2012年06月24日(日)

Thu 120531 三軒茶屋で芝居を観る ボビーの像に涙する(スコットランド周遊記17)

テーマ:ブログ
 6月20日、講演会や出張や授業収録が連続する日々の間に、ポッカリと丸1日休日が出来たので、三軒茶屋の世田谷パブリックシアターに芝居を見に行くことにした。こまつ座公演、井上ひさし作「藪原検校」である。
 今井君にとって井上ひさしとは、幼い頃は「ひょっこりひょうたん島」の作者であり、やがて「しみじみ日本・乃木大将」の脚本家であるが、1970年代のこの芝居も、やっぱり彼の代表作の1つである。
 かつては熊倉一雄が演出し、太地喜和子・高橋長英・財津一郎が演じ、やがて21世紀には蜷川幸雄が演出、音楽を宇崎竜童が担当した。まさに昭和を代表する演劇のうちの一つである。エジンバラ国際芸術祭で最優秀演劇賞も受賞。諸君、ここでもやっぱりエジンバラが登場する。
おやおや
(ある日のアメブロ風景。おやおや、今井君がたいへんな人々の真ん中に登場している)

 主演は、狂言師・野村萬斎。筑波大付中→筑波大付高→東京芸術大卒。うぉ、超エリートだ。その後、中島敦「山月記」を舞台にしたり、「オイディプス王」の演出に携わったり、「子午線の祀り」で平知盛を演じたりしている。リチャード3世の演出・主演でも有名。侮れない超エリートな狂言師である。
 中身については、今井君なんかが評論めいたことを書く立場にはない。見に行きたいヒトは、チャンと自分で見ればいい。3階席でも6000円だったか6500円だったか、「いくら何でも、これじゃ学生は見に行けませんね」という高額なチケットであって、うーん、これが日本のよくないところである。
 「平日の昼間、13時から16時」という上演時間にも、どうしても問題を感じる。今井君は3階の天井桟敷。全体をマクロに観るにはいいが、あまりにも舞台が遠くて、早口に語られるセリフがところどころ聞き取れないほどだ。
チケット
(芝居のチケット)

 セリフには古語や死語が混じり、もともと聞き取りにくい。人形浄瑠璃・文楽を模した脚本で、文楽の三味線の代わりにギターが入り、義太夫の代わりに狂言回しの解説役が入る。
 この解説役の早口が、3階の天井桟敷からはマコトに聞き取りにくい。この30年間芝居を観まくって、すっかり演劇空間に慣れたクマ蔵が聞き取れないんだから、周囲の人々はもっともっと聞き取りにくいんじゃないか。この聞き取りにくさは、早稲田大学国際教養学部入試のリスニング問題をカンタンに凌駕する。
エジンバラ風景1
(エジンバラ、男子スカートの風景 1)

 正直に言えば、この芝居を演ずるには世田谷パブリックシアターは大きすぎるのだ。興行成績の問題もあるのだろうが、丁寧に丁寧に書き込まれた台本を観客が100%理解するには、小屋のキャパは300人が限度。高いカネを払った1階席のお得意客だけを相手にして演じられる感覚は、天井桟敷の客に若干の疎外感を与えてしまっていた。
 幕切れの残虐シーンも、今井君はあんまり好きじゃない。「処刑直前の末期蕎麦を罪人に無理やり食べさせて、胴体を真っ二つに切り裂く」。なるほど、この罪人の強烈な罪科から考えて、近世の未成熟な社会がそのぐらいの残酷な処刑を実行するのは理解できる。
 しかし、3時間に及ぶ長い長い芝居に集中し、主人公・藪原検校の繰り広げる祝祭空間に強いシンパシーを感じ始めた観客にとって、その残虐な真っ赤な血の色、腹の血に染まった大量の蕎麦を見せられるのは、少なくとも愉快な話ではない。
キルト1
(エジンバラ、男子スカートの風景 2)

 今井君は3階の天井桟敷だったからいいが、舞台の目の前の1階席で観ていた人々は、当分お蕎麦が食べられないだろうし、焼き肉を食べに行くのだって憚られる。そういう血の色であり、余りに生々しい演出であった。
 それにも関わらず、世田谷パブリックシアターを出た今井君は、さっそく西麻布に焼き肉を食べにいった。三軒茶屋には高校生が多すぎて、いつ「あれ、もしかして、今井先生ですか?」が始まるか、分かったものではない。落ち着いてゆっくり晩飯を楽しむには、西麻布、六本木、赤坂、そういう場所に移動する必要があった。
キルト2
(エジンバラ、男子スカートの風景 3)

 その晩飯の風景が、昨日の記事にあわせて掲載した「トラジ」の写真である。2012年夏、バブルの名残の西麻布は、今や「貸室」とか「For Rent」の看板と貼り紙が異様に目立っている。
 西麻布から広尾に向かう大通りには、「どう見ても、バブったな」というマコトにバブルっぽいビルの廃墟があって、いまや取り壊しの真っ最中。そう言えば、海老蔵どんが殴る蹴るの暴行を受けた「ビルの外階段」って、ここじゃないの? そういう廃墟の風景が、クマ蔵はあまりにも空しかった。
エジンバラ風景2
(エジンバラ、はみ出した時計の風景)

 ま、いっか。そう言えば、2009年9月5日のクマ蔵は、どうしているだろう。「藪原検校」が国際演劇賞を受賞したエジンバラで、日本人の行かない寂しい場所ばかりほっつき歩いているクマ蔵は、殴る蹴るの暴行の餌食にでもなっていないだろうか。
 諸君、クマ蔵は絶対に大丈夫だ。お金持ち風の外見、オボッチャマ風の風体や態度、そういう油断があるからこそ、暴行の対象や餌食になる。トルコで、トルコ人に、「トルコ人に似てますね」と指摘されるほど地元に溶け込みやすい今井君に、そんな危険は一切ない。
エジンバラの月夜
(ホテル・バルモラルから見たエジンバラの月夜)

 むかしむかし今井君は、北海道の網走で、他の観光客に「あのー、刑務所に行きたいんですが」と声をかけられた。「うーん、刑務所に行きたいんですか?ラスコーリニコフみたいに犯罪を犯すしかないですね」としか応えようのない、複雑怪奇な質問である。
 盛岡のデパートで「あのー、これはタオルケットですか?」と聞かれたこともある。店員さんと間違えられたのである。差し出された品物を見ると、確かに、紛れもなく、どう見てもタオルケット。「ああ、確かに、それはタオルケットでしょうねえ」と答えた。
 相手はいきなり激怒した。「あなた、その態度って、何なの? 上司を呼びなさい、上司を」というのである。「ボクは店員さんじゃありません」と言っても、相手はなかなかホンキにしなかった。
 東京の本屋さんで、小学校低学年の女の子に「あのー、この本なんですけど、ありますか?」と尋ねられたこともある。メモ帳の1ページを引き裂いた紙片にキレイな字で、著者名と本の名前が書いてあった。クマ蔵は彼女といっしょに児童書のコーナーを見て、見事に探し当ててあげた。
 こういうふうに、やたら地元に溶け込みやすい今井君だから、いつのまにかエジンバラ人になりきって、地元のヒトしか行かないような狭い通りや寂しい横丁に入り込んだ。それでもあちこちで名所旧跡に出会うのが、さすが古都エジンバラである。
ボビー1
(忠犬ボビーの像 1)

 中でも「ボビーの像」との出会いに感激。ボビーは、スコットランド版・忠犬ハチ公である。主人の死後14年間、毎日ご主人の墓参りを続けた。大型犬タイプが好きなクマ蔵としては、座敷犬のボビーはあんまり好きになれないが、「14年間毎日ご主人の墓参り」などという話になると、さすがに涙を禁じえない。
 いま今井君が住む代々木上原は、忠犬ハチ公のおウチのすぐそばである。もちろん、今井君の故郷とハチ公の故郷はともに秋田であって、毎晩ご主人を迎えに渋谷駅に出かけ、毎晩寂しく1人で帰ってきたハチ公の寂しい後ろ姿を考えただけで、クマ蔵の目からは涙が溢れて止まらない。
ボビー2
(忠犬ボビーの像 2)

 すると諸君、不思議なことに、あんまり好きじゃない座敷犬であっても、ボビーだけは可愛くて可愛くて、不憫で不憫でたまらない。ボビーの背中を濡らし続けただろうエジンバラの冷たい雨が、憎くてならないのである。
 ニャゴロワもナデシコも、あと15年もしたら、きっとこの世にはいないだろうが、クマ蔵は絶対に毎日ニャゴたち&ナデシコたちのお墓参りに出かける。そういう厄介な老人になろうと、はるか遠いエジンバラで決意する、ホントに厄介なクマ蔵なのであった。

1E(Cd) Kubelik & Berliner:DVOŘÁK/THE 9 SYMPHONIES 6/6
2E(Cd) Avner Arad:THE PIANO WORKS OF LEOŠ JANÁĈEK
3E(Cd) Akiko Suwanai:INTERMEZZO
4E(Cd) Akiko Suwanai:BRUCH/CONCERTO No.1 SCOTTISH FANTASY
5E(Cd) Akiko Suwanai:SOUVENIR
155 Stay Istanbul 120517 120531
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