2012年04月01日(日)

Wed 120229 重い4月 シェイクスピアと、パブ「シェイクスピア」(ロンドン滞在記21)

テーマ:ブログ
 昨日の嵐を「1ヶ月遅れの春一番」と決めつけたのは、一昨日のブログ記事である。「大いに楽しもうじゃないか」「入社式や入学式前に、それ以前の人生にいったん別れを告げるチャンス」「傘なしで雨の中を走り回って、決意を固めようじゃないか」と書いた。
 実際、あんな暴風雨の中で傘なんかさすのは無理だったはずである。クマ爺は長い人生で把握したのであるが、ヒトが生きていくとは、常にああいう暴風雨の中を姿勢を低くして着実に歩き続けることらしいのじゃよ。げほ、がほほ。
 だから昨日の嵐は、爽快な予行演習になったはずである。ついでに、ここまでの人生で心や身体にコビりついた面倒な残りかすを、まず風さんに吹き払ってもらい、雨さんに洗い流してもらうにも、絶好の荒天だったと信じる。
おめでたい
(快晴のクリスマス1 スックと立つビッグベン)

 一夜明けると、東京はすっかり春である。4月1日になってもまだ桜はほとんど咲いていない。クマ爺の記憶では、桜がこんなに遅くまで縮こまっているのはマコトに珍しい。いつもなら3月末には3分咲きか5分咲きになって、入学式や入社式の頃にはすっかり満開、初めての通学路や通勤電車の窓は淡いピンクに染まる。
 おめでたいムード全開で新生活がスタートするわけであるが、今井君の4月は幼年時代以来、ツライ記憶でいっぱいである。今井君は新生活がキライなのだ。幼稚園なんか、考えるのもイヤ。小学校も大キライだった。
 中学時代と高校時代だけは得意満面で4月を迎えたが、「結局、駿台で浪人」と決まった18歳の春も、「結局、早稲田」と決まった19歳の春も、その落胆ぶりは自分でも余りに情けない。そのくせ桜ばかりが満開。世の中がおめでたいムードいっぱいなのがイヤだった。
すっくと1
(快晴のクリスマス2 スックと立つ電話ボックス)

 就職すると、「新入社員の最初の仕事は、お花見の場所取り」の時代である。「おやおや、ボクはそんな仕事をするために入社したんじゃない」。誰でもそう考えてムクれるのだが、ガンコなほど自信満々な今井君の場合は、そのムクれかたが尋常ではない。そう告げられた瞬間、ムクれメーターの針が振り切れて、もう転職のことを考えはじめていた。
 河合塾講師をヤメて駿台だけに絞ったのも、4月。駿台から代ゼミに移籍したのも、4月。代ゼミから東進に移籍して本格的に授業を始めたのも、4月。どんなに自信満々でも、どんなに期待されていても、それまでの職場での地位を捨てて完全移籍するのは、精神的にきわめて重い負担になる。
すっくと2
(快晴のクリスマス3 スックと立つセントポール大聖堂)

 だから4月の今井君には、いつでも重苦しい気分がのしかかる。暢気にお花見、のほほんと「新生活おめでとう」という気持ちにはとてもなれないのに、容赦なく桜は咲き、容赦なく「おめでとう」の挨拶に囲まれる。
 常に自信たっぷりで、「自分はいつどこへ行っても大丈夫」と、世間ばかりではなく自分に向かってさえ断言できるクマ蔵でさえ、4月はこんなに重苦しいのだ。ましてや若い諸君、特にヤムを得ず不本意な選択をしなければならなかったヒトビトにとって、4月1日がどんなにツラく納得のいかないものか、痛いほどわかるのである。
グローブ座
(ロンドン グローブ座)

 2012年4月1日、今井君は例年と同じように一念発起して、様々な努力を自分に誓った。努力の内容は、昨日までのブログに記した通りであって、英語の発音修復/ブログ・リニューアル/トルコ語の超基礎を習得/5kgダイエット/そのための短期間の禁酒。以上である。
 これはエイプリルフールでも何でもなくて、ダラしないクマ蔵にとって最も厳しいと思われる禁酒&ダイエットも、すでに昨日からスタート。いまのところ全てが好調に推移している。
 若い諸君。目の前に重苦しい将来があって、それが暗い影を落としているときこそ、こういう些細なプランに夢中になってみるといいのだ。些細な計画に懸命に取り組んでいるうちに、気持ちは軽く変わり、何に悩み何に苦しんでいたのかさえ忘れ、生活はみるみるうちに改善しはじめる。
 もちろんそれで自分のホントの目標を忘れてしまっては何にもならないが、人間はまさかそこまで愚かではないし、そのタイプのヒトが今井ブログの読者になるとも思えない。今井君のクダらん努力の成果でも眺めながら、半信半疑でいいから新生活を滞りなくスタートさせてみたまえ。明るい光が見えるのは、意外に早いはずだ。
ヴィクトリア駅
(ロンドン クリスマスのヴィクトリア駅は閑散としていた)

 12月25日朝9時、ロンドンの今井君も清々しい気分で目を覚ました。静まり返ったクリスマス当日、ロンドンは快晴でたいへんおめでたい。テレビでは、ローマ法王さまが群衆の前でニコヤカに手を振り、英国国教会の大司教さまがありがたいお説教の最中である。これもまた、たいへんおめでたい。
 もしもおめでたくない話があるとすれば、それは昨日モロッコ料理店で出会ったデビッド(仮)とアレクサンドラ(仮)であるが、それも今井君の取り越し苦労に過ぎない。今ごろはすっかり仲直りしているだろう。
「デビッド、つまらないことでプリプリしてゴメンね」
「アレクサ、別にいいんだ。部屋で、ずっと2人きりで過ごすべきだったね」
「パブでずっと一緒でもよかったよね、デビッド。Henry’sとか、The Rocketとか」
「ダメだよ、アレクサ。ああいう店には日本からクマ蔵みたいなヤツが来て、大きな顔でテーブルを占領してるんだ」
「そうか。でも、部屋で2人きりって、アナタ何考えてんの? イケナイでしょ、そんなこと」
「そっか、がはははは。でへへへへ」
「あはは」「へへへ」「ごほほ」「げへへ」
ま、こんなところである。
シアター
(ロンドン、グローブ座 シェイクスピアの顔が懐かしい)

 今井君はクリスマスの1日を予定どおり「ロンドン基本コース総復習」で過ごすことにした。地下鉄は運休だからひたすら徒歩でと思っていたが、間引き運転ながら都心部の路線は動いていた。
 さすがに冬至直後のロンドンである。朝からすでに雰囲気は夕暮れだ。ロシアのサンクトペテルブルグだと「夏には夜らしい夜はこない」(ドストエフスキー「罪と罰」より)だし、冬には「ほぼずっと夜」が経験できる。緯度的に見ると、ロンドンだってそれに近い経験をすることになる。
 基本コース総復習だから、バッキンガム宮殿→ウェストミンスター寺院→ビッグベン→テムズ河畔→セントポール大聖堂と歩いた。それでも時間はまだタップリあったから、シェイクスピアのグローブ座も見に行った。
全集
(伯父が若き日に買い揃えたシェイクスピア全集の一部。昭和八年発行とある)

 何を隠そう、今井君は中学生時代から大学卒業まで、大のシェイクスピアファンであった。快傑ババサマ(母)の兄上(伯父)は、モト静岡大学学長であるが、彼が大学生時代に買いそろえたシェイクスピア全集が今井君の自宅に残っていた。
 古色蒼然とした坪内逍遥訳。奥付けをみると、「昭和八年十二月二十五日発行」とある。おお、12月25日。75年前の同日に発行された、その古いシェイクスピアのページをめくりながら今井君は育ったのである。
 渋谷の「ジャンジャン」は伝説の小劇場であって、出口典雄が率いるシェイクスピア・シアターがシェイクスピア全作品を上演したのは1970~80年代のこと。衣装も小道具もなしのジーンズ姿で演じられる小田島雄治訳シェイクスピア、若き今井君も観客席でほぼ全作品に付き合った。
坪内逍遥訳
(坪内逍遥訳「タイタス・アンドロニカス」。こりゃ、古文ですわな)

 そういう思い出があったからではないが、ロンドン最終日の夕食はヴィクトリア駅前のパブ「シェイクスピア」に決めた。ロンドン滞在初日、バッキンガム宮殿に向かう途中で「Famous English Breakfast」という貼り紙を見つけ、滞在中に必ず入ってみようと決めていたのである。
 中のテーブルで、白ワイン、フィッシュ&チップス、ハンバーガーを注文、もちろんロンドンパブだからカウンターまで注文しにいくのだが、この店は黙っていてもウェイトレスが注文を取りにきてくれる。
F&C
(シェイクスピアのフィッシュ&チップス)

 ロンドンの若者たちは、この寒さでも外でビールを飲む。ヤンチャな若者たちが5人も6人も小さなテーブルにかがみ込むと、真っ白な息が1つにまとまって湯気になり、白い湯気が彼らの周囲に渦を巻くと、ヤンチャさにいっそう拍車がかかる。
 しかもロンドンのヒトたちは、ビール1パイントだけで十分に楽しく酔っぱらえるようだ。3パイントも4パイントもグビグビやる客は見かけないし、ジンとかスコッチみたいな強い酒も、安いパブではあまり出ないようである。
ハンバーガー
(シェイクスピアのハンバーガー)

 ビール1杯で顔を真っ赤に紅潮させ、「たったそれだけでそんなにヤンチャになれるのか?」と不思議に思うほど盛り上がって、肩を組み、高歌放吟し、足を踏み鳴らし、やがて踊るように足を縺らせながら帰っていく。
 シェイクスピア作品の中なら、「アントニーとクレオパトラ」冒頭の大宴会。または「ヘンリー4世」のフォールスタッフの仲間たち。ああいう乱痴気騒ぎは、少なくともシェイクスピア時代のイングランドでは、そこいら中で見かけるシーンだったようである。

1E(Cd) Krause:BACH/DIE LAUTENWERKE・PRELUDES&FUGEN 1/2
2E(Cd) Krause:BACH/DIE LAUTENWERKE・PRELUDES&FUGEN 2/2
3E(Cd) Karajan & Berliner:BACH/MATTHÄUS-PASSION 1/3
4E(Cd) Solti & Chicago:BEETHOVEN/SYMPHONIES③
5E(Cd) Solti & Chicago:BEETHOVEN/SYMPHONIES④
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