2012年03月27日(火)

Thu 120223 ウワバミ文庫について リバーボートでグリニッジへ(ロンドン滞在記15)

テーマ:ブログ
 ロンドン滞在記を怠けていた2週間のうちに、今井の第2ブログ「ウワバミ文庫」のほうに「現在、ロンドン滞在記を執筆中」の一文が出してしまった。「せんせー、ウワバミ文庫って何ですか?」という質問がよく来るから、この機会にちょっと説明しておこう。
ドロドロテムズ
(テムズを舟で下る)

 毎日更新する形式の第1ブログ「風吹かば倒るの記」では、あるテーマについてまとめて読んでみたいときに非常に読みにくい。それを例えば「コモ湖滞在記」「マッジョーレ湖と北イタリア紀行」「東欧・中欧冬紀行」とテーマ別に編集して、「まとめて一気に読みたい」というヒトたちの便宜を図ろうとしたのが「ウワバミ文庫」である。
 2008年から2009年にかけて、ブログを始めてすぐ頃に使ったBiglobeのウェブリブログを再利用することにした。2010年からアメーバに引っ越したが、せっかくウェブリブログがそのまま残っているのだから、これを利用してマトメ読み専用にしようと考えたワケである。
シティホール
(川下りの舟からシティホールを望む)

 ところがマコトに申し訳ないことに、その作業もヤリカケのままホッタラカシである。「マトメ読みしたいヒト」が存在するのは知っているし、その数は決して少なくない。特に最近読者になって、「昔の旅行記も読みたい」というヒトは相当数にのぼる。筆者として、そういう読者の便宜を図るのは当たり前だ。
 いい気になって電子書籍化まで考えたけれども、何せ時代は軽薄短小の時代。重厚ではなくとも長大ではあるこのブログを、書籍の形でマトメ読みできるほど忍耐力と読解力に長けたヒトは多くないだろう。「昭和中期だったら、よかったのにね」である。
テートモダン
(川下りの舟からテートモダンを望む)

 しかしついつい忙しさにかまけ、そういう作業もホッタラカシ。いったいいつ作業が進むか見当もつかないまま、旅行記もブログ自体も、幾何級数的に膨大になっていく。
 「ウワバミ文庫」がヤリカケのホッタラカシなのはホントに申し訳ないが、誰かどこかでそれ専門の本職のヒトビトが手伝ってくれたら、それ以上の幸せはない。そう考えて頬ヅエをついている。
タワーブリッジ1
(舟からのタワーブリッジ 1)

 さて、12月22日のクマ蔵どんは、ウェストミンスター寺院の大混雑に愛想をつかし、舟でテムズ河を下って、グリニッジまで足を伸ばすことに決めた。グリニッジなら鉄道でも行けるが、真冬のリバーボートで凍えながら&震えながら行くのも、また一興である。リバーボートなら、途中でロンドン塔やタワーブリッジも楽しめるはずだ。
 すでに14時を過ぎていたが、ウェストミンスター橋のたもとの乗り場から往復チケットを買って舟に乗り込んだ。ヨーロッパ全域、往復チケットほどお得なものは考えられない。往復しても、片道料金を大して違わないのだ。イングランドに限らず、イベリア半島でもハンガリーでもドイツでも、鉄道でもバスでもボートでも、可能ならまず往復チケット。これはヨーロッパ旅行の鉄則である。
ロンドンアイ
(ロンドンアイを右手に見ながら進む)

 舟はテムズ河の黄土色の水をかき回し、どろどろのアブクをかき立てながら進む。下流から遡ってきた舟はウェストミンスター橋で折り返し、橋の下で反時計回りに旋回して、右手にロンドン・アイを見ながら、グリニッジに向かって河を下っていくのである。
 14時過ぎ、すでに両岸は薄暗くなってくる。ここから無数の橋の下をくぐっていくのは東京の隅田川下りと同じ要領だが、橋の規模と歴史がいちいち世界史的であるのが大きな違いである。
タワーブリッジ2
(舟からのタワーブリッジ 2)

 スペインの無敵艦隊がロンドンに迫っていた危機の場面、女王エリザベスとキャプテン・ドレイクがロンドン死守を誓ったのもテムズ河。1588年のアルマダの海戦で、ドレークはフェリペ2世のスペイン艦隊を壊滅させ、スペインの世界制覇の夢はついえる。いまクマ蔵どんが舟で橋をくぐっていくのは、まさに海賊ドレイクの船団がイングランドの命運を賭けて進んだ水路なのである。
旧王立海軍学校
(グリニッジ、旧王立海軍学校)

 ディケンズ「大いなる遺産」に描かれたのも、このあたり。主人公の少年ピップが脱走した囚人を救ったのは、タワーブリッジの先の湿地帯と思われる。脱獄囚はアメリカで懸命に働いて財産を作る。数年の後、脱獄囚は稼いだカネをピップに「大いなる遺産」として与え、しかも自分の身の上を明かさない。
 物語の終盤、青年ピップは脱獄囚の身の上を知る。どうやら実の父親なのである。そのあたりの設定には無理があるが、罪人である父に嫌悪を居抱きながらも、アメリカへ再脱走を試みる彼を救おうと全力を尽くす。うーん。やっぱりストーリーに無理がある。
グリニッジ舟つき場
(グリニッジ桟橋の夕暮れ)

 しかし、グリニッジに向かって進む舟の両岸は、次第に「大いなる遺産」クライマックスの描写に酷似してくる。造船所、湿地と沼地、冬の濃霧にぬかるむ土地、赤く錆びついた舟の列。薄暗い冬の空と、遠くからかすかに流れてくる教会の鐘の音。もう200年も前にディケンズが眺めてインスピレーションをつかんだ夕暮れの光景が、クマどんの目の前に広がってくる。
 実際に読んでみると退屈で退屈で、忍耐力のないヒトには50ページも我慢できないかもしれない。それなら、イーサン・ホークとグウィネス・パルトロウ主演の映画で見てみたまえ。ハビシャムさん役のオバーチャンは面倒だが、ロバート・デ・ニーロもさすがの演技で画面を引き立てる。
 ゲップ♨ ゲフ&ゲップ♨ あれれ、ひどい胸焼けがするよぉ。おお、それは「大いなる胃酸」であり、逆流性食道炎の可能性もあるから、チャンとお医者さんで治療したまえ。
王立天文台グリニッジ標準時
(世界標準時 1)

 というわけで、クマ蔵のグリニッジ到着は15時を過ぎていた。12月のロンドンで15時を過ぎれば、それはもう立派な夕暮れであって、沼地に隠れていた脱獄囚と少年の出会いも、ディケンズによればまさにこの時刻である。
 キャプテン・ドレイクと女王エリザベスの間に何らかの愛欲と男女関係があったんじゃないか、そういう荒唐無稽な前提で描いたのが映画「ELIZABETH … THE GOLDEN AGE」であるが、そんなふうにいろいろあった街だから、グリニッジは「世界標準時の街」というより、むしろ「イギリス海軍の街」「軍港の街」である。
標準時
(世界標準時 2)

 舟が桟橋に着くと、ヒトビトはひたすら王立天文台を目指して坂を登っていくが、途中には王立海軍学校があり、海事博物館があって、おおキャプテン・ドレイクや、ディケンズの脱獄囚や少年が大活躍したのは、まさにこの辺りなのだ。
 キツい坂道を登って、天文台の丘にあがると、世界標準時を示す大時計があり、レーザー光線が東経と西経の境目である「経緯0度」のラインを示している。その向こう、テムズ河の川上はもうすっかり暮れて、ロンドンの夜景が広がっている。

1E(Cd) Oortmerssen:HISTORICAL ORGAN AT THE WAALSE KERK IN AMSTERDAM
2E(Cd) Philip Cave:PHILIPPE ROGIER/MAGNIFICAT
3E(Cd) Savall:ALFONS V EL MAGNÀNIM/EL CANCIONERO DE MONTECASSINO 1/2
4E(Cd) Solti & Chicago:BEETHOVEN/SYMPHONIES⑤
5E(Cd) CHOPIN FAVORITE PIANO PIECES
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