でやり続けた。
 まあ、こういうのは結局ガンコさの問題であって、「何だ、網羅してないんですか?」とガッカリした生徒たちが質問に来て「網羅してないんだったら、今井先生の講座をとっても意味ないですね」と講師室で大声を出しても、「わずかな時間で網羅なんか出来るはずないだろ」と真実を言えるかどうか、そこにすべてがかかっている。
 しかし、「さすが今井先生。英作文にターゲットをしぼったわけですね」「この講座のターゲットは難関国公立と早慶のみ。そういうことですね」、チャンと分かる生徒はたくさんいる。おかげさまで今井君はあの網羅地獄を難なく生き抜いて、2012年現在も第一線で働かせていただいている。
トプカプ2
(トプカプ宮殿で。「イスラム圏にいるんだな」を実感する 2)

 もっとも、ターゲットをしぼると言ってもさすがに限度があって、しぼりすぎて大失敗した先生もいた。まあ、messやfiascoはターゲットのしぼりすぎからも発生するのである。今でも忘れられないのが、某講師の英文法講座。
「夏休み5日間、asだけをやります!!」
「あれこれやっても全部が中途半端になってしまうのが、夏。『asだけは分かるようになった』と言える夏にしよう」
これは、どうみても、いくら何でもやりすぎた。「2万円払って5日間ひたすらasばかり」に我慢できるほどの生徒は、日本の18歳には滅多にいるものではない。
駅
(イスタンブール、シルケジ駅。ここがオリエントエクスプレスの終点だとは、ちょっと信じたくない)

 さて、これで「イスタンブール紀行 序章2」は終わりである。明日はいよいよクマ蔵がトルコの大地に立つ。ミュンヘン空港からルフトハンザに乗り換えて3時間。夜23時のイスタンブール空港に降り立つわけである。
 今までたくさん旅行記を書いてきた中で(諸君、Mac君の変換は「快適田中で」だ。喝采を送ろうではないか)、初のイスラム圏に突入だ。大いに期待してくれたまえ。それにしても、わざわざ2回も長い長い序章を書いて、いったいこれがイスタンブールとどう関係するのか。その答えは、明日の記事で明らかになる。

1E(Cd) Paco de Lucia:ANTOLOGIA
2E(Cd) 寺井尚子:THINKING OF YOU
3E(Cd) Ono Risa:BOSSA CARIOCA
4E(Cd) 村治佳織・山下一史&新日本フィル:アランフェス交響曲
5E(Cd) Kirk Whalum:IN THIS LIFE
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