2012年06月21日(木)

Mon 120528 ダンジョンツアーの悲鳴が深夜の町に響く(スコットランド周遊記16)

テーマ:ブログ
 9月5日、エジンバラ滞在も、もう3日目になる。滞在予定は4日だから、明後日の昼前にはもうロンドン行きの列車に乗らなければならない。
 1都市滞在14日を標準と考えているクマ蔵の外国旅行から考えると、今回のような周遊型はやっぱり物足りない。ダブリン3日、リバプール1日、ウィンダミア3日、エジンバラ4日、ロンドン2日。どこもかしこも中途半端で、荷解きと荷造りばっかりして時間が過ぎていく。
 パックの団体ツアーを新聞広告で眺めていると、状況はこんなものではないようだ。1都市に2連泊とか3連泊ということになると、それはたいへんな贅沢。ほとんどの都市は1泊ずつで、超のつく名所旧跡にだってせいぜい2~3時間しか割りふられていない。
カールトンの丘
(エジンバラ カールトンの丘)

 まるで追い立てられるようにバスに押し込まれ、回転寿司みたいなコンベヤーの上で、次から次へと観光地に送り込まれる。うーん、今井君にはとても耐えられそうにない。「朝7時にロビーに集合」ということは、荷造りのために朝5時には起きなきゃダメだ。朝食の時間だって30分程度だろう。
 9時にはもう最初の名所や美術館に連行され、午前中にもう1カ所回って、12時には昼食になる。それも30分、ワインを楽しむ時間もない。午後は3カ所引き回され、午後7時にはレストランにご案内。それも何とかショーを見せられながら、大急ぎで1時間。ホテルにチェックイン9時、そのあとで荷解きをして、就寝11時。うひゃ、こりゃたいへんだ。
バルモラルホテル
(エジンバラ、バルモラルホテル。5階の角部屋に滞在)

 今井君は怠け者の代表格だから、そういうパック旅行には耐えられない。今回の周遊旅行でさえ、「えーっ、また荷造り?」「おやおや、またチェックイン?」「あらら、またチェックアウト?」「やっぱり1都市にじっくり2週間滞在したいよぉ♨」と、自分で作った周遊プランを恨めしく睨みつけるばかりである。
 そういう今井君のお部屋に、午前2時とか3時とか、朝4時を過ぎてさえ、外から物凄い悲鳴が響いてくる。1回や2回ではない。一晩で5~6回は、強烈な悲鳴に叩き起こされる。それが連夜のことで、エジンバラ滞在の4泊すべてが、激しい悲鳴の真っただ中で過ぎていった。
夜のバルモラルホテル
(夜のバルモラル)

 最初は、「うーん、ずいぶん治安の悪い町だねえ」と思っていた。何しろガイドブックは治安情報の嵐。イギリスに限らず、ギリシャでもポルトガルでもハンガリーでも、「女性の一人歩きは禁物です」「ご用心」「ご注意を」が羅列されている。「ははーん、エジンバラって、相当に危険な町なんだ」というのが、闇を揺るがす連夜の悲鳴に対するクマ蔵の判断であった。
 ところが、それがどうも違うようなのだ。エジンバラは、怪談話でいっぱいの町。イングランド軍による乱暴狼藉の記憶、拷問と残酷きわまりない処刑の話、生臭い流血の記憶(なお、Mac君の変換はnamagusai→生愚妻)、湯気のたつ血液の鉄のにおい。中世から近世にいたる1000年間の、身の毛のよだつ物語が溢れている。
ホーリールード宮殿
(ホーリールード宮殿)

 そこで、やっと平和が訪れた21世紀のエジンバラ人は、そういう物語を格好の観光資源に変えたのだ。連日連夜、墓場や牢獄跡をめぐるダンジョンツアーが催され、晴れても雨でも遠雷が轟いても、ガイドを先頭に身を寄せあいながら恐る恐る暗闇を探検する。
 今井君が滞在しているバルモラルは、エジンバラを代表する高級ホテルである。ガイドブックにも「エジンバラの象徴的存在」と記され、確かに一見したところでは、由緒ある宮殿にも見える。「ほとんどの部屋からはエジンバラ城が眺められる」ともガイドブックは記している。
 ところが諸君、クマ蔵が宿泊している角部屋からだけは、エジンバラ城が見えない。その代わり、見えるのは墓場である。有名な墓地で、イングランドに抵抗して落命した著名人の墓石がズラリと並び、昼間も墓地を探索する人が絶えない。
墓地
(バルモラルから見える墓地)

 この墓地が、ダンジョンツアーには絶好の場所になる。真夜中すぎに集合し、ガイドに導かれた物好きなグループが、午前2時を過ぎた暗闇の墓地を進む。せっかくのダンジョンツアーだから、お化け屋敷と類似のさまざまな企画も盛り込まれる。
 あちこちの墓石の陰に潜んだ人工の幽霊が、血まみれの恐ろしいメイクをほどこしたり、ゾンビ風の衣装に身を包んだり、ドライアイスを駆使した濃霧だの氷のような吐息だのを吹きかけたり、ありとあらゆる工夫を凝らして、人々に悲鳴を上げさせるのである。
クリスマスショップ1
(エジンバラ 1年中やっているクリスマスショップ)

 人々は悲鳴を上げたくてツアーに参加するのだから、思う存分に悲鳴をあげてストレスを発散する。人工の幽霊は、おそらく地元の大学生のアルバイトであって、夜な夜な幽霊メイクをしては、学費なり生活費なりをしっかり稼ぐ。こうして、深夜早朝のエジンバラの町は幸せな悲鳴に包まれ、墓地の見える部屋のクマどんは、その度に叩き起こされることになる。
 もちろん、クマ蔵はそれを安眠妨害とか言って激怒するようなタイプのクマではない、やりたまえ、やりたまえ。やろうぜ、やろうぜ、どんどんやろうぜ。ダンジョンツアーも受験勉強も、やりすぎて消化不良をおこすようなものではない。どんどんやって、どんどん幸せになればいいのだ。
クリスマスショップ2
(クリスマスショップ拡大図)

 9月5日のクマ蔵は、まずダンジョンツアーの引き上げた朝の墓地を探検。さらに墓地の向こうに広がる「カールトンの丘」を探検。薄日が射し、ちょっと蒸し暑い日で、丘の上の冷たい風に吹かれるのがいかにも爽快であった。
 カールトンの丘から南を見晴るかすと、谷の底あたるのがロイヤルマイル。右がエジンバラ城、左がホーリールード宮殿である。宮殿の向こう側に高い丘があって、あの丘に登ったら、エジンバラの町が一望できるだろう。今井君はカールトンの丘を降り、宮殿を左に見ながら、一気に反対側の丘を目指した。
宮殿から丘を望む
(ホーリールード宮殿から丘を望む)

 こういう行動が、またまた日本人団体ツアーの人々から見ると非常識きわまりないのである。だって、そんな丘のことなんか、ガイドブックには1行も書かれていない。何と地図でも、緑色に塗られ「ホーリールード公園」と書かれているだけである。
 そんな丘なんかに登って時間をムダにするより、有名な博物館と美術館で勉強し、有名レストランで食事をし、連れて行かれたショップでお土産を買い、それで「エジンバラを満喫した」ということになって、間髪を入れずどこか別の町に移動する。そのほうがどれほど時間の節約になるか分からない。「時間がもったいない」というヤツである。
丘の向こう側の風景
(丘の向こう側の風景)

 しかし、丘の上に登ってみると、たくさんの欧米人がニヤニヤ&ニコニコ、嬉しそうに「時間のムダ」をやって、心行くまで楽しんでいる。ムダだから、楽しい。何の役にも立たないから、楽しい。いやはや、どうにもならないぐらい楽しい。今井君も全く同感である。
 こうして、無為な日々が過ぎていく。深夜から早朝まで外の悲鳴を満喫し、夜が明けたら(諸君、Mac君は「ヨガ明田ら」でござる)墓地に出かけて、2つの丘を征服する。うひゃ、ムダだ。うひゃ、無意味だ。時間のムダで、時間がもったいなくて、とにかく異様に楽しい日々が続く。
丘からの市街風景
(丘の上からのエジンバラ市街を望む)

 この異様な楽しさを、理解できるヒトもいるだろうし、サッパリ分からないというヒトもいるだろう。今井君は、別にどう思われてもかまわない。だって、アゴがはずれるほど笑って、ありあまるほど楽しんで、凝り固まった常識人が呆然と口をアッグリさせているのを見るのは、楽しいものでござるよ。
 今井君のファンになる人の圧倒的多数は、このムダな楽しさを共有できるタイプの人である。笑いで口が曲がるほどの楽しさを、諸君、これからもどんどん共有していこうではないか。

1E(Cd) Martinon:IBERT/ESCALES
2E(Cd) Bruns & Ishay:FAURÉ/L’ŒUVRE POUR VIOLONCELLE
3E(Cd) Collard:FAURÉ/NOCTURNES, THEME ET VARIATIONS, etc. 1/2
4E(Cd) Collard:FAURÉ/NOCTURNES, THEME ET VARIATIONS, etc. 2/2
5E(Cd) Cluytens & パリ音楽院:BERLIOZ/SYMPHONIE FANTASTIQUE
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