2012年03月08日(木)

Sun 120205 クリスマス間近のオックスフォード(今日こそキチンとロンドン滞在記12)

テーマ:ブログ
 さすがにヨーロッパのクリスマスは、日本とは味わいの深さが全く違う。ロンドンやプラハやマドリードでもそうだが、首都や大都市から1歩でも2歩でも田舎に入り込み、小都市や町や村に入っていくにしたがって、クリスマスの深みはいっそう増していく。
 オックスフォードはロンドンから電車でわずか1時間だけれども、12月21日、クリスマスイブイブイブイブの深い深い雰囲気は、読者諸君も出来れば早いうちに一度味わってみたほうがいい。
ステンドグラス
(オックスフォード、カレッジ内のチャペルで 1)

 日本ではクリスマスの主役はコドモ。KODOMOを変換するのに「子供」ではなくて「コドモ」にするとき、今井君の意識の中にあるコドモの概念は、年齢のよって区切られるものではない。20歳を過ぎても30歳を過ぎても、いや今井君自身みたいにヨワイ数百歳の老木になっても、やっぱりコドモはコドモである。
 しかしヨーロッパを奥に入り込めば入り込むほど、クリスマスの主役はオバーチャンとオジーチャンに代わっていく。
 昨年12月24日、クマ蔵はスペインの西の端サンチャゴ・デ・コンポステラまで枯れ葉を踏み分けて迷い込んだが、これほどの田舎町になると、クリスマスの主役はもうあくまでバーチャン&ジーチャン。食卓の最上席に収まって家族を眺める祖父母の笑顔は、さすがとしか言えない貫禄に満ちていた。
おばーちゃんの仕事
(オックスフォード、カレッジ内のチャペルで 2)

 その時の旅行記はまた後でチャンと書くとしよう。ついでに平謝りに謝っておくが、ロンドン滞在記とサブタイトルを付けておきながら、それをほぼ無視して小室直樹伝を書いてしまったのは、さすがに申し訳なかった。申し訳にサブタイトルを「まあロンドン滞在記」と改竄しておいたが、気づいた人はいるだろうか。
 そこで本日の記事のサブタイトルは「今日こそチャンとロンドン滞在記」である。「今日こそチャンと」と修飾語をつけたからには、読者の期待や予想や想定を裏切ることがあってはならない。
チャペルで
(オックスフォード、カレッジ内のチャペルで 3)

 ところが早速クマ蔵の頭には、「今日こそチャンと」は形容詞?それとも副詞?という疑問が湧き上がって、なかなか本題に集中できない。「今日こそチャンとした滞在記」から「…とした」を省略したと考えれば形容詞だが、「今日こそチャンと滞在記を書く」の「…を書く」を省略したと考えれば、これは副詞なのである。
 いやはや、予備校講師なんかになると、この程度のことで頭がいちいち混乱して、焦っても焦っても本題は遠ざかっていく。「夢の逃亡」という悪夢の永遠のテーマがあって、夢の中で逃亡しているとき、「足が砂にとられて進まない」というタイプや、「足が萎えて走れない」というタイプなど無数にあるらしい。
 それを収集すれば十分に学部の卒論ぐらいは書けそうだが、今井君の場合は「どんどん話題がそれて本題に進めない」「文法が気になって本題に集中できない」「それなのにいくらでも書けてしまう」という、相当に変わり種の悪夢である。
クリスマスツリー
(オックスフォード、カレッジ内のチャペルで 4)

 さて本題だが、オックスフォードのクリスマスでは、オバーチャンたちが自信たっぷりに働いている姿が印象的だった。クリスマスともなれば、大学内のチャペルだって伝統に従ってキチンと飾り付けなければならない。ゴテゴテのクリスマスツリー1本をボンと立ててしまえばそれで終わり、ではないのだ。
 口をキリッと結んだオバーチャン連が、こっちに3人あっちに4人、三々五々固まって手際よく飾り付けを進める姿は、マコトに微笑ましい。彼女たちにとって、この飾り付けは人生で何回目だろうか。穏やかに人生を閉じるまでに、あと何回同じことをするだろうか。
はたらくおばーちゃん
(楽しそうに働くオバーチャンたち)

 自信たっぷりな手つきは、ホントに頼もしい。これは、60回目?70回目? あと20回?30回? 幼い子供時代には、彼女たち自身のオバーチャンにリースの作り方を教えられながら、お話したり、クリスマスのお歌を歌ったりした。いま彼女たちの脳裏をよぎるのは、何よりもまず60年も70年も前のそうした記憶である。
 ちょっとオッカナイお話を聞かされたこともある。「あんまり悪い子だと…されますよ」と睨まれたこともある。でもまたすぐに優しく微笑まれて、優しくされて返って悲しくなったり、オバーチャンのオバーチャンの記憶をたどれば、オバーチャンのマナコはそれだけで涙で曇ってしまう。前の大戦が終わった頃の、古い古い記憶である。
鴨肉
(BROWNSの鴨肉料理)

 オックスフォードのチャペルで彼女たちの頼もしい仕事ぶりを眺めながら、その周囲に彼女たちのマゴの姿が見えないのがクマ蔵は寂しかった。21世紀のマゴたちは、オバーチャンとお話ししたりお歌を歌ったりすることに、あまり興味をもたないらしい。
 それは日本でもロンドンでもオックスフォードでも似たようなものであって、マジメにキリッと口を結んだオバーチャン集団の中に、幼い子供の姿はちっとも見えない。すると、こういうヨーロッパのクリスマスの伝統も、このオバーチャンたちの世代で絶えてしまうのかもしれない。
店の正面
(オックスフォードのパブ THE EAGLE & CHILD 1)

 オジーチャンたちは何をしているかと言えば、こちらのほうは昔も今も変わることはない。パブでひっそりビールを飲んでいるのである。オバーチャンから見れば、あんなにデカい身体の旦那が近くで怠けているのは返ってジャマだから、「いいから、パブでビールでも飲んでらっしゃいな」と、旦那の背中を押す。というか、テイよく追い出してしまうのである。
 バーチャンの公認を得たわけだから、旦那たちは嬉々としてパブのカウンターにズラリと並ぶ。日本のオジサンたちみたいに、せっかくのビールを急いでグビグビ流し込むようなことはしない。嬉しそうにグラスを抱え込み、周囲のテーブルの様子を眺めながら、実に大切そうにチビチビ舐めるように飲む。
 ビール自体、濃くて苦くてそんなにカンタンにグビグビやれないのもある。アルコール度の恐ろしく高いビールだと必然的にチビチビになるが、クマ蔵の観察したところでは、イングランドのジーチャンたちは、アルコール5度の薄いラガービールでもやっぱりチビチビ舐める。若者もそのスタイルが多い。日本の夏のビアガーデンみたいに「グビグビ一気に飲み干す」という光景はなかなか見かけない。
側面図
(オックスフォードのパブ THE EAGLE & CHILD 2)

 年をとればとるほど、「集団で飲んで騒ぐ」ということも少ないようである。「集団でなければ何も出来ない」というのがコドモの何よりの特徴であって、イングランドのジーチャンは、だいたい1人か2人、集まっても3人が限度と見た。
 彼らの目は一様に優しさに溢れている。特にケンブリッジやオックスフォードのような大学町では、学生集団を眺めるオジーチャンの皮肉な笑顔は絶品である。1人思い出にふけりながら1パイントのビールを1時間かけてチビチビやれば、それこそがクリスマス直前のオジーチャンのお仕事なのかもしれない。
ブラウンズ
(この夜、最初に入ったBROWNS)

 最後に、12月21日の今井君の5W1Hみたいなことを書いて締めくくりにする。夕刻5時、早くも真っ暗になってしまったので、クマ蔵はオックスフォード街はずれのレストラン「BROWNS」に入ってみた。ガイドブックにも掲載されている店だが、まあ要するにチェーン店であって、イングランドの中規模都市ならどこでも看板を見かける。
 ガイドブックには「いつでも混み合っている」「行列ができるほど」の記載があるが、日本のファミレス並みに広い店内に、他の客は3組ほど。何となくヒョウロクダマな気持ちで「とりあえずフィッシュ&チップス」をやってみたが、ウーン、下の写真に見る通り、一昨日のケンブリッジ「イーグル」でのような驚きも充実感もない。
F&C
(BROWNSのフィッシュ&チップス)

 ガッカリしながら早々に店を出て、「もう1軒」をやることにした。駅近くまで戻って、パブ「THE EAGLE & CHILD」に入る。おお、これこそまさにクマ蔵が求めていたパブである。1650年創業の歴史あるテーブルは、350年のビールと酒の重みのせいか絶え間なくグラグラ揺れる。「トールキンも常連だった」伝統ある椅子も、350年酔っぱらい続けたせいで今にも空中分解しそうである。
メニュー
(メニューを見ただけで旨そうだ。形容詞FABULOUSもいいね)

 もちろんその350年の間に、机も椅子も何度も新しいものに切り替えてきたのだろうが、薄暗い店内の光景自体は、おそらく1650年当時と大して変わらないのだ。中でも一番大切なのは、大切なビールをチビチビやるオジーチャンの皮肉な笑顔。「フィッシュ&チップスとビール片手に議論を戦わす学生たち」などというものは、実はその背景にすぎないのである。

1E(Cd) Stan Getz & Joao Gilberto:GETZ/GILBERTO
2E(Cd) Keith Jarrett & Charlie Haden:JASMINE
3E(Cd) Ann Burton:BLUE BURTON
4E(Cd) Harbie Hancock:MAIDEN VOYAGE
5E(Cd) Miles Davis:KIND OF BLUE
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