2012年02月27日(月)

Fri 120126 失敗で鬱屈中の諸君へ ケンブリッジ&オックスフォードへ(ロンドン滞在記4)

テーマ:ブログ
 テムズ河を初めて見て、その水の色に驚かないヒトは稀だろう。この河の水は常に薄茶色に濁っている。小学生のころ使ったクレヨンや水彩絵の具に「黄土色」というのがあったが、テムズはいつでも黄土色の渦をつくり、黄土色の波が岸を洗い、クルーズ船が通るたびに黄土色の泡が渦巻く。温かいミルクに味噌を溶いたような、とろとろ濃密に濁った水である。
キングズクロス
(ケンブリッジには、KING'S CROSSの駅から行く)

 セーヌやラインの美しい新緑色を見た後、テムズの黄土色を目にしたショックは大きい。クマ蔵が一番好きなのは、ラインの支流・モーゼル河の初夏である。2009年5月、ライン河の街コブレンツからトリアーまで鉄道でモーゼル河を遡った。
 もしトリアーで電車を降りなければ、国境を超えてルクセンブルクやストラスブールに至る。近代ドイツと近代フランスが、200年にも300年にもわたって領有を激しく争い、その結果2度の世界大戦にまでエスカレートした「アルザス・ロレーヌ地方」である。
 戦争を頻発させるほどこの地方が魅力的なのは、地理や世界史の授業では「豊かな地下資源」「石炭と鉄鉱石」ということになっている。しかし、そんな殺伐としたもののために、世界を巻き込む戦争を人間がするだろうか。むしろこの地方の魅力の正体は、モーゼル河の緑の水のあまりの美しさだったのだと、愚かなクマ蔵は信じるのである。
テムズ河1
(泥色のテムズ河 1)

 それに比較してしまうと、テムズの黄土色の光景には唖然とせざるを得ない。これを争って命を奪い合う戦争が発生するとは、想像力溢れる今井君でもなかなかイメージすることができない。近代イギリスは、この黄土色の仮面で数百年の孤独な平和を獲得したのかもしれない。
テムズ河2
(泥色のテムズ河 2)

 ロンドン到着から3日間、はとバスコースを連日回りながら、今井君はどうも鬱屈した気分を抜けきれない。冬の寒さ&冷たさと、右手の深い傷の痛みと、テムズの水のこういう色が原因だと思う。鬱々として何一つ楽しくない。ビクトリア駅前で硬いステーキをワシワシ食いまくったのも、結局カラ元気で終わってしまった。
 滞在3日目の今井君はとうとう鬱屈が頂点に達し、ホテルの部屋に1日中閉じこもって過ごした。12月18日、外は冷たいミゾレまじりの雨。朝9時を過ぎてやっと明るくなってきたが、外を歩き回ったってどうせロクなことはなさそうだ。
テムズ河3
(泥色のテムズ河 3)

 いったい何でこんな冷たい水浸しの街にやってきたのか。いつものクマ蔵が滅多に感じることのない、暗いしつこい後悔でいっぱいだ。こういう時はどこまでもツイていないもので、PCもうまく動かない。当時使っていたのは富士通のPCだったが、あんまりウィンドウズが遅いから「本格的にMacに乗り換えよう」と決意したのも、このロンドン滞在の最中だった。
デスク
(クマ蔵がまる1日鬱屈していた部屋のデスク)

 「大学受験がどうも失敗で終わったようだ」という諸君、今日の諸君の暗澹たる気分を、今井君ほどよく理解できる予備校講師は少ないと思う。今井君自身、東京大学に2度も入学を断られた。本郷に受験に行ってその帰り道、暗い曇り空を仰ぎ、夕暮れの北風に吹かれながら、すでに不合格を覚悟した。
 成功した/うまくいった/実力を出し切れた/第一志望に合格できた/or出来そうだ/合格発表が待ち遠しい。そういう輝かしく前途洋々たる気分で今日を迎えているヒトには、もちろん「おめでとう」であり「よかったね」であり「努力は実る」である。これからもどんどん成功を続けて、輝かしい人生を送りたまえ。
 しかしクマ蔵どんが今一番気にしているのは、「ダメだった」「うまくいかなかった」「合格発表を見るまでもない、結果は内心ハッキリわかっている」という諸君のことである。
トイレとふろ
(クマ蔵が1日ムクれていた部屋のフロ&トイレ)

 12月18日の今井君の心も、昼になっても暗い空や、水浸しのロンドンの街の風景に、すっかり萎えてしまっていた。
「何もしないで部屋でヌクヌク過ごしたい」
「いつまでも暗澹とした気持ちをダラダラ弄んで、全部ゴマカしてしまいたい」
うまくいかなかった受験生の今朝の気持ちとソックリである。
 ただし、今井クマ男爵の強靭さは「それでも意地でも立ち直る」「素早く復活する」ということである。昨日のステーキハウスのワシワシ食いはカラ元気に終わったが、今日1日部屋に閉じこもって充分にイジケたら、いよいよ「復活の時ここに到れり」である。
ケンブリッジ
(ケンブリッジ駅で)

 意地悪して入れてくれないなら、入ってやらなければいいだけのこと。ニヤニヤ笑いながら拒絶するなら、こっちもいったん入ることをあきらめてやる。意気地なく卑屈に膝を屈してまで「どうしても入れてください」とお願いするほどのことはない。
 諸君、2008年クマ蔵の決意は「ケンブリッジに行こう」「オックスフォードに行こう」であった。12月19日ケンブリッジ。20日カンタベリー。21日オックスフォード。はとバスコースはもう卒業して、世界で一番有名な大学町を訪ね、ヨーロッパで最も格の高い大聖堂のうちの1つを訪ねて、それを復活の狼煙とすればいい。
オックスフォード
(オックスフォード駅で)

 もしも諸君が学部入試で失敗し、第1志望に合格できそうにないのであれば、まずしっかり心ゆくまで嘆きたまえ。その場合、嘆きは濃密であるべきで、濃密に嘆けば嘆くほど、どん底からの脱出は早く訪れる。
 というより、濃密に嘆くことさえ出来ないのでは、復活はおぼつかない。3月まで残り3日、チャンと部屋に閉じこもって、たっぷりフテくされ、部屋が水浸しになるほど涙を流せば、あとは「ケンブリッジに行こう!!」「オックスフォードに行こう!!」と叫ぶだけである。
 「そんなの、実現可能性が全くないじゃないか」と、周囲はせせら笑うに決まっている。「大学入試でさえマトモに突破できないオマエが、何を大それた夢みたいなことホザいてるんだ!?」「フザけるな!!」、パパはそう吐き捨てるに違いない。いや、それどころか当の本人が一番ハッキリ、その実現性の乏しさを心の底から知りぬいている。
車内
(ケンブリッジに向かう電車の車内)

 しかし「はいはい。分かりました分かりました。でも受験とは別の世界で、ズンズン&ズンズン進んでみます」と俯いて、根拠のない不敵な笑いを浮かべてみせるのも悪くない。不逞な青年や不遜な若者の不敵な笑みは、なかなか頼もしいものだ。若者は傲慢不遜であっていい。「謙虚な若者」など、形容矛盾と言ってかまわない。
 バングラデシュでの活躍で有名になったクマ蔵5年前の生徒・税所篤快君から、さっきメールが届いた。「いま、ルワンダでプロジェクトを立ち上げています」だそうだ。あらま。ルワンダに目を向けましたか。
 ホントにやりますね、彼は。ルワンダですよ、ルワンダ。どうだい、学部入試で失敗し、部屋に引きこもってムクれている諸君。早く立ち直って、次に行きませんか。ロンドンの部屋で鬱屈している今井君。早く復活して、ケンブリッジにオックスフォード行きませんか。要するに、そういうことである。

1E(Cd) Bernstein & New York:SHOSTAKOVITCH/SYMPHONY No.5
2E(Cd) Bernstein & New York:SHOSTAKOVITCH/SYMPHONY No.5
3E(Cd) Richter:BACH/WELL-TEMPERED CLAVIER②
4E(Cd) Richter:BACH/WELL-TEMPERED CLAVIER②
5E(Cd) CHOPIN FAVORITE PIANO PIECES
total m139 y139 d8034
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