2012年05月31日(木)

Sun 120506 看板が剥がれ、太鼓は連打される スーパー探訪(スコットランド周遊記6)

テーマ:ブログ
 そういう強がりを言いながら教会の塔を降り(スミマセン、完全に昨日の続きです)、何しろ廃業した銭湯の煙突を探検した後だから、心と身体を清めるためにも、ありがたやありがたやの聖ブリジッド教会を拝みに入らなければならない。
 しかしもちろんのこと、「聖ブリジッド教会」とご大層な名前はついていても、地方都市ならどこにでもあるごく平凡なお寺に過ぎない。入り口が工事中で、泥まみれの建材がいろいろ放置されていたことを除けば、特筆すべきことは何もない。
教会内部
(キルデア・聖ブリジッド教会の内部)

 今井君が生まれ育った秋田県土崎港には「山道(やまみち)通り」という寺町があり、今井君んちも檀家になっていた「蒼龍寺」をはじめ、お寺が5つか6つズラリと並んでいたものだ。仏教とキリスト教の違いがあるにせよ、聖ブリジッドどんは蒼龍寺と比べてももっとずっと地味な存在である。
 ここで昨日と同じ強がりをさらに重ねておこう。ボクチンは、平凡で凡庸な日常、感動も感激も感銘も拒絶したMiddle of Nowhereへの旅を愛するのだ。ありがたいキリスト様のお顔だって、キルデアの町では何だか今井君に似ているじゃないか。
誰かに似ている
(何だか、似ている)

 教会を出て、町に出てみることにした。さほど広くない町だが、そのぶん返ってアイルランドの平凡な日常を体験しやすいはずである。教会を出てすぐのところに広場があって、数軒のレストランとよく分からない雑貨店が肩を寄せあっている。
 そのうちの1軒がインド料理店である。日本でも同じことだが、平凡な町の平凡な繁華街のはずれのほうをトボトボ歩いていくと、必ずインド料理店を発見する。ヨーロッパの中規模都市だと、インド料理店と並んで韓国料理・中華料理屋と和食店が同じ区画に並んでいる。「最近は欧米でも和食が人気」とマスコミが頑張るのは、その程度のことである。
 ところが、さすがにキルデアは日中韓3者とも遠慮したようだ。見つかったのはインドのみ。アジアで最もガッツのある国は中国だと確信していたが、どうも21世紀のインドは中国のガッツを凌駕しているようである。
出口で
(塔の出口から教会を望む)

 そんなことをボンヤリ考えていたら、ちょうどそこへアイルランド独特の霧まじりの強風が吹いてきた。息も一瞬止まるほどの強風で、「あれれ、あの崩れかけた銭湯の煙突は大丈夫か?」「それよりも、数百年の歴史を生き抜いた聖ブリジッドじいさんは大丈夫か?」、そういう不安に苛まれて、教会のほうを振り返った。
 その時である。インド料理店の看板がメリメリメリ、メリンボ♨メリンボ、呆然と息を飲む今井君の目の前で激しい音を立てながら、残らず剥がれ落ちたのだ。看板といっても、畳3枚分ぐらいの白いビニールシートであるが、それにしても諸君、長い長い悠久と無限の時間の中で、あえて今井君のキルデア滞在時を選んで剥がれ落ちるとは、なかなか大した看板じゃないか。
キルデアの町
(看板が剥がれ、太鼓が連打されたキルデアの広場)

 その程度のことにでも感激と感銘を受けずにはいられない異様な心境の中、だれもいない昼近い広場を歩いていると、すぐ近くからアフリカ系の太鼓の音がする。太鼓を叩いているのは、30歳代半ばから40歳代、外見も相当変わったオバサマである。
 うにゃにゃ、こんな平凡な町だって、いろいろ事件は起こるのだ。インド料理屋の看板は剥がれ落ち、オバサマは無人の昼の公園で激しく太鼓を叩きまくる。平凡とか凡庸とか、「何も起こらない日常」というのは、滅多なことでは実現できないものらしい。
 太鼓オバサマが面倒くさくなったので、ちょっと歩いて町のスーパーを探検してみることにした。奇声を上げながら太鼓をたたくオバサマなんかに絡まれたら、せっかくのキルデア体験に水をさされてしまう。
キルデア駅外観
(キルデア駅前)

 ほんの4~5年前までのヨーロッパなら、スーパーというのはなかなか見つからない珍しい存在。郊外の住宅地までいけば、カルフールとかテスコとかコルテイングレスの超大型店が存在するらしいが、外国人観光客がウロウロする歴史地区やオシャレな市街地で、ビールや水や日用品を確保できるスーパーを発見するのは、今でもまあ難しい。
 それでも、コンビニに毛の生えた程度のスーパーが増えてきたのも確か。イスタンブールなら、DIAとBIMの2軒がチェーン展開中。イスラム圏なのに、ビールもワインも手に入る。フランクフルトではIhr Platz(アナタのひろば)というチョイ恥ずかしい名前のチェーン店が見つかるはず。昔ほど不便ではなくなってきている。
スパー
(キルデアでSPARを発見)

 アテネなら、コンビニをさらに凝縮した屋外店舗がそこいら中にあって、伝えられるギリシャ危機の深刻さとは裏腹に、人々はキオスクを使ってたいへん便利に生活している。水でもヨーグルトでも雑誌でも、バスやトラムのチケットでも、チーズやソーセージやビールやウゾも、何の苦もなくキオスクで手に入る。
 国会前のシンタグマ広場では毎日のようにたくさんの政治集会が開かれ、政治集会は投石を含むデモに変わり、プロの煽動屋が現れてデモの後ろから実に巧みな煽動を続ける。しかしその同じシンタグマ広場に、キオスクが5軒も6軒も店を開いていて、デモやシュプレヒコールのさなかでも商売は繁盛している。
 今のところヨーロッパで一番目立つチェーンはSPARである。滞在先のホテルのそばにEURO SPARという看板を発見すると「ああ、とりあえず助かった」とクマ蔵は胸を撫で下ろす。日本にも一時SPARがたくさん店開きして、埼玉県越谷市せんげん台駅前にあったSPARには、若き日の今井君は毎日のようにお世話になった。
スパーで買ったもの
(クマ蔵がSPARで買ったもの)

 8月28日、キルデアの町で途方に暮れたクマ蔵を救ったのもまたEURO SPARであった。入ってみると、何の変哲もない地方都市のスーパーである。野菜も肉もお魚も、日本のスーパーと一向に違わない売り場構成だ。
 フランスなんかだと、チーズ売り場やジャム売り場やオリーブ油売り場が圧倒的に充実していて、見ているだけで面白い。しかしキルデアのSPARでは見て楽しむほどのものは見つからない。あえて言えば、ウィスキー売り場の充実ぐらいか。今井君は早速アイルランドの代表的銘柄・JAMESONの小瓶を1本購入した。
 他にカゴに入れたのは、安いノート10冊1パック、ジャムパン1個、よく分からないソフトドリンク1本。何だこりゃ? もちろんレジに酒1本だけ持っていくのが恥ずかしかったから、他のものは全て照れ隠しに過ぎないが、マコトにおかしな買い物である。
ジャムパンの切り口
(JAMESONとジャムパン。渦巻きジャムの切り口が旨そうだ)

 以上、8月28日のキルデア探検はお昼を少し回ったところであえなく終了。もうこれ以上何もすることはない。余りの表六玉ぶりに自分でも頭をかかえるほどである。
 お昼は電車の数も少なくなる。キルデア駅で1時間近くダブリン行きの電車を待ちながら、SPARの白いシャカシャカ袋に何度も目をやり、何度も頭をかかえそうになった。
 駅の待合室のベンチで、真向かいに30歳前後のアフリカ系男性が腰を下ろした。何度も何度も目が合って、そのたびにシャカシャ袋の中身が気になって、クマ蔵君は目を伏せた。だって「オマエ、何やってんだ?」とでも聞かれたら、どうすればいいんだ?
とっとと帰る
(とっととダブリンに逃げ帰る)

 日本からアイルランドの田舎町までやってきて、銭湯のこわれた煙突みたいなタワーに昇り、インド料理店の看板が剥がれる一瞬を目撃し、広場で正気を失ったように太鼓を連打するオバサマに辟易し、最後はスーパーでウィスキーとジャムパンとノート10冊を買ってダブリンに帰る。うーん。危ないヒトの行動以外の何ものでもないじゃないか。
 昭和の小説なら「オマエ、何やってんだ?」とは悩み深き主人公の青年が自らに問いかける言葉。しかし今井君の旅先では、アフリカ系の青年や地元のオバサマが一瞬の目の表情で表現する、人生についての実に本質的な問いかけなのである。

1E(Cd) Sonny Clark:COOL STRUTTIN’
2E(Cd) Karajan & Berlin:BEETHOVEN/MISSA SOLEMNIS①
3E(Cd) Karajan & Berlin:BEETHOVEN/MISSA SOLEMNIS②
4E(Cd) Karajan & Berlin:BEETHOVEN/MISSA SOLEMNIS①
5E(Cd) Karajan & Berlin:BEETHOVEN/MISSA SOLEMNIS②
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