2012年06月10日(日)

Thu 120517 ホセとカルメン 白鳥のアレクサ エジンバラ到着(スコットランド周遊記13)

テーマ:ブログ
 九州や西日本に続いて、東京も「今日から梅雨に入ったと見られる」という何とも歯切れの悪い発表があった。これから1ヶ月以上鬱陶しい雨に耐えなければならない。6月9日の東京は、ハケで全身に水を塗りたくられるような雨。ウィンダミアでは大活躍だった傘も、東京の梅雨には歯が立たないのである。
 クマ蔵が若かった昔の日本では「梅雨入り宣言」というキッパリ晴れがましい宣言があった。「パンパカパーン!!」と高らかにファンファーレが吹き鳴らされ、くす玉は割られるは、大臣や市長や官庁の課長クラスが居並んでテープカットが行われるは、梅雨入りはそのぐらいの大歓迎だった。
 もちろんテープカットはウソであるが、農業主体の産業構成では、梅雨は歓迎されて然るべき必須の存在だったのであり、梅雨入りを否定的に報道すると、放送局や新聞社に抗議の手紙や電報が殺到しかねない雰囲気があった。
寂しい湖畔
(ウィンダミア最終日も、寂しい朝だった)

 東京からきた今井君や、もともとイングランドやスコットランドに住んでいる人々なら、重苦しい鉛色の雨雲にも慣れているし、1週間青空を見ない日々にも免疫がある。では、南イタリアやギリシャの人が、8月から9月のバカンスに湖水地方を訪れたらどうだろう。
 例えば新婚旅行で、スペイン人カップルが湖水地方を訪れたとする。ダンナのホセが38歳、新婦カルメンが22歳の年の差カップルで、カルメンはピーターラビットの大ファン。「ハネムーンは、絶対ウィンダミアね♡」と可愛くねだるカルメンの笑顔に、ホセはとても対抗できない。
寂しいボート乗り場
(誰もいないボート乗り場)

 しかし諸君、「ピーターに会いにいくんだ♡」と、あんなに目を輝かせていたカルメンの表情は、マドリードからロンドンに着いた飛行機の機内で、すでに少しこわばりはじめる。「まさか、これが8月なの?」と、重い曇天がとても信じられないのである。
 16歳もの年の差があれば、カルメンの目にはホセが何でもかなえてくれる魔法使いのように見えている。オカネはいっぱい持っているし、世の中のことは何でも知っている。パパや先生よりずっとカッコよくて、尊敬と信頼の対象なのだ。
 それなのに、空がこんなにどんよりして冷たい雨ばかり降っているのを、ホセ(38)は「天気には、ボクだってかなわないよ、ポルファボール」と冷たく言い放つだけ。ちっとも取り合ってくれない。幼いカルメン(22)の心に、早くも疑念が湧き上がる。お馴染み「ホセはアタシのこと愛してないんじゃないか?」である。
エジンバラ駅1
(今日はこれから鉄道でエジンバラに向かう)

 さっそく親友のボニータ(23)にメールして、不満と不安をぶちまける。「雨ばっかでサイテー。寒くてたまんないよー(TωT)。結婚、早すぎたかな。ホセって、ハナシぜんぜん聞いてくんなくて、オジサンくさいよー。えーん」。まあ、こんなところか。絵文字はググって調べました。
 もともとこの結婚に反対だったボニータからは、もちろん勝ち誇ったメールが返ってくる。「んだから言ったっしょ。ホンマにアホやな、カルメンは。年の差カップルはうまく行きまへんでって、あんなに言ったっしょ」。関西コトバと北海道コトバのチャンポンで、親友カルメンをもっともっと不安にさせる。
駅 拡大図
(エジンバラ駅、拡大図)

 さて、9月3日の今井君は、閑散としたボウネスの桟橋付近を傘さして散歩しながら、何だか仲の悪そうな数組の欧米人カップルを観察していた。仲の悪そうなのも機嫌が悪そうなのも、ぜんぶ天気のせい、雨のせい、鉛色の空と湖のせい。おそらく、間違いない。
 客のまばらなお店の前に、1羽の白鳥さんが立ち止まって「ゴメンください♡」「くださいなー♡」と声をかけているのを発見したのは、その時である。
くださいな
(ごめんください)

 さすがに白鳥さんだから、サザエさんと違ってガマグチも買い物カゴも持っていないが、店の前にすっくと立って長い首を伸ばした姿は、まさに「キレイな若奥さん」の風情。便宜上、彼女をアレクサと名づけよう。
 アレクサが立ち止まったのは、ファストフード店である。赤い看板に「Ice Cream」「Hot Food」とある。「あら、こんな寒いのにIce Creamはいらないわ」とアレクサは長い首を振った。
 昭和日本の若奥様なら「おほほほほ」と恐るべき笑い方をし、「アイスクリームはいらないことよ」という奇妙な言葉遣いをしたが、さすがに彼女はアレクサ。もっと現代的で直截な言い方をする。
アレクサの勇姿
(白鳥アレクサの勇姿)

 「あったかい食べ物がいいわね」とアレクサが言うと、お店のご主人も心得たものだ。早速アレクサに食べ物をお裾分けする。アレクサの後ろにも回りにも人間のお客さんが列を作って順番を待っているが、アレクサは一向に気にしない。
 美しい真っ直ぐな背中を伸ばして、「あら、もっといただけないかしら?」と、落ち着いたものである。そういう美しいアレクサを見物して、これで今井君はウィンダミアを去ることにした。
 季節が悪かった。7月上旬か中旬、「さあこれからバカンスが始まる」というウキウキした季節にくれば、ウィンダミアのホントの美しさを知ることができたかもしれないのだ。「もうバカンスは終わり」の哀愁に満ちた雨の湖にやってくるのは、カルメンもホセも今井君も、まあ大失敗だったわけだ。
エジンバラ駅2
(エジンバラ駅 2)

 昼の電車で、いよいよエジンバラに向かう。「いよいよ」というのは、いよいよスコットランドに入るのだ。ここまでの旅はまだアイルランドとイングランド北部であって、スコットランド周遊記という割に、まだスコットランドの手前でイジイジし続けていたのである。
 スコットランドに入りさえすれば、パッとしないこの旅も少しはパッとし始めるだろう。そういう期待もあった。相変わらずの雨の中、タクシーでウィンダミア駅に向かい、支線で4駅のオクセンホルム駅で1時間近く待って、ついにエジンバラ行きの急行電車に乗った。
オクセンホルム
(オクセンホルムで1時間の待ち合わせ)

 沿線は、線路脇もヒース、近くの丘もヒース、遠くの山々もヒースであって、視界全体がヒースの花の黒ずんだピンクに染められる。おお、さすがにスコットランドである。「ヒースのハチミツ」が名物であり名産であって、そのぐらいそこいら中がヒースなのだ。
 オクセンホルムから3時間ほどで、エジンバラ・ウェイヴァリー駅に到着。おお、エジンバラは、晴れている。空気はキリリと澄んで、東京でいえば10月下旬の秋晴れみたいな雰囲気だが、とにかくこの晴天はありがたい。
車窓
(車窓からのスコットランド風景)

 宿泊先は、バルモラル・ホテル。駅が谷間にあるので、駅からどこに行くにも厳しい坂道を上っていかなければならない。今井君の巨大スーツケースは約25kgの重量があるが、目の前に立ちふさがったのは100段の険しい石段である。
もっと拡大図
(エジンバラ・ウェイヴァリー駅に到着)

 「引きずる」という選択肢がない以上、これをかかえて100段の試練に耐えなければ、超一流:バルモラル・ホテルには迎え入れてもらえない。もちろん、こういう時のクマ蔵は決してへこたれない。こういう時のために、普段からヒツジやウサギやハチミツをムサボリ食って心身の準備を整えている。
 15分後、早くも今井君は大きな墓地の見下ろせる角部屋で呼吸を整えていた。ここまでうまく運ばなかった旅も、今日からはいよいよクマペースで進めることが出来そうだ。
バルモラルホテル
(宮殿のようなバルモラル・ホテル)


1E(Cd) Wand & Berliner:BRUCKNER/SYMPHONY No.9
2E(Cd) Ricci:TCHAIKOVSKY/VIONLIN CONCERTO・PAGANINI/CAPRICES
3E(Cd) Maazel & Wiener:TCHAIKOVSKY/SUITE No.3  R.STRAUSS/TOD UND VERKLÄRUNG
4E(Cd) Dorati & Washington D.C.:TCHAIKOVSKY/SYMPHONY No.4
5E(Cd) Barenboim & Chicago:TCHAIKOVSKY/SYMPHONY No.5
total m80 y727 d8622
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